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「発言を許されるまで黙っていないと駄目?私もおか……リアもあなた方に発言を許した覚えはありませんわよ?」
エリエッタの言葉に、レーゼレーラ侯爵令嬢が青ざめる。
他の4人は何のことかまだ分かっていないようだ。
「レーゼレーラ様が、私たちに教えてあげなさいとおっしゃったのを聞いていませんでしたの?」
「そうよ!だから、私が男爵令嬢でもあなた方の許可なんて無くたって話したって構わないの!」
……お、おお。なるほど、あなたは男爵令嬢でしたか。私をちんちくりんと言ったのっぽの先輩。彼女から見れば私はよほどちんちくりんなんでしょうね……。エリエッタよりもさらに身長が高いんですから……。横に並びたくはないです。
「やめなさいっ!」
レーゼレーラ様の言葉に、男爵令嬢が口ごもる。
「ですが、レーゼレーラ様、生意気な新入生をはじめにしっかりと指導しないと」
「黙りなさいと言っているの!これ以上無礼を働いて処分されるのは私なのよっ!」
びしっとレーゼレーラ様が広げた扇子でのっぽの頬を叩いた。
うわーい。怖いわ。
「レーゼレーラ様?」
叩かれたのっぽは目を白黒させている。
「リードル様の……妹で間違いありませんでしょうか?発言を許していただけますか?」
レーゼレーラ様が小さな声でエリエッタに話かける。
「気が付くのが遅いわよ。まったく都会の貴族は馬の顔の見分けどころか人の顔も分からないのかしら?お兄様にそっくりだと、先ほど皇太子殿下にも言っていただいたというのに……」
あわあわ、エリエッタ……ちょっと強く言いすぎですよ。フォローしなくちゃ。
「仕方がないわよ、私も殿下の顔を知らなかったのですから。似てるなぁくらいでどこの誰かなんて分かるはずもありません。ね、そですわよね?」
同意を求めるようにのっぽに視線を向けると、目に涙が浮かんでいる。
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ええ、さっきの扇子で叩かれたのが痛かったのかしら?
「大丈夫?痛いのでしたら、早く冷やした方がいいわ」
赤くなっていないか確かめようとすると、びくりとのっぽが身を固くした。
触られたくないほど痛みを感じているのかしら?
「おか……リア、ヒントはいくつもあったのよ。今年リードル様の妹が入学するという話は学園で噂になっていたでしょうし。耳にしてないなんてことはないと思いますわ。それに、わざわざお兄様が一緒に受付へ迎えに行って一緒に講堂まで歩いてきたんですよ?妹だなと普通はピンとくるものですわ」
うーん。まぁ、そうかもしれないけれど、でも……。
「エリエッタ、……お義姉様は、一つ大事な情報を見逃しているわ」
「え?」
「この方たちは、皇太子殿下が好きなのです!そうよね?」
なぜか固まったまま動かない5人。




