7 避妊手術
チョビは生後半年を過ぎていました。
だいぶ大きくなってきました。
私はチョビが生後半年たったころに避妊手術をすることに決めていました。
それは、チョビの繁殖を望んでいなかったからです。
チョビ1匹を大切に育てたいと思ったのです。
そして、私は動物病院に電話をかけました。
手術日の予約を取りました。
明日連れてきても良いと言われた私でした。
やはり女の子の手術は一日お泊りになります。
男の子だと日帰りでできるのですが、女の子はそれなりに大変な手術なのです。
手術当日…。
私はチョビにリードを付けていつも散歩をするようにしながら、動物病院までブラブラと歩いて行きました。
動物病院まで歩いて5分くらいです。
今日のチョビのお散歩はこれで終わりです。
チョビはなぜかとても動物病院が好きな子でした。
動物病院の先生がとても好きみたいでした。
動物病院に行くといつもお腹を出してひっくり返りながら看護婦さんに遊んでもらうのがいつもの事でした。
この日もとてもご機嫌なチョビでした。
先生と暫く遊んだ後、病院の奥へと連れていかれました。
ちょっと寂しくなった私です。
今夜、チョビはお家にはいないのです。
でも、明日には会えるから…そう思いました。
それに、チョビ以外に我が家には猫が2匹いたのです。
翌日…。
私はチョビを動物病院まで迎えにいきました。
チョビが病院の奥から連れて来られました。
手術は成功したのです。
でも、その姿はとても奇妙なものでした。
チョビはお腹にグルグルと包帯を巻かれていたのです。
その包帯はちょっと変わっていて、胴回りをぐるりと包むといくつか背中で縛る紐が付いていて、その紐で何か所も縛ることができるのです。
どう、説明したら良いのか分かりませんが、ミニチュアダックスの胴回りに実にフィットしていたのです。
その包帯をグルグル巻きにされたチョビを連れて、またブラブラと帰ってゆきました。
家に着くとチョビはとても安心している様でした。
やっぱり自分の家が良いのです。
でも、暫く大人しくしていたな?と思っていた時です。
チョビはグルグルにされた包帯を口でくわえて体から取り始めたのです。
まだ、傷口はふさがっていません。
そんなことしたらまた傷口が開いてしまいます。
私は慌てました。
私はその日のうちにまた動物病院に連れて行ったのです。
包帯を取ってしまったチョビを見て先生はちょっと笑っていました。
「包帯取ってしまったのですね。他のわんちゃんも同じことしますよ。包帯また作りますから待っててくださいね」
そう先生はいってくれました。
すると、先生は大きなガーゼみたいなものを持ってきました。
そして、器用にハサミで切り絵を切るように胴回りに取り付ける紐部分を作っていくのです。
「先生、器用ですね」
「そりゃそうだよ。何匹ものわんちゃんの手術してきたし包帯も作ってきてるから」
そんな会話をしている間に包帯が出来上がりました。
それをまたチョビに巻いていくのです。
これでちゃんと包帯が巻けました。
チョビはまた少し「嫌だなぁ…」と言っている様でした。
私は先生に、また包帯を取ってしまうと困るので、同じ包帯をいくつか作って欲しいとお願いしました。
先生はいいですよ…と、言いながら、また切り絵を作るように包帯を作っていったのです。
自宅に戻るとまた包帯を取ってしまったチョビでした。
その度に、私は先生が作ってくれた包帯を巻いてゆくのです。
そしてこの作業は、抜糸する日まで続いたのです。