1 想い
私はまた本屋で室内犬の飼い方の本を手に取り悩んでいました。
「この本で一体何冊目だろう?」そう私は感じていました。
手に持っていた本を元に戻すと私はため息をつきました。
犬を飼いたい。
可愛い、とても小さな犬を。
そう、私は思っていました。
しかし、犬を飼うからには責任が伴います。
小型犬の平均寿命は13歳だと聞きました。
それまで、ちゃんと私は最後まで看取れるだろうか?
そう、いつも考えていました。
そんな、事を考え始めてからもう3年になりました。
3年間なやんできました。
私はそんな事を考えながら、本屋を後にしました。
自宅に戻ると夫の優斗が帰ってきていました。
「ただいま~」
「おかえり~」
「また本屋に行ってたの?」
「うん。また本屋に行ってたの」
「それで、また本を買ったの?」
「うん、買ったよ」
「今に我が家は室内犬の飼い方の本で埋めつくされるよ」
「そーならないことを祈るわよ」
そう言いながら二人で笑っていたのです。
私はコーヒーが飲みたくなったので優斗に聞きました。
「コーヒーでも飲む?」
「うん、飲みたい」
「じゃ、豆から挽くから」
「よろしく~」
私は、コーヒー豆をガリガリと挽いていた時も、犬のことを考えていました。
私が欲しかった犬は小型犬でした。
その当時の我が家はマンションでした。
中型犬でも隣近所に迷惑がかかりました。
だから、小型犬でないとどうしても飼えませんでした。
保健所から引き取るという事も考えていました。
しかし、当時の保健所にはミックス犬などまだ居ませんでした。
中型犬か、大型犬が殆どでした。
私は仕方なく、ペットショップから犬を飼おうと決めていました。
犬種はミニチュアダックスフンドの女の子でした。
赤毛のロング。
何故、女の子を選んだかといえば、女の子は年老いてもいつまでも可愛い顔立ちをしているからでした。
それに、性格も優しい。
だから、女の子に決めていました。
そんな事を思っていたのが、1999年でした。