繋がる世界 後編
第一章、完!
集まった面々に向け、桂朔は説明を始めた。
「向こう側の世界にそのまま行こうものなら、対消滅してしまう。まずはそれを防ぐために、お前の性質を改変する。」
「それは、魔理沙は魔理沙じゃなくなるってこと?」
「いや、違う。気質を変えるのだ。気質はそのものの性質を表す。それを変えてしまえば対消滅を避けられる。だが存在を書き換えるわけではない。」
「なるほど。気質を完全に変えるために私の能力で気質を純化すると。」
「そういうことだ。」
そして霊夢と霖之助に小声で話しかける。
「それで草薙の剣に認められなくなるということは無いから安心しろ。」と。
魔理沙を取り囲むように立ち、魔理沙の気質の書き換えが始まった。
「『純化・気質』」
その瞬間、周囲には大雨が振り始めた。魔理沙の水の気質が純化され、抑えきれなくなった気質が周囲の天候に影響を及ぼしているのだ。
そこに隠岐奈が介入する。
「『変質・火属性』」
摩多羅隠岐奈―表の顔は多岐にわたるが、最も目立つのは後戸の神としての顔であろう。後戸とは力の根源であり、隠岐奈はそれを自由に操ることができる。力の変質となると少々難しいが、純化されたことでそれもやりやすくなっていた。
気質が火属性に変化したことで、今度は業火が上がろうとする。
「『純化・解』」
だが、純狐が純化を解除したことで博麗神社の炎上は防がれた。
「さて、これで準備は整った。後はお前を向こう側の世界に送り込むだけだ。」
「よし、待ってたぜ。」
「良い返事だ。それでは、ここに立ってくれ。」
そういって桂朔が指さしたのは、複雑な魔法陣だった。
「こりゃ、精神を守る術か?」
「大正解。世界を移動するときに影響を受けるのは精神だからな。」
そして、魔理沙は魔法陣の中に立つ。
「んじゃ、行ってくるぜ!」
「魔理沙、必ず戻ってきなさい!」
「もちろん!」
「座標移転、発動」
桂朔が唱えると同時、魔理沙の姿は消えていた。
「行っちゃったわね・・・。」
「ああ、だが僕らもできる限りのことをしないといけない。」
「ええ。」
霊夢と霖之助は、お互いの決意を確認し合った。
そして、境内の端でヘカーティアと桂朔は対峙していた。
「自分の仕事が終わったからって、すぐに帰るのは頂けないわよん?」
「悪いが賢者の仕事が残っているのでな。あまり悠長に話している時間は無い。」
「あらあら、つれないわねぇ。私は同じく異界渡りができる貴方が気になるだけよ。・・・それに貴方、元々ここの者じゃないでしょ?」
「ッ・・・何故それを?」
「あら、私は全ての地獄を統括する女神よ?生き物の生まれなんて簡単に分かるわ。」
「フン・・・まあいい。私がどこから来ていようと、することは変わらん。」
「随分とここに愛着があるのね。昔は嫌っていたのに。」
「まあな。だが今はここを愛し、守るのが私の役目だ。・・・あいつらが聞いたらどう思うか。」
空には昼の白い月が浮いていた。
作者「どうも、暁です。」
香仙「香仙だ。・・・何故ここに?」
作者「ただの気分。」
香仙「気分で出てこられても困るんだが。」
作者「まあそれは冗談で、今後の展開を話すつもりで出てきたんだけどね。」
香仙「最初からそう言え。」
作者「厳しいなぁ・・・。さて、こことは違う世界に送り込まれた魔理沙と幻想郷に残った霊夢達の両方を今後は書いていくつもりです。そして、あの不良サークルもこの後のストーリーに絡んでくるかは私にも分からない。」
香仙「そのくらい決めておけ。あと、私の出番が第一話以降無いのもどうにかしろ。」
作者「いやぁ、番外編として少しずつ繋げていくかガッツリ最初から関わらせるか悩んでるんだよね。・・・出番の件はすみませんでした。10話以内には出すのでその銃をしまってください。」
香仙「・・・まあ、10話以内なら許してやろう。」
作者「さて、次回の投稿は設定の紹介です。唯一の伏線(になってるかはだいぶ怪しくなったけど)以外の要素は全部出すので楽しみにしておいてください。」