ダイヤモンドランクつっっっよ
混乱と生理的な拒絶にくらくらしながらも、背中から伝わるイーシャの体温と目の前のカブリの見た目からゆっくりと落ち着いてきた。
そう、カブリの見た目は確かにゴキの特徴があるけれど、それでも人間寄りなわけでそこまで忌避感煽るビジュアルではない。
どっちかというと結構な美形。
……ベタついた感じじゃない、綺麗な髪艶だなあって思ったんだけどねー……。
ゴキに見られる油分かアレ。
虫人になると髪艶扱いになるのかアレ。
っていうかよく見たら背中に翅があるし、見た目的には大分ゴキ。
……触覚隠せばカブトムシとかに見えなくもないんだけど……。
誤魔化せないゴキ感。
いや、聞くまで気付かなかった辺り誤魔化せてはいるというか、そこまで忌避感煽る特徴は無いとわかるんだけど、それはそれだ。
どれだけ理性で大丈夫な理由を挙げても生理的な拒絶が沸き上がる。
「あー、いや別に無理して受け入れようとか仲良くしようとか、そういう必要はないぞ? 人間に嫌われるのは慣れてるし、俺は寧ろそういう反応を見て楽しんでるくらいだからなあ……」
そこまで真摯に対応される方が珍しくてこっちも困る、とカブリは上の右手で頭を掻いて苦笑した。
「……うん、良し、そういう感じで良いなら助かる。ありがとう。あともうちょい待って。カブリの見た目に慣れれば大丈夫と思う。きっと。多分」
「だから無理しなくて良いって言ってるだろう? 自浄作用もあって俺は清潔に保っているが、だからといって忌避感を無くせるわけじゃないからな」
「いやでも何か拒絶理由がゴキだからってだけなのは嫌じゃん! 私が!」
「お前が嫌なのか」
「そりゃ嫌だよ! 多腕の友達居るし虫人の友達も居るのに種類がゴキだからってだけで拒絶するのは何か負けた気がする! 私が!」
相手がその国の人だからと一方的に排他するようなものだ。
それは酷い偏見だし、出身について何か言うというのは、何かこう、その人自身の本質を一切見ていないという事。
ココノツのお陰で大丈夫な人にしか奴隷使いという事は鑑定で看破されなくなったが、それでも今まで開けっ広げだった為に絡まれる事はあった。
その最たるものはシュライエンに絡まれた時だし、他の人は陰口程度だから気にする事も無いが、それでも良い気はしないもの。
……私がそれをやるっていうのは何かヤダな!
無理して仲良くしようとするとか普通に失礼極まり過ぎだけれど、相手の肩書きだけで拒絶をするのは何か嫌だ。
これこそが上っ面だけを見て一方的に拒絶するという「人間らしさ」の部分なんだろうが、そこに甘んじるというのは人間らしい卑しさに負けるような気もする。
なので負けたくない。
「……主様は何か難しく考えてるみたいだけど、そこまで思いつめなくて良いよ?」
「そうなの?」
「だって仲良くするのに触る必要無いじゃん」
クダはさらりとそう言った。
「仲良しとして何かしたいってなったら接触したいかもしれないけど、グルーミングしなくったって仲良しにはなれるし、相手の種族によってはグルーミングしない派も居るしね」
まあ確かに。
「それに触れないとか生理的拒絶関係なくてもあるよー。ね、ニキス」
「うん、ミレツに同意。例えばだけど飼い主様、そこに居るタエカはカエンタケのマイコニドだから触るだけですっごい危険だけど、今はピアスで無毒になってる。
でも素手で触らない方が良い、ってのは依然としてそのまま。これって変?」
「…………変じゃない、ね」
万が一があった時に被害が出る事を思えば、触らない方が無難だ。
文字通り、難が無い。
「そこのウサギ達が言ったように、俺ちゃんは無害でも俺ちゃんへの素手での接触は超危険なわけ」
ひらり、とタエカが手袋に覆われている両手を振る。
「無毒化してるからセーフって言っても不具合が起こる可能性はゼロじゃないし、本能的に危険とわかる存在に触れる必要は無い。
現に首領の奴隷達も俺ちゃんから距離取ってるでしょ? 奴隷じゃないけど既に死体なトーテすらも俺ちゃんから距離取ってるくらいだもん」
危険っていうのはそういうもの。
「首領は耐熱状態だからマグマに浸かっても大丈夫って言われて、マグマに浸かれる?」
「普通に怖いし無理だよね。足の先っちょ浸そうとするだけで心拍数がぶっ倒れる程上昇しそう」
「そーいう事!」
わかってるじゃん! とタエカは笑う。
「大丈夫っていうのと触れるっていうのはイコールじゃないんだよ。それを無理ってカテゴライズしちゃってたら無理な物は無理なんだ。
閉所恐怖症の存在にどれだけ安全性を説いたって、閉所に対する恐怖心を拭えるわけじゃないようにね」
「あー…………」
つまりこれはゴキ恐怖症みたいなもので、カブリが無害と知っていてもそういう次元の問題じゃないという事か。
確かにそういうのはある。
高所恐怖症の人は、どれだけ安全が確保されていようともタワーとかにある下がガラス張りになっているところには立ちたくないだろう。
……それでもって、そういう人は壁で覆われてたりして高い位置だと意識しなければわりとセーフって人も多いみたいだし。
今の私は高いところと知らなかったから大丈夫だったけど、高いところだと自覚した結果無理感が襲い掛かってきた高所恐怖症の人、みたいな状態。
だからカブリが信頼のおける存在と理解したとしても、精神的、あるいは肉体的な拒絶感は別となる。
「成る程、無理しなくて良いってそういう……」
「そうそう」
「実際、無理なモンは無理だからなあ」
下の腕を組み、上の手で顎を撫でながらカブリが言う。
「体に害が無いってわかっててもセロリ嫌いなヤツは匂いだけで嘔吐くだろ?
そういう「無理」を無理して受け入れる必要は無い。俺は拒絶される事すらもわりと楽しんでるくらいだし」
「うん、お言葉に甘えるね」
「そうしてくれ」
カブリにぽんぽんと頭を撫でられた。
一瞬ぞわりと鳥肌が立ったものの、思ったより大丈夫だった。
体温がある事、手が人間寄りである事、そしてカブリ自身に害が無い事、による結果だろうか。
……まあこっちから触るのは依然として無理だし、撫でられた頭には謎の違和感を勝手に感じちゃうんだけどね!
理性でもどうにもならんこのぞみぞみ感はどうしたものか。
・
「……話が纏まったところ悪いんだが」
これまで黙っていたトーテが呟き、継ぎ接ぎが見える手で向こうを指差す。
「あれは、目的のドラゴニュートではないのか」
見れば少しばかり遠い位置に、四メートルサイズの竜人が居た。
しかしドラーゴとは違うのが一目でわかる。
それはドラーゴよりもサイズが小さいという事ではなく、
……何か、動きが野生って感じ。
「あー、既に思ったより近付いてたか」
「まあ首領がカブリに対して抱いてた忌避感やら受け入れないとっていう考え方やらについて時間掛けちゃったしねー」
「待ってお二人さん。カブリもタエカも気付いてたの?」
「あんだけデカイのが近づいてるのに気づかない理由無くない? 地面からの振動で普通に気付くよん」
「首領の奴隷達も気付いている様子だったが、寧ろ首領とトーテは気付いてなかったのか?」
私の危機察知能力が死んでいる事については先日よくよく理解していたので無言のまま顔を逸らした。
「私は気付く以前に、死体のせいか五感が鈍いのでな。そして死んでいるので生命本能も無い。
脅威を意識しないから捨て駒や時間稼ぎには我ながら都合が良いと思うが、察知系には向いていないぞ」
「生きてるご主人様は顔逸らしてるけど」
「察せなかった事を察してイーシャ!」
「察してるから言ったんだよ」
可愛いなあ、と口元を緩めたイーシャに頬を捏ねられたが、これ完全に幼児を可愛がる動きじゃないだろうか。
いつもこんな感じだから良いけれど。
「おっと」
先程まで周囲の木々に阻まれて鈍い動きだったドラゴニュートだが、獲物の気配を感じたのか、それともカブリの家付近は開けた状態になっているからか、地面を蹴った勢いのままこちらへと飛び込んできた。
風圧が遅れて来る程の衝撃と体積を、ドラゴニュートの方へと飛び出たカブリが軽い声色で受け止める。
……あ、トーテも居たんだ。
ドラゴニュートの突進をカブリが受け止め、カブリと背中合わせになったトーテがつっかえ棒の役割として足を地面に食い込ませていた。
恐らくドラゴニュートの突進を受け止めても、多少押される危険性を考えての事だろう。
ドラゴニュートの体格的に考えると僅か押されるだけで結構近付かれてしまうので、とても助かる。
……あっ! こういうのがか弱い人間を守る為に共闘するんだよ的なアレ!?
いつの間にかクダ達が私を守るように周囲を囲んでいるので、本当足手纏いで申し訳ない。
助かります。
「ううむ、俺の強度ならドラゴニュートくらい問題無いが俺は戦闘能力があるわけではないからなあ……つっかえ棒殿は戦闘能力に自信はあるか?」
「誰がつっかえ棒だ。トーテと呼べ」
「トーテは戦闘能力に自信あるかい?」
「痛覚が無いので肉体に掛かる負荷を度外視してブレーキを外せる上に、魔族へと変質した死体だからな。人間に比べれば相当の力があるが、だからといってドラゴニュートに通る攻撃を繰り出せるとは思わん。
今さっき貴様が下がらぬよう私自身の足を地面に食い込ませたが、筋肉で補強しなければ折れていたところだ」
「あー、元が人間だから脆いのか」
「ゴキブリの異様な頑丈さと一緒にするな」
「まあ確かに俺達の頑丈さは他に類を見ないと言われる程だがなあ」
ハハハと笑うカブリの発言は、こちらからすると笑えないヤツだ。
実際ゴキが有する諸々の耐性はゴキを天敵とする人間からするとマジ困る。
専用の対ゴキ用殺虫剤しか効かないの何なんだ。
……他の虫用じゃわりと生きてたりするんだもんなあ……。
凍らせてもあんまり効果無かったりしたあの恐怖を私は忘れない。
ゴキ退治は本当、ゴキが大丈夫なストーカーさんが助けてくれるから良かったが、自力では恐怖が勝って仕留めるどころか近づけもしなかった記憶。
……いやそれでも四メートルの竜人(魔物)の突進を受け止めれるって凄いな?
カブリの身長は人間的に見れば高身長枠という感じのサイズなのでとんでもない。
まあ人間大サイズのゴキと考えると内臓が嫌な感じにギュッとなるが、うん、そこは深く考えないでおこう。
味方だと頼もしいアレだと思った方がメンタル的によろしいし。
「しかし、どうするか。どうにもならんという事は無いが……首領、何か凄い攻撃とか出来たりするか?」
「私は戦力外のお荷物って思ってくれればそれで合ってるよカブリ!」
「ああ、今見たら全力で守られてたから思った以上に戦力外扱いされているのはわかった!
まあ実際奴隷使いだと戦うのは奴隷だからな! 奴隷使いに求められるのは強さよりも人間性だから致し方ないか!」
あ、人間性を求められるんだ奴隷使いって。
でも確かに歪んだ奴隷使いが皆シュライエンみたいな感じだとすれば道徳とかがどっか行ってるようにしか思えないので、必須なのだろう。
奴隷使いじゃなくとも必須だと思うけど。
「……というか皆、私をイーシャの背に乗せたとはいえここから立ち去ったりはしないんだね?」
何というか、様子見みたいな位置をキープしている。
「だって主様が居なくなったらあの三人が共闘し難くなっちゃうもん」
「とびきり弱い庇護対象が居るとやっぱり違うよねえ」
「強い者なら自力で身を守れるだろうし、戦い慣れていれば自分の限界もわかっているものだからな」
「そうなるとつい無茶しちゃったりするもんねー」
「だからこそ、飼い主様みたいに弱くて守るべき対象が居てくれる事で安全かつ確実な戦い方をしてくれるんだけど!」
「成る程」
守られる姫というよりも保護された赤ん坊扱いな気がするが、結果的に良いなら良しとしよう。
ケタリもこういう事になる前提で私に頼んできてたわけだし。
「二人共ー、とりあえずソイツ抑えててくんない? 俺ちゃんちょーっと分裂すっから」
タエカが言うが早いか、その足元からぼこりと土を盛り上げてもう一人のタエカが生えた。
素っ裸だった。
「いや何で全裸!?」
「えっ、そりゃ分裂してるし服は地肌じゃないから当然じゃない? 生物って生まれる時基本的に全裸でしょ?」
「あ、ああ、うん、そういう……?」
何を当たり前の事をという顔で見られたので納得してしまったが、納得して良かったんだろうか。
いやまあ言ってる事は真っ当だから反論の余地も無いんだけどさ。
……分裂って言ってもクダみたいに化けてるわけじゃない、本気の分裂っていうか株分けみたいなものだろうしね……。
新しく生やすわけなので、そりゃあ服を着ているはずもないか。
今の自分の姿をそのまま分身、というわけでも無いんだし。
しかしハトリの時は見た目がキノコ寄りということもあって気付けなかったが、まさか全裸だったとは。
「ちなみに分裂した方は当然無毒化ピアスとかもしてないからうっかり触ると皮膚が爛れる可能性あるしもうちょい距離取っといた方が良いよん」
イーシャ達はその言葉に無言のまま三歩程距離を取った。
言われて見れば無毒化アイテムとかも無いので一発アウトな猛毒そのものなのか、あの素っ裸タエカは。
「「ブレス!」」
「えっ」
「頭借りるぞ!」
耳をピンと立てて突然叫んだミレツとニキスに驚いていると、トーテがカブリの頭を踏み台にして勢い良く飛びドラゴニュートの口、マズルの上へ着地しそのまま口の先を全身で覆うようにして開口出来ないよう固定する。
直後、ドラゴニュートの胸部が爆発的に膨らみ、目がぐるりと上を向いて耳らしき穴からぶすぶすと煙が出た。
「……クダ、解説頼める?」
「ミレツとニキスが音からドラゴニュートがブレスを吐こうとしてるのに気付いて知らせて、理解したトーテがカブリの頭を踏み台に口を封印したの。
ああいう系って噛む力は強くても開く力は弱いし、トーテは全力で筋肉を酷使しても大丈夫なリビングデッドだからね」
そういえばワニとかも少ない力で充分に口を閉じさせる事が出来ると聞いたような。
噛む力は強くとも、開く力はまた別なんだっけか。
「で、ブレス吐くのが間に合わなかったドラゴニュートは吸った息が内部から逃げられなくなってそのまま暴発。多分内臓の内側が焼けたんじゃないかな。皮一枚程度だろうけど」
「ああ、まあ、強度が少な過ぎたらまずブレスとかそういう系吐けないだろうしね……」
「ただ逃げきれなかった空気が暴発して外へ逃げようとして、でも口と鼻を塞がれてるから、他の逃げ場として耳を選んだと思う。多分だけどあの煙が出てるって事は鼓膜も破れてるんじゃないかな」
「こっわ。っていうか口は確かに塞がれてるけど、鼻も?」
「鼻から空気を吐き出せないようにすれば鼻自体を塞げなくても結果は同じになるんだよ、主様」
「なぁるほど」
締め技で関節を動かなくするように、口を塞ぐのと同時に鼻から逃げようとする空気の道も通行止めをしていたらしい。
結果内部暴発、と。
「おい! そろそろコイツの意識が戻りそうだが攻撃の案は無いのかタエカ! カブリ!」
「勿論あるよん」
素っ裸ではないタエカがニッと笑う。
……あれ、さっきまでタエカの隣に居た素っ裸の方のタエカが居ない?
「意識戻りそうなら重畳! トーテ離れて!」
「離れた瞬間コイツはまたブレスを吐くか食いに来るぞ!? 私は食われたところで体の一部を逃がす事が出来れば別の体に繋げて何とかなるが!」
「だーいじょうぶ! 寧ろ大口開けるのを待ってるんだよ☆」
「了解した!」
叫び、トーテはバッと手を離してドラゴニュートの口から距離を取るようにして落ちる。
先程の衝撃で白目を剥いていたドラゴニュートだが、これまでの間に意識を取り戻していたのか、怒りに満ちた目で再びブレスを吐こうとしてか凄まじい勢いで空気を吸い込み始める。
……うっわ風強っ。
今日の髪型は動きやすい纏め髪だから良いけれど、そうじゃなかったらとんでもない鳥の巣ヘアになってたところだ。
そのレベルの強風が吹き、ドラゴニュートの口へと吸い込まれてゆく。
……ん? でも大口開けるのを待ってるって……。
「わははは待たせたな腹ペコドラゴニュートよ! 成分的に美味しくは無いが、食いでのあるキノコを文字通り食らえ!」
「言い草酷くない?」
生理的に寒気のする羽音と共に、屋根の上へと登っていたらしいカブリが素っ裸のタエカを抱えてドラゴニュートへ向かって飛んでいた。
追い風のような吸い込む力によって凄まじい速さで口の近くまで移動したカブリは、抱えていた素っ裸のタエカをその口へと放り込む。
カブリ自身は投げの反動と翅により少しばかり軌道をずらし、ドラゴニュートの顎を軽く蹴り、吸い込む力の動線から逃れていた。
反対に、口の中へと放り込まれた素っ裸の方のタエカはドラゴニュートの喉奥へと消えていく。
「……えっ、大丈夫なの?」
「俺ちゃんは分裂しただけだからぜーんぜん大丈夫」
思わず零れた言葉に、タエカはこちらを見てパチリとウインク。
「ただマイコニドの毒は同じ種類のキノコなんかよりもずっと強い毒性を有してるから、ドラゴニュートの方は駄目だろうね。症状が出るまで十分前後、なんて隙も無いよん」
突然大きな物を吸い込んだせいか、ドラゴニュートは空気を暴発させないまでも微妙に噎せていた。
何だろう、錠剤とか飲むのに失敗した人みたいな咳だ。
「あ」
そう思った直後、ぐらりとドラゴニュートの巨体が倒れた。
「よっと」
カブリの家の方に倒れようとしていたドラゴニュートをジャンプしたカブリが蹴飛ばした事で、ドラゴニュートは反対方向、木々のある方へと倒れ込む。
イーシャの背の上という目線が高い位置に居るので見えたが、どうやら完全に目を回しているらしい。
「このまま三十分も放置すれば呼吸が出来なくて死ぬよ。ドラゴンとかそういう系はかなりの時間息を止める事が出来るけど、気管含めた内臓を幾つかヤっちゃってる上に俺ちゃん一体分の毒だからね。
内臓がひっくり返る程の嘔吐感で息を吐くけれど、吸う事は出来ないから。とはいえ結局酸欠で仕留めるって感じで、俺ちゃんの毒が死因でも直接の理由には至らないって辺りがドラゴン系の強いとこだよねー」
まあドラゴン系って大体毒耐性強いもんなー、とタエカは残念そうに目を細めて唇を尖らせながら言うが、十二分にとんでもねえ猛毒だと思う。
というか、もうこれはあと三十分様子見が必要だとしても、討伐が終わったという事なのでは。




