ロマンチックの種族差よ
トガリとそのお連れさんについては後で現地集合となっているので、ぞろぞろ並んで目的の飲み屋へとやってきた。
「えーっと……」
まだ早い時間だからか他の客はそう多くない。
そう思って店員を呼ぼうと店内を見渡せば、新雪のような真白い肌に睨みつけるような目の店員さんと目が合った。
全種族対応の店は人間の客がほぼ居ないようだし、もしや人間が嫌いだから人間が来ないタイプの店で働いてるとかだろうか。
あまりの目つきにそう思ったが、彼女は長い黒髪を揺らしてニパッと明るい笑みを浮かべた。
「いらっしゃいませ! 何名様でそれぞれどういった種族ですか?」
……あっ、そういう目つきなだけか。
笑顔がめちゃくちゃ可愛らしい子だった。
見た目で睨まれたと思い込んでしまった事を反省せねば。
「えーと、今居るのは七名で後から二名来ます。種族は私が人間で」
「管狐!」
「重種のケンタウロス」
「コカトリス」
「「ミニレッキスのウサギ獣人!」」
「ノウサギ獣人」
「…………です。あとトガリネズミ獣人とチョウチンアンコウの人魚が来ます」
「成る程」
ふんふん、と彼女は頷く。
「一応聞きたいんですけど、チョウチンアンコウさんはオスメスわかります?」
「確かオスのはずです」
「了解しました! それでは一番体格の良いケンタウロスさんに合わせたテーブルにご案内させていただきますね!」
ニパッと愛嬌のある笑みを浮かべ、彼女はそう言った。
……あー、成る程相手の大きさに合わせた席に案内する必要があるんだ。
確かに一番大きい人に合わせた席にしないと窮屈になってしまう。
小さい方は椅子などで合わせる事が出来るから良いけれど、大きい方はそうもいかないわけだ。
実際車とかでも子供はチャイルドシートがあるから良いが、足の長い大人は場合によっては窮屈な思いをする。
そういう感じのアレがあるのだろう。
……まあ私足が長いわけじゃないからわかんないけど。
なにせ平均的な身長なので。
「ところで人間さんは」
「喜美子です」
「ああ、噂の首領!」
嘘でしょここでも噂だと。
「私は雪女のお雪です! それで私、雪女という事もあって体温が限りなく氷に近くて……装飾品で他の人の体調を崩さない程度に調整はしてありますけど、近づき過ぎると体が冷えるかもしれないので寒かったら言ってくださいね? 毛布などお持ちしますので!」
「ありがとうございます」
「いえ!」
お雪はにっこりと笑って席へと案内してくれた。
……成る程、雪女かあ……。
真っ白な肌に黒髪というのは一見普通の人間女性のようだが、快活な笑顔なのに感じる怪しい魅力、そして近付くと真冬の窓のそばに近付いた時に感じるような冷気がある辺り、雪女要素が沢山だ。
一説には恐ろしい目をしているとも聞くので、あの目つきの悪さが恐ろしい目と言われた理由なのかもしれない。
・
イーシャの身長に合わせた背の高いテーブルに、これまた背の高い椅子へと腰掛ける。
宿屋でも同じように足部分が梯子になってるタイプの椅子を使う為、梯子を上るのにも慣れたものだ。
「こちらメニューです!」
「ありがとうございます。えーと、トガネ達がいつ頃来るかわかんないし先に頼む?」
流石雪女というべきか、お雪はふわりと浮いてメニューをそれぞれに渡してくれた。
確かに雪女の話では浮いているイメージがままあるので、不思議ではない。
「……そもそも、俺達は食う物が違うだろう」
メニューを見ながら、ノーサがそう言った。
「わざわざそいつらを待ってまで後に頼むメリットが無い」
「実際同じ種族ならお皿のシェアとかするから待った方が良いかもだけど、クダ達食べるの違うもんね」
成る程ごもっとも。
確かに待ったところでトガネが頼む可能性の高いミミズの盛り合わせをこちらも食べれるかと言えばNOなのだ。
それぞれ好きなタイミングで好きな物を頼む方が良いのは理に適っている。
……あんまり一気に頼んで厨房が大忙しになっても悪いしね。
「じゃ、それぞれ先に頼んじゃおっか」
「クダはネズミ揚げ! タレ付きのヤツ! あとお米のお酒も飲みたいんだけど良いかな主様?」
「うん、良いよ。いつも頑張ってくれてるし」
養われているのはこちらの方なので、討伐をこなしてしっかりとした稼ぎを得てくれているクダは食べたい物を食べるべきだろう。
正直言ってお手伝い系の依頼よりも討伐依頼の方が収入多いのも事実だし。
「俺は馬用粗飼料大盛りと野草サラダ。エノコログサとツユクサ多めで。あと角砂糖もあるなら小鉢で欲しいね。ドリンクはリンゴジュース」
「自分はドクダミとハコベと大根の葉サラダを。米ぬかトッピングで頼む。それとボレー粉だな。ああ、ドリンクは芋焼酎」
「俺達は牧草チモシー大盛りにペレットトッピング!」
「あとニンジンジュースとウサギ用サラダに乾燥パイナップルトッピングも! ちゃんと二人前でよろしくね!」
「俺は新芽盛り合わせサラダ大盛り。あとは青草のスープと草酒」
種族差すっごい。
というか今この瞬間、テーブル内の草食度が高い。
……トガネが参加すれば草食以外の比率が増えるんだけどね。
そしてノーサはこの世界の住人らしく露出度高めの恰好をしているわけだが、その為に見える二の腕やら太ももやらがバッキバキ。
弓道とかボクシングとか、短距離走とか。
そういうタイプのアスリートみたいな筋肉がついている。
イーシャの場合はプロレスラーのような膨らみのある筋肉だけれど、ノーサの場合は随分引き締まった筋肉というイメージ。
流石にガチのボクサーレベルでギチギチというわけではないが、
……注文したものからして確実に草食だろうにその筋肉って、流石草食動物って言うべきなのかな……。
どういう草食えばその筋肉に育つんだろう。
「……っていうか草酒って何?」
「草のお酒だね」
イーシャが指先を軽く振る。
「果実が材料の果実酒と同じように、草を材料としたお酒が草酒って呼ばれてる。酒自体カロリー高めだから内臓への負荷が強いってのもあって、草食動物で酒を飲むってなると草酒が多いかな。果実よりは内臓の負荷が少ないし、草食用になってるからカロリーも低め」
「え、良いなあ」
「人間からすると青汁にアルコール混ぜて数倍青臭くした感じ」
「思ったより全然羨ましくなかった」
「食べ物が違うからねえ」
想像してうへえと顔を引き攣らせると、それがわかっていたかのようにイーシャはケラケラ笑った。
いやまあわかりきってたんだろうけどさ、こういう反応が来るってのは。
「首領はどうされますか?」
「あ、えっとね」
お雪に聞かれてそういえばまだ言ってない事を思い出し、慌ててメニューを確認する。
「杏酒の水割りとカルボナーラと……あ、イカリングも」
「はいはい! オイラは馬の血酒と馬刺し! あと馬肉ステーキに豆のソースで!」
「…………いや待って誰!?」
聞こえた声に視線を向ければ、同じテーブルに居た。
……いつの間に……?
他の皆が特に動じていないので害は無いし問題も無いんだろうけれど、知らない間に黒い肌の少年が席についている衝撃よ。
髪を含めた体毛が無いように見え、挙げられている手には穴が開いており指は三本。
真っ赤な目と帽子に赤い短パンだけといういっそ寒そうな恰好でパイプを吹かしている。
「?」
黒い肌の少年はきょとりとして周囲を見渡してから、自身を指差す。
「オイラか?」
「イエスユー」
「オイラはサシペレレのペレレ! トガネのヤツと偶然会ったらドリンク一杯奢ってもらえる上に人外偏見無い人間と一緒にご飯食べれるって聞いたから来たぜ!」
「成る程」
何も理解出来ないが成る程。
……サシペレレって何だろう……。
黒い肌からすると南の方の国にある伝承系の種族だったりするんだろうか。
正直詳しくないのでどうにもこうにも。
……あ、でもサシペレレって実家で見たアニメで覚えがあるような……!
幽霊族の末裔なゲゲゲのアレ。
確か、アレの作者が書いた別作品に登場していたはず。多分。
「ちなみにトガネ達は」
「普通にこっち向かってると思うけど、オイラ二人に合わせるのヤだったから走ってきた!」
「主様に説明しておくとサシペレレは種族としては妖怪寄りで、つむじ風を起こすレベルの俊足なの。あと姿消したり出したり、馬の血を吸ったりする」
「成る程馬の血酒」
血酒も初耳だけれど、先程の草酒の説明からすれば血を原料とした酒なんだろう。
「ケンタウロス族としてはあんまり関わりたくない種族かなあ……」
ぶるりと身を震えさせたイーシャが腕をさする。
恒温動物であり人間より体温高めなイーシャが身を震わすのはお雪から放たれる冷気によるもの、ではないだろう。
まあ誰だって自分を獲物として見てるかもしれない種族と同席するってなったらちょっとビビるよね。
……私は大分麻痺したけどねその感覚!
正直言って目の前で人間とわかる生首を齧られさえしなければ多分セーフだと思う。
原形がわからなければ何肉かわからないし、彼らはちゃんと死刑になった囚人の肉など、許可が出た肉だけを食べているので不安に思う必要はあるまい。
それはそれとして恐怖するのが生存本能なのだろうが、人間にそれを期待されても困る。
動物に比べれば人間の生存本能は目の前の欲に負けて八方塞がりの道に自ら飛び込んだりするので本当期待出来ない。
私は特にその辺鈍いし。
「えーと、とりあえず以上で良いですか?」
「あ、はいそれでお願いします。ペレレ……も、良いんだよね? トガネ達すぐ来る感じ?」
「トガネとコアチ、あっチョウチンアンコウ人魚の事な! その二人はあと十分くらいかかると思うぜ! オイラすっごく早いから!」
「どんな距離からダッシュしたの?」
今の時点であと十分掛かるような距離から来たとか結構な距離なのでは。
しかも人外スピード前提だし。
・
そうして注文したドリンクやサラダ類が来た頃、二人が合流した。
「お待たせしましたトガネです! こっちはチョウチンアンコウ人魚であり未だ女性経験の無いコアチです!」
「余計な事は言わなくて良いんだよトガネ! っていうか僕に女性経験があったら僕はここに居ないからね!?」
到着して早々に漫才が始まったなあと思いつつ杏酒を呷る。
美味しい。
「ええと、私は喜美子。そっちはコアチで良いんだよね?」
「あ、うん。それで合ってるよ。よろしく首領!」
「お前もか」
首領で定着しまくっている。
……それにしても本当に背が低いというか……。
魚人であるメニデが大きかったものだからちょっと驚き。
「はーいカルボナーラと馬肉ステーキお持たせしました!」
ふわりとやってきたお雪が目の前にカルボナーラを、ペレレの目の前にステーキを置く。
「そちらのお客様はご注文お決まりですか?」
「僕はやっぱりミミズの盛り合わせですかね! あとドライフルーツ各種盛り合わせもお願いします! ドリンクはバナナ酒で!」
「あ、僕は生の小魚と魚酒!」
「はーい!」
……またなんか知らない酒が……。
「魚酒って」
「魚が原材料の酒だ」
「色んなお酒があるんだねえ……」
端的なカトリコの返答にしみじみ頷く。
魚を発酵させるというのは実質醤油なのではと思わなくもないが、酒として加工されていればそれは酒なのだろう。
想像する限り大分生臭さがありそうだが。
・
料理の殆どがやってきて、酒のお代わりも注文され始めた頃。
テーブルは大分盛り上がっていた。
というか、一部が出来上がり始めていた。
「ねえわかるかい首領!? 僕は素敵な女性と出会うのを夢見て陸まで来たんだよ! でも居ないんだよ僕を受け入れてくれる女性は!」
「そりゃ居ないだろコアチ! 僕でもわかるぞ! 僕がメスだったら自分に噛みついた上に同化してくるような寄生男は御免だからな!」
「…………そもそもどういう話だ」
黙々と草酒を飲んでいたノーサが二人の喧しさに顔を顰めつつそう問いかける。
「それがですねあれっどちら様だっけ? まあ良いや僕はトガネと言います聞いてくださいよウサギの人!」
「ノウサギ獣人のノーサだ」
「コイツってばチョウチンアンコウの人魚なんですよ! 人魚もまた魚らしい特性を持ってるってなもんなんですよ! ウサギもありますよねそういうの! 食糞とか!」
「ウサギ獣人は確かに極限状態であれば忌避感が無い為食糞する場合もあるが、しなくとも栄養が摂れる事もあって普通はしない。
動物のウサギとは食べる物こそ同じだが吸収する栄養なんかについては違う。コアラ獣人ならともかく」
「コアラ獣人?」
コアラってユーカリ食べるイメージだが、子供の離乳食は母親の糞なんだっけか。
昔子供向け教育アニメか何かで見て衝撃を受けた覚えがある。
……っていうか食べながらする話じゃないような……。
動物からすると食糞はそこまで忌避感ある話題じゃないって事だろうか。
まあ私もそこまで忌避感を覚えるタイプでは無いので普通にイカリング食べてるけれど。
ブツの臭いが間近にある中で飯を食えと言われたら吐くかもしれないが、話題に出ているくらいならわりと平気なタイプである。
……人外との会話ではこういう話題も普通に発生する事もあって、人間との溝が出来るのかな……。
神経質入ってるタイプの人からしたら食糞の話題が出るテーブルとか死んでも参加したくないと思う。
「……コアラ獣人はユーカリを消化する為に必要な微生物を腹の中に飼っている」
わからないと首を傾げたからか、ノーサが説明してくれた。
「それもあって親は子に自分の糞を食べさせるんだ。今は毒素のあるユーカリをわざわざ食べずとも金があればこうして店で好きな物を食べられるが、いつ飢えるかもわからないからな。
天候を操れる魔族が居ても天気の機嫌次第で市場も変わる以上、食べ物の取り合いにならない為の対策としてそれが続けられているらしい」
「成る程、いざという時用の知恵を途切れさせないように……」
知恵というか微生物というか。
「…………今のは立ち寄った町に居たコアラ獣人に聞いた話だが、海が近い町に行った事はあれど深海タイプの人魚に会った事は殆ど無い。ゆえに知識も無い」
表情を変えずにノーサはフォークで牧草を口へ運んでもしゃもしゃと食べながら、コアチに問う。
「だからこそ聞くが、チョウチンアンコウのオスが寄生男というのはどういう事だ?」
「寄生じゃないよ! 愛だよ! しかも僕らは寄生タイプと違って乗っ取ったりせず、ただ臓器をたった一つだけ残して全て同化して愛しい女性へと捧げる! そういう愛に生きる種族なんだよ!」
ノーサはわからんという顔をした。
「……俺もチョウチンアンコウについては詳しくないんだけど、結局それってどういう事?」
「人外だし種族によって色々違うってのは知ってるけど、一際変わってそうだよね」
「ウサギのメスも複数を妊娠したり可能だし基本多産だけど、そういう感じでも無いみたいだしね」
「同じ卵生とはいえ魚が産む卵は鳥類ともまた違うからな。どちらかというと両生類の卵の方が魚類に近い卵か」
イーシャが首を傾げ、ミレツとニキスが顔を見合わせ、カトリコがボレー粉をボリボリ嚙み砕きながら言う。
クダは笑顔のままでネズミ揚げを食べているので、知っているのか興味無いのか判断がつかん。
「要するには体の一部になるってことなんだけどな」
血酒を飲みながら、ペレレが言った。
「チョウチンアンコウのオスってのはメスに噛みついて、血液から何から同化して癒着して溶け込んで、最期には意識も何もかもメスに取り込まれて消え去って、後に残るのはメスの意識一つで放出可能な精巣のみって生き物なんだ」
「…………」
「……へえ……」
「カマキリ虫人も交尾中や交尾後にメスがオスを頭から物理的に食おうとする癖があるから大変だとは聞くが、チョウチンアンコウも中々だな」
ノーサは無言、イーシャは口の端を引き攣らせ、カトリコは真顔でさらりとそう言った。
ミレツとニキスは怯えるように手を握り合っているので、チョウチンアンコウの生態は人外の中でも中々ハード枠らしい。
……私は漫画で知ったっけ……。
カマキリも衝撃だったが、チョウチンアンコウもかなりショッキングな生態だった。
まあ一部の特殊性癖さんからすると来世はカマキリが良いとかチョウチンアンコウが良いとか、そう思う人もいるかもしれないが。
「そう、そうやって同化する事が僕達オスの本懐なんだよ……」
ほう、とコアチは熱い吐息を零す。
「相手に噛みついて、どろどろに溶けて、相手が自由に使える体の一部として精巣を提供し、それ以外の全て……目もヒレも牙も脳も命すらも! 精巣以外のありとあらゆる全てを失って! しかしそうする事で僕の精は残り相手との子を作り次へと繋がる! ああ! 想像するだけでゾクゾクする程にロマンチックな愛のカタチだよね……!」
自分で自分を抱きしめながら酔いしれるように言われても、反応に困る。
なにせそういった文化圏の種族じゃないので。
「相変わらずコアチのロマンチックって凄いよなー」
注ぎ直した血酒を飲みつつペレレが言う。
「オイラ達の種族はタケノコから生まれたり気付いたら居たりって感じでそういう繁殖あんまりしないからわかんないけど」
「チョウチンアンコウ基準のロマンチックは他の種族のロマンチックに適用されないと思うなー」
ネズミ揚げをぱくぱく丸呑みにしていたクダは清酒を呷ってそう言う。
「ロマンチックって本当その種族によるから」
「あー、あるよねあるある。俺も前にキリン獣人にとってのロマンチック聞いたらメスによって顔に排尿される事って言われてドン引きしたもん」
「待ってイーシャ何ソレ!?」
「メスの尿を飲んで鼻の奥で匂いを分析して相手がちゃんと発情してるかを確認するんだってさ」
「うわあ……」
種族によるロマンチックの差ヤッベェ。
「うーん、僕の思うロマンチックは陸の生物にはいまいち不評だったりするけど……陸は陸でなんか凄いね? 尿ってそんなに興奮する?」
「いや俺の種族じゃないからコレ」
「でも尿ってすぐまぎれちゃってわからなくないかい?」
「……ねえコアチ、それ前提海じゃない?」
「あっそっか海だと全部混ざって尿も海になるって事だったんだね今の! ニキスあったま良い!」
「…………ウサギも求愛行動にスプレー行為があるから、あまり言えんがな」
ノーサの呟きに、そういえば、と思い出した。
ウサギには縄張りや求愛行動として尿を撒き散らす事があるので、動物的には尿関係のロマンチックはそう不思議でも無いんだろうか。
人間なのでわからんしあまり理解したくもない分野だ。
そんな事を考えていれば、ガシャンという音が響いた。
「えっ何事!?」
「あっちだね」
クダが指差した方向、爪の先で示している向こう側を見てみれば、比較的小柄に見える女性が居た。
イタチ系のもふもふした獣寄りの顔で、彼女は叫ぶ。
「俺様と戦うに足る強いヤツはいねえのか~~~~~ッ!?」
あっ、ヤバ、要らんフラグ回収しちゃった。




