ウサギの足お強い
目的地までは多少距離があるという事でイーシャの背に揺られながら、ミレツとニキスの二人と話す。
ちょっと歩きたいから採取依頼を受けたはずなのにイーシャの背に乗っていては意味が無い気もするが、いざ採取する時に降りるから大丈夫。
というか本当、思っていたよりちょっと遠い位置なので仕方ないと思う。
草地を軽く歩きたいな程度なのにそれなりの距離を歩きましょうとか普通に無理。
……幸いなのはイーシャの背に横座り出来た事かな!
お姫様とかがやってるイメージのあるアレだ。
安定感が心配だったが、アクセサリーなどのお陰か全然問題無かった。
前方を見るのには向いてない体勢だが進行方向は元からイーシャ任せなわけだし、隣を歩くミレツとニキスと話すには丁度良いのでヨシ。
既に結構な距離を移動している気がするのにクダ達もミレツとニキスも顔色が変わってないのは流石人外、と言うべきだろうか。
……私の体力が無いだけのような気もするなあ……。
装備品でバフを掛けても素が非力な現代人なので歩ける自信が無い。
それなりに歩けはしてもあくまで舗装された町中をバス停からバス停、駅から駅へと移動する間くらいしか歩けないのだ。
田舎の方では車が無いと無理な距離ばかりなので車に乗る頻度が高く、逆に歩き慣れていない人も多いと聞くが本当だろうか。わからん。
「じゃあミレツとニキスもちょいちょい冒険者してたんだ」
「「まあね!」」
二人は声色こそ元気なのにキラキラした目以外の表情変化が無い顔でそう頷いた。
違和感が凄いが、これが彼らの通常なんだと認識しよう。
表情豊かな人外も多いイメージだったが、表情が獣寄りという事もあるだろうし不思議ではない。
……まあでも、納得かな。
ミレツとニキスは、手品の仕事が無い時はこうして冒険者の仕事をやっているらしい。
手伝いバイトも良いけれど、新作手品の発想に繋がる事も多いからと討伐依頼を受ける事が多いんだとか。
まあ確かに視線を操作するとかは戦闘でも手品でも役立ちそうなので、わかる気がする。
「……ところでさ、ミレツとニキスが受ける事になった討伐依頼のグレンデルって何?」
「「巨人系の魔物!」」
ミレツとニキスは声を合わせてそう言った。
「魔族の巨人系もちょっとおおらか過ぎるんだけど、アレは体が大きいからなんだよね」
「人間だって自分より小さい生き物の粗相なら気にしないでしょ? アレとおんなじ」
「あー」
まあ確かにチワワがトイレ外でウンコしてたら怒りはするだろうけどそこまではキレ散らかさないだろう。
でも人間がやってたらわりかしアウト。そういうものだ。
ネズミなんかに至っては、あるなあ、以外の感想が出ない気がする。
「でも巨人系魔族は、本人達が言う程頭が悪くは無いんだよね」
「おおらか過ぎるだけで」
「「でも魔物の方の巨人は本当にアウト!」」
「元々魔物は魔王が司ってて、その魔王が人間への憎悪を膨れ上がらせた時に知能が無くなっちゃったんだ」
「魔族は魔王の支配権から外れてるから問題無かったんだけど、魔王と繋がってる魔物たちは魔王から流れてくる感情に飲まれちゃったみたいでさ」
「その結果魔物は大体人間を襲おうとするし知能も低めに」
「だから魔物な巨人の場合、体が大きい分すっごく危険なんだ」
「知能が無くて人間がターゲットだっていうのがインプットされてる巨人とか超こわ……」
「「うん、正直めちゃくちゃ危ないよ!」」
「明るいユニゾンで言うこっちゃなくない?」
大分ガチにヤバい案件だと思う。
「ちなみにグレンデルは水場に居る事が多いんだよ」
正確には水の底だけどね、とクダが耳をピコピコさせながら笑った。
「荒野や沼地での目撃もあるけど、住処は湖の底だったりするのがグレンデル。周辺で騒いだり、近くに家を建てて宴会とかしちゃうと食い殺しに来るんだー」
「来るんだー、で流して良いのソレ? 明らかにヤバくない?」
「人間からすると脅威だけど、人外からすればそこまで脅威じゃないんだよねえ」
パカパカと足音を響かせながら、のほほんとした声色でイーシャが言う。
「巨人とはいえそこまで頑丈度が高いわけじゃないから腕くらい頑張ればもげるし」
「わーお」
それはどの獣人でもそのレベルの力があるという事なのか、重種のケンタウロスであるイーシャ基準でのもげる発言なのか、さてどっちだろう。
まあどの獣人も人間より遥かに強そうだけどさ。
……実際、アリって体の大きさから考えたら人間で言うと高層ビルの屋上くらいの位置から落っこちたりしてるのに平気だったりするもんねえ……。
アリでソレだ。
体の重さがあるから、一定以上の体重があると逆に衝撃に弱くなったりするんだろうか。
それとも骨の有無で頑丈さは変わってくるのか。
まあこれは頑丈さの話であって、巨人の腕がもげる云々の力には関係ない気もするけれど。
「まあグレンデルはその二匹に任せて良いだろう。自分達が討伐すべきは人喰い植物であるマンイーターなのだからな」
「……そのマンイーターってのも何なのかって聞いても良いかな、カトリコ」
「構わん」
時々地面にある石に爪が擦れるのかカチカチという足音を響かせながら、カトリコが頷いた。
「マンイーターというのは植物系の魔物であり、人間を喰らう。人外は時々被害に遭う事もあるようだが、積極的に襲われる事は無い。
今までの情報からするにしばらく雨が降っていない、日光が弱いなどの理由で栄養が足りない場合は人外でも襲われるようだ」
「それ、襲われた人って」
「消化されるまでに時間はあるから、相性が最悪でさえ無ければ内側から引き裂くなりすればいける。
魔族である上級スライムなどの場合は消化液を吸収した上で内側から溶かし食ったと聞くな」
「うわあ」
スライムつっよ。
いやまあ魔物のスライムでそこまで出来るのはあまり居ないらしいので、上級スライムだからこそなんだろうが。
……一般的な魔物のスライムだと、消化力がそこまで強く無いー……んだっけ?
生きていなければ幾らでも消化出来るようだが、消化可能な容量などの問題もあるらしい。
あと生きている相手、例えば人間であってもそれが生きている場合、皮膚の表面を軽く溶かすくらいが精いっぱいなんだとか。
硫酸属性のヒルみたいなものだと思えば良いんだろうか。ヒル詳しくないけど。
「ただ人間を好むのは確からしく、獣人や魔族でも見た目が人間寄りだと襲われる確率が上がる。
人間に至っては呑まれたら……まあ、頑張れば出られるかもしれんが、誰かに助けを求める方が無難だろうな」
「そんなレベルなの!?」
「人間の耐久度だと消化液に耐えられる時間が人外に比べて短いっていうのがあるからねー」
クダがさらりと言うけれど、それって相当に大変な事では。
人外が頑丈というのは聞いているので、皮膚の分厚さから違うんだろうけども。
……獣人に至っては毛皮っていう装甲も一応あるしね。
「あ、あと人間の場合だと覚悟を決められないってところ?」
「それに加えて諦めが早すぎるってところもかなー」
「「欲に目が眩んだ時だけはどんな状態になろうとも諦めないのにね」」
ミレツとニキスが中々に辛辣な人間評を。
でも同じ人間なので否定出来ない。
映画とかではよく誰かが欲をかいた結果絶望へのカウントダウンが始まるし、命の危機が目前に迫っていようと秘宝を誰にも明け渡してなるものか! と変な抵抗をし始める。
ああ人間の浅ましさよ。
……諦めが早すぎるってのも、日本人としては特に否定出来ない……。
自殺率が異様に高い国ニッポン。
あと過労死とか社畜とかも多いのだが、抗う為の気力やら何やらを削がれまくって諦めた結果がアレだと思う。
奥さんが出産したので産休を、という場合外国だとしっかり育児に参加してやれよ! と送り出してくれるらしいが、日本は本当、うん、ノーコメント。
寿退社や妊娠したのでお休みが欲しい、と言うだけで嫌味を言われるのが日本国。
何なら自己管理能力がなってないだとか女はこれだからとかそういう攻撃までしてくるのが日本国。
うっせえお前らかて女の胎から産み出してもらったんやろがい。
「ちなみにマンイーターに襲われた場合、皆ならどう逃げるの?」
「マンイーターの内側は消化液が分泌されてて、しかもその消化液は魔法を打ち消しちゃうんだよね。だから内側から魔法の火を出そうとしても出ないの。
でもクダの場合は分裂出来るから、マンイーターに見逃されるサイズのクダを外に出して外から燃やすかなー」
流石に自分の出した火で燃えたりとかしないし、とクダは笑った。
炎の扱いに長けているイメージが根強い狐だからこそ、というのもあるんだろう。
「俺はまず、サイズ的に食われる事は無いだろうねえ。マンイーターが一回に食べるのは一人分だし、馬ごと食べられる程のサイズは滅多に居ない。仮に居ても後ろ足で蹴り飛ばせば弾けると思うし。物理的に」
「物理的に」
「自分は爪があるからそれで裂く事になるだろうな。仮に爪が駄目でも、消化液に触れている爪からネイルが剝がれれば充分殺せるから問題無い」
「それ、助かった後が大変なヤツじゃ……」
猛毒が解禁されてしまっている。
まあどんなハプニングがあるかわからない以上、流石に対策や代替案などはあるんだろうけれど。
「俺達は普通にジャンプかな?」
「そうなるね」
「思いっきり蹴飛ばして、口部分から脱出! ってなると思う!」
「多少毛が溶かされちゃうかもしれないけど、再生薬あれば溶けた毛だって元通り!」
……あれ?
「え、再生薬で毛が元通りって事は人類の夢とされる砂漠地帯にも芽吹きの可能性が?」
「主様、ソレって毛根死滅してるハゲにも毛が生える可能性があるのかって話?」
「うん」
ちょっと歪曲した言い方になってしまったが、人類の夢と言っても過言ではない代物だろう。
自分は毛量多いので致命的な程にケアを怠ったりしなければ大丈夫、だと思ってはいるが、未来など誰にもわからないもの。
そしてガチでお困りな方からすると砂漠で遭難して枯れ死ぬ寸前のところに水を得た級の救いだと思う。
「残念ながら俺達が言ってる再生薬の場合、毛根が無いと無理だったと思うよ? ねえニキス?」
「うん。えーっと確か、無を有には出来ない法則、だったっけ。砂漠の中に種があるならそこから成長繁殖改善、って出来るみたいだけど、完全に死滅してると無理」
異世界でもハゲに救いは無いらしい。
「でも獣人とかで毛が無いっていうのはかなりのハンデになっちゃって病気のリスクも高まっちゃうから、一応あるはあるよね、薬」
「結局獣人用だから家系に獣人の血が入ってない人間だと効きにくいし、地肌に根付く上に定着するし伸びるし生きてるしっていうカツラをドワーフに作ってもらう方が体に害無くて手っ取り早い扱いだけどね」
救いがあった。
……っていうかカツラがマジの髪の毛になるとかあるんだ……。
流石はファンタジーな世界。
もしかすると異世界から来た勇者が衣服のアレコレ同様に人間のハゲを気にして成し遂げ作った物かもしれないけれど、仮にそうだった場合は要らん事を知ってしまいかねないので考えないでおく。
その勇者がハゲを隠してるタイプのハゲだったら後世でハゲである事を探られたくはあるまい。
少なくとも成し遂げてる時点でハゲは卒業してるわけだし。
「あ、そろそろだよ」
イーシャの言葉に前方を見れば、大きい湖があった。
眺めていれば、ごぼごぼという大きな水泡と共に、巨大な頭、手、体と姿が現れる。
「「よーっし! 俺達によるショータイムが始まるよー!」」
「騒いでた甲斐があったねニキス!」
「騒がしくしてれば出てくるもんねミレツ!」
「「話題提供ありがと首領! あとは任せて!」」
「いや話題提供とかそういった意図は……」
無かったと言うより早く、ミレツとニキスは駆け出すように跳んだ。
跳ぶように駆け出すのではなく、ウサギらしい脚力から放たれるジャンプで駆けるように跳んでいる。
すっかり湖から上がったグレンデルは濡れた腕を振りかぶり、迫る二人に向かって振り下ろす。
「上脳天」
「下顎」
ヤア、と二人は叫び、片方は高く飛び上がってグレンデルの腕の上に。
もう片方は腕の下を潜り抜けるように低く、しかし前方に向かって飛ぶ。
グレンデルは位置的にも腕の上に居る方を優先したらしく、乗られている方の腕を振り払うかのように大きく振るう。
「よっ」
しかし素早いステップで、体のバランスを取る為か殆ど四つ足状態になりつつ、どちらかわからない彼はグレンデルの腕の上を駆けて二の腕、肩、とどんどん頭部へ近づいてゆく。
焦ったらしいグレンデルがもう片方の腕を使って横薙ぎにして振り払おうとするも、縄跳びをするかのように避ける。
素早いながらも力強い跳躍により、彼はグレンデルの頭上を取りながらかなりの位置でふわりと回転。
……勢いを殺す為の回転かな?
時間が遅くなったように感じられる回転をしたかと思うと、空中を蹴り飛ばしでもしたのかと思う速度で落ち始める。
ヨーヨーのような動きを見せた彼は、そのままグレンデルの脳天に蹴りを入れた。
というかたった今気付いたが、素足と思っていた足には鉤爪がつけられていた。
足というより、爪部分にだけ鋭い装甲が装備されているとでも言うべきか。
どうやら最初に突撃した瞬間、着替え魔法か何かで装備していたらしい。
ジャンプの威力、滞空時に内包した威力、そして回転と重力が加わった一撃に鋭い装甲というのもプラスされ、脳天を勢いよくカァンと蹴飛ばされたグレンデルは焦点をブレさせて重心がぐらりと前へ傾く。
「待ってました」
片方がグレンデルの意識を集中させている間に懐へと潜り込んでいたもう片方が、グレンデルの膝、腹、鎖骨を蹴り飛ばして駆け上がる。
鎖骨を強く蹴り飛ばしてこれまた回転した彼は、縦回転ではなく横回転を重ねた蹴りをグレンデルの顎へと食らわせた。
それにより脳が揺らされ意識を失う、だけではない。
尋常じゃない威力の蹴りによるものか、それとも先程の脳天蹴りで既に首の骨への負荷が強く掛かっていたのか、ゴギャリというおぞましい音と共にグレンデルの首が後ろの方へとのけぞった。
思いっきり首の骨が折られたらしいグレンデルは口から泡を噴き、首を仰け反らせで天を仰ぎ見ながら大きな音と共に地に伏せた。
あらぬ方向を向いている頭部、そしてすっかり白目を剥いている目である事を思えば、最期に天を仰ぎ見れても居なさそうだったが。
「「たっだいまー! しっかりがっつり倒したよー!」」
いえーい! と繋いだ手を掲げて戻ってくる二人に、惜しみない拍手を贈る。
「いや……うん、凄かったね。脚力に恐怖を覚えるレベルで凄かった。お見事です」
「え、あーっ! 違うよ首領! 今のはちゃんと強化魔法で強化した蹴りだから! その結果のド派手さだから! 引かないで!」
「流石に素であそこまでの威力は出せないよ! 装備に付与されてる魔法の効果だって加わってるからね!? あとああいう巨体系は関節部分も大きい分狙いやすいっていうのがあるんだよ!」
「おおう……成る程」
物凄い勢いで詰め寄られてちょっぴりビビるが、自分もヤバい危険人物と誤解されたらこのレベルで弁明するだろうなと思うので致し方なし。
身長的には二人の方が高いので普通に立っている状態で詰め寄られたら大分ビビっただろうが、今はイーシャの背に乗ってるので大分平気。
目線が高いだけで心の安定が保たれるとは新発見だ。
「それでもミレツがジャンプの威力を調整した上で脳天に蹴り入れたり、ニキスが追撃で顎に蹴り入れての首の骨ゴキンは凄いと思う」
思ったままにそう告げると、二人はきょとりとした顔で見上げてきた。
「あ、ごめんやっぱ間違ってた? 頑張って見分けつけれるようにって思ったんだけど駄目だったかな」
基本的に漫画の双子キャラも見分けがつかない私である。
わかりやすく陰陽レベルでキャラが違っていてくれればどうにか覚えられるものの、性格同じで髪の分け目が違うくらいだと主要キャラですら見分けがつかない。
どっちでも良いじゃんという気分になってしまうのでさらーっと読み進めてしまうのだ。
その章限りの双子とかだったりすると本気でよくわからんまま過ぎ去っていく。
推理小説は謎部分が描写されるのでまだわかる(その謎の理由や真相まで把握出来るかは置いといてだ)が、推理漫画とかだと本当わからん。
……ああいうのってさりげないから……。
わかる人からするとあからさまにコマの中で主張してるじゃんとなるかもしれないが、角砂糖の数だの紅茶の減り方だのでんなもんわかるかお前らどんだけ普段から全てを警戒して生きてるんだよ! となる。
まあ推理作品の主人公の巻き込まれ率を考えると、そのレベルで警戒しないと生き残れない世界なんだろうなという感はあるけれど。
「「………………」」
そんな言い訳を脳内でつらつら語っていれば、二人はきょとりとした顔のままイーシャに視線を向けた。
「教えた?」
「それならわかるんだけど」
「いーや、俺もだーれも教えてないよ。クダとカトリコはご主人様が採取始める前にマンイーター仕留めようって事で席外してるし、俺がご主人様に伝えてないのも聞こえてるでしょ。耳良いんだから」
イーシャの言葉に周囲を見渡せば確かにクダとカトリコは居なかった。
嘘だろ気付かなかった。
……飼い主失格……。
二人のグレンデル討伐の勢いに夢中になって自分が責任持つと決めた相手から目を離すなど愚行もいいとこ。
リードつけてない飼い犬から目を離す飼い主、あるいは幼児と手も繋いでないのに目を離してしばらく見世物に夢中になってる親並みの不用心さ。
あの二人なら並大抵じゃない魔物が出ようと大丈夫だろうなという安心感はあるものの、だからといって主が目を離して良い理由にはなるまい。
ほぼ自由行動状態だけれど、一緒に居る時に目を離すなど何たることか。
そんな風に内心ちょっと落ち込んでいると、ミレツとニキスがこちらを見た。
「ねえ首領、もっかいどっちがどっちか当てられる? しっかりと一発でだよ?」
「五感で個体を識別出来る人外と違って、視力に頼りがちな人間は俺達を偶然以外で当てられた事が無いんだけど……」
「「首領は理由ありきで俺達の名前を呼べる?」」
何この試されてる感。
謎のプレッシャーに苛まれつつ、耳や尻尾の動きからしてイーシャは楽しんでるっぽいので助けてくれなさそうだと判断し、先程のやり取りで微妙に自信が無いながらも告げる。
「一発で当てられるかって聞いた方がミレツで、人間は視力に頼りがちって言った方がニキス」
「「正解!」」
途端、二人の目がキラキラと輝き始め、これまで目以外はあまり動かなかった表情がわずかだが確かに緩んだ。
口角がほんのりと、ご機嫌であると告げるように上がっている。
「どうしてわかったの!?」
「どうやってわかったの!?」
なぜなにを問われましても。




