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私ヒロインじゃないんだけど



 ガルドルに巻き付かれてる上に近くに屋根がある場所が無いので雨宿り可能な場所への移動は断念となった。

 ちくせう私さっきから蚊帳の外だしちょっと移動するくらい良いと思ったのに。

 ゲームのヒロインだって知らない内に安全圏移動してたりするじゃんか。

 まあ、なんかよくわかんないけどド派手な戦いながらも一応はこっちに被害が出ないようにしてくれてるっぽいので良いとしよう。

 太勇としては守る対象、ザラームとしては攫う対象なので、害さないというのが第一ルールなのだろう。

 何故かヒロインポジにされたのは遺憾の意だけれど、そこだけは安心。

 そもそも巻き込むな一般人を、という気分だが。

 ただ仕事を早く終えてピクニックしてただけなのにラスボス戦始まるとか思わないじゃん。しかも主人公もラスボスも私じゃないヤツ。

 ピクニックくらい普通にさせろ。


 ……アレかな、仕事を早く終わらせたのが良く無かったのかな。


 夜まで働けと言っているのかこの世界は。

 仕事を早く終わらせたらラスボス戦コースとか、ちょっと不条理過ぎやしませんかね。



「……そういや雨って天候操作で田畑以外には降らないようになってるんじゃないっけ? こういうの大丈夫?」


「主様今目の前で起きてる惨状完全無視?」


「意識したってどうにもならないし」



 私に何を求めてるんだ。



「割って入れる気がしない以上、普通にいつも通りで良いかなって。私が注視してたところで何か変わるわけでも無し。それにどうせ割って入るなら両方が疲労困憊になってきた後半を狙うよ。強い相手と戦う時は相手が疲労してる時か油断してる時を狙えって信長も言ってる」


「誰?」



 確か今川との戦いもそんな感じだった。

 圧倒的に戦力が桁違いだったから、休んでるところを攻め入って首を取ったのだ。

 つまりもし私が割って入るとしても両方が疲れた頃を狙いたい。

 最高にハイ状態な勇者と魔王の間に割って入れるヒロインはいるまいよ。


 ……っていうかヒロインじゃないし。


 仮にヒロインだとしても私の為に戦わないでと涙ながらに言うか、不思議な力で争う心を落ち着かせるか、いっそ最強枠として力尽くで止めるかだ。

 残念ながら涙ながらに止めるタイプでは無いし、不思議は力は無いし、力も無い。

 ならもう疲労待ちのハイエナ戦法をするしかあるまい。



「で、雨って大丈夫?」


「まあ、こういうタイプ……感情が揺らぐと天候に影響あるタイプの人外はそれなりに居るから、そこまで珍しくも無いよ。油断してたら洗濯物全滅したりで焦るかもしれないけど、被害らしい被害はそのくらいだし」


「はい」



 イーシャの言葉に、リャシーも頷く。



「雨が苦手、というよりも雨が致命傷になりかねない種族の方もいらっしゃいますが、そういう方は雨対策をされているか逃げ込み場所を把握しているので大丈夫かと」


「雨が致命傷って……ファイヤー系の種族とか?」


「それと土で出来ている方だったり……吸血鬼にも雨を苦手とする方はいらっしゃいますわ。流れる水が苦手みたいで」



 そういえば吸血鬼って粉末状になった残骸を川に撒けば復活不可能とか聞いたような。



「それと、上級スライムも雨を苦手としているな」


「え、そうなのカトリコ?」


「牛乳に大量の水が掛かればどうなると思う?」


「……薄まる?」


「その上に雨の流れもあるから薄まった体の一部が流れていくわけだ。人間も水に浸けていればふやけて溶けて細胞が端の方から分離していくようなものだな」


「怖い!」


「ああ、安心しろお前様。人間だけじゃなく大概の生き物の死体は水に浸ければふやけるぞ」


「そういう意味じゃないんだよなあ……!」



 人間だけがそうなるのかという意味の怖いじゃなくて、単純にそんな例えを出してきた事が怖いと言ったのだが。

 人外って結構グロ耐性あるのかそういうの全然気にしないよね。

 諸行無常、全ては必然的にそうなるものです……みたいな感じなんだろうか。


 ……まあ、感情よりも事実を言ってるだけって事多いしなあ……。


 そういう事実と認識しているので、恐怖を抱くという事が無いのかもしれない。

 子供が絵本でお婆さん殺して皮剥いで被って成りすましてお婆さんの肉をお爺さんに食わせた結果凄惨な報復を受けるようなのを読み、そういうもの、と認識するようなものだろう。

 いや日本の定番昔話エグいな?


 ……そりゃマイルド版にされるよねえ。


 ただマイルドになるとやらかしのレベルが低くなって報復がエグくなり過ぎ、報復もマイルドにすると結局何が言いたいねんという感じに仕上がってしまう。

 そうなると本末転倒な気がするので、原作バージョンのままの方が良いような気も。

 子供には味が濃いかなと薄くした結果水の味しかしないみたいになったら本末転倒じゃん、みたいな事だ。



「ん? じゃあこの突然の雨に上級スライムが死ぬ危険性が?」


「「あるよー」」


「一大事!」


「大丈夫大丈夫飼い主様」


「慣れてる上級スライムなら水を吸収しながらも排出が可能だし、大体の上級スライムは不定形っていうのもあって屋根のあるところに隠れられるから」


「隙間さえあれば上級スライムはどうにかなってるよー」


「とはいえ慣れた上級スライムでも排水しながら花粉集めは出来ないから、ああいうのは雨上がりにやってるけどね」


「成る程」



 そういえば雨上がりに上級スライムが落ちた花粉を回収するとか言っていたけれど、アレはそういう意味だったのか。

 まあ命の危険がある雨の中を移動して死なないよう必要以上の水分を排出しつつ花粉を確保、はタスクが多過ぎるので無理もない。

 大前提として雨上がりに上級スライムが出動するの、花粉集めもだけど地面のぬかるみとかを水分吸収で改善するって面もあるみたいだし。



「ぐっ……いくら魔王とはいえ、攻撃があまりにも通らない……!」


「フハハハハハ! ああそうだ、かつての勇者もそこを勘違いしていたな! 残念ながら貴様の勇者としての力は我には通じぬぞ!」



 雨についてを色々聞いてたら向こうは何やら盛り上がっていた。

 こっちは座り込んだままびしょ濡れなのに、向こうはびしょ濡れながらも少年漫画的な感じ。

 何だろうこの違い。


 ……魔法で雨除け出来たら良いけど、あの二人を下手に刺激したくないから出来ないしなあ……。


 他の皆もそう判断したのかびしょ濡れのままだ。

 シュライエンだけはフードを被ったが、それでも服はびっしょびしょになっている。

 更に私の場合、雷の音に合わせて巻き付いているガルドルがびくびくしているので尚更身動きが取れない。

 油断した瞬間バキッといかれそうな恐怖の方が強くて、目の前の勇者対魔王にハラハラする余裕が無い事実。

 やっぱ誰しも自分の身にリアルに迫る恐怖の方が怖いよね。



「物理も魔法も我には通じる。しかし我はそもそもの耐久性が高くて、なあ!」


「ぐっ!」



 太勇が扱う大剣を、ザラームは鋭い爪を使って金属音を響かせながら弾いた。



「何より、我には貴様ら勇者の特性が効かぬの、だ!」


「特性……まさか!」


「そう、貴様ら勇者には素の力が向上しやすい特性があるが、それ以上に攻撃力が異様な程高いであろう?」



 ……適当にテレビつけたら知らないアニメの最終回流れてた時みたいな気分だなあ……言ってる内容に全然成る程ってなれないヤツだコレ。



「貴様自身の力が十とすれば、そこに勇者としての特性で十足されるようなものだ」


「……確かに、それは実感している事だな……!」



 体の大きいザラームに対して太勇は小回りを利かせ対応しているようだが、戦い慣れの度合いが違い過ぎている。



「しかし我にその特性は通用せぬ! 貴様自身の力のみが我に通る攻撃だ! 貴様も鍛えてはいるようだが、そして勇者になってから凄まじい勢いで鍛えたようだが、それでも我には到底届かぬ!」


「ぐうう……っ!」



 ザラームの連撃に防戦一方となった太勇は、体勢を立て直す為か隙を見て後方へ大きく跳んだ。

 それを逃さず、ほぼ同時に跳んだザラームの爪が迫る。

 しかし太勇はそれを見抜いていたのか、跳んでいる最中に地面へと大剣を差し込み急ブレーキ。

 大剣を軸に回ってUターンを決め、ザラームの追撃から逃れた上で距離を取った。



「……国王はただ興味から俺を鍛えただけだったが、ルーエが俺に来る無茶ぶり依頼を通した理由が今わかった。お前に攻撃を通す為だったのか」



 まったく、



「万が一魔王と戦う時の為鍛える意味もあり、魔物への敵意を失わないよう魔王の情報を最後まで出さなかったってのも今わかったぞ!」



 太勇の大剣とザラームの爪が触れ合い、互いを弾き、火花が散る。

 大剣はともかくザラームの爪どうなってんだ。

 いや、ザラームが魔王と考えるとその爪に対抗出来る大剣の方が凄かったりするんだろうか。わからん。



「…………というか、私は別に万が一魔王と戦う時を想定して、なんて事は一切思って無かったんだけど」


「わ、ルーエだ」


「驚かないね」


「皆も驚いてないから多分気配は出してたんだろうし、私の場合視界外になると完全に察知不可能だし、結果大体が突然出て来るみたいな感じだから慣れた」


「……キミコ、それは慣れない方が良いヤツだよ。いざという時にも反応出来なくなるだろうからね」


「いざって時がわかっても具体的にどういう反応すれば良いかわかんないし、そういう時はクダが指示出してくれるから大丈夫」



 一人行動の時も一応クダが胸元に居てくれるし、前に突然殴り掛かられた時もこれで対処出来たのだ。

 なので問題は無い。

 多分大抵の場合は近くに居る通行人外が助けてくれるだろうし。

 我ながら呑気過ぎる上に他力本願だが、これで生きてこれたので多分大丈夫。



「しかしまた、これはどういう……」



 伏せている目を僅かに開いて、ルーエは眉を顰め戦いを見る。

 いや本当、何で町中でやってんだって話だよね。



「端的に言うとお館様の取り合いみたいな事かしらね」


「エルジュそれは誤解を招く! 確かに端的に言うとそうなんだけどそういうロマンチック系じゃないんだよコレ!」


「成る程、ロマンチック系じゃ無いなら魔王が何かしらの理由でキミコを攫おうとし、キミコに片恋状態の勇者様が暴走したという事か」


「うわ大体合ってる」



 ヒントほぼ皆無に近いのにそこまで答え出せるとは流石ルーエ。

 二百年城に努めて大き過ぎる問題が起きたりしないよう手綱を握っていただけはある。



「ところでルーエ、そういうつもりじゃなかったみたいな事言ってたけど」


「ん? ……ああ、勇者様を鍛えたのは別にこれを想定していたわけじゃないという事についてか。いやもう本当、ただ積み重なってて放置されてる面倒事を処理してもらおうと回してただけでね。難しい討伐依頼は強い人外に頼めばどうにでもなるんだけど、人外は報酬じゃ動かないから」


「ああ……気分で動くヤツ……」


「その通り」



 私が仲介人というかお迎え役をやったヤツだ。

 普通に頼むんじゃ頷かないし、気分でやるかやらないか決めるし、強制したところでやらないし、脅しても聞かないし、ギルドから籍外すぞって言ってもそれでも別に気にしないけどと返されるのでギルド側がひたすら困るヤツ。

 ギルド側からすれば手放したくない有能人材だろうしね。気分屋なだけで。



「そういう事で、実力を上げる為だったりあちこち見て回ったりの為に出来そうなのはやってもらったのさ。人間は素直だからやれと言えばわりとやってくれるんだよね。心配なのはやれと言われたら質問もせず従う部分だけれど、勇者様は必要な情報を聞かなくてもごり押しでどうにか出来るから良かった」



 太勇が愚痴ってた無茶ぶり云々、主にそういう部分に対してなのでは。

 しかも言い方からすると必要な情報を取りこぼしたら即死ぬ級の依頼を割り振っていたように聞こえる。



「……っていうか、心配には思っててもルーエの方から情報渡したりしないんだ?」


「自分で事前にどうにでもなる部分だからね。本当に何もわかっていない無知さを有しているなら質問する部分がわからないだろうから私の方から言うとも。しかし、そうでは無いなら自己責任だ。自身の命が掛かっているのに情報収集を怠ったのなら、死んでも致し方ないと思うよ?」


「人外そういうトコがシビアだよね」


「人間だって蝶が蜘蛛の巣に捕まっていたところで運が悪かったなと思うだけじゃないか」



 否定出来ない。

 見たならばあらら、と思うかもしれないが、それだけだ。

 それが罠に掛かった動物ならちょっと考えるだろうし適したところに電話くらいするかもしれないけれど、虫相手ならどうしてもそうなってしまう。

 つまり人外から見た人間もそうだという事か。


 ……というよりは、ルーエから見た人間が、かなあ。


 数百年生きてれば同じような死に方をする人間を多く見て来ただろうから、そこでちゃんと聞かないなら今後生きていけないだろうって判断しているのかもしれない。

 学習せずに同じ過ちを繰り返す人間を多数見て来ただろうから尚更何も言えん。



「で、この惨状どうしたら良いかな」


「キミコが止めれば止まるんじゃないのかい?」


「止めろったって声が届く気しないんだよねえ……」


「一応対話はしてるけど、主張してるって感じで聞く耳は持って無さそうだもんねー」



 ガチなバトルだからか、クダはいつものようにケラケラ笑ったりはせず、片方の耳を伏せた困ったように笑っていた。

 成る程、今は全然笑える状況じゃないらしい。

 私からすれば何メートルだろうが津波は津波という感じなので、その辺のヤバさの差がサッパリだけれど。



「……初期のシュライエンか……」


「おい大将、あんなのと俺を一緒にすんな。俺はもうちょっと謙虚だったぜ」


「確かに」



 自分の主張しかしてないのは似ている気がするが、攻撃力が桁違い。

 段々と勢いや攻撃の激しさが増し、公園の芝生がなんかもう可哀相な事になってきている。

 さっきから地面がめくれまくりで、私達が居るこちら側がほぼ無傷なので尚更惨状がよくわかる仕様に。

 ビフォーアフターが劇的過ぎてもう可哀相って感想しか出てこないよ。

 芝生と地面を虐待するのをやめてやって欲しい。



「んー……一応皆に聞くけど、声掛けて止まると思う?」


「無理かな!」


「無理だと思うよ」


「止まる理由になる言葉なら止まるかもしれないが……」


「「めちゃくちゃ頭に血が上ってるみたいだし難しいんじゃない?」」


「これで晴れてるなら頭を冷やしなさいって冷水ぶっ掛ければ止まるかもしれないけど、既に雨降ってるものねえ」


「止まる理由、というよりも思わずそちらに意識を取られてしまうような声掛けであれば届くかも……」


「あのキレ方やキレ返し方からすりゃ、どっちも単純な性質じゃーあるみてぇだしな」


「少なくとも足元は惨状になってますが、それ以外の被害が無いようにという理性は残っているようですし、足元も理性無しの本気バトルならもっと原形を失ってると思うので……うん、興味を引く内容であれば届くと思います!」



 成る程つまり頑張るしかない、と。

 女好きキャラにあっちに美女が居るぞって言って意識を逸らすようなものか。


 ……っていうか流石バトルジャンキーなだけあって黄色のアソウギの言葉が結構本質突いてる……。


 確実に自分が全力バトル中だったらどうなってるかを想定して言ってるよね。

 つい先日周囲への被害が凄そうだから気兼ねなく戦える修羅道行こうぜとやっていたので信憑性は高い。

 ちなみに唯一コメントが無かったガルドルだが、



「…………雷がある中での僕は無力だ……」



 何か言ってら。

 相当に雷への恐怖が強いらしい。



「……っていうか、コレ私がやんなきゃ駄目かな」


「あの二人が強い興味、っていうか執着? を持ってる対象は主様なんだから、主様の声が一番届くと思うなー」


「そっかー……」



 ヤダなあ勇者対魔王の戦いの中に割って入るの。

 そもそもガルドルに巻き付かれたままなので割って入るも何も動けないのだけど。

 やはり言葉でどうにかするしかない。

 まあ物理全然なので物理的に割って入れる気はしてなかったけどさ。

 近付いただけで大剣と爪が弾かれる時に発生する衝撃波でぶっ飛ばされそう。

 さっきから衝撃波の風が凄くて髪ぐっちゃぐちゃだよ全く。



「…………あ、そうだ良いのあった。あー……でもなー……」


「良い案が浮かんだのかい?」


「浮かんだけどあんまり気乗りしない」



 首を傾げたルーエにそう返す。

 これは本当に気乗りしないし適量や致死量がわからないので服用するのに覚悟が居る。

 最悪死ぬかなコレ。

 でもここで止めないとどっちか死ぬかもしれないし、場合によっては私以外の人類が滅亡の危機なので腹を括らねばならぬ事実よ。

 大丈夫、日本人は自己犠牲の心を持ってる。幼少期に刷り込まれてるから問題無し。いや刷り込まれてんなよそんなヤバい心を。

 内心自分へとツッコミを入れつつ、ガルドルに巻き付かれながらも一応動かせる手でアイテム袋の中を探す。



「一応聞くけど解毒出来るよって子居る?」


「クダ得意ー。毒素だけ燃やす狐火でボボボッてやればいけるよ」


「俺は医学の知識があるけど、手持ちの薬は無いかな……調合出来るってだけで材料も無いし」


「自分は毒持ちなので解毒も何も相殺される。他人用の解毒薬は持っているが、自分の毒に効く解毒薬だから対処可能範囲は狭いぞ」


「「あ、俺達普通に無理。そういうのはちょっと範囲外。材料の薬草幾つかあるってだけ」」


「魔法での解毒なら出来るわよ? あと昔に錬金術で偶然作れた賢者の石なら小さいけど一応あるから、それを使えば魔法で駄目でもどうにかなると思うわ」


「吸血して外に吐き出す毒抜きなら出来ると思うのですけれど……毒の量などにもよりますわね。全身に回っていたら血を抜いても失血死コースになってしまいかねませんし」


「俺に解毒が出来るわけねえだろ。毒草食った事はあるけど、耐えて生き延びれれば勝ちって事しか知らねえよ」


「体内にある不浄、つまり毒素を抜く法力はありますが、人間に使うには強過ぎるかも……うっかり解脱する危険性があるので僕はあまり……」


「うーん頼もしい子から毒とは別で命の危険たっぷりだったり多種多様だね!」



 そう返すしか出来ない返答ばっかりだった。

 解毒出来るっぽいのは助かるけど、一部の返答ちょっと怖いよ。

 黄色のアソウギに至っては解脱するかもって。解脱って確か魂が抜け出てこの世とおさらばコースじゃなかったっけ。



「あ、ちなみに私は魔法での解毒が可能だよ。あと城内での面倒な揉め事対策として大体の解毒薬は一応持ってる。下手な盛り方だと無関係の料理人が罰されたりする事もあるからね」


「お城の闇は聞きたくなかったけど頼もしいでーす」



 んじゃ、と私はアイテム袋からとある小さな袋を取り出す。

 クダとイーシャが察したのか毛を逆立てて物凄い顔になった。

 イーシャに至っては仮面で顔が隠れてるのにそれでもわかる凄い顔だ。

 何かもう、ぶわわわわってなってる。



「えー、では」



 袋を掲げ、コホンと咳払い。



「ここにあるのは知り合いのテングタケマイコニドから貰った彼の分裂体を粉末状にしたもの! 今すぐ止まって大人しく話を聞かないと私がこれを服用するぞ!

 人間だし耐性無いしマイコニドの粉末だから普通の毒キノコよりも毒素強力! 致死量は知らないけどこの小さい袋の中身丸っと全部を服用すれば万が一も充分あり得る!」



 さあどうする!



「「待ってくれ」」



 一瞬で戦いストップしてこっちの目の前来て懇願するだけの余裕あるならもっと早くに止まってくれても良かったのに。



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