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フレアバレッタ―  作者: WaT
4/13

氷の少女

 氷の少女に襲われる炎を扱うロゼ。そこへミツハルが上空から戦闘に乱入を決意する。

「遅いなあ。まだかなー」

 夜が更けてきたころ、平原でロゼが佇んでいた。

 ロゼの周りにいるのは、街道を木々が生い茂っている所と街の外壁に街の出入り口を監視する憲兵がいるだけだ。

 しばらくして、憲兵が近づいて話しかけてきた。

「お姉さん、街に入らないでどうしたの?」

「いや~~、連れの者がまだ来てないんです」

 彼女は理由を言うと、憲兵は彼女を心配したのか、話してかけてきた。

「だったら、街へ入って待っていけばいいんじゃないか」

「でも、あっちも私がここにいることを知っているんで大丈夫ですよ」

 彼女はなおも断った。それでも憲兵は食い下がってくる。

「そんなこと言わずに、街の中へ入りなさい」

「だから、いいですって」

「ここよりは――」

その時、氷の矢が二人の間を通り抜けた。

 ひんやりと冷えている風と凍っていく着弾点に憲兵は、不気味に感じて街へ逃げ出した。

この時殺意を感じていた彼女は、両手に拳銃を構えだした。

 彼女が街に入りたがらなかったのは、自分の証明を持っていないこと。それと先ほどから感じていた殺気を感じていて、大事になるのを控えたからだった。

 しかし、拳銃を構えたのはいいものの、発射音が聞こえなかったので、射手を見つけられない。

 平原の中、平原にフードを被った黒いマントを羽織った者が迫ってきた。黒いマントから何か光るもの、ナイフのようなものを取り出してきた。

 拳銃をそれに構えなおし、発砲しようとした時、左手の拳銃のグリップでそれの持つナイフの斬撃を受け止めた。

 その時、受け止めた左手のグリップの部分が冷えている。

 冷えたグリップを受け止めてはそれに右手の拳銃でそれに撃とうとした結果、それは受け流すように銃身の先端をもう一方のナイフで上へ弾かれ、撃った銃弾は空へ向かって放たれた。

 拳銃を構えたまま、背中のマントを羽根のように二つに分かれて後ろへ飛んで距離を取った。

 彼女は高度を地面に足がつかない程度に高度をとると、それは両手にナイフを構えて虎視眈々と狙っていた。それのナイフは白い冷気を出していた。

 ロゼはそれを中心に街とは離れた方向へ移動しながら両手の拳銃を向けて、連射した。決して距離を近づかないようにしていたにも関わらず、それは距離を詰めて襲って来た。

 冷えたナイフをロゼに交差するように斬りつけたが、ロゼはナイフごとそれを蹴り落とした。

 しかし、蹴った足が冷えてしまって足の感覚を麻痺してしまった。

 蹴り落とされたそれはフードから顔が見えだした。

 それはロゼより幼げな少女だった。髪は白い冷気に合った氷を連想させる水色の髪が肩まで伸びていて、表情は人形のように整えられた顔だった。

 ロゼも追撃せず、彼女から離れて冷えた足を治すので精一杯だ。追撃すれば今度こそ斬られることは目に見える。

 ――こんな時、ミツハルがいれば。

 そう考えたとき、ロゼは聞き慣れた声が街の上空から聞こえてきた。

「おーい、どうした⁉」

 ミツハルだ。スズに足で左肩を掴まれて飛んで来た。ミツハルとスズはロゼのもとへと向かって飛んで来た。

「ミツハルさん、あの人飛んでいるっすよ! 何物なんすか!」

「俺も出会って二日目でわかんねーんだよ!」

 ミツハルとスズはそう揉めている。ミツハルは嘘を言っていない。

 飛んでくる二人にロゼは叫んだ。

「避けなさい! 当てられるわよ!」

 その言葉の跡にスズたちにめがけて氷の矢が放たれた。

 目の前から撃ってくる氷の矢に対して彼は叫んだ。

「俺を降ろせ! 当たるぞ!」

 ミツハルは、そう言って右手で握った刀の柄で掴んでいたスズの足を叩いた。

「痛っ」

 そう呟いてスズはミツハルの肩を足から離した。

 痛みでのけぞったスズと降ろされたミツハルは氷の矢に当たることなく冷えた風が通過した程度で治まった。

 射た瞬間を見逃さなかったロゼは、発射地点の森へ銃口を向けて撃った。

 その結果、木に着弾して森は燃えだした。

 燃えだした森から白い冷気を纏った黒いマントを付けたナイフを構えた少女と同じ顔の少女が飛び出した。

 髪の色は同じ水色だが、腰まで伸びている。

 少女の腕には白い冷気に包まれたロングボウを持っていた。

 降りたミツハルは、ロゼと合流をしたいところだが、両手にナイフを持った少女が間にいるので、戦うしかない。

「どいてくれそうにないな」

 ミツハルはそう言って、腰の鞘から刀を抜いた。

 弓を持つ少女は、ミツハルに体を向ける。

 右腕にロングボウを持ち、左手で白い冷気を矢の形に纏めた。それはまるで。

「――氷の矢だと⁉」

 それを見たミツハルは吐き捨てるように言った。

 彼がそれに注目しているうちに、彼に向かって彼女が構えた氷の矢を放った。

 ミツハルは、反射的に避けた。回避した時に冷えた風が吹いたかのような冷たい感覚が彼の肌に触れた。

 ミツハルは着弾点に顔を向ける。

 氷の矢は街の外壁に当たっていた。

 外壁は矢の当たった地点から徐々に氷に覆われていた。

 ミツハルは、弓を構える少女へ顔を向き直した。

 しかし、同時に両手のナイフを構えた短髪の少女が近づいてきた。

 彼女のナイフの連撃をミツハルは刀で受け流す。

 すると彼女は叫んだ。

「そのナイフと斬りあっちゃダメ!」

 その言葉はミツハルに届くが、それが出来ない状況になっていた。

 しかし、ナイフの斬撃を刀で受け続けていくうちに、刀を通して両腕が冷たくなっていった。

 冷たくなっていく両腕に気を取られるうちに、彼の思考も脳が凍っていくように感じるほど鈍くなっていた。

 それを見抜いたのか彼女はナイフを刀と鍔迫り合いの形で固まった。いや、固められた。

 この時、ミツハルは気づく。

「氷のナイフ⁉」

 鍔迫り合いで固められたわけじゃない。刀を氷のナイフで凍らせていたのだ。

 鍔迫り合って動けなくなった少女は、腹に膝蹴りをミツハルに食らわせた。

 ミツハルは、刀を離さなかったものの、意識を失った。


 俺は理解できなかった。

 氷の矢を放つ少女に、氷のナイフを両手に構えている少女。

 その少女に燃えているように感じるほど冷たい膝蹴りを食らってしまった。

 その痛みのせい、いやそのおかげで何とか意識を取り戻した。

 刀は離してないが、ナイフから凍った部分が離れていない。

 その時、ロゼが大声でミツハルに叫んだ。

「避けて!」

 声と共に上空から氷のナイフを撃ち抜いた。

 それと同時に短髪の少女はナイフを離し銃弾から素早く後方へ回避した。

 その言葉で気も取り戻した俺は、刀を引き離すようにしながら後ろへ避けた。

 刀は、ロゼの炎の弾で冷えた氷が解けて、何とか触れるようになった。

 俺はその刀を両手で構える。

 その隙に、長髪の少女が氷の矢をロゼに向けて放った。

 ロゼはそれを両翼で羽ばたかせ、身体を横回転しながら回避した。

 俺は長髪の少女に斬りかかる。が、弓も氷で作られていたので、彼女が弓で受け止めようと構える。

 二の舞にならないよう太刀筋をそらした結果、長髪の彼女とはまたも距離を空けられた。

 ロゼがこちらに飛んできた。それと同時に、短髪の方の少女は、弓を構える長髪の少女の方へ合流していた。

 短髪の少女は、合流すると同時に氷のナイフを両方とも再生していた。

「大丈夫⁉」

 ロゼが拳銃を手にしながら俺に片手をかざす。

 すると、冷えている身体が徐々に暖かくなった。そのおかげで腹の冷えがある程度治まって、腕の冷えがなくなった。

 とりあえず、彼女のおかげで戦える状態にはなった。

 とりあえず解っていることがある。

 ロゼと同じようにあの二人にも知っている魔法とは違う不思議な力がある。

 もう一つは、知り合いである可能性が高い。

 あの二人が襲っているのは、ロゼだ。

 木に不時着しているスズには追撃してこなかった。今も彼女に攻撃する姿勢を見せない。

 さっき、氷のナイフと斬り合うな、と言っていたこと。

 このことから、氷の少女たちとロゼは知り合いである可能性が高い。

 そう思ったときあることが思いつく。

 あの二人とロゼはまだ力のすべてを出し切っていない。

 ロゼが俺に全ての力を見せていないと同時に、あの少女たちも力を出し切っていないのだとしたら。

 そうだとしたら、身体が冷えていく中で、そんな力を出されたら、俺はどれだけ保つことができるのか。

 俺とロゼ、相手は、弓とナイフ、それぞれを扱う氷の少女たち。

 距離をとっても、氷の矢で撃ち抜かれる。

 距離を詰めても、刀身を凍らされるのが目に見える。

 幸い、俺とロゼの背には街がある。

 騒ぎが知れ渡れば、ここへ騎士団が駆けつけてくる可能性が残っている。

 だが、そうなると不都合な点もあるが、仕方がない。

 今は、それを頼りに戦うしかない。

 そう考えていると、唐突にロゼが言った。

「ちょっとの間、時間を稼いで!」

 そう言うとロゼは妙な行動を起こし始めた。

 ロゼの拳銃全体が赤く光っていく。

 それと同時に弓を持つ手を青く輝かせる長髪の少女。

 赤と青、二つの光が暗いこの平原を照らした。

 その時、赤の光に飛び込んだ短髪の少女。その短髪の少女の背中を俺は見逃さなかった。

 俺はその背中に、袈裟斬りをした。

 背中を斬られた短髪の少女は、地面に落ちていった。

 しかし、俺は手ごたえを感じなかった。

 斬った瞬間、血肉を氷で固められていたのか、そのせいで彼女の傷は浅かった。

 この時、赤い光、青い光がそれぞれの光が小さくなりだした。

 ロゼの手に赤い光が収束するようにしていくと、ロゼの赤い光が消えると同時に武器が変わっていた。ロゼが叫ぶ。

「耳塞いで!」

 ロゼはそう言いながら、拳銃を変化させた大型の武器、重装甲をぶち抜く対物ライフルを長髪の少女へと向けた。

 長髪の少女も弓を変化させた武器、クロスボウに大きめの氷の矢を装填する。

 両者が引き金を引いた瞬間、大きな爆音が鳴り響いた。

 近くにいた俺は耳を塞ぐが、その大きい音は身体の芯まで響いた感じがした。

 互いに発射された炎の弾と氷の矢がぶつかって大きな衝撃が走った。

 しかし、ロゼの発射された炎の弾が強く押し出し、氷の矢は徐々に砕けていった。

 この時、長髪の少女はクロスボウを手放し、短髪の少女のもとへ駆け込んだ。

 それを追撃するにも、ロゼは手に持っている対物ライフルを手放し、力尽きるように地面へと落ちていった。俺は、耳を塞ぎながらロゼのもとへ駆け込む。

 そして、炎の弾が氷の矢を完全に砕いたとき、そのまま弾は地面に着弾した。

 着弾した地点から大きな火柱がたった。

 その火柱は街の外壁を大きく超えた。

 なんとかロゼのもとへ駆け寄ると、こちらへの殺気が消えたのを感じた。

 周りを見ると、氷の少女たちが姿を消していった。代わりにいたのは。

「今のは、何の魔法なの?」

 逃げるタイミングを見失っていたスズだった。彼女の問いに俺は答えられなかった。

「俺にだってわからない」

 そう言いながら俺は力尽きて倒れたロゼを見つめて呟く。

「一体何なんだよお前は」

 何を言ってもロゼは答えてくれない。

 後ろからスズがミツハルに寄ってくる。

 そんな彼女に俺は訊いてみる。

「今の戦った少女たちに心当たりがあるか?」

 スズは首を振って答えた。

「ないよ。あんなの初めて見た」

 あまりの状況に平静さを失ったのか彼女の口調が特徴的な敬語が使われていなかった。

 怯えたまま彼女を見つめるスズに対して、俺は訊いてみた。

「こいつ、ロゼっていうけど何か情報はないか?」

 スズはまた首を振って答えた。

「あんな力を持っている人なんて見たことも聞いたこともない」

 スズがそう答えると、街から大きな馬車の音がこっちへ近づいてくる。しかし。

「これどう説明すりゃいいんだ」

 俺は騎士団が来た後のことを考えて言った。

 普通に説明すれば、危険人物と認定されるのは間違いない。

 だが、どうごまかしても火柱が上がるほどの事件だ。

 近くにいる俺たちが長い取り調べを受けることになるのは間違いない。

 だから前もってスズに謝る。

「ごめん、俺たちのせいで巻き込んでしまった」

 元々、スズの厚意で街の外で待っているロゼのもとへ送ってもらうだけだった。

 それが、下手すれば彼女も攻撃を受けたかもしれないし、命の危険だってあったはずだ。

 本当に申し訳がないそう思って頭を下げようとした時、スズが言う。

「それは……お互い様でしょ。まだよくわからないけど、あなたたちが戦ったおかげで私は無事だし。なので、そこまで謝らないでほしいっす」

 スズのその言葉で俺は頭を上げた。

 彼女が気を取り戻したのか、俺の知っている口調に戻っていた。

 それでも巻き込んでしまった罪悪感が無くなったわけじゃない。

 そんなやり取りの中、大人数を乗せる類の馬車と鉄の装甲の馬車がこちらに来た。

 スズが馬車を翼で指して言った。

「あれは、騎士団の馬車っす。護送用の馬車も一緒にあるっすね」

 そこから大勢、種族が様々な人が馬車から降りてきた。その中の一人が告げた。

 憲兵団とは違い、騎士団の装備は甲冑の鎧を着けていた。

「そこの者たち、武器を地面に捨て、手を上げろ!」

 俺は素直に刀を鞘に納め、地面に置き、手を上げる。スズも両翼を上げた。

 そうすると、男の人間の騎士が俺を剣で牽制して、男の狼の亜人の騎士が俺たちの匂いを嗅ごうとしたが。

「だめだ、ここら辺焦げ臭いにおいが強くてわかんねー」

 そう言いながら、俺たちから離れた。

 一方、倒れたロゼの元に残りの騎士が寄ってきた。

 彼女は未だに意識を失ったままだが、俺はそれを横目で様子を見ることしかできなかった。

 彼女の顔を覗き見た騎士たちは何故か驚いていた。

 そのうちの一人、女の狐の亜人の騎士がスマホで何かを話す、というより報告をしていた。

 その様子は何か慌てていて、何度も彼女の顔を確認しているかのようだった。

 その時、俺を身体検査した男の騎士が問い詰めてきた。

「お前たちは、一体何をしていたんだ」

 俺はその答えを横目で見ていた彼女の周りの騎士団の様子を見て考えた。

 俺がロゼについて知っていることは、カーマイン領の生き残りで復讐を誓っていること、現在の魔法では空想と言われる炎の力を持つこと。

 彼女なりの事情があって、氷の少女のことを隠したことや対物ライフルを生成する力など俺にも隠していることが多い。

 正直彼女に対して、このまま復讐の駒として利用されるだけなのではないかという不安もある。

 今、彼女を知る機会を得るか、失うかの選択だろう。ならば、得るために答えるしかない。

「彼女と一緒に旅を同行している者です。彼女と一緒に襲撃者に襲われました。」

 彼女との関係と現在の経緯を明かした。

 そう言うと、俺のもとへ女の狐の騎士が俺に詰め寄ってきた。

「あなた、あの女の人とは知り合いなの?」

 この質問で俺は確信した。彼女たちがロゼに対して何かしらのことを知っていると。

 だったら、次はこう答えるか。

「ええ、そうです」

 知り合いというのは嘘ではないしな。

 だけど、どれほどの知り合いかというのを有耶無耶にさせてもらった。

 その答えに狐の亜人の騎士はまたもスマホを取り出し、誰かに報告していた。

 ロゼの方へ目を向けると馬車へと手厚く運ばれている。

 俺はここで騎士たちに訊いてみる。

「彼女、大丈夫ですか。さっきから、意識がないので」

 そういうと、狐の騎士が彼女の知り合いである俺に言った。

「悪いけど、一緒に来てもらうわ。彼女のことについて訊きたいから」

 俺とスズは強制的に馬車に乗せられた。

 

 馬車から降りて周りを見ると、想像とは違う光景だった。

 豪邸だった。

 周りは大きな屋敷は真ん中に噴水がある中庭が広いせいか奥がどれだけ広いか分からなかった。

 これでは、まるで。そう思ったとき、スズが思ったことと同じことを言った。

「これ、この領の邸宅じゃないっすか!」

 そう言ってもう一台の馬車を見ると、意識を取り戻したロゼが降りてきた。

 ロゼは周りを見だすと、驚きもせずに豪邸を見まわした。

 馬車から降りていた騎士たちが邸宅にいる近衛兵らしい人たちと話し合っていた。

 騎士たちが話し合っている間、ロゼが俺に駆け寄ってきた。

 そんなロゼに俺は言った。

「お前、ここの騎士団の人たちと知り合いか?」

 彼女は黙り込んだ。

 狐の騎士が俺とロゼに割って入る。

「あなた、彼女が何者なのか知らないの?」

 その質問を咄嗟に返す。

「カーマイン領の生き残り、ということしか……」

 その時、ようやく黙っていたロゼの口が開く。

「ごめん、あなたにはあの程度のことしか言ってなかったわね。ごめん、本当は――」

 次の発言は、俺の全ての疑問を晴らしたわけではない。ただ一つ、何者なのか、という質問の答えになっていた。

 だけど一つ言えるとしたら、ある情報を矛盾した発言でもあった。

「私の名前は、ローズ・カーマイン。領主の娘だった者よ」

 俺は思い出す。カーマイン領主一家は殺された。という情報を聞いた。

 その話に割り込むように、狐の亜人の騎士がロゼ、いやローズに向けて話した。

「準備は整いました。侯爵様のもとへ案内します」

 ローズは俺とスズに手で指し、聞いたこともない敬語で話す。

「彼らも案内をお願いします。彼らも少なからず、巻き込んでしまった当事者ですので」

「かしこまりました」

 狐の亜人の騎士は、俺とスズに向ける。

「あなたたちも来なさい。できるだけ騒がないように」

 子供に注意するような口調で言われた。それほど恐れ知らずじゃないのに。

 そう思った俺に、ロゼは背を向けながら気になることを言った。

「あなたに話したことに嘘はついてないから」

「何を?」

「ここでも聞かれると思うけど先にね、言っておきたかったの」

 そう言い残すと、騎士たちに促されて館に入っていった。

 その後、俺とスズも入っていった。

 嘘をついてない。領主一家が殺された。その領主の娘である。復讐を目的にしている。

 この時、思考がまとまらなかった俺はどういうことか理解出来ないまま、案内に従った。


 ロゼの正体に次回、問い詰めていきます。

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