95杯目「味覚の死闘」
何てことをしてしまったんだと言わんばかりに肩を落とした。
唯たちは僕のコンディションに影響を与えると思い、ずっと黙っていたという。
しかし、唯は別れの寂しさに耐え切れずに話してしまった。いや、元はと言えば僕の行いが原因なのだから唯たちを責められない。僕も唯もベッドに座り、ジェフは目の前に立っている。
すると、突然僕の宿泊部屋の扉が開いた。
「そういうことだったんだ」
現れたのは咲さんだった。扉の向こう側から盗み聞きしていたらしい。
「唯が落ち込んだ表情でジェフを呼び出すから、何事かと思って来てみれば、会社が倒産したなら早く言ってくれればよかったのに」
「バレたら戻ってこないといけなくなるだろ。それと……黙ってて済まなかった。まさか倒産するとは思わなかったから――いてててて!」
咲さんがジェフの耳を指で引っ張り上げる。
「ジェフ、あず君は明日も大会なんだよ。なのに何でそんなモチベを下げるようなことするかなー?」
「済まん、悪かった。そんなつもりはなかったんだよ。いてててて!」
この光景を見て、かつてのうちを思い出した。親父がどうでもいいことにお金を費やし時は、よくこうやってお袋に耳を引っ張られながら怒られてたっけ。何だか懐かしくなってきた。
「もしかして恐妻家なのか?」
唯の耳元で頬に手をあてがいながら聞いた。
「はい、うちはお父さんよりお母さんの方が強いんです」
応えるように同じく頬に手をあてがいながら僕の耳元で囁く。つい興奮してしまった。すぐそばに女がいる状況には耐性がない。この匂いとビジュアル、見る者にとっては目と鼻の保養になる。
「と、とりあえず食事にしよう。なっ」
「お父さん、おじいちゃんとおばあちゃんには黙っとくの?」
「言うにしても後の方がいいだろ。今は大会に集中させてあげたいし、このことは大会が終わってからでも遅くないんだから、一旦保留にしよう」
「はぁ~、これからどうしよう」
唯があからさまに落ち込み、ベッドに横たわりながら冷めたような顔だ。普段はここまで表情には出ないのに、僕でも分かるくらいには、思ったことが行動に反映されている。
「唯、こうなったのは僕の責任でもある。僕がパンドラの箱を開けてしまったせいで、色んな人の人生に影響が出ている。人を呪わば穴二つとはよく言ったものだ」
「じゃあ、どうするんですか?」
「大会が終わったら全員ここに集合、チャールズとメアリーに事情を話すのはその時だ」
「……」
この時はもう6時、一般的な家庭であれば、そろそろ夕食の時間だ。
準決勝と決勝は明日行われる。他の大会のスケジュールに合わせていることが見て取れる。
唯たちの家族と6人で夕食を楽しんでいた。
イギリスの飯は世界一不味いことで有名だ。しかし、ここの料理は例外である。
会場で他の参加者から声をかけられていたこともあって疲れていた。僕のようなコミュ障は競技よりも人と話す方が著しく体力を消耗するのだ。イギリスのコーヒーファンの間でも有名なのか、僕に会えて感極まった人もいたが、そんなに感動することとは思えない。
「いつも動画見てるよ」
「お、おう、ありがとう」
これが有名人ってやつか。コーヒーを淹れてほしいと何度か言われたが、今は観光だからと言って断っていた。大会で渡航する場合は観光ビザで行くことになるため、名目上は観光客だ。
大会後はカフェ巡りをする予定だし、満更嘘でもない。
夕食後、すぐに睡眠を取る。
起きてる時間が長いと、また唯のことを考えそうになるが、それは大会後に処理すべき案件である。
こんな時は寝るのが1番だ――。
――大会2日目――
ワールドカップテイスターズチャンピオンが決まる日だ。
大会は午前中から始まった。唯は僕が集中できるように、昨日と変わらず、黙って応援してくれた。僕より年下なのにここまでの配慮ができるなんて、彼女の方がずっと大人なんじゃないかと思う。何としても勝って、唯の配慮に報いたいと思った。僕が楽にここまで来られたのには訳がある。味覚をリセットしてからこの競技に臨むようにしていた。自分で色んなコーヒーを焙煎していたこともあり、どれがどのコーヒー農園の味であるかさえ分かるようになっていた。
見よう見まねで始めた焙煎が、意外なところで役に立った。
「それでは今から準決勝を開始します。1組目は競技の準備をしてください」
準決勝は8人中4人が決勝進出だ。段々と狭まっていく生き残りの枠に何としてでも入ろうと、どの国のナショナルチャンピオンも本気の目だった。
「レッツ――」
「「「「「カッピング!」」」」」
競技開始の合図と共に、一斉にスプーンと紙コップを持ったままカッピングを始めた。会場はシーンと静まり返っていた。観客までもが競技に参加しているかのように真剣な眼差しで競技者を見守った。
僕は他の競技者とは異なり、ある工夫をしていた。
創意工夫はすぐ結果に反映された。
「タイム」
僕が1番先に8セット全てのカッピングを終えてタイムコールを宣言する。
通常は最短でも2分はかかるらしい。制限時間ギリギリまでカッピングを続ける者もいた。恐らくは時間を捨てての全問正解に賭けている人だ。だが僕は最速全問正解のみを狙っていた。
どうせやるならこれくらい徹底しないと気が済まない。制限時間を8分と思っていたら優勝は難しいと思った。制限時間は2分と思ってやる。競技が終わると、会場は瞬く間に歓声に包まれる。この状況には慣れていた。何度も見たこの光景は、もはやこの季節の風物詩となっていた。
1組目の競技者として競技を終えた。決勝へと駒を進められるかどうかは、後に続く2組目次第だ。しばらくは2組目の競技を見守っていた。しかし僕と同じある工夫をする者はいなかった。
みんなして慎重を極めていることが見て取れる。
全員の競技が終わり、ファイナリストが発表される。
「3人目のファイナリストは……日本代表、アズサーハーヅーキー」
名前を呼ばれ、見事に決勝へと進出した。
決勝には僕の他、グアテマラ、アイルランド、ギリシャの代表が残っていた。ここに残った全員は紛れもなく味覚のエキスパートと言えるだろう。決勝は4人で行い、最も正解数と時間の成績の良かった者が優勝となる。ここまで全問正解で突破してきたが、他にも僕より僅差で全問正解した人がいた。
油断なんて微塵もなかった。
「泣いても笑っても、この決勝の競技がラストです。皆さん、準備はいいですか?」
僕らは利き手にスプーンを、もう片方の手に紙コップを、味覚には魂を込めた。
戦いの前の静けさ、剣と盾を持って戦う剣闘士のように身構え、ここに集まる誰もが戦いの幕開けを見守っている。流石に世界大会の決勝なだけあって、今まで以上のプレッシャーだ。だが競技が始まれば、そんなものは関係ない。店の未来のためにも、負けるわけにはいかないのだ。
「レッツ――」
「「「「「カッピング!」」」」」
ここに、世界一を決める戦いの火蓋が切って落とされた。
スプーンでコーヒーをすくい、啜るように飲む。味の確認を終えた後ですぐに紙コップにコーヒーを吐き出す作業をルーチンワークのように繰り返す。何も緊張する必要はない。今までやってきたことを繰り返すだけでいいのだ。競技が終わるまで隣は見ない。僕が戦うべき相手は隣でカッピングをしている競技者ではない。己自身の弱さ、そして目の前にあるコーヒーカップの軍勢だ。
1セット3つが8セットあるため、全部で24個もある。いや、24個しかないのだ。しかも僕は他の競技者のように、これら全てをカッピングすることはなかった。
去年のJCTCが始まる前のことだった。
昔の数学の授業で出された『問題』を思い出す――。
2回しか天秤を使ってはいけないという条件で、8つある均一な重さのボールの内、他のボールよりも軽い1つの『偽物ボール』を特定する問題である。
何故これを思い出したのかと言えば、最後だけこのカッピングと条件が似ているからである。残りのボールが3つに絞られた場合、その内の2つを天秤に乗せ、この2つが全く同じ重さだった場合は天秤に乗せていないボールが偽物ボールとして確定する。
つまり、最初に3つあるコーヒーの内、2つのコーヒーをカッピングし、2つが全く同じ味であると確信が持てた場合、3番目のコーヒーをカッピングせず回答エリアに置いていたのだ。これによって1問にかかる時間を大幅に短縮できる。これこそ、他の競技者がやらなかった工夫である。
僕だけがこの数学理論を持ち込んで競技に臨んでいた。そのため2分もかからずに競技を終えることができたのだ。正解が分かっているなら、わざわざ全部カッピングする必要はない。僕がこのことをラジオ動画で発表するまで、誰も僕が最速全問正解できる理由を説明できなかった。種明かしをしてしまえば、何だそんなことかと誰もが納得する内容だ。何も特別なことはしちゃいない。
人と違う結果を残すには、人と違うことをしなければならない。簡単な理屈だ。
コーヒーは最愛の恋人、どんなフレーバーであるかは彼女が教えてくれる。フレーバーの違いは手に取るように分かる。この時も例に漏れず、コーヒーの声に従い回答していく。
「タイム」
1分30秒を切る好タイムでタイムコールをしようと右手を上げた。この時も僕が最も早かった。
1分が経過したところで、グアテマラ代表が右手を上げた。他の2人はまだ競技を続けていた。つまり全員が全問正解なら僕の勝ちだ。全員が競技を終えると、カップを1個ずつ確認しながら正解数が発表されていった。4人の内2人は惜しくも1つだけ外れを引いて脱落し、残りは僕とグアテマラ代表の2人だけとなる。この時点で準優勝は確定だが、それじゃ物足りない。
司会者の案内で先にグアテマラ代表が回答を発表する。グアテマラ代表の人は全問正解だった。僕はここまで7問目まで正解したが、競技時間は僕の方が短い。ここで僕が正解すれば優勝だ。
カップの裏に赤いマークがついていれば正解だ。恐る恐るカップの裏を見た。
当たりならグッドのジェスチャーを、外れならバッドのジェスチャーをするのがルールだが――。
カップの裏には赤いシールが貼っている。
グッドのジェスチャーをした途端に会場が沸いた。この瞬間、僕の優勝が確定した。
他の競技者たちとハグをし、お互いの健闘を称え合った。
味覚の死闘がこれで終焉を迎えた。人生でここまで味覚を酷使した大会は他に類を見ない。
こうして、ロンドンにも葉月梓の名前が刻まれた。トロフィーを受け取り、インタビューを受けた後で大会は無事閉幕した。トロフィーは階段状になっており、頂上には黄金の輝きを放つコーヒーカップがあった。やっぱこの色じゃなきゃ、違和感すら持ってしまう。
地元の新聞記者たちに囲まれ、質問攻めに遭っていた。ずっと英語の質問に答え続けた後、しばらくして唯たちがやってくる。唯たちも僕の優勝を心から祝ってくれた。ここまで頑張れたのは唯のためというのもある。唯はその正直さから大会中に重大な事情を話してしまった。一歩間違えば僕のモチベーションに影響を与えてしまいかねないことは彼女自身も分かっていた。
もし僕が優勝できなかったら、唯はきっと自分を責めただろう。
唯にそんな思いはさせたくなかった。
「あず君、優勝おめでとうございます」
「お、おう」
「ふふっ、褒められることが苦手なのは知ってますけど、今回は言わせてください」
「おめでとう」
「いやー、おめでとう。誰よりも早かったねー」
「いつものことだ」
チャールズもメアリーも昨日と同様に会場を訪れていた。
「君の味覚は恐ろしいほどずば抜けてるねー」
「よく言われる」
「うちで祝勝会やろうか」
「それいいね。近所の人も呼んで、みんなで祝うのはどう?」
「良いアイデアだ」
チャールズとメアリーが僕のそばで勝手に祝勝会の話を進める。このままだと祝勝会がすぐに始まってしまいそうだ。カフェ巡りがしたかったけど、明日にした方が良さそうだ。
唯はジェフと咲さんと話しており、こっちの様子には気づいていない。
「祝勝会をやるのはいいけど、近所の人は呼ばずにやってくれないか?」
「どうして?」
「僕は集団が苦手だから、祝い事は限られた人とだけやりたい」
「あー、そうなの。じゃあそうするね。いつ帰国するの?」
「明後日かな。明日はカフェ巡りをする予定だから」
「カフェ巡り?」
「訪問先のカフェを何件も回って、そこのお勧めのコーヒーを飲む。まあ言ってしまえば、コーヒー通の習性みたいなものだ」
「じゃあ先に帰って祝勝会の準備をしておくから、あず君はその間自由にしていてね」
「うん、分かった」
自由にしていてね……なんて言われたのは初めてだ。日本にいた時は、大人しくしていろ……という言葉をずっと言われ続けたためか、この言葉には新鮮味すら感じていた。
午後2時、唯の両親と祖父母が先に帰宅する。
僕は会場に残り、他のバリスタ競技を観戦していた。
唯は僕と一緒にいたいのか、ずっと僕のそばに座っている。
「辛抱強くインタビューに答えてましたね」
「日本人がいなかったのが幸いだった」
「今頃は日本でもニュースになってるでしょうね」
「あいつらはうちに来れないのに、何で祝いたがるのかな?」
「同じ日本人として誇らしいって思ってるからですよ」
「僕はあいつらと同じじゃないから迫害を受けた。散々僕みたいなのを排除しようとしていたくせに、活躍した途端手の平返しするところが気に入らねえよ」
「仕方ないですよ。みんなそれまではあず君の良いところを知らなかったんですから。それに再評価されるのが難しい日本社会から見直されるって、凄いことなんですよ」
あいつらに認められたくて、大会に出ているわけじゃない。あいつらが潜在意識として持っている、認められれば個性、認められなかったら障害という考え方が心底気に入らないのだ。
「法人化してからも、日本人規制法は続けるんですか?」
「病気が完治するまではそのままだ。それに僕自身があいつらに対して苦手意識を持ってしまってる部分も大きいから、当分は無理かも」
「何がそんなに気に入らないんですか?」
「……あいつらと一緒にいると、お前はここが駄目なんだぞっていうのを徹底的に突きつけられてるような気分になる。今までそうだったし、近づくだけで肌がピリピリする。一度でも失敗すれば叩かれて、欠点を絶対に見せちゃいけない人たちなんだっていう感情が本能に植えつけられてる。あいつらはこれを差別感情と呼んでる。皮肉な話だけど、差別感情とやらを育てたのはあいつらだ」
「分かります……」
唯がステージ上を見たまま囁くように答えた。それはどこか寂しそうな横顔だった。
「私は日本でもイギリスでも、外国人だから駄目って言われたことが何度もあります」
「人嫌いにはならなかったの?」
「それでもし人を拒絶するようになっていたら、私もみんなと同じになっていたかもしれません。私はみんなとは違います。みんなが差別をする人でも、私は一切の差別をしないって決めたんです。それに人を大切に扱っていれば、人からも大切にされることを知って尚更そう思うようになったんです」
――器が違う。何をどうやったらそんな余裕が持てるようになるんだ?
唯の言葉は、やられたらやり返すスタイルを貫いてきた僕へのアンチテーゼのようにも思えた。唯にはやり返さないと舐められ、更なる迫害を受けると思ってやり返していた僕が小心者に見えているのかもしれない。僕は臆病な人間だ。あいつらが1人1人の違いを認められないのと同じくらい、僕もあいつらを認められなかったことを痛感する。まさかそのことを彼女から教わるとは。
相手を認められない弱さを持っているという意味では、僕もあいつらと同じなのかもしれない。
「そこまでお人好しじゃねえよ」
苦し紛れに言い返すのが精一杯だった。唯の生き方はまるでガンジーのようだった。
弱い者ほど相手を許すことができない。許せるのは強さの証である。これはガンジーが言ったとされている言葉である。彼女は相手を許せる強さを持っているのだ。おじいちゃんが僕に心構えは三流と言っていた訳が少し分かった気がする。未熟で臆病で小心者だが、自らの弱さを誰よりも理解している。
「祝勝会が始まるのは4時ですから、そろそろ帰った方がいいと思いますよ」
「そうするか」
僕が会場から立ち去ろうとした時だった。
「おい、今度はどんな不正を使ったんだ?」
「また運営に贔屓してもらってんだろ?」
ガラの悪そうな地元の男たちが声をかけてきた。
僕のアンチなのか、それともからかっているだけなのかは分からない。
聞けば僕が不正を働いていると思ってるらしいじゃねえか。確かに僕はバリスタ競技においては全戦全勝だ。だが言いがかりもいいとこだ。いつもの僕であればここで逆上し、どんな手段を使ってでも懲らしめようとしていただろう。だがそれじゃ駄目だ。馬鹿と権力とは戦っちゃいけない。勝てなくてもいい、負けさえしなければそれでいいんだ。僕は地元の男たちを黙らせようと歩み寄った。
最初に疑いをかけてきた奴に早歩きで近づき、口を閉じたまま睨みつける。
「なっ、何だよ?」
予想外の行動なのか、迫ってくると思ってなかったのか、相手は少しばかりビビっていた。
「僕はルールの範囲内で少しでも自分が有利になれる大会に出ることを心掛けてるだけだ。それとな、僕が不正をやっているというなら確実な証拠を示せ。もしそれができたら、今までに取ったトロフィーを全部返上するって約束してやるよ。それに僕は不正を使わないと勝てないような勝負は最初っからしない主義だ。少なくとも、僕に対してそれを言うのは筋違いであると理解しろ。今後そういう文句は僕にじゃなく、運営側に対して言ってくれ。僕はコーヒーに関することは誰よりも得意だが、クレーム処理は誰よりも苦手なんだ。分かったか?」
「……お、おう」
「唯、行くぞ」
「は、はい」
忠告を済ませると、ガラの悪い男たちがドン引きしている内に会場から立ち去る。
これが、理不尽な日本人の奴らに揉まれてきたことで培われたクレーム処理だ。
決して得意とは言えない。だが自分の清廉潔白を証明しながら長文をタラタラと話し続けることで、相手がタジタジになればこっちのもんだ。自分の趣味を長く話しすぎて相手をドン引きさせたことが何度もある。この癖をクレーム処理に応用しただけだ。
以前は怒りに任せた決断により、勝利と引き換えに唯の人生を狂わせてしまった。今度は勝利を放棄する代わりに唯を助けたかった。くだらないことに体力を使いたくはない。
道中、僕は唯と隣同士で歩いていた。
「珍しいこともあるんですね」
「何が珍しいわけ?」
「あず君があんな大人の対応ができるなんて、思いもしませんでした」
「年相応だ。大人になってから問題を起こしたら罪が重いからな。馬鹿と権力とは二度と戦わないって決めた。馬鹿は論破できないし、権力が相手だと、犠牲が大きすぎる」
「……そうですね」
「唯、僕は必ず日本人恐怖症を克服してみせる。だからさ、そばで見守ってほしいというか、僕と一緒に日本で暮らしながら、僕が唯にとって信用足りえるかどうか、見届けてくれないか?」
自分で招いた事態は自分で解決する。せめてそれくらいはさせてほしかった。
責任を背負うべく、僕は痛い目に遭う覚悟を決めるのであった。
気に入っていただければブクマや評価をお願いします。
WCTCは実在するバリスタ競技会です。