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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第4章 有名バリスタ編
93/500

93杯目「商店街の節目」

 6月に行われるWCTC(ワックトック)のためにコーヒーをカッピングしていた。


 右手小指の怪我はすっかり治っていた。包帯も必要ないくらいに。


 一方、この頃は世界中のまだ飲んでいないコーヒーの味を片っ端から覚えていった時期だ。有名どころは既に覚えていたが、まだまだ見知らぬ品種がある。全ての品種をコンプリートしたかった。


 生豆を購入して自分で『焙煎』もするようになった。焙煎した豆を販売するのもありだ。以前おじいちゃんがやっていた『焙煎方法』を見よう見まねでこなしていた。見て覚えるのは得意だったこともあり、味のコントロールができるようになっていった。


 マニュアルも大事だが、自分の感覚でやっていくことも大事だ。


 焙煎とは、コーヒーの生豆を炒る加熱作業のことである。ローストとも呼ばれ、この作業で焙煎したコーヒーを売っている人のことをロースターという。収穫、精製された生豆は淡緑色をしており、味も香ばしさもほとんどなく、この状態で飲むことはできない。


 焙煎が進むと、豆は茶褐色、更に黒褐色へと変化していく。焙煎によって豆に含まれる成分が化学変化を起こし、揮発性の素晴らしい香り、苦味、酸味、甘味といったコーヒー独特の風味が生まれ、焙煎時間や熱のかけ方の違いによってコーヒー豆には浅炒り、中炒り、深炒りといった焙煎の度合いが生じるため、コーヒーの風味が大きく変化する。焙煎度は全部で8段階に分かれている。


 一般的に浅く炒ったものほど『酸味』が強く、深く炒るほど『苦味』が強く感じられる。生豆に含まれている様々な成分が焙煎時に化学変化を起こし、酸味や苦味が生成されることを示している。この変化がコーヒーの色、味、香りに大きな影響を与え、独特の風味をもたらす。


 ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンの順に段々と深炒りになっていく。標準とされているのはハイとシティだが、僕の好みはミディアムだ。


 ゲイシャコーヒーはミディアムであることが多い。それが最も酸味と甘味を引き立たせるのだとか。原理を知りたくて、この年から焙煎を本格的に始めた。焙煎は以前から時間の空いた時にしていたが、自分でも美味いコーヒーを焙煎できるようになりたいと思った。


 この日も手網による焙煎の真っ最中だ。


 手には軍手をはめており、生豆をガスコンロで炒る作業をしている。少し遠くから璃子が見守る中で焙煎作業を続けた。我ながら地味な作業だが、集中力が試されるのは間違いない。


「よし、これでミディアムだ」

「ミディアム?」

「今パチッって音が鳴っただろ。これが1回目のハゼ音、つまり1ハゼだ。このまま続けると2ハゼがやってきて、シティの状態になる」

「――ちょっと何言ってるか分からない」


 今、僕は1ハゼを終え、余熱で焙煎が進まないようドライヤーで豆を乾かしている。


 粗熱が取れたらしばらく置いておき、完全に冷まして出来上がりだ。


「その内自分のコーヒー農園とか持っちゃいそうだね」

「――あっ、それも面白いな。じゃあ尚更法人化しないとな。僕1人で全部管理するのは到底無理そうだからさ、事業を始めやすいようにやってみる」

「言わなきゃよかった」

「何でだよっ!?」

「お兄ちゃんが何かをすると、必ず何かしら問題を起こしそうで怖いし、うまくいった時は利益が大きいけど、失敗した時のリスクが大きすぎる選択ばっかりするんだもん」

「いいじゃん。どうせ死ぬ時は何も持たずに死んでいくんだからさ、あれやっとけばよかったみたいな後悔はしたくない。それにさ、僕は自分が凄く恵まれている立場だって、ようやく気づいた」

「もしかして、拓也さんの影響?」

「何で分かるのっ!?」

「だって顔に書いてるもん」

「顔?」


 自分の顔を鏡で見た。うん、何も書いてない。いつも通りの美しい顔だ。


 あぁ……抱きたい……鏡の向こう側にいるもう1人の僕に触ってみたい。


 そんなことを考えながら顔を赤らめた。


「お兄ちゃん、自惚れるのはいいけど、今は営業中だってこと、忘れないでね」

「お、おう、そうだな」


 僕は営業中であるにもかかわらず、コーヒー以外を他に任せて焙煎作業に没頭していた。外国人観光客も僕の焙煎を見守っている。璃子の方はどうかと言えば、もう今年度で修業を終える。璃子はショコラティエの大会に出場して何度か入賞を果たしていた。


 璃子本人の才能と努力はもちろんのこと、優子の教え方がうまいのだろう。この頃は某カードゲームのビデオゲーム部門の大会に拓也と一緒に参加していた。去年と同様に良いところまでいったが、よりうまい人と当たって敗退した。バリスタ以外はあまり振るっていなかった。


 4月上旬、唯は不登校のまま中3を迎える。


 進路を聞いてうちで働きたいと言い出した時は正直驚いた。義務教育期間中は労働してはいけないことになっている。そのため来年度を迎えるまではあくまでも見習いとして、ここで修業させることに。


 WBC(ダブリュービーシー)での活躍を見てバリスタを目指すようになったらしいが、アスリートやアイドルを目指すような感覚でバリスタを目指す人が増えてくれると嬉しい。バリスタの地位はお世辞にも高いとは言えない。コーヒー業界自体がマイナー業界だし、大半のバリスタは本気で上を目指す気がない。トップバリスタになることがいかに難しいかを唯に説明するために、統計や数字を使った。


 この頃は日本にあるカフェの数が約7万5000店舗であり、1店舗あたりのバリスタの数が3人であると仮定すると、全国のバリスタの数は雑に見積もって20万人くらいか。


 その中で国内予選出場レベルの人がたったの200人程度だ。


 つまり予選に出場した時点で上位0.1%の逸材。準決勝進出レベルの人が50人程度、決勝進出レベルが10人程度、決勝常連が5人程度だ。その中でワールドクラスのバリスタになれるのは、数年に1人出てくるかどうかというかなり厳しい世界である。こんなことはしたくないが、トップバリスタになることの厳しさを教えるために、バリスタを格付けした一覧表を作って唯に見せた。


「何ですかこれ?」

「トップバリスタを目指すとは言ってもさ、自分がどの位置にいるのかが分からないと、目指すものが分からないだろ。だから僕の下で修業したい人が出てきた時のために作っておいた」

「へぇ~、凄いですね~。でもよくこんなの作れましたね」

「言っとくけど、これはトップパリスタになることを諦めさせるためのものだ」

「何で諦めさせるんですか?」

「僕としては生半可な気持ちでトップバリスタを目指してほしくない。だから全体の数%しかトップになれないという現実を突きつけていくスタイルだ」

「私には関係のないことですけどね」

「……何で?」

「私にはあず君がついてますから」


 彼女の言葉に何故だか笑みがこぼれた。


 ここまで誰かに信頼されたことがかつてあっただろうか。


 一覧表にはこう書かれている――。


 一般のバリスタレベルがGランク、国内予選出場レベルがFランク、準決勝進出レベルがEランク、決勝進出レベルがDランク、決勝常連レベルがCランク、世界大会出場レベルがBランク、世界大会ファイナリストレベルがAランク、バリスタ史に残るトップレベルがSランク。


 これらは全てバリスタ競技会を元にした基準だ。


 これを聞くと大半の人はトップバリスタの夢を諦めると思うが……。


「自分がどの位置にいるか分かったか?」

「私はGランクですね。働いてすらいないんですから当然ですよ」

「バリスタになるだけなら誰でもできる。でもその中からトップバリスタになれるのは数%だ。それでもやる覚悟はあるか?」

「はい。覚悟はできています。いじめで不登校になった私が、何かにここまで夢中になったのは初めてなんです。お願いします」


 唯は怯みもしなかった。可愛いだけじゃなく、肝が据わっていた。


 この日から、唯は毎日欠かさず来るようになった。


 日曜日は1日中修行に時間を費やした。ここまで僕の話を辛抱強く聞いてくれて、日常生活にまで踏み込んできた人は初めてだ。エスプレッソやカプチーノといった基礎中の基礎とも言えるコーヒーは淹れられるようになった。基礎知識は自宅のパソコンで自習することになっている。


 実技はうちの店でやるから何の問題もない。このことはすぐ近所の噂になった。


 4月下旬、璃子を通して優子に呼ばれ、ヤナセスイーツに赴いた。


 優子の方から直々に呼び出すということは余程の案件だろう。僕はそれを確信していた。今度は一体どんなことになるのやら、まさか修行費の値上げか?


 日曜日を迎えると、久しぶりに葉月商店街へと赴き、ヤナセスイーツの目の前まで赴き、自動扉が開くと璃子と優子が同時に気づく。店には璃子と優子と少しばかりの客がいた。


 だが2人の顔は全く嬉しそうに見えない。一体どうしたんだ?


「あっ、あずくーん、久しぶりー」

「要件は何?」

「実はね、今年度限りで店を閉めることになったの」


 ――えっ!? どういうことだっ!?


「店を閉めるって、つまり潰れるってこと?」

「うん……残念だけど、お母さんとも散々話し合って決めたことなの」

「理由は何?」

「一言で言うなら、業績不振かな」

「だったら僕が予算を出すよ。璃子の面倒を見てもらったんだから、これくらいさせてくれ」

「だーめ、そんなことしたら、うちがあず君に贔屓されてると思われて敬遠される。葉月商店街では独り勝ちしちゃいけないっていう掟があるの。あず君も知ってるでしょ?」

「そうだけど」


 昭和中期にできたこの葉月商店街を始めたのは、うちのおじいちゃんだ。だが厄介なことに、この商店街にはいくつかの掟がある。ある程度資産を持っている人に贔屓された店は、それがばれた時点から敬遠の対象になる。いわゆる村八分というやつだ。


 儲ける時はみんなで儲けようという『風潮』が今でも残っているのだ。商店街の人たちは普段こそ優しいが、その裏では成功している人を妬む者までいる。おじいちゃんの代ではなかったが、おじいちゃんの引退後、嫉妬心に塗れた連中がこの商店街の権力を握ってしまい、この掟ができてしまったのだ。店が繁盛している時は、どの店にも満遍なく客足が回るように配慮しなければならない。だがそのお陰もあり、商店街に守られた店舗の多くは、今日まで生き延びることができたのだ。


 僕にはそんな配慮はできない。店を持つと決めた時、葉月商店街の中はパスしたのだが、思い入れのある場所であるため、無視することもできない。


「それとね、理由はもう1つあるの……あたしのお父さんがね、先月死んだの」


 そうだったのか……確か入院したとは聞いていたけど、そんなに深刻だったとは……。


「このお店はお父さんが神戸でスイーツ修業をした後にできたお店で、存在意義はほぼお父さんなの。うちはバブルが崩壊してから何度か経営不振に陥って、何度かもうやめようって相談を持ちかけたんだけど、お父さんは最期までお店を畳むことに反対してた。お父さんだったら、もっと待遇の良い所で働けたはずのにね。経営不振をカバーしようとバイトまで掛け持ちして、それが結果的に寿命を縮めることに繋がってしまったの。お父さんの体力は……もう限界を超えていたはずなのにね――」


 優子は段々と涙声になり、客に涙を見せまいとキッチンへと引っ込む。後を追いかけてキッチンまで移動すると、今まで見たこともない哀愁漂う彼女の後ろ姿に、心が大きく動かされた。


「……優子」

「どうしたの?」


 優子が涙目になりながらも、笑顔で首を僕に向ける。


「店を閉めた後どうするわけ?」

「しばらくはお父さんの残した遺産で生活しながら新しい職探しかな。遺産が尽きるのが先か、就職するのが先か、時間との勝負かな」

「そのことなんだけど……うちで働かないか?」

「えっ? ……あず君のお店で?」

「うん……駄目かな?」

「それは願ってもないことだけど、もうバイトがいるんじゃないの?」

「リサはともかく、柚子は大学を卒業したらどっかに就職しちゃうかもしれないし、璃子が一人前のショコラティエになるまでは修行を続けてほしいのもある。丁度凄腕のパティシエが欲しいと思ってた」

「……」


 優子が驚いた顔でぽかーんと口を開いたまま、所々使い古してボロボロになっているキッチンに立ち尽くしている。まさか僕から誘いが来るとは思ってもいなかったのだろう。


 僕が優子を誘おうと思ったのは同情からではない。来年度にはリサも柚子も大学を卒業し、それぞれの道へと羽ばたいていく。リサはうちに就職すると言っているが、その場の気分かもしれない。それに店が来年度で潰れるのに合わせてうちに就職するなら、就活に費用をかける必要もなくなる。


 皮肉なもんだ。就職嫌いな僕が――人をうちに就職させようとするなんて。


「それ、本気で言ってる?」

「ほっ、本気だぞ。何、心配すんな。給料なら保障する」

「そういう問題じゃない。あたしがパティシエとして働くからには、こういう本格的な設備がある所じゃないと絶対無理だから」

「来年までに買うよ」

「これ結構高いよー。それにあず君のお店は狭いから、置けないんじゃないかなー」

「じゃあ来年までに法人化して、もっと広い店を構える。それなら文句ないだろ?」

「「!」」


 璃子と優子が同時に黙った。自分でも何を言っているんだと思った。優子を雇うためとはいえ、こんなにも行き当たりばったりになっている自分にはマジでビックリする。だがもう後には引けなかった。


「お兄ちゃん、それ本気で言ってるの?」

「本気じゃなきゃ言わない。で? どうなの?」

「……なんかその場凌ぎで言ってる気がするー」

「絶対に法人化する。店の移転だって、売り上げ次第じゃ、別に不可能じゃない。僕に任せろ。何があっても、優子は僕が守るからっ!」

「「!」」


 またしても2人が目を見開きながら口を閉ざした。


 優子に至っては顔を赤らめ、もじもじと体を動かし左手で右腕の肘を持っている。


「――本当に……あたしでいいの?」

「うん、約束だ」

「お兄ちゃんはそうやってまた危ない橋を渡ろうとしてぇ~。もうっ!」


 すぐ後ろにいた璃子が鋭い眼光で睨みつけ、文句を言いながら頬を膨らませて近づいてくる。


 璃子の膨らんだ頬を両手でそっと掴んだ。


 ――何だ? この可愛いマシュマロは?


「璃子、確かにこれは大きな挑戦と言っていい。挑戦したら失敗することもあるし、下手すりゃ大損害になることもある。でもな、挑戦しない奴が成功することは絶対にない。それだけは覚えとけ。行動しなきゃ、何1つ手に入らない」

「……それは分かるけど」

「今以上の売り上げを維持すれば、法人化も、店の移転も、設備も全部整うはず。やるしかないんだ。法人化は元から考えてたことだし、選択がようやく定まったと考えればいい」

「……」


 さっきまで怒っていた璃子がようやく静まる。


 人生自体がギャンブルみたいなもんだし、どう生きようと、死ぬ時にはプラスもマイナスも全てがゼロに戻るのだから、とことん暴れなきゃ勿体ねえ。


 暴れ足りねえんだよ。完全燃焼はこれからだ。


「優子、今の璃子の実績はどうなの?」

「去年から色んな大会に出てるよ。優勝こそまだだけど、去年から度々入賞するようになってね。正直教えてきたあたし自身も驚いてるの。やっぱりお兄ちゃんに似たのかなー」

「私はお兄ちゃんみたいに危ない橋は渡りません」

「でもショコラティエも相当不安定な仕事だよー」

「これは究めるからいいんです」


 他愛もない会話をしながら一緒に時を過ごした。


 この日もヤナセスイーツの名物、スフレのチーズケーキを買って帰るのだった。


 もう今年度で終わるのか――。


 定期的に優子のケーキを食べるのが楽しみだった。僕が彼女を誘ったのは、無意識の内に行った脊髄反射行為だった。きっと優子のケーキが食べられなくなるのが怖かったのかもしれない。


 それにしても、葉月商店街で最も売れていたヤナセスイーツが潰れるとは思わなかった。


 葉月商店街にとってこの年は良くも悪くも1つの節目になる。


 僕の知らないところでヒーヒー言っていたのかもしれない。


「まっ、そんなところだ」

「ふーん、じゃあ来年度からは優子さんがここに来るんだー」

「ここじゃねえよ。この店も今年度で移転する予定だから」

「えっ……そうなの?」

「うん。近いから来れると思うけど」


 今、唯の母親である咲さんと話している。隣にはジェフも唯も一緒だ。咲さんはうちの親よりも一回り年下だ。唯を見習いとして修業させていることを2人に話すが、反応は至って寛容なものだった。


「ふーん、あれだけ警戒心の強いあず君から見習いとして認められてるんだー」

「娘が実質働かされてるような状態なのに、抵抗ないのか?」

「業務に携わっていないなら別にいいよ。それにどうせ学校には行かないんだから、何もしないよりかはずっとマシじゃない?」

「不登校を認めてくれる親でよかったな」

「えへへ」

「別に簡単に認めたわけじゃないよ。決断するまでに色んな苦労があったの。いつまで経っても状況が改善しない所に子供を行かせても、ただ子供を苦しめるだけだし。苦渋の決断だったけど、結果的には良かったと思ってる。いざとなったらイギリスに帰って、レストランを継げばいいんだし」


 咲さんが言うと、ジェフが気まずそうにそっぽを向いた。


 この時、僕は妙な違和感を感じていたのだが、正体には気づけなかった。ジェフは咲さんとの馴れ初めから、唯が生まれて今までのことまでを語り尽くしてくれた。もし今ジェフが勤める店が潰れたら、みんなイギリスに帰国しないといけないのは本当のようだ。


「移転先は決まったんですか?」

「いや、まだだ」

「あず君って行き当たりばったりですね」

「好きでそうしてるわけじゃねえよ。ただ、なるようになると思ってるだけ」

「まさか優子さんを雇いたいがために、法人化させて店を大きくするなんて、そこまで優子さんのことを大事に思ってるんですか?」

「一応身内だからな」

「優子は僕が守るからって言ってたくせに」


 璃子がジト目のままボソッと愚痴を零す。


 まだ僕の法人化宣言が気に食わないらしい。だがいずれは認めてもらわないとな。


「! ……それ本当ですか?」

「ああ、本当だ。来年が楽しみだな」

「……」


 唯は下を向きながら顔が困り果てている。何故落ち込む必要があるのかが僕には分からない。


 リサはここでの調理担当が決まっているが、柚子はまだ就活中だ。ここしばらくは柚子とロクに会っていない。あの様子だと、きっとどこかに内定している確率が極めて高い。


 要領の良い奴だし、きっとどこの人事にも好かれるだろう。


 これからこの店はどうなっていくのだろうか。今年も色々と忙しくなりそうだ。

ストーリーから路線がずれることを考慮し、

バリスタ以外の大会については省略させていただきます。

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