70杯目「遺志を継ぐ者」
葬式の夜、遠方から来た遠戚たちの多くが地元の親戚の家に宿泊した。
夜の岐阜市内を璃子と真由と共に歩いていた。夜空がとても綺麗だ。ずっと空を見ながら歩き、璃子は真由と仲良く話している。2人は同い年ということもあり、すぐに意気投合する。
――おじいちゃん、ずっと見守っててくれよ。
薄暗くなっている葉月珈琲の扉を開け、明かりをつける。
「ここが葉月珈琲なんですね。テレビで見ました」
「1階が店で、2階が家になってる」
「いつもここで動画の撮影をしてるんですか?」
「うん。いつもは午前中か、店の営業が終わってからだけど」
「私がカメラマンをやってるんです」
「兄妹で撮影してるんですね。あず君はどうしてバリスタを始めたんですか?」
「最初は世間からの独立が目的で起業したけど、店が売れないと生き残れないことを思い知ってからは店の宣伝目的で大会に出るようになって……そしたらいつの間にか――」
「トップバリスタになってたんですよね」
「まあ、そんな感じかな。元々は大会に出る気すらなかったけど、結果的に店が売れるようになったから良かったと思ってる」
元々は生きていくために競争社会に参加する覚悟をした。そしたらいつの間にか……自分でも気づかない内にとんでもない高みへと上り詰めていた。それにしても腹が減った。泣いてばかりで食欲がなかったこともあって何も食べてない。何を食べようかと思ったところで、ふと、今後のことを考えてしまった。先のことなんて考えたくないのに、つい考えてしまう。
とても不安な表情を浮かべると、真由がすぐに気づいた。
「どうしたんですか?」
「いや、何も食ってないから腹が減ったんだ」
「葬式の時、全然食べてなかったですよね」
「和食和菓子はあんまり好きじゃないからな。今からパスタでも作るか。もう風呂入って寝るだけだったら、璃子に布団を敷かせるけど」
「いえ、自分でやります」
「そう。ならいいけど」
僕が1階でカルボナーラを作っている間、璃子は真由を2階へと案内する。
それにしても不思議だ。真由に対しては日本人恐怖症が強く表れなかった。たまにではあるが、初対面なのにずっと会い続けていたかのような感覚になることがある。
やっぱ親戚なだけあって感性が近いのかな?
パスタを茹でながら包丁でグアンチャーレを刻んだ。卵黄、パルミジャーノ・レッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノを削った粉を混ぜて卵チーズを作る。以前はスーパーで買った特売のベーコンを代用していたが、ようやく本格派の味が食べられる。焼いたグアンチャーレに卵チーズを混ぜたところでパスタを投入し、よく混ぜて皿に盛り、黒胡椒とパルミジャーノをかけて完成だ。
フォークを使って食べた。食べる時は基本大盛りだ。
「あぁ~、うめえ~」
やっぱこの味だなー。自分で作った食い物の味が1番美味い。
自分好みに作れるのが、要因として大きいのかもしれない。
カルボナーラを食べ終えると、歯磨き、風呂、着替えを済ませて璃子と真由に合流する。
璃子も真由も既にパジャマ姿だった。布団は2つしかなかったため、それぞれの布団をくっつけて3人で寝ることに。左から璃子、僕、真由の順番に布団に座る。
「珍しいよね。お兄ちゃんの日本人恐怖症が強く表れないなんて」
「他の遠戚の人には発動していたけど、何が違うんだろうな」
「茶髪じゃないですかね?」
「茶髪?」
「はい。実は僕も天然茶髪なんです。何度か注意されたことがあるんですよね」
「他にも茶髪の人はいたし……多分、僕に配慮してくれたところだと思う。普段は目を合わせなさいみたいなことを言われてたけど、真由はむしろ逆のことを言ってくれたし」
「……」
ふと、時計を見ると、この時には午後10時を過ぎていた。
日本人恐怖症の話題になり、学生時代の出来事を日記と付属している写真つきで当時の生々しい状況を説明する。真由は最初信じられない様子だった。真実なのに馬鹿げていて信じてもらいにくい現象は以前もあったのだが、信じてもらったことは本当に少ない。
コメンテーターでさえ嘘と言い張る始末だった。
「あず君の家って、テレビないんですね」
「必要な情報はインターネットで探せる。時々ニュースを動画で見るけど、全部僕のことだ」
「色んな人があず君のことを人種差別主義者って言ってましたけど、僕が初めて会った時、とてもそんな風には見えなかったです」
「一般大衆は物事の表面しか見ない。分かりやすい結果だけを見て勝手に判断する。僕はそんな偏見に塗れた連中を山ほど見てきた」
「でも日本人縛りでずっと店を続けられるって凄いですよね。うちがやったら間違いなく潰れますよ」
「うちは規模が小さいし、客が来なくても損失が少ない。豆自体も種類を厳選してるから、仕入れ自体はそこまで多くないからできた」
「優勝するまで相当苦労したんじゃないんですか?」
「苦労したくてしたわけじゃねえよ。楽して優勝できるなら、それに越したことはない」
日本には苦労を重ねるのが偉いという風潮がある。
だがそんなことはない。楽して成功できる方法なんてあったら絶対に選んでた。より少ない苦労で同じ品質のコーヒーを淹れられるなら、そっちの方がずっと良いに決まっている。苦労したから成功したんじゃない。成功した人の中には、苦労なんてしたくないと思いながら仕方なく苦労している人がいるってだけで、苦労すること自体に意味はないのだ。
僕はプロセス重視の人間だが、苦労なんていらないと思ってる。
結論、労せずしてうまくいくなら、それに越したことはないのだ。
だが1番を目指そうとすると、どうしても同じく1番を目指そうとする者たちを相手に競争することになり、結果的に苦労を強いられることになるってだけだ。
璃子はもう寝ていたが、僕と真由は眠くなるまで会話を続ける――。
真由は大のテーマパーク好きで、特に地元にある某夢の国に精通している。しかもそこのスタッフとして働いている。学生をやりながらのバイトはきつそうだけど、それでもやるのは好きだからだろう。しかもスタッフとしての経験やアトラクションの詳細などをブログに書いている。それほどまでに熱中しているということだ。真由は画面が2つある小さな携帯ゲーム機を持っていた。
真由はボールからモンスターを出して戦う某ビデオゲームにハマっており、オフの大会に出場するほどのビデオゲームファンだ。僕は真由が持ってきたゲームに興味津々で、それまでゲームはほとんどしなかった僕が本格的にゲームを始めたきっかけは間違いなく真由である。
僕にはバリスタ以外にいくつもの顔がある。バリスタとしての僕は数ある顔の内の1つに過ぎない。
いくつもある顔の数をレイヤーと呼んでいる。人間にはいくつものレイヤーが重なっている。
レイヤーとは、絵を描く時に重ねていく紙のようなものである。僕の場合はバリスタ、ロースター、ピアニスト、シェフ、パティシエ、ファッションデザイナーといったレイヤーが何枚も重なっている。
ただ、この時はそこまで焙煎はしてなかったし、ファッションも店の制服を作ったりコスプレを作るために裁縫をする程度だった。料理は和食、洋食、中華などを作るが、主に洋食洋菓子が中心だ。以前は店に出す余裕はなかった。だが残念なことに、世の中にはレイヤーを重ねてはいけないと思い込んでいる人が異常なまでに多いという問題がある。あるプロ野球選手が趣味で遊びに行っていた時、通行人から遊んでる暇があるなら練習すればいいのにと陰口を言われたという。
メインでの活動以外はしてはいけないという謎の信仰がこの一言に集約されている。サラリーマンをやっている内は、他の仕事をしてはいけないと思って一歩を踏み出せない人もいるだろう。でも本当はいくつもレイヤーを重ねてもいい。1つのことしかやっちゃいけないと思っている人が、この先を生きていくのは難しいだろう。自分の首を絞めるとは、こういうことを言うんだろう。
「あず君って多趣味なんですね」
「勉強とか体育とかがつまらなかったから、色んなことに手を出してたら、全部習得してたってだけ」
「他の人はなかなかできないですよ」
「そうか? 大半の場合はできないんじゃなくて、単にやってないだけだと思うぞ。料理だったら材料さえあれば誰でも作れるし」
「みんな学業とか仕事に追われていて……細かいところまで考える余裕がないんじゃないかと」
「……かもな」
「あの、無理にとは言いませんけど、時々遊びに来てもいいですか?」
「うん、いいよ。真由なら歓迎する」
真由と意気投合すると、たまにどこか遠くのテーマパーク巡りを中心に旅行しに行くようになった。おじいちゃんの死は悲しかったが、そこまで落ち込まずに済んだのは真由がいたからだ。別れもあれば出会いもある。僕にとってこの年は……仕事でも人間関係でも大きなターニングポイントだった。
おじいちゃんの言葉を思い出す――。
『どんな困難があっても諦めるな。きっと何とかなる。誰に何と言われようとあず君はあず君だ。とことん自分らしく生きろ』
おじいちゃんの言葉を忘れず、常に前向きに生きようと思った。
悲しみを引き摺ることなく店の営業を続けた。だが1つ問題が起きた。
まさかの『燃え尽き症候群』に陥ってしまっていたのだ。
将来の夢を早い内に叶えてしまったのが大きい。以前の僕にとって、将来の夢は間違いなく世界一のバリスタだったし、目標がある時はそれに向かって突っ走ること以外は何も考えなくてよかった。
目標を達成したら、次はどうすればいいのか。
答えは簡単だ。また新たな暇潰しを考えればいい。次の目標をバリスタオリンピックに向けた。だがどんな方針で店をやるべきなのかが分からなくなっていた。別に目標なんか持たなくてもいいのに……僕は目標がないといけないという謎の固定観念に囚われてしまっていた。
翌日、正午を迎え、店の営業を開始すると共に真由の親が車で迎えに来ると、真由は僕らに世話になった礼を言い、車に乗って千葉まで帰っていく。店には開店前から多くの外国人観光客が並んでいた。店が始まると10人程度が一斉に入ってくる。これがいつもの光景になっていた。仕入れたコーヒーが飛ぶように売れていく。夢にまで見た光景がようやく実現したのだ。璃子も修業に専念できるはずだ。
黒を基調としている服を着用した1人の外国人記者が入ってくる。
彼が言うには、僕の特集を組み、バリスタマガジンの表紙に載せたいらしい。バリスタを特集することに特化した権威あるマガジンであり、世界中のバリスタが表紙を飾ることを夢見ている。僕もバリスタマガジンは何度も読んだことがある。確か金華珈琲に行った時にマスターが見せてくれた。
今までのバリスタマガジンには、歴代のバリスタ競技会チャンピオンが表紙に載っている。
「是非とも君をうちのバリスタのマガジンの表紙に載せたいんだ。ついては特集を組むために、インタビューをさせてもらってもいいかな?」
「――それは構わないけど、閉店してからでいいかな?」
「ああ、いいとも。じゃあ6時になったらまた来るよ」
「うん、分かった」
外国人記者が葉月珈琲を後にする。
「お前すげえな! バリスタマガジンには有名なバリスタ競技会のチャンピオンしか載れないほど名誉なことなんだぜ! 本当に羨ましいよ!」
「ああ、まさかバリスタマガジンに誘われる光景を見れるとは思わなかったよ」
話を聞いていた他の客たちが話しかけてくる。
「あんたも表紙に載りたいの?」
「もちろんだ。俺もパリでバリスタやっててさー、WBCの国内予選に何度も出てるんだけど、なかなか優勝が難しくてね」
「なら諦めないことだ。できるまで続ければいつかはできる。日本じゃただの社会不適合者でしかなかった僕ができたんだ。あんたにもできる」
「ああ、ありがとな。何だかやる気が出てきた」
「ワールドバリスタチャンピオンのお墨付きだもんな」
「「「「「あはははは!」」」」」
みんなの笑い声が店内に響き渡る。静かではないが、とても居心地の良い光景だった。僕は心のどこかで、こんな空間を望んでいたのかもしれない。昔は僕がバリスタマガジンを読んで憧れる側だった。今は僕がこのバリスタマガジンに載る側だ。
本に載る立場になったら――僕も誰かに憧れられたり、目標にされたりするのかな?
10月上旬、バリスタマガジン最新刊が発売する。表紙には店でコーヒーを淹れる僕の姿が燦々と輝きを放つように載っている。常にコーヒーに命を懸けてきたその姿はとても美しかった。本にはインタビューなどの特集の内容が細かく書かれている。日本人規制法については触れられていない。
ある日の夕方、僕は表紙に乗る自分を見ながらうっとりしていた。
「お兄ちゃん、遂に本の表紙に載っちゃったね」
「璃子も活躍すれば、スイーツマガジンの表紙を飾れるかもな」
「飾るとしても、当分先になりそうかな。デビューすらしてないし」
「デビューの定義って何?」
「……えっ?」
「資格を取ること? それとも専門店所属か? 僕は自分でコーヒーを淹れるようになった時点でバリスタデビューしたと思ってる。バリスタは資格いらずだからな」
「お兄ちゃんがデビューしたのは2年前じゃないの?」
「それはカフェのマスターとしてのバリスタデビューだ。今になってようやく気づいた。僕は起業する前からバリスタやってたんだなって」
今にして思えば、僕は5歳でペーパードリップを入れた日からバリスタデビューしていて、その腕を着実に上げていった。特に資格がいらないなら、目指そうと思った時点で名乗ればいい。
「じゃあ私も、今からショコラティエを名乗る」
「ふふっ、いいんじゃねえか、それで」
「何で笑うの?」
「璃子はさ、資格とか所属とか、そういう目に見えて分かりやすいものに囚われすぎ。もっとシンプルに考えればいいのに」
「シンプルって言われても」
他愛もないことを話していると、唯が葉月珈琲の扉を開けて入ってくる。この時間帯にはラッシュが収まることを知っていた。既に何ヵ月も経っていたのか、唯が来るのはいつもこの時間帯だ。
「エスプレッソとカプチーノをお願いします」
「分かった」
「葉月珈琲も随分と有名になりましたよねー」
「そうだな」
「昔はずっと話していられましたけど、今は引っ張りだこですもんね」
「僕はどこにも行ってないぞ。CMとかも全部断ったし」
「ええっ!? 断ったんですか!?」
「お金に興味がないからな。必要以上に稼ぐ気はない。僕は毎日コーヒーが飲めればそれでいい」
自分で淹れた1杯のドリップコーヒーを片手に持つ。
恋人を見つめるような顔で香りを楽しみ、ゆっくりと飲み干した。
「ぷはぁ~! これがやめらんねえんだわ~!」
「あず君……なんかお父さんみたいですよ」
「同じことを小さい時に何度か言われた気がする。まあでも、僕がコーヒー飲兵衛なのは間違いない。コペンハーゲンにいた時、コーヒーカクテル飲んだからさ」
「ヨーロッパは大体の国で18歳からお酒が飲めますもんね」
「そゆこと。あの時のカフェ巡りで飲んだアイリッシュコーヒーがめっちゃ美味かったんだよなぁ~。歳を聞かれて答えたら勧められてさ。日本でも飲めるようになったら作ろうと思ってる」
「楽しみにしてますね」
「唯にはまだ早いだろ」
大きな世界大会に優勝したことで、僕はようやく平和な日常を取り戻したと思っていた。
だが僕は周囲の人から『一般人』とは見なされなくなった。
――今までは通行人から背景の一部と見なされていたのに。
まるで十字架のように『ワールドバリスタチャンピオン』の称号が伸し掛かり、どこへ行っても意図せずスポットライトを浴びるようになる。特にコーヒー関係の仕事をしている人からは声をかけられやすい。店が売れたことで生活には困らなくなったが、代わりに僕は日常を失った。
誰かに声をかけられることもなく、毎日コーヒーを飲んでのんびり過ごす。
そんな生活から……どんどん離れていくような気がしたのだ――。
ある日の夜、僕は閉店が近づいた頃に金華珈琲へと赴く。客は少しばかりいた。
「おっ、いらっしゃい。ワールドバリスタチャンピオン」
「やめてくれよ。あず君でいいから」
声をかけてきたのは糸井川だった。
「日本人恐怖症は大丈夫なの?」
「東京でもみくちゃにされてたら、目を合わせずに話すくらいはできるようになった。店に来られるのは我慢できないけどな」
キッチンにいたマスターと親父が戻ってくる。
「おっ、来たねー。あず君が載ってるバリスタマガジン買っておいたよ。ちょっと言うのが遅れちゃったけど、WBC優勝おめでとう」
「ありがとう。そういえば、またJBCがあったよね?」
「あー、そうだね。今年から前倒しになったみたいだよ。少し前に優勝したJBC2008エクストラ大会チャンピオンは、来年のWBCに出ることになったんだよね。僕も参加したけど、また予選落ちしちゃったんだよねー」
「多分、プレゼンと品種の差で落とされてるんじゃないかな?」
「そうだねー。普段は店の営業だから、プレゼンとか考える暇がなくてねー。スペシャルティコーヒーも高いからあんまり買えないし」
「うちは最初コーヒーしか売ってなかったし、うちみたいにすれば買えるんじゃないか?」
「でもそうしちゃったら、デミグラスオムライスなくなっちゃうよー」
「それは困るな」
しばらくマスターたちと話した。これからどうあるべきかで迷っていることをマスターに話す。自分の道は自分で決めるべきだが、どうしても分からない時は、誰かにヒントを貰うのも悪くない。
「なるほど、燃え尽き症候群だね」
「説明のいらない症候群だな」
「夢を叶えた後って、何したらいいか分からなくなるよねー」
「一応バリスタオリンピックには出ようと思ってるけど、それまでどうやって過ごすかとか、何のためにどんな方針で店を続けるのかとか。そんなことばっかり考えるようになっちゃってさ」
「あれだけ頑なだったお前が人生に迷うなんて、珍しいこともあるんだな」
「僕だって迷うことくらいある。人間だもの」
「えっと、あず君はジャパンスペシャルティコーヒー協会のホームページは見てるかな?」
「見てるけど」
「念入りにチェックしておくといいよ。協会の会員が知り合いにいるんだけど、他にも色んなバリスタ競技会を始めるみたいだから、バリスタオリンピックまでの暇潰しに参加してみたらどうかな?」
「他にもあるのかよ」
マスターは僕の将来に1つのヒントをくれた。バリスタ競技会に出続けること、それが僕のアイデンティティになりつつあったことをマスターは見抜いていたのかもしれない。
「色んなバリスタ競技会に出てみて、それから店の方針を決めても遅くはないと思うし、少なくとも店に人が来てくれている内に、稼いでおいて損はないと思うよ」
「……じゃあそうしてみようかな」
「俺の意見は全然聞かねえくせに、マスターの意見は聞くんだな」
「参考にするだけだ。最終的には僕が決める」
マスターに背中を押してもらった僕は勘定を済ませ、金華珈琲を後にする。次の目標が決まったことで安心の表情を浮かべた。目標が決まったなら、やることは1つだ。
こうして、僕は名実共に、有名バリスタになったのである。
これにて第3章完結です。
当分は別作品を重点的に書くので更新が遅れると思います。
ここまでを読んで気に入っていただければブクマや評価をお願いします。
第4章を書く上で大きなモチベーションになりますので。