66杯目「血と汗の結晶」
――大会4日目――
この日はファイナリスト6人で予選と同じ競技を行う。
僕らは朝早くから起きて身支度を済ませて会場へと向かった。
外は誰もが着込むほど寒く、この時は重装備だ。下には競技用の服を着ている。
「アズサ、昨日までの練習を忘れるなよ」
「ああ、君たちのことは忘れない。世話になった」
「行ってこい。世界が君を待ってる」
「うんっ!」
世話になったカフェ・クリエイティブに別れを告げ、最後の戦いへと向かう。
まるでラスボスにでも挑むような気持ちだ。
璃子と共に会場の方向へと歩いていく。中世ヨーロッパを思わせるファンタジーなデザインの町並みが僕の好みと見事に一致している。こういう町並みの家は窓の数が多いように思える。
会場に着くと、穂岐山親子に迎えられた。
「あず君、ここまできたらもう優勝しかないよ」
「そうだな」
「梓君、俺は穂岐山珈琲を代表して応援させてもらうよ」
「ありがとう」
ファイナリストたちが集められ、注意事項などの説明を受ける。
僕は3番目の競技者として決勝を迎えることに。最初の競技者から順番に競技が行われていく。各国の代表やサポーターにとっては緊張の一瞬だ。この時点で多くのバリスタが脱落した。
結果が気になる人は残って観戦してもいいが、割と多くのバリスタが観客として残っていた。
「璃子、フリオ、僕は必ず優勝を狙う」
「観客席から見ているよ。父さんに代わってな。今も意識が戻らないから、そばにいてやりたいけど、回復を祈りながら応援する。俺が父さんの目になって見届ける」
「……分かった」
「お兄ちゃん、準備時間になったら呼んでね」
「ああ、ここで最後の仕事だ」
ここまでに色んな人から応援のエールを貰った。
不思議とこの時は悪くないと思えた。応援されるなんて僕の柄ではないのだが、この時ばかりは藁にも縋りたい気持ちだったのかもしれない。僕の準備時間が始まり、璃子と共にセッティングを行う。
テーブルに用意が終わると、あっという間に準備時間が終わり、プレゼンの時間を迎える。司会者に準備ができたかを確認され、OKの返事をする。
「それでは次の競技者です。第3競技者、日本代表、アズサーハーヅーキー!」
目を瞑りながら深呼吸し、精神統一を図る。
「タイム。先にシグネチャー用のエスプレッソを抽出させてもらうね。僕はコーヒー業界の地位向上に向けて日々精進したいと思っている。今回紹介するのはパナマ、ブリランテ・フトゥロ農園で採れたハニープロセス、ゲイシャのコーヒーだ。僕がこれを紹介したいと思った理由は他でもない。このコーヒーを初めて飲んだ時、僕はコーヒーが持つ新たな可能性に魅せられた」
シグネチャー用のエスプレッソを抽出すると、その容器ごと氷水で冷やす。そしてジャッジが飲むための水を注いでいく。ここまでは同じだが、ここからは全く違う立ち回りだ。決勝の舞台でも予選と変わらない姿勢で挑んだが、変わっているのはマルチタスクを伴うルーティーンだ。
プレゼンをしながら、コーヒーの抽出作業を続けた。
この時の僕は今まで以上に集中力が研ぎ澄まされており、何でもできる気がした。他のバリスタが競技していた時とは違い、僕の競技中は会場が静まり返り、全員が僕のプレゼンを集中して聞いていた。コーヒーの話をしている時は上機嫌になる。決して演技などではなく、心からコーヒーを好きだと思える気持ちを前面に出しながらコーヒーを提供していく。
エスプレッソやミルクビバレッジのフレーバーなどを紹介しながら提供し、まるで店に来ているかのような雰囲気を作る。客に心地良さを提供して日頃の疲れを癒し、嫌なことを忘れさせてくれるような場所こそ理想的なカフェだと思う。ただ最高のコーヒーを出せばいいってもんじゃないんだ。最高のおもてなしをしてこそ、真のバリスタだ。ヘンリックたちには感謝しないとな。
ジャッジを客だと思えるかどうか、その助言に勝利の秘訣があるのではないかと思った。流石は過去8回中4回も優勝している国の人だけあって鋭い。
最後にシグネチャーを作り始める。
この時、ジャッジ用の水が少なくなっていたため、水を注ぎ足した。
予め冷やして置いたエスプレッソにメープルシロップとオリジナルのオレンジシロップを混ぜて最後にブレンダーで混ぜる。この時点で残り時間は1分もあった。やはりプレゼンをしながら提供したことで作業効率が上がったお陰と言える。僕は混ぜ合わせたドリンクを別の容器に移し、細長いシャンパングラスに均等に注いでいく。4杯分をきっちり提供すると、作業ステーションの清掃に移る。
コーヒーの粉やエスプレッソマシンの清掃をし終えると、台本にはなかった最後のプレゼンをする。
「この革命的なコーヒーをきっかけに、コーヒー業界の地位が上がることを心から祈っている。今日は飲んでくれてありがとう。タイム」
プレゼンが終わると、今までの反動なのか、一斉に満場総立ちとなり拍手喝采した。
何度か僕のプレゼン終了を称える口笛までもが聞こえてくる。
「第3競技者、日本代表、アズサハヅキの競技でしたー。では競技のインタビューを行っていきたいと思います。今日は特に素晴らしいプレゼンだったよ。動きにも話す言葉にも全く無駄がなかった」
「自分でも何であそこまでできたのか不思議だ。僕は元々ダブルタスクが苦手で、本来こんなことは到底できないはずなんだ。きっとファビオが力を貸してくれたんだと思う」
「昨日会場で倒れた人と聞いたよ。無事に回復するといいね」
「ああ。競技が始まる少し前に、色んな人から力を借りていたことを改めて認識したんだ。僕1人の力ではここまで来れなかったと思う」
「アズサ、早速ゲイシャを飲ませてもらっていいかな?」
「うん、いいよ」
インタビュアーがシグネチャーの余りを飲み、僕は去っていくジャッジと握手を交わしていた。
「! 凄い、ベルガモットフレーバーに後からチョコレートのような甘さがやってくる。これはまさに革命的なコーヒーだよ」
「味の分かる人で良かった」
「これも十分美味しいけど、エスプレッソの方も気になるなー。淹れてもらっていいかな?」
「ああ、構わない」
インタビュアーからのリクエストでエスプレッソを淹れる。
ドーシングから抽出までを手早く済ませる。
「――早いね。動きに無駄がないし、ドーシングもタンピングもあっという間だ」
「喋らなきゃこんなもんだよ」
「予選の時はギリギリな感じがしたけど、今回は余裕があったねー」
「予選の時は説明パートと作業パートをきっちり分けていたから、作業効率が悪かったんだ。だから説明しながら作業ができるように特訓していた」
「決勝にいけるかどうかも分からないのに訓練してたの?」
「僕は決勝にいけるって信じてたし、背中を押してくれた人もいた」
今までどのようにしてシグネチャーを作り上げてきたのかを懇切丁寧に説明していった。競技が終わった後だというのに、会場からは人が去ろうとしない。
「このエスプレッソも凄いねー。確かに最初から最後まで柑橘系だ」
「僕も個人的に気に入ってるんだ。初めて飲んだ時は飲むフルーツだと思ったよ」
まるで延々とプレゼンが続いているかのようだった。
それほど僕へのインタビューが注目されていた証だろう。
「じゃあ、次の競技者の準備ができたみたいだから、ここで終わりにするね。第3競技者、日本代表、アズサハヅキの競技でしたー!」
こうして、僕の最後のプレゼンは拍手と歓声と共に終わった――。
しばらくは璃子と共に片づけをする。
「ようやく終わったね」
「まだ結果発表が残ってるだろ」
「この結果でお兄ちゃんの将来が決まるんだよね?」
「いや、ファイナリストにはなれたし、農園だけじゃなくうちの店にもみんなが来てくれるようになるはずだ。だから心配すんな。店は潰さない」
「店が無事でいてくれたら嬉しいけど、それよりファビオが心配かな」
「……」
ファビオ……無事でいてくれよ。
彼の無事を祈りながら片づけを終える。全てのファイナリストが競技を終えるまで観客席で待った。この時間がやってくるまでに僕は色んな人に話しかけられ、僕の店の店名と場所を聞かれた。
ということは、少なからず来る気があるということだ。
さりげなく葉月珈琲を宣伝しておいた。サインを強請られることもあったが、丁寧に断った。しばらく休んでいると、遂に結果発表の時間がやってきたのだ。
店は当分大丈夫だろう。後はどれだけ上を目指せるかだ。
「ワールドバリスタチャンピオンシップも、残すところは結果発表のみとなってしまいました。6位から順に発表します。最後に名前を呼ばれた者が優勝です」
司会者が勿体ぶりながらも順位を発表していく。
いずれも強豪国の面々ばかり。誰が優勝しても不思議ではなかった。
順位の低い順に、バリスタが国名と個人名を次々と発表されていく中、一向に僕の名前は呼ばれず、残るは僕とアイルランド代表スティーブンの2人のみとなった。
この時点で準優勝が確定した。だがこの時の僕は頂点しか見えていなかった。
どうせなら優勝を勝ち取りたい。司会者は第2位の発表をした。
――僕を呼ぶな僕を呼ぶな僕を呼ぶな僕を呼ぶな。
ずっと同じ言葉を心で呟き、祈りながら目を瞑り下を向く。
「第2位は……アイルランド代表、スティーブンだぁー!」
名前を言われたのはアイルランド代表の方だった。この瞬間に僕の優勝が確定した。名前を呼ばれた瞬間に両腕でガッツポーズをして喜んだ。
「よっしゃあああああぁぁぁぁぁ!」
喜びの余り泣き出してしまう。会場の声はまるで聞こえなかった。
それほどまでに嬉しかったのだ。今の今までずっと……社会不適合者と呼ばれた僕が……世界大会の頂点にいる。そのことを実感するのに時間はかからなかった。
「今年のワールドバリスタチャンピオンは、日本代表、アズサーハーズーキー!」
最後に国と名前を発表されて心底喜んだ。司会者や他のファイナリストたちとハグをする。気分は最高だった。史上最年少かつアジア人初の優勝だった。しかも10代での優勝も僕が初めてらしい。僕は18歳にして、トップバリスタの1人となった。
『優勝トロフィー』は土台の上に黄金のポルタフィルターが乗っているものだった。
今までのトロフィーと同様に『First place』の文字がある。
これは序の口に過ぎない。他にもバリスタの大会はいくつもあるし、何よりバリスタオリンピックがまだ残っている。色んなメディアのインタビューに答えた。難しい質問もいくつかあったが、主にゲイシャのコーヒーやコーヒー農園に関する質問が多かった。僕はその1つ1つに丁寧に答えていく。
「来年からこの舞台を目指すバリスタたちに教えてあげてほしいんだけど、バリスタ競技会で優勝するために必要なことは何だと思う?」
「優勝するために必要なのは、自分らしさを究めることだ。優勝したのは僕だったけど、他のバリスタのコーヒーも素晴らしいものだった。何が正しいかじゃなくて、自分らしいやり方を追求することが、何より大事だと思うよ」
「大会で使ったコーヒーは、君の店で飲めるの?」
「今は未定だけど、需要があれば、うちの店で出すかもしれない」
ゲイシャコーヒーは仕入れが難しいことも伝えた。今までにないタイプのバリスタということもあって質問攻めに遭っていたが、店のためと思って辛抱強く答え続けた。インタビューが終わると、WBCはお開きになり、会場にいたみんなが解散して帰っていく。
その時だった――。
「アズサ、母さんから連絡があったんだよ!」
「何て言ってたの?」
「父さんの意識が戻ったってさ」
「マジでっ!?」
「ああ、本当だっ! アズサの信念が神に届いたんだ。病院行こうよ。父さんにそれ見せてやってよ」
「そうだな。美羽、璃子を頼む」
「う、うん」
フリオと共にコペンハーゲンの病院まで赴く。関係者であることを伝え、病室まで案内された。
引き戸を開けると、ベッドで横になっているファビオの姿があった。カルメンも一緒だった。ファビオは意識が朦朧としており、どこかしんどそうだ。
「父さんっ!」
「フリオ、さっき意識が戻ったところなの」
「アズサにフリオじゃねえか――どうしたんだ?」
意識があることを確認すると、僕は泣きながらバッグの中からWBCの優勝トロフィーを出し、ファビオの目の前に掲げた。
「ファビオ、これを見て!」
「アズサ……そのトロフィーは?」
「ほらっ、僕優勝したんだよ。あんたの豆で掴んだ優勝だ。だからっ……早く元気になって」
「おー……そうか……優勝したんだな。おめでとう」
ファビオは今にも力尽きそうなくらい弱々しい声で囁くように僕の優勝を称える。
いつものようにハイテンションになる元気もない。
「俺は……アズサが俺の育てた豆で優勝するのを見守るために……今日までずっと生かされていたのかもしれない。これで親父に良い土産話ができる」
「何言ってんだよ父さん! これからいくらでも見れるだろ!」
フリオも涙目になりファビオの手を掴む。
「……済まんな。俺はもうこれ以上は生きられねえみてえだ。だからフリオ……コーヒー農園を頼むぞ」
ファビオの言葉は……まるでこれから死ぬことが分かっている人の台詞だった。
そんなの嫌だ。ファビオに死んでほしくない。僕に人生逆転のチャンスを与えてくれた最大の功労者の1人だ。こんなところで死んでいいはずがないっ!
もっと色んな世界を見せてやりたいと思っていたのにっ!
「アズサ……あんたは紛れもなく最高のバリスタだ。こんな俺なんかのために……うちの豆を世界に広めてくれて……ありが……とう……」
ファビオは最後の力を振り絞って僕に感謝の言葉を残すと、目を閉じてしまい、腕が重力に従うようにベッドの上に力なく落ち、動かなくなる。
「……ファビオ……ファビオッ! どうしたんだよ!? なあ!? おいっ、返事しろよっ! まだちゃんとお礼も言ってないのにっ!」
涙をボロボロと流しながら力尽きたファビオの体を揺さ振り、必死に叫ぶように声をかけた。しばらくしてようやく死んだことを認識すると、僕の心の悲しみがピークに達した。
「ううっ、うっ、あああああぁぁぁぁぁ!」
「父さん……」
「ファビオ……」
病室はさっきとは一転して悲しみに包まれていた。僕は涙が枯れるまでずっと泣き続けた。ついさっきまで笑いながらコーヒーの話をしていた相手が急にいなくなる。
18年間生きてきて全然分からなかったけど、ようやく分かった。
これが……寂しさというものなんだ。こんな辛い思いをするくらいなら、分からなかった方がマシだったかもしれない。この辛さは流石に応えた。
失意のまま病院を後にする――。
フリオたちはファビオの亡骸を引き取ってパナマに帰国した。僕にとって、この日は……人生最高の日にして、人生最悪の日でもあった。
――ファビオ……ありがとう。
璃子と美羽と穂岐山社長に会うが、すぐ僕の異常に気づく。ファビオの死を3人に知らせると、璃子に抱きついて涙を流す。璃子も美羽も釣られて泣いてしまった。穂岐山社長も残念そうな顔だ。とても優勝を祝えるような空気じゃなかった。泊まる場所がなかったため、美羽たちが泊まっているホテルに泊まらせてもらうことに。きっと僕に同情したからだ。
僕と璃子はホテルの部屋へと入った。
ずっと落ち込んだ表情が続き、腐った魚のような目をしていた。
「お兄ちゃん、悲しいのは分かるけど、いつまでも落ち込んでたら、ファビオに怒られるよ」
「僕が悲しいのはな、ファビオから貰った恩恵があまりにも大きすぎたからだ。まだそれをちっとも返しきれてないのに……」
「だったらフリオに返せばいいでしょ。これからたくさん受けた恩恵をフリオに返していけば、ファビオも喜ぶんじゃない?」
「……そうだな」
幸いだったのは、僕が病室に行くまで生きてくれていたことだ。
これはきっと何かのメッセージだ。僕にはそう思えた。ファビオは僕に店を存続するチャンスを与えてくれたんだ。絶対に潰すわけにはいかない。
ファビオが遺したこのコーヒーをみんなに知ってもらうことができた。それだけでも意味はあった。
「璃子、店に戻ったら営業を再開するぞ」
「うん、私もお兄ちゃんのために頑張るから」
璃子が僕の肩に頭をくっつける。
「! 璃子、明日には帰りの便に乗らないといけないけど、その前にカフェ巡りをしながらさ、チョコレート、買いに行こうぜ」
「いいけど、お金大丈夫なの?」
「全財産持ってきたから大丈夫だ」
「全然大丈夫じゃないじゃん」
「お金なんて後からいくらでも稼げばいいんだ。日本に戻ったら、もう来ようと思っても、当分ここには来れないんだからさ、今を楽しめよ」
「ふふっ、やっと元に戻ったね」
「あっ、そうだ。カフェ・クリエイティブに報告しに行かないと」
「じゃあ一緒に行く」
カフェ・クリエイティブへと向かう。この時、既に夕方を迎えていた。
無事に優勝できたことを報告する。ファビオのことはあえて話さなかった。このことは僕らの中だけで留めておきたかった。そうでもしなきゃ、とても涙を堪えることはできなかった。
「優勝トロフィーはあるか?」
「ほらっ、これだよ」
「黄金のポルタフィルターか、久しぶりに見たな」
「ヘンリックは一度見たんだっけ?」
「ああ。でもラースは初めて見たよな?」
「そうだな。俺もいつかはこいつを手に入れてみたいよ。アズサ、それはトップを目指すバリスタであれば誰もが欲しがるほどの代物だ。大事にしろよ」
「分かってるよ」
この優勝トロフィーは僕とファビオが二人三脚で勝ち取った血と汗の結晶だ。一生ものの宝物であることは間違いない。これは世界一のバリスタの証であると同時に、彼がこの時代を生きた証でもある。
トロフィーをバッグにしまい込んだ。
「アズサだっけ。優勝おめでとう」
「おめでとう」
「君は本当に対した奴だ。もう夢中になって見ていたよ」
「あのプレゼンは一生の思い出だよ」
カフェ・クリエイティブの常連が僕に声をかけてくる。休暇が取れたら、店まで来てくれるらしい。しかもその内の何人かは僕のプレゼンを録画してくれていた。
「じゃあもう帰るわ。明日には戻らないと」
「そうか。日本に帰っても元気でな」
「うん……じゃあ、元気でね。またどこかで会おう」
また涙目になっていた。いつからこんなに涙脆くなったんだろう。
僕と璃子は注文したコーヒーを飲んでからホテルへと戻った。僕は本当に幸せ者だ……間違いなく。
コーヒーが僕に幸福をもたらしてくれた。
WBCでどうにか優勝はしたが、まだまだ僕の人生はこれからだ。やるべきことはたくさんある。コーヒーから受けた恩恵を何としてでも返していきたい。いつしかそんな想いを持つようになっていた。僕にとってこの試練は大きな財産となった。
コーヒーは僕を選んでくれた……愛してるよ……我が最愛の恋人よ。
ようやく大会終了です。
あず君が寂しさというものを知ります。