53杯目「コーヒー精製工場」
コーヒー精製工場では作業員たちが大量のコーヒーを扱っていた。
パティオと呼ばれる乾燥場でコーヒーを乾燥させたり、パルパーと呼ばれる果肉除去機でコーヒーの生豆を取り出す作業をしていた。発酵槽や機械乾燥場なんかもあった。
コーヒーを取り扱う設備としては申し分ない。この場所で生まれるコーヒーなら、客に提供するバリスタとしても安心できるってもんだ。契約を結ぶなら、充実した設備を持っている農園がいい。摘み取られたコーヒーチェリーはすぐこの精製工場まで運ばれ、水槽で比重選別し、パルピングと呼ばれる果肉除去を行う。その後、数日ほど発酵槽で水浸けせずにドライ発酵して水洗いとなり、天日乾燥する。
しかし、パナマは雨が多いため天日乾燥のみで、パーチメントを仕上げることはあんまりなく、ほとんどが天日と機械の併用による乾燥となる。できなくはないが、ごく少量のみの生産となるため、価格はかなり高くなってしまう。コーヒー豆のコンテストに出品しているロットは天日乾燥のものが多いのだが、コンテスト用の小ロットだけでもできるらしい。通常、豆の含水量が20%程度になるまでパティオで2日間ほど天日乾燥する。その後、乾燥機で10%程度まで乾燥させる。
乾燥直後のパーチメントはとても良い香りがする。
幸いにもこの日は快晴だ。思う存分作業工程を見られる。
ブリランテ・フトゥロ農園のゲイシャはハニープロセスであるため、パルパーにかけて皮、果肉は取り除くものの、後で乾燥させる。つまり、ミューシレージがついたまま乾燥させるのだ。
ウォッシュドより特有の甘味のある香味になり、ナチュラルほどクセのある味わいにもならないが、この農園ではこのやり方が最適なんだとか。
「いっぱいコーヒーチェリーがあるな」
「ああ、君たちが収穫してくれたコーヒーチェリーも、もうすぐ届くはずだ」
「こうやってコーヒーが出来上がっていくのか」
「ああ。長い年月をかけて、ようやく味わい深いコーヒーになるってわけさ」
最愛の恋人の作業工程を確と見届けた。
「あっ、そうだ。うちのゲイシャのコーヒー飲んでいくかい?」
「うん。是非飲ませてほしい」
「あそこにエスプレッソマシンがあるだろ? よかったらアズサが淹れてくれないか?」
「僕が使っていいの?」
「ああ、ヴェネツィアでもアトランタでも大暴れしてたんだろ? その腕前を披露してくれよ。君の噂を聞いてから、ずっと見てみたかったんだ」
「分かった。そういうことなら喜んでやる」
ファビオに言われるまま、生まれて初めてゲイシャのコーヒーでエスプレッソを淹れる。2つのポルタフィルターを使い、あっという間にドーシングから抽出までの作業を淡々とこなしていく。
「噂には聞いていたけど……早いな」
「ああ、もう抽出ボタンまで押してるぞ」
「ふーん、お店で作業してる時は普通って思ってたけど、あず君って作業早いんだね」
「最適な動きをしているだけだ。今まで見てきたバリスタの動きを取り入れてる」
シングルショットのエスプレッソが4杯分出来上がる。
僕らはコーヒーカップを持ち、ゲイシャの味を堪能する。
……! 美味い。これがゲイシャで淹れたエスプレッソなのかっ! ニコラスの家で飲んだ時はペーパードリップで淹れたものだったが、エスプレッソで淹れたゲイシャは更に濃厚だ。
「! 美味しい。これ本当にコーヒーなの? なんかとろみのあるオレンジを飲んでいるみたい。こんなコーヒー……初めてかも」
「ここのゲイシャは他のどこよりも柑橘類のフレーバーが強いんだ。一度ドリップコーヒーで飲んだことがあるけど、エスプレッソだと、また違う味わいだ」
「あのっ! ここの豆はいくらで売られてるんですか!?」
美羽がここのコーヒーを気に入ったのか、ファビオにコーヒーの価格を聞いた。
「その前に聞きたい。君は何でうちの豆が欲しいんだ?」
「父が喜ぶからです。彼も言っていましたが、あたしの父はコーヒー会社の社長で、世界中のコーヒー農園と契約しています。これは今までに飲んだことのない究極の味で、父も喜んでくれると思います」
「そんなんじゃ駄目だ」
「えっ!?」
「つまらん理由の奴に豆は売れん」
「そんな!」
ファビオはあっさりと美羽と突っぱねた。親父が喜ぶからってのは理由として弱い。何故理由の中心に自分がいないのか、甚だ疑問である。僕はファビオの肩を持った。
――僕がここの園長でも売りたくはない。
「さっきも言ったが、俺は気に入った奴にしか豆を売らない」
「でも彼のことは気に入ってるんですよね?」
「それは彼の理由次第だ」
「……そうですか」
「君は何のためにバリスタを目指してるんだ?」
「それは……」
「俺はあんたみたいな自分の人生に何の哲学もない奴に豆を売る気はない。そういう奴に限って、目先の利益しか頭にない。稼ぐことしか頭にねえ奴と契約を結んでロクな目にあった試しがねえんだ。君の親父さんには悪いが、今回は諦めてくれ」
さっきとは一転して落ち込んでしまい、その場を離れて1人になる。
美羽に駆け寄ると、彼女は啜り泣きしていた。
「ううっ、目の前にチャンスがあるっていうのにっ!」
「美羽」
「あず君……あのさ……もし彼と契約できたら、穂岐山珈琲にも分けてくれないかな?」
「断る」
「どうして?」
「そんなことをすれば、ファビオの信念に背くことになる」
「――何でこういう時だけ律儀なの?」
――違う。これは律儀とかそういう問題じゃない。
ここの豆は辛抱強く豆を作り続けてきた彼の信念の結晶だ。ここの豆を買うということは、彼に代わって彼の信念を世界へと羽ばたかせる責務を背負うということだ。
豆を買う者には、豆を作った人たちの信念、そして豆から作られたコーヒーの声を何としてでも客に届けるという一筋の想いを持つべきなんだ。それが僕の……バリスタとしての信念だ。
「美羽はバレンタインチョコを渡した相手が別の人にチョコを渡していることを知ったらどう思う?」
「それは……悲しいかな」
「契約ってのはな、単なるビジネスじゃねえ。人と人の繋がりなんだよ。仕事をしたことのない美羽には分からないだろうけど」
「あたしは……どうすればいいの?」
美羽の涙が頬を伝い、うるうると目を震わせながら教えを請う。
ビジネスに正解はない。その場その場の最適解をひたすら手探りで見つけるしかない。
「……美羽が僕を好きになったのは、ビジネス的に得だからか? それとも親父が喜ぶからか?」
「違う。あたしがあず君を好きになったのは、あたしに希望を与えてくれたから。だからずっと、あず君を支えていきたいって思ったの」
「僕はそれと同じ気持ちをコーヒーに対して持ってる」
「!?」
美羽が何かに気づいたような素振りを見せる。
どうやらこれに気づけないほど、腐りきってはいないようだ。
「あず君はここの豆を買ってどうしたいの?」
「ファビオに聞かれたら答える」
僕が言い残すと、後ろを向き作業場の方向へと歩き出す――。
「あず君はずるいよ」
「!」
美羽の言葉に反応し、ピタッと足を止める。
「あたしはいつも置いてけぼり。今回もだよ。いつだってそう。周りに一切合わせず、自分のペースでどんどんあたしたちを突き放しちゃう」
「……だったら追いついてこいよ」
「?」
後ろを向いたまま返事をする。
「――僕は面白いと思ったものにしか興味がない。君が追いついてこないなら、僕は前へ進むだけだ」
「あんたって本当に社会不適合者だね」
「誉め言葉と受け取っておく。僕が大好きな言葉だ」
「ふふっ、あはははは!」
「何がおかしいの?」
「あたし、どうかしてた。あれじゃまるでお父さんの代理人みたい。そりゃ無理なわけだ」
「今はさ、契約なんかよりも、豆ができるまでの作業工程を楽しもうぜ」
「……うんっ!」
美羽に手を差し伸べ、彼女は僕の手を掴む。
ファビオの案内で、コーヒー豆の精製工程を見学していく。
コーヒーチェリーや豆の動きに夢中になり、さながら工場見学をしている子供のようだった。この日の出来事は僕にとって大きな財産になった。作業員の2人が話しかけてくる。片方は後ろにまとめた黒髪のロングヘアーの女、もう片方は茶髪のショートヘアーの女だ。
「あたしはビアンカ・ロドリゲス。よろしく」
「私はイサベル・オカシオ。よろしくね」
「葉月梓、よろしく」
「もしかしてアズサハヅキなの? 歓迎するよ。ここの人はみんな知ってるよね?」
「うん。ラテアートの大会で優勝してたよね。噂通りめっちゃラブリー」
「本当に男の子なの?」
「一応な」
作業員たちと雑談をする。一部の人は僕を知っているようだ。大会の会場で誰かが撮った動画を見ていたらしい。これがインターネットの力か。動画の影響で段々と国境が溶けている状況を肌で感じた。これが普及すれば、日本もグローバル社会になっていくのかな。
僕らは精製工場を後にし、ファビオの家に泊めてもらうことに。
この日の夜、僕らは夕食を済ませ、全員が風呂に入り就寝を迎える頃、僕はファビオに呼ばれて2人きりになる。美羽、ディエゴ、ファビオの家族は全員ぐっすりと眠っていた。
「アズサ、今日農園と工場を見学してどう思った?」
「凄く良い経験だった」
「俺が英語で話してることには驚かないんだな」
「あんたが英語を話せることは知っていた」
「いつから気づいてたんだ?」
「僕が女と勘違いされて、僕は男だって英語で言った時、あんたはディエゴが通訳をする前に彼と一緒に驚いていた。スペイン語しか話せない人には、できない反応だった」
「ハハッ、迂闊だったなー」
ファビオは笑いながら自らの敗北を認める。
何故英語が分からないふりをしたのだろうか。
「分からないふりをすれば、ディエゴと君らが話してる時の会話を通して本音が聞けると思ったんだ」
「あんたも人が悪いねー」
「悪いな。俺はビジネスで痛い目を見てきたから結構疑り深いんだ。君の連れの姉ちゃんは精製工場でディエゴと話している時、ずっと豆を持ち帰って会社を儲けさせることばっかり話してやがった」
「美羽はビジネスをしたことがないからな」
ファビオは美羽を責めるが、同時に褒めてもいた。美羽がファビオの話を聞いた時、凄く悲しそうな顔をしていたとか。彼女の人柄についてはそれなりに評価している様子だ。
いつか美羽が立派なバリスタになった時は、穂岐山珈琲との契約も考えるらしい。
「君がこの農園でコーヒーチェリーの採取を手伝いながらディエゴと話していた時、この農園の良さを世界に広めれば、正当な価格でここの豆を買ってくれる人が現れるかもしれないと話していたな」
「あー、それはまだ気づいてなかった時だな」
ファビオは疑り深い性格だからこそ、人の心の動きを隅々まで観察し、他の人がまず気づかないであろう深層心理にまで辿り着くことができるのだ。
僕はそこまでできないが、きっと彼は僕に似ているのかもしれない。
「君は何故うちの豆が欲しいんだ?」
「――コーヒーが持つ可能性を世界に知らしめたいからだ。そのためには今までにない新しいコーヒーをバリスタ競技会でみんなにアピールする必要がある。ここのコーヒーの味を知っている人はまだまだごく僅かだ。けどゲイシャの魅力をみんなに伝えれば、バリスタ、ロースター、コーヒーファーマーの地位は間違いなく上がるはずだ。何よりあんたを馬鹿にして、安価で豆を買い叩いた連中を見返せる。僕はその手伝いがしたくなった」
「君は俺が何をしたいのかが分かっているようだ」
「お互い考えることは一緒みたいだからな」
僕は今まで自分を迫害してきた日本人の奴らを、ファビオは自分の豆を安く買い叩いた輸入業者を見返すことが原動力になっている。何故それに気づけたかと言えば、ファビオは暇さえあればずっと愚痴をこぼしていたからだ。そして過去を忘れようと作業に没頭していた。
ファビオは悔しい気持ちを抑えきれないのだ。彼もまた、ずっと巨悪と戦い続けていたのだ。その姿はかつての自分を彷彿とさせるものだった。
バリスタ競技会でこの豆をアピールして結果を残せれば、双方の目的が達成されるわけだ。
相互利益、それがビジネスの本質だ。
自分の目標を達成したくば、まずは相手が望むものを与えるべきなのだ。
「君はどんなバリスタ競技会に出るつもりなんだ?」
「今のところはWBCを目指してる」
「WBC……聞いたことがある。確か年に1回行われるバリスタ競技会の中では最大規模とされるメジャー競技会だろう」
「うん。僕はここのコーヒーで出場して、この農園の良さをアピールするつもりだ。存在が多くの人に認知されれば、価格は自然に上がっていく。そうなれば安く買い叩かれずに済む」
僕は何かをする際に一切の妥協はしない。本気でぶつからなければ、相手だって本気を出してはくれないのだ。創業してからずっと……何事にも体当たりで挑んできた。将来の夢を聞かれる度に、世界一のバリスタと答えてきたが、理由までは答えられなかった。だがようやく理由を見出せそうだ。
それは……コーヒー業界の地位を上げるためだっ!
「俺は……何より第一に我々のことを考えてくれた君が心底気に入った。面白い。俺もその案に乗らせてもらおうじゃねえか」
「……感謝する」
「君は変わっているが、とても良い奴だ。うちの豆で良ければ好きなだけ買ってくれ。遠慮はいらん」
「ああ、正当な価格で買い取らせてもらう」
「契約成立だな」
「うんっ!」
微笑みながら握手を交わす。どうやら気に入ってもらえたらしい。
「ここのゲイシャは1ポンド150ドルだ」
「分かった。じゃあ300ポンド分を3回に分けて届けてくれないか?」
「3回に分けるのか?」
「うん。1月分と3月分と5月分の3回だ。それぞれの上旬に届けてほしい」
「分かった。じゃあ明日手続きだな。おやすみ」
「おやすみ」
明日に備えて床に就く。無事にブリランテ・フトゥロ農園との契約を勝ち取った。今まではコーヒー豆の卸売業にネットで注文して仕入れていたが、コーヒー農園と直接契約したのは初めてだ。
僕にとっては初めての契約農園だ。しばらくはここの世話になるだろう。
問題は価格だが、正直に言えば高い。コーヒーの価格としてはだが……1ポンドでワインボトルの半分に達するかどうかくらいの分量だ。それが約1万5000円前後と考えれば、その高さが分かる。
万が一のことがあってもいいよう分割しようと考えた。
翌日――。
「……もう朝か」
ファビオの家の時計を確認する。
「――ん? 11時?」
顔色が段々悪くなる。
「やばいっ! 今日の夕方までに飛行機に乗らないとっ!」
急いで身支度を済ませ、起きていたファビオに会った。
「おっ、かなり長い時間寝てたな」
「旅の疲れが一気に出たんだろうな」
「じゃあここにサインしてくれ。後で文句を言われないよう、英語の契約書にしておいた」
「ああ、ありがとう」
ブリランテ・フトゥロ農園との契約書を隅から隅まで読む。
昨日言った通りの注文が書かれている。確認が終わると契約書に自分の名前を筆記体で書いた。保存方法まで書いてくれているなんて、本当に親切だな。
待ちくたびれた様子の美羽が現れた。
「あず君遅ーい」
「悪いな。契約書にサインしてた。もう大丈夫だ」
「昼飯は食べていかないのか?」
「もうそんな時間はないみたいだ。世話になった」
「そうか。日本に戻っても元気でな。応援してるぞ」
「ありがとう。もし良かったら、僕が大会でここのコーヒーをプレゼンするとこを見に来てよ」
「いいぜ。いい加減なプレゼンなんかしたら承知しねえぞ」
「分かってるよ。じゃあな」
ディエゴの車で空港まで移動する。ファビオたちは僕らの姿が見えなくなるまで手を振っていた。
あの農園の標高は1000メートルを超えていた。
そうか……何故僕があんなに長い時間睡眠をしていたのかが分かった。暑さと酸素の少ない環境にいたことで、自分が思っている以上に疲れていたんだ。
「あのさ、美羽は大学行かなくて大丈夫なわけ?」
「うん、1週間くらいなら全然平気。でも帰ったらしばらく寝ちゃうかも」
「いきなり日本とは違う環境に来たもんな。無理ねえよ」
「あず君は契約できたんだ」
「うん。契約書の控えも貰ったし、何の問題もない」
「あず君はそのコーヒーをお店で売るの?」
「あくまでも最終手段だ。僕はこれでJBCに出る」
「日本人恐怖症があるのに?」
「……あっ!」
「はぁ~」
美羽が呆れるようにため息を吐く。
そこまで考えてなかったが、とりあえず来年やることは決まった。営業の合間や営業時間が終わった後にゲイシャでシグネチャードリンクを作る。数に限りがあるため、できるだけ少ない試行回数で完成させたいものだ。あのゲイシャの味は僕の舌がしっかり覚えている。
万が一ゲイシャが届かなかった時のために、他のシグネチャーの実験もする必要があった。
帰ってもしばらくは休めそうにないなこりゃ。
空港に着くと、ディエゴとお別れとなる。彼のガイドもかなり助かった。僕も美羽もディエゴに礼をを言うと、ディエゴも今までにない体験ができて楽しかったと返事をする。
「君たちのこと、ケンザブローに伝えておくよ」
「美羽のことなら伝えてもいいけど、僕のことは内緒にしててくれ」
「えっ、何で?」
「このことが穂岐山社長に伝われば、ますます僕が欲しくなるだろうから」
「欲しくなる?」
「彼はお父さんのお気に入りなの。会社に引き入れようと必死なわけ」
「あー、そういうことか。分かったよ」
ディエゴはあっさり納得すると、車で帰っていった。
「美羽もだぞ。穂岐山社長には僕と一緒にいたことは内緒だ」
「別にいいけど、お父さんは喉から手が出るほどゲイシャを欲しがっていたから、結構落胆するかも」
「確か色んなコーヒー農園と契約してたんだっけ?」
「うん。でもゲイシャを栽培している農園はまだなの。あず君に先を越されるなんて思わなかったな」
「美羽は最初からそれが目的だったのか?」
「あず君についていくのが1番に決まってるでしょ」
美羽の言っていることが本当かどうか分からなかった。
いずれにせよ、こいつが自分の意思じゃなく、おじさんの意思にある程度コントロールされているということだけは分かる。これでハッキリした。僕はコーヒー業界の地位をメジャー業界に押し上げることを目的に、世界一のバリスタになることを決意する。
この頃のコーヒー業界はまだマイナーな業界で、当然だがバリスタの地位も低かった。
一生できるような仕事じゃないと見なされていたのも理由の1つだ。
だが僕は必ず、バリスタが一生続けられる職業と呼ばれるよう最大限努力するつもりだ。恐らく来年は僕の一生を決める年になるだろうと、密かに確信する。
空港に入ると、僕らは静かに手続きを済ませるのだった。
今回もコーヒー用語の説明多めです。
コーヒー精製工場の内容は実際に行った人の話を元にしています。




