51杯目「中米への遠征」
第3章の始まりです。
お楽しみください。
10月上旬、パナマ行きの便に乗った。
パナマは中米の最も南にある国であり、日本からは非常に遠いため、パナマ行きの便は一度アメリカを経由してからパナマ本土まで赴くことに。
飛行機の中は思ったより快適だった。隣にいる……この厄介者を除けばだが。
2時間前――。
東京にまで赴き、パナマ行きの便に乗る頃、地獄のような電車に耐え、やっとの思いで空港に着く。だから東京は嫌いなんだ。電車の中では人の顔を見ないよう、窓の外の景色ばかりを見ていた。
東京に近づく毎に人口密度が増し、東京駅に着く頃には人の波がやってくる。この移動だけで体力をごっそり持っていかれるのは何とかならないのだろうか。東京の人口は年々増加しており、この時は既に1000万人を超えていた。あの人口密度には毎度びっくりさせられる。手続きを済ませ、パナマ行きの便に乗るのを待っていた時だった。僕はそこで信じられない光景を目にしたのだ。
ふと、声が聞こえる方向を見ると、美羽が遠くから笑顔で手を振ってアピールしている。
――嘘……だろ?
こんな気持ちになったのは、かつてナチ野郎とまた同じクラスになってしまった時以来。どうしてこうなった。僕が一体何をしたって言うんだ?
いや、待てよ。今の僕と美羽の間には接点がない。だから恐らく違う便だろう。ていうかそうとしか思えないし、同じ便だったとしても、同じ目的地とは限らない。
「あず君、久しぶり」
「なんか用か?」
「やだなー、これから一緒にパナマまで行くってのにー」
「! ……えっ! 何で知ってるのっ!?」
「美咲に聞いたの。パナマに行きたいってお父さんに言ったら、あっさり渡航費と宿泊費をくれたの」
――しまったっ! 美咲と美羽が仲良いの忘れてたぁー!
ていうかパナマ行きたいの一言で行けるってどんな家庭だよ!?
やっぱこいつの家は金持ちだ。間違いなく。
「――君の家って相当余裕あるんだね」
「それもあるけど、あたしは何よりあず君に会いたいから来たの。それにゲイシャのコーヒーがどんなものかも確かめたいし」
「ゲイシャ知ってたんだ」
「お父さんにパナマ行きの話をした時に、パナマにはゲイシャっていうとても美味しいコーヒーがあるって言ってたから、多分あず君もそれが目当てかなって思ったの」
僕の思考はお見通しか。だが飛行機の席は僕がどこに座るかなんて、美羽には分かるまい。
――そう思ったのが間違いだった。
席に腰かけると、その隣に美羽が座ってきたのだ。
いやいや、流石に僕の席を航空会社に問い合わせたとか、そんなことしてないよな?
やばい、なんか怖くなってきた。
気分が悪くなり、凍りつくように表情が暗くなる。この状態をあと何時間耐えればいいんだ?
「何で隣なの?」
「だってあず君端っこ好きでしょ? だから端っこの隣を指定席にしたの。あたしは予想が当たってたらラッキーくらいにしか思ってなかったけど、まさか同じ便の隣の席になるなんてねー。やっぱりあたしたちって、運命の赤い糸で結ばれてるのかもね。ふふっ」
「腐れ縁の間違いじゃねえの?」
「酷いなー、本当は照れてるくせにー」
僕が端っこ好きなのもお見通しかよ。こいつは探偵か何かか?
窓際の1番後ろの席であったため、美羽を避けるように窓の外を眺めていた。
国際空港なだけあり、飛行機がたくさん並んでいる。
しばらくして飛行機が飛び立ち、今に至るというわけだ。
旅の疲れが出たのか、飛行機の中で眠っていた。もうハワイは超えたのかな?
「……んー」
「あっ、目が覚めたね」
目の前には美羽の顔があった。
「! 来ないでっ!」
「あー、ごめんね。ビックリさせちゃったね」
咄嗟に腕で自分の顔をガードする。
「あのさ、仮交際だからって、必要以上に僕に近づくのは止めてくれないか?」
「えぇー、どうして?」
「日本人が怖いんだ。だから近づかないでくれ」
「病院には行ったの?」
「行ったよ。精神科の病院まで行ったら、対人恐怖型のPTSDだってさ」
「――やっぱりトラウマだったんだ」
「君のサークル仲間は勘が鋭いんだな」
「何人かは元々医学部を目指してた人だからね」
WBC東京大会での出来事を思い出す。確かその時もPTSDであると疑われた。調べたら確か6ヵ月以上続いたものがそうだったはずだ。僕の場合だと、症状自体は発症した時よりはマシになっているが、相変わらず日本人を見ると体に震えが走る。
僕がコーヒーを淹れる時、コーヒー以外は何も見ない。
そうでもしないと、手元が狂いそうでならない。
今、僕の席の左には窓があり、右には美羽が居座っている。美羽との距離を確認するべく右方向を見ると、カールになっている黒髪のポニテから仄かに香水の匂いがする。それにしても……でかい。
Tシャツ越しに見える2つの大きなメロンをジーッと見つめていた。
すると、不覚にも美羽に気づかれてしまう。
「あず君、今あたしの胸見てたでしょ?」
「自己主張が激しいから目に入りやすいんだよ」
「ふふっ、言い訳するあず君も可愛い」
「ほざいてろ……あっ!」
「どうかしたの?」
「スペイン語分かんない。どうしよう」
「それならガイドさんがいるから大丈夫だよ」
「ガイドさん?」
「うん、お父さんの友達が現地でガイドをやってるから、その人と会えば大丈夫だよ」
――助かったぁ~。日本語と英語とイタリア語は話せるが、スペイン語は守備範囲外なのだ。でもとんだアクシデントのお陰で何とかなりそうだ。
僕と美羽は機内食を食べては寝るの作業を繰り返した。
しばらくしてアメリカを経由し、パナマ本国へと向かった。もう何時間が過ぎただろうか。
日付を見ると、昨日の日付に戻っている。日付変更線を超えた証拠だ。だが僕は時差ぼけを起こすことなくのんびりと飛行機の中で過ごした。飛行機がパナマに到着する。パナマの空港に着くと、そこで穂岐山社長の友人であるガイドと会った。ガイドは地元のパナマ人で、ディエゴという人だった。
スポーツ刈りで肌は黒め、見た目は50代くらいの人が気さくに英語で話しかけてくる。
ということは、親父やおじさんと同い年くらいだろうか。
「ミウホキヤマ、話は親父さんから聞いてるよ。俺が案内するぜ」
「はい。よろしくお願いします」
「やあ、アズサハヅキ。俺はディエゴ・ベラスケス。よろしくな」
「ああ、よろしく」
挨拶の言葉と共に握手を交わす。
この時はもう夕方であったため、コーヒー農園には明日赴くことに。
ずっと行きたくてしょうがなかった。
「ケンザブローとはずっと前からの友人だ。彼は中南米の国にある色んなコーヒー農園を見て回っていたんだ。俺は彼が初めてパナマにやって来た時に知り合った。その時彼のガイドを務めた。まさか娘さんを行かせるから面倒を見てやってくれと連絡を寄こしてくるなんて、思ってもみなかった。娘がいるのは知っていたけど、凄く美人だね」
「ありがとう」
「アズサはミウの彼氏かい?」
「ちげえよ。元々は僕1人で行くはずだったけど、彼女の友人が、僕がパナマに行くことをうっかり教えちゃったせいで、ついてくることになった」
「結構好かれてるじゃねえか」
ディエゴはすぐに美羽の本質を見抜く。しかし、その好意から生じる行為が僕には傍迷惑なのだ。
僕らはディエゴの案内で地元のホテルに入り、チェックインを済ませるが……。
「えっ、僕の部屋ないの?」
「うん、お父さんにはあず君のこと話してないから、1部屋分しか予約してないの」
「そりゃそうか。じゃあ僕は別の宿まで――」
「大丈夫。あたしと同じ部屋に泊まればいいじゃん」
「……何言ってんの?」
「あたしの部屋は2人分の予約で、もうチェックインしたから」
「じゃあ料金払うよ」
「いいの。そんな遠慮しなくていいから」
いやいや、遠慮するって。男女が同じ部屋に泊まるとか、そんなの身内以外の異性となんてしたことないし、何考えてんだよ? 身内でもないのに、何から何まで世話になると、どこか裏を感じる。僕を買ってくれているのは分かるけど、ここまでされると、何だか申し訳なくなってくる。
「あのさ、何でそこまで――」
「あず君が好きだから」
「……えっ!?」
「あたし、あず君が好き。だからあず君のためなら何でもしてあげたいの」
――ん? 今何でもって言ったよね? ほんとかなぁ~。
「じゃあ家買って」
「いいけど、その代わりあたしと真剣交際してくれる?」
「やっぱ今のなし」
「えー、何で?」
「君と真剣交際なんてしたら、色々と面倒事に巻き込まれそうだからな」
「まるであたしがトラブルメーカーみたいじゃん。それを言うなら、あず君だってそうでしょ?」
「僕は自分から人と関わることはないし、トラブルメーカーに仕立て上げられることはあっても、自分から巻き込まれることはない」
「何その理屈」
近くのレストランで一緒に食事をする。地元のパナマ料理を提供する場所らしい。
アロス・コン・ポジョという料理を注文した。アロスは米、ポジョは鶏肉という意味で、文字通り鶏肉をトマトソースで煮込み、パセリ、ローリエ、ニンニク、サフラン、塩や胡椒などを加え、米を投入した鶏肉混ぜごはんだ。パナマではポピュラーな定番料理らしい。
……うん、いける。ニンニクが少し気になるが、それを差し引いてもこの柔らかい鶏肉が僕の舌を唸らせてくれる。米も割とパラパラしてるし、どこの国に行っても、美味いもんはちゃんとあるんだな。
「あず君、凄く美味しそうに食べるねー」
「本当は1人で食べたかったんだけど」
「まあいいじゃん。それにしてもよく食べるねー」
「元々食べる方だ。周りからは痩せてるからもっと食べろとか言われるけど、何でもかんでも見た目で判断しないでほしいもんだ」
「とは言っても、あず君の見た目は小柄の女の子だし、無理ないと思うよ」
「ロングヘアーで中性声で女子っぽいから女っていう固定観念をみんなが捨てればいい」
「それは無理だよ。まあ、テレビとかの影響も大きいかもねー」
美羽とディエゴと食事をしながら世間話をする。
慣れない環境で不安だったのか、この時は会食恐怖症である僕も、2人と安心して食事ができた。
「アズサ、パナマ料理はどうだ?」
「ニンニクが少し気になるけど、他は文句なしかな」
「ニンニク苦手なの?」
「野菜全般苦手だな。特にニンニクが苦手だけど、最近は食べるだけなら大丈夫になってきた」
「そうなのかー、俺はニンニク大好きだぜ」
僕らは他愛もない会話を楽しんだ。
それにしても……暑い。
熱帯気候だと聞いていたし、Tシャツで来たのは正解だった。スーツケースには相変わらず荷物を盗まれてもいいように、取られても痛手のない物ばかりを持って来たが、警戒しすぎだろうか。
「何で日傘を持ってきてるんだ?」
「乾燥肌で日光が苦手なんだ。だから普段は家に引き籠ってる」
「買い物はどうしてるんだ?」
「妹に任せてる。妹がいない時はインターネットで注文するか、日が沈んでから買い物に行く」
「パナマじゃ夜に買い物なんて絶対できねえな」
「……だろうな」
熱帯気候は太陽に近いのか、日光も強い。対策として日傘を持ってきた。パナマでは夜の外出は事実上の禁止らしい。むしろ夜でも出歩ける日本の方が異常なんだとか。
「あんたさ、ホントに人間?」
「夜行性人間だ。朝早くから出かけるような、9時5時の仕事は絶対に無理だ。僕が何故穂岐山珈琲に就職したくないかがよく分かっただろ?」
「うちはフレックスタイムを認めてるから、希望すれば夕方から出勤とかもできるし、一日中引き籠ってシグネチャードリンクの開発とかもできるよ」
――マジかよ!? めっちゃホワイトじゃねえか!
いや、こんなところでめげてはいけない。
僕にはどうしても葉月珈琲で成さねばならないことがある。というかどっかの社員になったら、バリスタの大会で優勝しても、僕個人の優勝ではなく、あくまでも会社が優勝した扱いになる。社内で何かを開発したとしても、それはその人個人の開発ではなく、その会社が発明したことになるのが会社の掟である。会社に入社した者は全員名前を取られてしまう。帰ったらクタクタで動画投稿もできなくなるだろうし、寝に帰るためだけの家なんて、考えただけでも情けなくなる。
「よく知ってるな」
「言ったでしょ。あたしもバリスタを目指してるって。あたし、大学を卒業したら、お父さんの会社に入ろうと思ってるの」
「親の後を継ぐのか?」
「そういうわけじゃないけど、バリスタになる手段の中で最も大きなチャンスだと思ってるの。一流のバリスタになるためのノウハウや設備も全部揃ってるから、あず君も一度来てみたら?」
「考えとくよ」
ノウハウはともかくとして、設備が揃っているのは条件として有利だ。うちのエスプレッソマシンは旧型で、買い換えたいとは思うが、そんなことをすれば、あっという間に貯金が尽きてしまう。
昔より安くなったとはいえ、エスプレッソマシン1台分の経費で車が買える。
それを考えれば、店が潰れた時の最終手段としては悪くない――。
「ところで、俺はどこに案内すればいいんだ?」
「あたしはあず君について行くから、あず君に聞いて」
おいおいおい、どこへ行くかも知らないままついてきたのかよ。
自由な家庭に生まれただけあって、行動力は人並み外れている。
僕のために何でもするという発言も満更嘘ではなさそうだ。
「えっと、僕はブリランテ・フトゥロ農園っていうコーヒー農園の園長に呼ばれて来た。チリキ県って所にあるらしいんだけど、知ってるか?」
「あー、知ってるよ。確かゲイシャの栽培を始めたばっかのとこだ。最近はどこの農園もゲイシャブームだから知ってるぜ」
「それは良かった」
「アズサは何でゲイシャを買いに来たんだ?」
「結論から言えば、バリスタの大会で使いたいと思ったから。アトランタにいた時に初めて飲んだんだけどさ、それがもう凄かったんだ。フローラルな香りで、まるでフルーツを飲んでいるかのような甘味と酸味がして、今までにない味わいだったし、今までに飲んだコーヒーの中でも群を抜いていた。それで飲ませてくれた人にどこの農園かを聞いたら、ブリランテ・フトゥロ農園だったわけさ」
ブリランテ・フトゥロ農園、ゲイシャを栽培しているコーヒー農園の1つで、ブリランテ・フトゥロはスペイン語で輝かしい未来という意味だ。名前だけでもうワクワクしてきた。
きっと未来ある良心的なコーヒー農園なんだろう。僕はゲイシャの魅力を延々と語り続け、いつもならすぐに終わる食事も、この話のせいか、長くなってしまった。
――まるで恋人自慢をするかのように。
「分かった。じゃあ明日連れてってやるよ」
「ありがとう、感謝するよ」
美羽がいてくれて本当に良かった。彼女への感謝と同時に罪悪感が湧いてくる。1人で来た場合は人に道を尋ねながら行くことにしていたが、かなりの時間と手間を短縮できたと思う。
食事を済ませるとホテルの一室に入り、ディエゴは帰宅した。美羽が予約していたのは高級ホテルだったため、特に不便はなかった。風呂にも入れるし、本当に世話になってばかりだ。
僕の後に美羽がバスルームに入り、しばらくして上がってくる。
「ふふっ、あず君のパジャマ姿、可愛いね」
「それはよかった。僕の自慢のパジャマだ」
美羽の言葉に笑顔で返事をする。
「――やっと笑顔で話してくれたね」
「えっ……そうかな?」
「うん。あず君、あたしと話す時は凄く不機嫌そうな顔してたから……てっきりあず君に嫌われちゃったのかなと思ってた……」
美羽は口々に語りながら段々と涙声になり、僕が笑顔で話せたことを喜ぶ。
「別に泣くことねえだろ。美羽、今日はありがとう。君のお陰で色々助かった。1人で行くと思ってた時はもうどうしようかと……美羽がいてくれたから、予定がスムーズに運んだ。そこは感謝してる――」
僕が話し終える前に、美羽が咄嗟に僕の体に抱きついてくる。
「……」
「あたしも感謝してるの。あず君はあたしに希望を与えてくれたから」
「希望?」
「うん。あたし、昔は全然やりたいことがなかった。あず君は動画でやりたいことをいっぱいやって、世間に抗って大会でも結果を残していく。あたしはその姿に惹かれていったの」
「好きなことをしてるだけなんだけどな」
美羽は僕の体を抱いたまま話し続けた。
泣き止んだかと思えば、今度は今までのことを語り始める。
「そうかもしれないけど、あたしには凄く魅力的に見える。初めてあず君のラテアート動画を見た時、ラテアートも可愛かったけど、何より好きなことに没頭しているあず君に衝撃を受けたの。あたしが見てきた身近な人たち中で、かつてこれほど何かに没頭している人がいただろうかって……何事も中途半端だったあたしに気づかせてくれたのが……嬉しかった」
「それでバリスタになろうと思ったのか」
「うん。それが……あず君があたしに与えてくれた希望なの」
しかし、美羽は動画投稿時点で僕の性別に気づいていなかったはずだ。だったら何故確信を持って好きだって言えるんだ?
しかもこの時、日本人恐怖症が全く発動しなかった。何故だ? 何故美羽なら大丈夫なんだ? 今日まであんなに嫌がってたのに……自分でも訳が分からない。
謎はますます深まるばかりだ。そんなことを考えながら電気を消した。
隣のベッドを見ると、美羽が顔を僕に向けながらぐっすり眠っている。僕も早く寝ないと――。
翌日、僕らはホテル内で朝食を済ませてからチェックアウトする。
ロビーで待ち合わせをしていたディエゴがやってくる。
「じゃあ行こうか。外に車を用意してるから乗ってくれ」
「うん、分かった」
かなり古そうな車に3人で乗った。運転手はディエゴ、後部座席左側には僕、右側には美羽が座り、ホテルを後にする。道は整備されていないためか、所々デコボコで酔ってしまうほどだ。
チリキ県は西の方にあり、西側の県境にはコスタリカの国境もある。近づくにつれ、段々と緑の景色が支配的になっていく。いよいよなんだと好奇心を掻き立てられ、子供の頃から夢にまで見たコーヒー農園がすぐそこに迫っていた。ようやく夢の1つが叶う。考えただけで嬉しかった。
最愛の恋人が生まれるところを、この目で見られるのだから。
目の前の陸地が斜面になり、ディエゴがそこで車を停めると、そこからは歩いてコーヒー農園を目指すことになる。農園は山の中にあるため、車は通り辛いらしい。ドアノブに手をかけ、車から降りて外を見渡した。周囲は自然ばかりで、森のように木々が生い茂っている。ここは山岳地帯のようだ。僕らは坂を登りながら農園を目指す。足腰を鍛えていても、暑さが僕の体力を容赦なく奪っていく。
僕らはやっとの思いで、目的地であるブリランテ・フトゥロ農園に辿り着くのだった――。
色んな名前のコーヒー農園が出てきますが全てフィクションです。
実際にあるゲイシャの農園を参考にしています。