482杯目「盲点の罠」
夕刻、全員の競技が終了し、集計が終わってから結果発表が行われた。
明日を戦うJBrCとJCIGSCのファイナリストが決まる。
JBrC決勝には、桃花、美咲、花音、紗綾、小夜子の全員が進出した。
ファイナリストは5人まで。つまりこの時点でJBrCは勝利確定となる。
JCIGSC決勝には莉奈と皐月が進出する。他は全て杉山グループのバリスタが進出する格好となったが、ダニエルたち3人は過去にもファイナリストとしての経験がある。大して莉奈と皐月は初めてである分不利だ。奇しくも酒類に慣れている2人が残ったが、これは経験の差が出たと言っていい。皐月は地元大分の鴬宿梅酒を使ったコーヒーカクテルが功を奏した。
千尋はバリスタオリンピックで使っていたコーヒーカクテルとは異なる酒を使った。恐らくは世界初のコーヒーに合わせる前提の日本酒、『強欲』を使ったわけだが、センサリージャッジにはウケなかった。やはりまだ研究の余地がありそうだが、原因はそれだけではない。千尋はアマチュアチームの分析に時間を費やしていた。最終6位ではあったが、最初から研究に専念していればと思わざるを得ない。
莉奈も葉月酒造が開発した日本酒、『貪欲』を使ったコーヒーカクテルを作り、こっちは見事なまでの風味を再現できたようだ。シグネチャー要素の強いこの競技で生き残るのは並大抵のことじゃない。10年前はコーヒーの味さえ分からなかった莉奈がここまで成長するあたり、流石は伊織のいとこと言ったところか。準決勝は20人もいたが、決勝はたったの5人だ。人数が少ない分余裕が持てる。
関係者として控え室に入ると、皐月たちが既に集まっていた。
身内ばかりが独占したJBrCは強化合宿の集大成だ。何も言うことはない。
しかしながら、JCIGSCは杉山グループのバリスタと戦力が拮抗しているのが懸念点だ。1つ気になったことがある。今回のコーヒーイベントはアマチュアチームがリタイアした競技会を除き、ファイナリスト全員が優勝回数勝負の関係者のみ。
この状況……よく似ている。葉月グループのバリスタと……穂岐山珈琲のバリスタが鎬を削り合っていたあの頃に。やはりそうだったか。競争相手がいれば、俄然意欲は増していく。
僕も杉山社長も意図したものではないが、優勝回数勝負によって、多くのバリスタのレベルが格段に上がっているのだ。花音はWBCでもファイナリストに輝いた。
「アマチュアチームが残っちまったな」
「練習時間を確保していれば、どうにかなったんだけどなー。JCCが勝ち確になったから、ずっと新作アイリッシュコーヒーの調整に時間を当てていたけど、足りなかったかー」
「千尋は十分やってくれた。このフラストレーションは次のコーヒーイベントにぶつけろ」
「でもさー、伊織ちゃんは競技者引退しちゃったし、張り合いがないんだよねー」
「だったら私が代役になってもいいぞ。もっとも、千尋がそんなやる気のない様子じゃ、次のバリスタオリンピック選考会は楽勝だな」
「……そう簡単にはいかないと思うけどね」
「だったら、僕が立花さんのライバルになりましょうか?」
扉が開きっぱなしの控え室を通りかかった根本が話しかけてくる。
「あっ、まだいたんだ」
「当たり前ですよ。僕はまだバリスタオリンピックチャンピオンを諦めてません。必ず穂岐山珈琲初のチャンピオンになってみせます。実力的には世界に通用することが分かりましたからね」
胸を張りながら堂々と言ってみせる根本。
穂岐山珈琲育成部の部長として多くのバリスタを率い、今年はJBCとJBrCに参加し、当たり前のようにコーヒーイベント進出を果たしている。伊織の後釜として次回の選考会優勝候補と目されている根本だが、表情を見る限り、精神的には大丈夫そうだな。
明るい白のチョッキは清廉潔白を意識しているようだ。
「ねえねえ、鍛冶茂雄のことは気にしなくていいの?」
「気にしてないと言えば嘘になりますけど……あの男とはとっくに縁を切ってますから。この国の人たちは自分の目が節穴であることを思い知ったでしょうね」
「それを聞いて安心したよ。前回は負けたけど、次の選考会は負けない」
千尋が覚悟の目を向けると、根本は笑みを浮かべながら離れていく。
鍛冶茂雄は殺人や横領などの罪で起訴され、死刑判決がほぼ確定している。
このことは世界にも報じられ、死刑になるような人間を支持してきた民衆の愚かさがこれでもかと浮き彫りとなり、危うく自らの手で国家衰退の臨界点を超えてしまうところであった。皮肉にもこの騒動が国を改革する大きなきっかけとなり、プロ契約制度廃止の危機を乗り越えることができたばかりか、権威主義を見直す動きがあったのは不幸中の幸いだ。長い物に巻かれた結果、自らの首を絞めてきた意思なき者たちの思考停止こそ、社会の腐敗そのものと言っても過言ではない。民衆にも責任はある。
莉奈がスマホに写る夫を小夜子たちに見せびらかす。
数年前、バリスタ修行に勤しみながらコーヒーイベントでサポーターチームにいた頃、他のコーヒー会社のバリスタに声をかけられて以来、何年にもわたる交際を経て、今年の4月に結婚した。
莉奈は今年度限りで葉月コーヒーカクテルを離れる。つまり来年の1月、葉月グループからは初となる完全独立を果たすことが決定している。FA権を取得していた莉奈は自ら店を持ち、コーヒーカクテラーとして生きていくことを決めた。メジャー競技会とは別のコーヒーカクテルの大会で優勝し、真理愛のバリスタ修行がようやく実を結んだ。真理愛が言うには、強化合宿に参加するようになって意識が変わり、他のバリスタの面倒を見ている内に自分の店を持ちたいと思うようになったという。
育てる楽しさを莉奈は知ったのだ。それは何も彼女だけではない。
完全独立を果たしてこそ、立派にうちを卒業したと言える。しばらくは資金援助を受けられる。人生はフリーランスになってからがチュートリアルだ。そんな莉奈の未来を潰さないようにするためにも、この勝負だけは勝たなければならない。追い詰められた時にこそ人の本性が表れる。
会場の控え室にはエスプレッソマシンや抽出器具が用意され、出番を待ちながらいつでも練習ができる大広間となっている。他のバリスタとも交流ができるが、普段は取り外し可能な壁が設置され、複数の控え室となっているが、数人1組で構成され、同一企業の場合は自動的に同じ控え室となる。他の控え室に行ってライバルの練習を見ることもできるが、多くの参加者にそんな暇はない。明日決勝を迎える小夜子たちが念入りにフレーバーを確認しようと、コーヒーカップの縁に唇を接触させ、テイスティングを始めている。皐月に至ってはコーヒーカップの中に入った茶色い液体をスプーンですくい、カッピングをし始めた。誰1人として、決勝を前に怖気づく者などいない。
そんなことを考えていた時であった。控え室の外を水無が通りかかる。
ふと、負い目を隠すように背を向けてしまった。
「あっ、水無さん。他のみんなはどうしたの?」
「千尋さん、話は里中さんに聞きました。最初から葉月グループのスパイだったそうですね。さっきからずっと姿を消していたと思えば、そういうことだったんですね」
「僕があんな傲慢じじいについてくわけないじゃん。君たちもさー、そろそろ目を覚ましたら?」
「私には手術を受ける予定の弟がいるんです。一人っ子のあなたには理解できないでしょうけど」
一生分の年金の使い道、それは人それぞれだが、特に理由が重いのは水無だ。
水無弟がトラックで運ぼうとしたものを調べてみれば、内容は主に飲食物だった。水無弟がいた運送会社に発注したことも調べはついている。ならば責任は僕にもある。今こそちゃんと言わないと。
この機を逃せばもう会うことはないかもしれないと直感する。
「水無、そのことなんだけどさ――」
「葉月社長、今は敵同士なんですよ。私たちはあなた方に勝たなければ後がないんです。馬鹿げてると仰りたいのは分かりますが、気安く話しかけないでください」
「君の弟が怪我をしたのは僕のせいだ」
水無が一瞬動かした足を止め、恐る恐る再び僕の顔を見つめた。
罪を隠したまま生きるなんて僕らしくない。言うなら今しかないと思った。何も言わずに済めばどんなに楽だろうと考えたが、水無は一生急に発注した顧客、運送会社を恨み続けるだろう。
不毛でしかない負の連鎖をどうしても終わらせたい。悪事を隠蔽されるのが如何にムカつくかを思い知った今、何も言わずにやり過ごすなど到底できなかった。
「あなたのせいって、何の関係もないと思いますけど」
「君の弟が急いで東京に向かったあの日、僕は選考会に参加してた。そこで妹たちが作ったケーキを送ってもらおうと急いで発注したら、トラックが途中で交通事故を起こして、中に入ってたケーキが全部おじゃんになっちまった。危うく選考会に落ちるところだったし、僕はドライバーの不注意を責めた。でも本当に責められるべきは僕の方だ。繁盛期の深夜に発注して事故を誘発した」
「そんな……葉月社長が……」
「済まなかった。手術費用だけど、僕に負担させてくれないか?」
「……今更誰かを恨むことなんてしません。手術費用を負担してもらったところで、私はリタイアなんてする気はありませんよ。仲間たちはコーヒーイベントを楽しみに練習を続けていたのに、杉山社長の勝手な指示でリタイアさせられたんですから」
「それでもいい。競技は正々堂々やればいいんだ」
「言われなくても分かってます」
終始目を尖らせながら去っていく水無。
有田、カート、エヴァがリタイアさせられた時のことを千尋が説明する。
一生分の年金を貰おうと、死に物狂いで焙煎を続けていると、杉山社長から競技を降りるように言われていまい、千尋もWCCをリタイアし、JCIGSCに集中するよう言われたが、この時リタイアさせる権限を握らされたのが千尋であった。
千尋は杉山社長に従い、手始めに有田をリタイアさせたとのこと。
「じゃあ有田は千尋がリタイアさせたのか?」
「まあね。一応僕、杉山珈琲の役員だったし、最初は全員リタイアさせようと思ったけど、杉山グループ本社の人事部長から最終確認に立ち会わされたせいでできなかったよ」
「えっ、でも有田さん、会場まで来てたような――んんっ!」
「あっ、香織、ちょっとこっちでテイスティングしてよ。コーヒー淹れるからさ」
香織が口走るように呟くと、美咲が咄嗟に香織の口を塞いだ。
紗綾が香織の前に出て微笑むと、小夜子は香織を引き摺るように連れていく。
――何か怪しい。有田はリタイアさせられたはずだ。会場に来る理由はないし、落ち込んでいて来るどころじゃないはず。結果が見たければ協会のホームページを見ればいい。他にも杉山グループのバリスタが参加する予定であったが、その時点でサポーターチームは結成されていなかったはずだ。
「会場まで来てたって、どういうことだ?」
「多分葉月グループの監視役として呼ばれたか、出場直前までリタイアを知らなかったんだろうね」
「未練があったのかな……ん? でも有田って、杉山社長から直接リタイア命令を聞いたんだよな?」
「あー、あれは焙煎に夢中だったから、聞こえなかったんだよ」
ぎこちない千尋の声は僕の不信感をより一層募らせた。
スマホでJCRCの結果を調べてみる。以前僕が見たのは決勝のみの順位表だ。細かく調べてみれば、予選や準決勝の順位や総合スコアも表示されている。
――! ……有田はリタイアしていなかった。準決勝敗退で最終8位。リタイアしているなら順位も総合スコアもないはずだが、これが真実ならば、彼女は密かに参加していたことになる。リタイアさせる権限を持っていたのが千尋ならば、この時から杉山社長を欺いていたのか?
額に頭を当てながら顔を下を向け、期待でも裏切られたかのように大きく息を吐く千尋。恐らく杉山社長は知らない。たとえ結果を調べたとしても、知りたいのは決勝の結果のみ。予選からの競技なんていちいち調べないし、これは流石に盲点だった。有田の総合スコアは以前と変わりない。つまり実力で負けたのだ。葉月グループのバリスタが杉山グループのバリスタを上回った確かな証拠だ。
「千尋、これはどういう――っていなぁい!」
いつの間にか姿を消し、小夜子たちも作業に移ってしまった。とても話しかけられるような状況じゃないし、後で邪魔をしたと言われたくはない。
まさかとは思うが、アマチュアチームは杉山社長を欺こうとしているのか?
目を瞑りながら記憶を辿り熟考する――。
葉月グループのバリスタに勝てば、たとえリタイア命令を無視したとしても、許される可能性は高い。だがそれを狙っていたにしても、リタイアさせないのは不自然だ。葉月グループにとっては不利益でしかない。まるで対決せずに勝つのは不服と言わんばかりだし、こんなことは今までになかった。
謎が謎を呼ぶ。いつもの話だ。しかし、いつもなら解決できることばかり。
リタイアしてないってことは、じゃあ……他の競技会もリタイアしていない可能性がある。
JCTCとJCCもリタイアしていないなら、何故カートやエヴァはサポーターチームに回っているのか。自分でも訳が分からなくなってきた。
控え室のアマチュアチームがいる場所に移動しようと足を動かした。
「どこに行くんですか?」
伊織が僕の手を掴み、一向に離そうとしない。
「アマチュアチームの連中に聞きたいことがある。伊織はここにいてくれ」
「駄目です。あず君は明日を戦うバリスタたちの面倒を見る責任があります。色々と疑問に思うことがあるのは分かりますけど、今はどうでもいいじゃないですか。あず君がアマチュアチームの人たちに会いに行ったりしたら、後であず君に練習時間を奪われて負けたなんて言われたらどうするんですか?」
「伊織は気づいてるんだな。千尋の策に」
「細かいことは分かりませんけど、おおよその察しはつきます。千尋君だって、あず君を誤魔化せるとは思ってないと思います。今は事を荒立てない方がいいと私の直感が言ってます。どこに杉山グループのスパイがいるか分かりません。今は私たちを信じて見守ってください」
僕の耳に顔を近づけながら言うと、伊織は大きな片目でウインクをしてみせた。
これだけ念入りに懇願されたら仕方ない。千尋もため息ついてたし、何か僕に知られたら困ることがあるのは分かったが、今はそっとしておこう。後で教えてもらえればそれでいい。
だが気になれば気になるほど調べたくなるのが人情というもので、杉山グループのスパイに気づかれないようにしながら調べるしかないか。見守ってくれとは言われたが、調べるなとは言われていない。この優勝回数勝負には大きな裏がある。伊織の直感が僕譲りなら、きっと僕の直感は正しい。
ふと、璃子と目が合った。璃子は事情を知っているのか?
疑問が渦巻く中、かつて璃子が言っていたことを思い出した。
スタッフホテルにいた時の璃子、秋風月見には見事に騙された。
杉山社長は優勝回数勝負の当事者として、決着がつくまでは毎日訪れる。目の届く場所で調査をしても怪しまれてしまう。一度目をつけられてしまえば動けないし、このまま奴の思惑通りに事が運ぶのも気に食わない。僕の直感が正しければ、璃子は杉山社長に罠を仕掛けようとしている。
また僕の知らないところで、璃子は水面下の戦いを始めている。
まともにやりあって勝てる相手じゃない。まともじゃない相手と正面から戦ってはいけないことを教えてくれたのは、他でもない璃子じゃねえか。なのにあいつは杉山社長と戦おうとしている。やっぱり僕の妹だ。やり方はどうであれ、許せない悪とは何が何でも対決したがる葉月家の遺伝子だ。抑えられていただけで、本質は昔から変わっていない。曲がったことが嫌いで、人を寄せつけない穏健な性格。おじいちゃんも親父もそうだったように、璃子も僕らと何ら変わりなかったことに今気づいた。
何も分かってないのは僕の方だ。信頼されていないわけじゃなく、僕を巻き込みたくなかった。自分の戦い方を貫いているだけで、そこには何の曇りもない。口には出さないが、璃子には璃子の信念がある。こんな簡単なことも分からない自分に腹が立つ。おんぶにだっこだったのは僕も同じか。僕だけでも璃子だけでも葉月グループは成し得なかった。みんなと同じになれない自分を信じられなくなりそうになった日もある。だがみんなと違うからこそ、誰も手の届かない場所にまで辿り着けた。
僕は僕のやり方で、この命懸けのゲームを攻略するまでだ。
璃子が僕のそばにまで歩み寄り、小さく笑みを浮かべた。
白を基調としたブラウスに腰の黒いコルセットが際立つ。璃子が童貞を殺す服を着用する時は、いつも覚悟を決めた時だった。昔こそ顔を赤くしながら、客寄せのために体を張ってくれた。うちに客が来ない時はヤナセスイーツを儲けさせて、バイト代をうちに収めてくれた。
廃業寸前だった葉月珈琲の復興を最後まで信じてくれたあの時と同じ目だ。
「お兄ちゃん、こっちはこっちで何とかするから、お兄ちゃんはみんなのこと見ててよ」
「璃子がここまで本気出すの、ワールドチョコレートマスターズ以来じゃねえか?」
「何言ってるの。私はいつだって本気だよ。誰にも悟られてないだけ。小夜子さんたちを見て。みんな最初は学校教育に主体性を奪われて、自分の将来すら他人事のように考えていたのに、今は当事者意識を持って自分の人生を生きてる。お兄ちゃんがずっと自分を貫いて生きてきたのを見て、みんな世間に流されてばかりの生き方に疑問を持つようになったの。小夜子さんたちだけじゃない。柚子に美羽さんだってそうだよ。たった5年ではあったけど、婚活会社にバリスタスクールを始めたのだって、自分の道を切り開いてきたお兄ちゃんを見て、既定路線を生きてきた自分に気づいた。良くも悪くも色んな人の人生を変えてきた。小夜子さんたちはね、ベルトコンベアーに乗っているだけだった自分の人生を変えるきっかけをくれたお兄ちゃんに少しでも恩返しをしようと思って、強化合宿に参加してくれたの。実はみんな、優勝回数勝負の件を知ってるの」
「言ってたのかよ……」
「ちゃんと言わないと本気出してくれないでしょ。前回大会は相手側の不正でスコアを落としたことも知ってる。ここまできたら、隠し事なんて意味を成さない。お兄ちゃん言ってたよね。勝てるかどうかじゃなく、戦う気があるかどうかだって。私もみんなを信じているからこそ、企業秘密も言えたわけ」
「……そうか」
信じて見守る。一見簡単そうに見えるが、それはとても難しい。
1番できていたのは璃子だった。璃子も僕から学んでいた。
放っておかれた子供が最も伸びる。強化合宿でこの教育を採用した結果、小夜子たちは自らアイデアや練習を考えるようになった。自分で考えた創意工夫だからこそ、自らの結果の責任を取れる。大した工夫はしていない。ただあいつらを子供の頃に戻しただけだ。
どこの誰だって、幼い頃は主体性の塊で、やりたいことしかやらない。だが親と教師にああしろこうしろあれも駄目これも駄目と言われ続け、与えるばかりの教育によって手をかけられた子供は、サービスに文句を言うようになり、自分がうまくいかないことを誰かのせいにする癖がつき、やがて当事者感覚を失っていく。どうしたいのかだけを一通り聞いた後は当事者たちに委ねればいい。
自分の頭で解決してこそ、当事者感覚を持てるようになる。
指導者たちに足りなかったのは、信じて見守ることだった。
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