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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第19章 逆襲編
467/500

467杯目「調査依頼」

 何の手掛かりも掴めないまま数日が過ぎた――。


 6月にはワールドコーヒーイベントが18年ぶりに東京で開催される。


 うちからは花音がWBC(ダブリュービーシー)に出場する。


 他の大会の日本代表は2位や3位のバリスタばかりではあるが、戦力的には十分だ。国内予選ファイナリストの差は誤差と言っていい。10年前とは違う。大会中のみ杉山珈琲所属であったバリスタも出場しているが、今回は元々のコーヒー会社の代表としてだ。


 バリスタランド改革は成功の一途を辿った。


 4月中旬からリニューアルオープンすると、コーヒーファンが再び戻ってきたのだ。公平な競争をするため、適正価格を大きく外れた値段で商品を売ることを禁止とした。コーヒーも好きな種類を使えることを決定すると、どこのコーヒー会社も躊躇なく世界中から多種多様なコーヒー豆を持ち込んだ。すると、常にコーヒーイベントが開催されているかのような賑わいとなった。各都道府県の名物メニューも必要最小限とし、近代史を専門とする歴史家を何人も募集し、メニューも店がテーマとする時代に沿ったものを採用することを徹底した。


 プロ契約制度を採用しているコーヒー会社のみがここに出店できる規則も制定した。


 内装も時代相応に改装し、本格的なレトロタウンを形成している。


 何故ここまで客が押し寄せているかと言えば、全品1億円提供という最悪の状況から、一変したバリスタランドを一目見ようと人を呼んだ結果、情報が一気に全国へと広まったのである。最悪と評判の場所がいきなり最良の場所へと変わると、期待値が低くなっている分、落差効果で大きな評判となった。ここまで計算して客を再び呼び込むとは、やはりうちの参謀は侮れん。


 毎日が日曜日となった僕は、家で大会に向けた練習メニューをこなしながら皐月と弥生を誘い、皐月で宇佐さんを釣り出すように呼び出した。唯と伊織は子供たちと広い庭で鬼ごっこをしている。家を囲むくらいの広さであるため、子供らしい遊びがしやすいのだ。


 宇佐さんが丁寧に脱いだ靴を他の人の靴ごと揃え、リビングに着いた。


「お呼びでしょうか?」

「君に1つ重要な仕事を頼みたい」

「お断りします」

「何でだよっ!?」


 思わずツッコんでしまった。宇佐さんは佇んだままソファーにも座ろうとしない。


「大方見当はついています。私に葉月マリッジカフェの婚活アドバイザーを目指してほしいのでしたら全力でお断りします。今日だって仕事を途中で抜けてきたんです。それだけでしたら失礼します」


 深々と頭を下げてから後ろを振り向き、玄関に向かって歩き出す宇佐さん。


「皐月と一緒に働きたくないのか?」

「! ……それはどういう意味ですか?」


 ピタリと足を止め、聞き耳を立てた。


 ガラスに映る自分を見つめると、首まで伸びている黒い短髪の乱れに気づき、手で形を整えた。


 左右対称に拘りがあるようで、この家を訪れた時、机の位置や椅子の配置がモデルルームのように規則正しい位置にあり、生活感が排除されていた。几帳面な性格は周囲の些細な変化にも敏感らしい。


「君は礼儀作法だけじゃなく、諜報にも長けていると柚子から聞いた。それでピンときた。本家はマナー講師で分家はハウスキーパー。けどそれはあくまでも副業で本業は()()だろ? 何で皐月がやたら僕のことに関して嗅覚が鋭いのか、ずっと気になってた。後で伊織から聞いた話だけど、皐月は強化合宿がバレるまでの間、ずっと葉月珈琲にいた。でも最終的に強化合宿の場所を見つけてしまった。つまり誰かが皐月の代わりに関係者の後をつけていたからだ。皐月の関係者で強化合宿の件を知ることができたのは宇佐さんしかいない。君は立花グループのスパイだな?」

「スパイ? どういうことだ?」

「――いつから気づいてたんですか?」

「最初に会った時、君は僕をあっさり通してくれた。どんな事情であれ、ハウスキーパーとして仕えている相手が寝込んでいるなら、君は死に物狂いで止めるべきだ。でもあんたは止めなかったばかりか、追いかけてくることもなく、2人きりで話すことさえ黙認した。普通のハウスキーパーなら、ちょっと知っているだけの相手にそこまでさせない。それに夕食のカレー、仄かに蜂蜜の味がした。僕が蜂蜜好きだと知っていたからだ。結論、君は僕に精通している情報屋だ」

「……私は立花グループに人生を救われました。それで恩返しがしたくて――」


 宇佐さんは後ろを向きながら視線を落とし、自らの過去を淡々と語り始めた。


 宇佐家は財閥に仕え、ライバル企業の情報を盗み、絶対的優位の維持に人知れず貢献してきた。だが戦後になると、財閥解体により、仕えていた宇佐家はお役御免となった。財閥の後ろ盾を失い、九州に引っ越してからは諜報技能を活かし、探偵業を営んでいたが、やがて本家が経営に行き詰まり、マナー教室を始めると、礼儀作法の安売りとしてお家騒動が勃発し、一部の者たちが分家として独立した。


 分家は副業でハウスキーパーを務めたが、高校生の宇佐さんは成績優秀ながらも素行が悪く、後継者候補脱落の烙印を押された。宇佐さんは就活を始めたが、障害者手帳を持っているにもかかわらず、いや、持っていたが故に『ナルコレプシー』が足を引っ張り、内定を貰えない日々が続き、遂に家からも見限られた。そんな宇佐さんを救ったのが立花社長だった。


 就活に苦戦する中、唯一受かったのが立花グループだった。立花社長に引き取られるや否や、宇佐さんは高校卒業を前に、皐月の世話役となり、高校卒業後は正式に教育係となった。


 まだ小学生だった皐月の世話をさせているが、立花社長は宇佐さんの才能を見極めており、宇佐家の事情も知っていたことが幸いした。余計な一言を言ってしまう癖は皐月に度々咎められていたが、皐月を思っての行動というよりも素の性格だった。普段は良い子のふりをしている宇佐さんとて決して完璧ではなかった。健常者も障害者も関係なく活躍することを理想とする立花グループの理念に心を打たれ、今までの素行を改めた。ナルコレプシーも今は治療によって寛解しているが、部屋が常に片づいていたのはいつ眠ってしまっても問題がないよう掃除を徹底したからだ。皐月もまた、宇佐さんには寛容な姿勢を示し、宇佐さんは妹のような存在と感じるようになったという。


 宇佐さんが僕に反感を持っている理由が分かってしまった。


「……そんな風に思ってくれていたんだな。気づいてやれなくて済まなかった」

「いえいえ、私は皐月さんが幸せにさえなってくだされば、それで充分です」

「ふふっ、皐月ちゃんは愛されてるねー」

「君の目的は何だ?」

「私は立花グループの繁栄を助けて、誰もがチャレンジできる社会を目指しています。本来であれば葉月グループのような、障害者というだけで不採用にするようなグループに繁栄されては困るんです。今は皐月さんがいるので我慢しますが、皐月さんが抜けた時は私も一緒に抜けさせていただきます。あず君の推理通り、私は立花グループのスパイです。あなたを調査して報告するよう立花社長から言われています。実のところ、あなたにつくか、杉山社長につくかで迷っていらっしゃいますから」

「「「!」」」


 僕、皐月、弥生は同時に絶句する。立花社長が敵側につけば、杉山グループ側有利に傾いてしまう。


「それって、どういうこと?」

「皐月さんの嫁ぎ先は決まったようですが、それとこれとは話が別です。このまま業務提携をし続けるかどうかはあず君次第と言っているんです。立花社長は葉月グループと杉山グループの両方と業務提携を結んでいます。そして両方共、期限は6月まで。その時にどちらかとは手を切ると仰せです」

「「「!」」」


 おいおい、皐月と仕事は別に扱うのかよ。まあでも、賢明な判断だ。


 コーヒーイベントで勝ち抜くには立花グループが生産するコーヒーマシンが鍵を握っている。


 葉月グループは杉山グループの心臓を、杉山グループは立花グループの心臓を、立花グループは葉月グループの心臓を掴んでいる。ここから導き出される結論は1つ。先に動いた方が負けだ。均衡を崩す確実な方法は決まっている。外堀を埋めることだ。自分の心臓を掴んでいる相手を何が何でも守り抜く保証さえあれば、こっちも存分に動けるが、迂闊なことをすれば勝利が見込めなくなる。


 杉山グループは4月上旬から神奈川県川崎市に拠点を移している。


 故郷に戻った理由は他でもない。バリスタランドを乗っ取ったことで、中部地方や近畿地方に展開していた居酒屋カフェを全て閉店し、コーヒーカクテル市場から撤退したためである。この時一斉にクビになったバリスタたちが葉月グループに入社し、マイナー店舗所属となった。売り上げの下がった杉山グループにまたしても打撃を与え、約束は無事に守られた。真っ先に違和感を持ったのが立花グループだった。


 立花社長はいざとなれば実の娘ごと敵に回すようにも思えた。


 葉月グループが立ち行かなくなってしまった場合、最悪でも立花グループで社員を召し抱え、多くの優秀な社員を確保するための保険とも受け取れる。


「だったら、うちにつくのが正しいってことを証明するまでだ。君は大きな勘違いをしている。うちの主力を担っているのは、手帳すら持っていなくて集団から追い出されてきたような社会不適合者の連中だ。けど名目上はただの健常者故に行政のサポートもロクに受けられなかった棄民だ。ある意味では障害者よりも厄介な存在だ。日本の企業にとっては不良債権でしかない連中を使い物になるように生きる力を育成して、一部は立派に独立を果たした。うちは既に保護の対象になっている障害者はお呼びじゃない。それよりも世の中に見捨てられてきた少数派の連中を受け入れてきた」

「なるほど、障害者雇用をしなかった理由はそれか」


 皐月が腕を組みながら納得する。どうやら気づいたようだ。


 障害者は他の企業にでも雇用してもらえばいい。


 うちが優先的に雇っているのは、『高機能社会不適合健常者』の連中である。


 知能や技能が高いために、障害者認定されなかった存在だ。健常者の枠組みではあるが、いかんせん世の中との相性が悪く、生き辛い思いをしている人間の総称だ。保護の対象にならないために見捨てられているし、障害者雇用の対象外となるため、無職でいることも少なくない。能力は高いが、周囲に合わせられず、曲がったことが嫌いで扱いが難しく、世間に受け入れられてこなかった高機能社会不適合健常者の連中こそ、本当の意味での社会的弱者なのだ。ギフテッドなども性格によってはこれに分類できる。健常者の10人に1人程度の割合で存在し、引き籠りにもそれなりにいる。


 障害者は弾いても生活保護で生きていける。だが高機能社会不適合健常者には逃げ道がない。


 葉月グループはそんな彼らの受け皿になろうとしていることを伝えた。


「まあそんなわけで、能力があれば即採用、不足があっても葉月珈琲塾で手に職をつけさせる。人によっては好奇心さえ取り戻せば仕事ができる奴もいるし、メンタルヘルスも重視してる。うちはより保護するべき連中を保護して育成しているだけだ」

「どうしてそれを立花社長に言わなかったのですか?」

「あくまでも健常者の分類だし、昔だったら甘えてると吐き捨てられていた連中だ。障害者雇用の話とは直接的な関係がない。分かる人が分かればそれでいいと思ってた」

「それだけの冷静な判断力を持ちながら、優勝回数勝負を引き受けるなんてねぇ~」


 ジト目を僕に向ける宇佐さん。これに弥生が首を傾げた。


「優勝回数勝負?」

「この際だ、弥生にも話していいか?」

「……分かった。チームメイトだしな。隠し事はなしだ」

「弥生、この話は決して外に漏らさないでくれ」

「う、うん。それは構わないけど、そんなに重大な話なの?」

「そうだな……」


 やや話しにくそうに目を逸らしながらも、皐月は優勝回数勝負の件を話した。


 宇佐さんは優勝回数勝負の件を知りながら皐月に伝えることはなかった。


 本当は皐月のためではなく、立花社長のためだとすれば、このことにも説明がつく。宇佐さんは葉月グループと立花グループの両方に属していることが分かっただけでも収穫だ。名目上は営業部の仕事だが、今は出張中ということになっている。立花社長がここまで宇佐さんを買う理由は何だ?


「ふーん、なるほどねー。コーヒーイベントに命を懸けていた訳が分かりました。でもバールスターズはコーヒーイベントの後じゃないんですか?」

「バールスターズは葉月グループを乗っ取られた場合の保険だ。優勝賞金と賭けたお金で取り返す。万が一に備えるのが葉月家の方針だからな。君に頼みたいことがあると言ったけど、それは撤回する」

「そうですか。では私はこれで」

「あくまでも依頼を撤回すると言っただけだ。君に鍛冶議員の過去を洗い出してほしい。これは依頼じゃない。総帥命令だ。もしこれを拒否するなら君はクビだ。うちには中立とか引き分けとか、そういう軟弱な言葉はない。味方するか敵対するか、どっちかしかない。今選んでくれ」


 しばらく後ろを向きながら立ち尽くす宇佐さん。


 数多くの諜報をこなしてきた探偵一家だ。杉山グループ側でないならまだ安心できる。


 もうこれしか手は残っていない。相手の方から尻尾を出さないならこっちから突破口を開くまで。手掛かりはあるが、下手に調べれば消される可能性が高い。事故を装って秘密裏に都合の悪い真実だけを闇へと葬り去ってきたことはよく分かった。


「私からも頼む。このまま葉月グループが吸収合併されることが……合理的とは思えない」

「……どのような過去を洗い出せと言うのですか?」

「鍛冶議員は過去に殺人を犯してる。この遺書を見れば明らかだ」


 真凜に貰った遺書を手に取り、託すように宇佐さんに渡す。


「これは……本物の遺書なんですか?」

「間違いない。それとこれも渡しておく」

「USBメモリーですか?」

「ああ。これを書いた人が遺したUSBメモリーがあってな、その記録をコピーしたものだ。鍛冶議員の声が入ってた。唯一の手掛かりだ」

「悪事の証拠を手にして、どうするおつもりですか?」

「決まってんだろ。鍛冶議員を弾劾する」


 鍛冶議員は杉山社長の言いなりだ。あくまでも仮説だが、杉山社長は鍛冶議員の過去を知っている。


 脅しありきの同盟関係だとすれば、ここまで結びつきが強いことにも説明がつく。


 7月には解散総選挙が行われると見られており、実現すれば同月中に投票と開票が行われる。鍛冶議員は与党国会議員に立候補する予定だ。当選すれば、葉月グループを圧力で押し潰そうとするに違いない。その時までに確固たる悪事の証拠を見つけなければ、葉月グループは更なる窮地に追いやられるだろう。公約の中にはプロ契約制度廃止の法制化が含まれている。しかも残業代の廃止から生活保護受給額の減額まである。貧困者を潰す気だ。どれも企業にとって都合の良い政策ばかりだが、組織票で当選するのは確実だろう。そして当選した後も杉山社長の言いなりだし、首相にでもなれば世も末だ。


 資本主義社会とは、文字通り誰もが資本家の奴隷となる資産家至上主義なのだ。


「脅すわけじゃないけど、杉山社長が葉月グループを吸収合併したら、次は立花グループを狙うぞ」

「――分かりました。一度大分の実家に戻らせてください。しばらく休職したいので」

「頼んだぞ。今の社会がより暮らしやすくなるかどうかは君に懸かってる」

「あず君のためではありません。私は立花社長を困らせたくないだけです。皐月さんはしばらくあなたに預けます。もし皐月さんを悲しませるようなことをすれば、立花社長に手を切ることを進言します」


 宇佐さんはこれ以上何も話すことなく、黙ったまま扉を開けて去っていく。


 数分が経過すると、入れ替わるように唯と伊織と子供たちが庭から帰ってくる。


 帰っていく宇佐さんを気にしながらも唯は僕に尋ねた。子供たちを引き離し、唯と伊織にも事の真相を話してみれば、大丈夫ですよと言いながら抱擁する。ただの気休めではない。唯が言う大丈夫ほど安心できるものはないのだ。玄関の靴は宇佐さんによって丁寧に整理され、子供たちも綺麗な靴の並びをマネするように、脱いだばかりの靴を規則正しく並べていた。何より皐月が最も信頼する部下だし、周囲の人にも良い影響を与えている。何かやってくれると信じて見送るしかない。


 子供たちは庭で遊んでいたというのに、すぐにまたリビングを占領し、ソファーに座りながら勉強用アプリを指でタッチしながらこなしていく。自分で予定を組み立てられるようになったのだ。中学生以降の勉強は任意ということにしているが、紫はまだ11歳だというのに、既に高校の勉強をやり始めている。雅はまだ9歳でありながら中学の勉強を始めた。学習を強要したことなど一度もない。本来子供は知ることに楽しさを覚える生き物だと思い知らされた。下の子は遊びに夢中で疲れ知らずだ。フローリングの床を楽しそうに這い回り、僕の足に掴まって攀じ登ろうとする。


 持ち上げて膝に乗せると、笑いながら胸に顔を預ける。


 守りたい、この笑顔。ほっぺもプニプニしていて柔らかい。


「あず君、早く練習を始めますよ」


 弥生がキッチンから呆れながら声をかけた。


「競技は1人ずつやるんだ。先に始めてくれ」


 軽くあしらうようにしながら子供とのやり取りを続ける。


 ため息を吐きながら弥生は皐月と共にバールスターズの練習を始めた。


 僕にとってはたった1つの競技だが、2人は今年だけで3つの競技をこなさなくてはならない。全てを高いレベルでこなすのは骨が折れるが、皐月はあっさりと練習をこなしている。弥生もまた、皐月に食らいつくかのようにメニューをこなし、子供たちの話し声が聞こえる中で、淡々とコーヒーを淹れている。競技会はもっと騒がしくなる。雑音には慣れっこだ。弥生には複数の競技をこなす才能がある。1つの競技に特化するのではなく、複数の競技の総合スコアで勝負するタイプの弥生にとって、バールスターズは実力を発揮できる競技だ。コーヒーイベントに向けた練習は強化合宿で十分できる。


 それにしても、皐月をそばに置いていたのが、ここまで効くとは思わなかった。


 宇佐さんはクールで真面目なところがあるし、母親代わりのように世話をしている内に、皐月の人格形成にもそれなりの影響を与えているようだ。しばらくは仕事も塾通いも延期になるが、負けてしまえばどちらもできなくなる。僕のことは信じられなくても、皐月のことなら信じられる。


 しかも本業が探偵業でないなら、相手からはまず疑われないだろう。どのような方法で相手を調べ尽くすかは知らないが、僕も付き添いたくなってしまった。


 この日も僕らは審判の日を気にしながら練習に明け暮れるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

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