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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第19章 逆襲編
465/500

465杯目「多様家族」

 生まれたばかりの燈はまるで小さな天使のようだった。


 唯と皐月にとっては腹違いの子供だ。分け隔てなく受け入れるつもりなのは顔色を見れば分かる。


 内心複雑というわけでもないし、肝が据わったパートナーに恵まれたものだ。


 動きの1つ1つが可愛さの象徴だ。誰だって最初はこんなにも純粋無垢なのに、どうして多くの人は最終的に荒んでしまうのだろうか。うちの子供にはそうなってほしくはないと、生まれる度に思う。


 何故僕が子供を儲けるようになったか。平たく言えば、この国の常識人よりは充実した人生を送る大人に育成するだけの自信を得たからだ。伊織は人生実験の証明と言える存在だ。元々は子供を持つことに前向きじゃなかったし、こんな過酷な世界に送り出されてきた子供たちに同情するほどだった。だが僕は転換期を迎えた。予てからうちでバリスタ修業をしていた伊織の育成に成功したのだ。過去の保護者たちの失敗例を参考にし、極力好奇心を潰さない方向で、実学に基づいた修業を施していた。自信を潰された引き籠りだったが、バリスタの仕事に打ち込むようになり、伊織の成功を確信した。


 伊織は結果的に、女性初のバリスタオリンピックチャンピオンとなった。


 教育の成果もあるが、伊織の努力もある。そして何より、運が良かった。


 マイケルがいて、王者の威厳に立ち向かうことが大きな重圧となっていたら、根本がいて、妨害工作に嵌ってリタイアしていなければ、響や桜子が不在で、最高のコーヒーを思いつくタイミングを逃していたらと思うと、やはり実力も運の内と思わざるを得ない。伊織の最大の功績は、バリスタとしての成功じゃない。僕の教育方針の正しさを証明したことだ。葉月珈琲塾が行っているオルタナティブ教育の道が開かれたのだ。かつて伊織に施した教育方針をベースにしていることを知る者は少ない。


 そんな伊織との間に子供を儲け、家族になるとは思わなかった。


「私、今日から母親なんですね」

「妊娠した時から、既に母親ですよ」

「伊織、店のことは心配するな。しばらくは私が葉月珈琲マスター代理として勤めることが決まった」

「ありがとうございます。なるべく早く復帰します。コーヒーイベントに備えないといけませんから」

「あず君と伊織は勝ったとしても、葉月グループ側の勝利数にカウントしないんじゃないのか?」

「はい。そこで別の人に私の競技を模倣してもらうんです。ヘッドジャッジが過去のファイナリストの競技を模倣したと見なした場合は減点されますけど、まだ披露されていない誰かの競技をコピーする場合は減点対象になりません。邪道と言われたらそれまでかもしれません。でもたとえ代理であっても、私もあず君の力になりたいんです。唯さんも同じことを考えてますよね。唯さんの競技練習を見ていて気づきました。まるであず君が競技をしているみたいでした。しかも新しいアイデアまで」

「ばれちゃいましたか。観察眼の鋭さ、師匠にそっくりですね」


 唯が珍しくジト目を僕に見せた。思わずのけ反ってしまう。


「ただの人間観察です。強化合宿はどうなってるんですか?」

「至って順調だ。あず君が考案した葉月珈琲塾の方針を強化合宿に応用した。みんな恐ろしいスピードで技能が詰み上がっている。正直誰にも教えたくないくらいだ」

「何言ってんの。これからはオルタナティブ教育の時代だ。貧困者が増えているのは、1人1人に合った教育をしてこなかった社会の責任だ。情報は基本的に共有する。これが広まれば、全国にいる多くの飯を食えない大人たちを救える」

「塾生が年間1万円負担になってるのはどうしてなんですか? 貧困ビジネスって噂されてますけど」

「年間1万円くらいのハードルだったら、貧困者も無理なく入塾できるし、ほとんどのクレーマーを排除できるし、飯を食えるようになれば余裕でコストを回収できる。ただで何かしてもらおうとする人ほど、あれこれ要求してくるもんだ。塾の運営費にも回せるし、うちを卒業していった連中が何らかの分野で成果を上げるだけで宣伝になる。情報自販機だと思えばいい」

「――やっぱりあず君は凄いです。私には一生追いつけそうにないです」


 伊織は嬉しそうに口角を上げながらも力なく呟く。


 とっくに超えてるんだけどな。あれだけレベルが上がった環境で勝ったんだし、マイケルジュニアの実力だって、マイケルをとうに超えていた。しかもホームスクーリング育ちときた。


 しばらくは子供そっちのけで談笑する。他の子供たちは葉月珈琲塾に預けている。料金を支払えば保育園にもなるのが、うちの塾の良いところだ。普段は子供たちの面倒を見るのに夢中で、一緒に話す時間は思った以上に少なかった。最初こそ葉月珈琲まで歩いていくことに違和感があったが、早くも慣れてしまった。伊織の出産を見届けた僕らは燈の寝顔を見届けた。


 様子を見てから退院し、合流すれば子育て生活の始まりだ。


 そろそろ帰宅しようと考えた。先のことを楽しみにしながらも病室の扉に手をかけようとした時、僕が取っ手に手をかける前に、扉が横に動いた。


「伊織ちゃん、出産おめでとう――って、あれっ? あず君に唯さんに皐月さん」


 優しい色合いのフラワーアレンジメントを病室に飾る凜。


 花屋の店長にお任せで花を選ばせたのがすぐに分かった。


「凜、何でここに?」

「何でって、あず君が伊織ちゃんを置いてけぼりにしている間、ここで伊織ちゃんと話してたの。私もこの前盲腸で入院してねー、たまたま隣にいたのが伊織ちゃんだったわけ。唯さんだけじゃなくて、伊織ちゃんまで妊娠させるなんて、思ったより変態なんだね。皐月さんは何とも思わないの?」

「そうだな。一度離婚して別の人と子供作っている奴ならいくらでもいる。あず君は同時に複数人の恋人を持つことに抵抗がないだけだ。一夫一妻制の時代は終わった。それが本当の意味での自由恋愛だ」

「皐月さんまで……えっ? もしかして皐月さんも?」


 普段とは全く違う常識に触れ、戸惑いを隠せない凜。


「ああ、私もあず君の恋人だ」

「はぁ~、先が思いやられる」

「凜ちゃんはあず君のこと、嫌いですか?」

「そりゃ……好きか嫌いかで言えば……好き……だけど……」


 顔を赤らめ、まともに僕のことを直視できなくなる。可愛い。


 たまに僕と目が合いそうになるが、すぐに目を逸らす。


 凜が持ってきたフラワーアレンジメントは水色を基調としている。葉月商店街にあった花屋には多くの身内が世話になった。だが今年の3月、他の店との競争に負け、遂に店仕舞いをする運びとなった。皮肉にもシャッター街となる原因を作り、昔から近くにできていたスーパーの中にある花屋エリアに職場を引っ越していたのだ。生き残りはしたが、葉月商店街にとっては大きな転換期だ。


 この時をもって、葉月商店街で20世紀に創業した店舗全てが撤退した。


 新しい時代に備えておけと、あれほど言ったのに……。


 店自体のサービスは良かった。だが配膳ロボットやタブレット注文を導入しなかった店舗、固定客が引っ越して新規客を確保できなかった店舗、大衆が興味を失っていった伝統的な店舗、どれも時が過ぎ行く中で何の対応もせず潰れたり、時代の波に呑まれる形で、葉月商店街を去っていった。


 凜が飾ってくれたアガパンサス、花言葉は恋の訪れだ。


「凜さん、相談なんですけど、私の代わりに、JBC(ジェイビーシー)に出ていただけませんか?」

「伊織ちゃんの代わりに?」

「はい。凜さん、JBC(ジェイビーシー)に出ると決めたはいいけど、どんな競技をすればいいか分からないと言ってましたよね。私のアイデアが詰まったとっておきの競技があるんです。どうかお願いします。どうしてもアマチュアチームに勝たないといけないんです」

「……伊織ちゃんの競技をコピーしろって言いたいの?」

「そうです」

「嫌だ。自分のアイデアで勝負するべきと言ったのは、他でもないあず君だよ。どうして他の人の模倣なんかしないといけないわけ? 納得がいくだけの説明がないと、無理に決まってるでしょ」


 用が済んだのか、半ば呆れ顔の凜が立ち去ろうと伊織に背を向けた。


 確かに凜の言う通りだ。自分の経験に裏打ちされた競技でなければ勝つのは難しい。かつて穂岐山珈琲はこのやり方で失敗している。ただ言われただけのことをこなすなんて、それじゃ従来の教育と変わりないし、凜は危うくそれに潰されかけた。嫌悪感を持つのも無理はない。


 自分を苦しめた奴隷のコピペに再びつき合う気はない。


 測らずとも、弟子は師匠に似ると唯は言った。もし本当なら、凜はきっとこう思っている。


 誰かの言いなりに動くのは嫌だと。


 バリスタ競技会は生き方の写し鏡、ならば競技の世界くらい自由にさせてほしい。だが画期的なアイデアもない。凜はラテアーティストだ。フリーポアラテアートやデザインカプチーノのアイデアなら無尽蔵に浮かぶ。だがビジュアル的なアイデアではあっても、フレーバーに訴えるような代物ではない。


「その通りだ」

「でもこのままだと――」

「伊織、やる気もない奴に無理強いをするのは良くない。好きにやらせとけ。凜には凜の考えがある」

「そんな……」

「まっ、そういうことだから、もう帰らせてもらうね」


 凜は病室の扉に手をかけ、伊織はシュンと顔を下に向けた。


「もっとも――」


 聞き耳を立て、扉を開けようとする凜の手がピタリと止まる。


「模倣すらできない奴が、画期的なアイデアを思いつくかって言ったら、かなり怪しいけどな」

「何その言い方。まるで私が模倣できないみたいじゃん」

「だってできないんだろ? 凜の言いたいことも分かるけど、僕だって最初は初代バリスタオリンピックチャンピオンのレシピを模倣して、自分なりに改善点を見つけて、最終的に自分だけのコーヒーを作り上げたもんだ。模倣は基礎と言っていい」

「分かった! じゃあ伊織ちゃんのレシピ通りに作らせてよ! もし優勝できたら、二度とそんな減らず口叩かないでよね! 私は葉月珈琲塾を卒業したあの日から、何があっても、絶対に自分の意思を貫いて生きるって決めたんだから!」


 ドスの利いた高い声を放つように言うと、凜は病室から立ち去った。


 声に反応するように燈が目覚めると、甘えるように泣き出してしまった。


 伊織は燈の体を丁寧に持ち上げ、両手に重みを感じながらあやしている。


「……わざと挑発したな?」

「はて、何のことやら」

「すぐに意地張って勝負に乗るところ、昔のあず君にそっくりです」

「今もだけどな」


 クスッと一斉に笑った。頼みの綱は凜をおいて他はいない。同じ味を模倣するのは難しい技術だ。量産型製品における開発の難しさを知らない人は意外に多くいる。均質性の高さを保つことを甘く見てはいけない。どこか1箇所でも間違えば、味にばらつきが出てしまうのだ。


 僕は凜の赤くなった顔が頭から離れないのだった――。


 4月下旬、伊織と燈が無事に帰宅を果たした。


 ベビーベッドの上に寝転ぶ燈を他の兄弟たちが興味深く囲みながら見下ろしている。紫たちにとっては初めての異母兄弟だが、特に気にしている様子はない。伊織は少しばかり胸が膨らみ、惜しみなく母乳を与え、僕らはジッと凝視しながら様子を見守っている。伊織にはそっぽを向かれた。子供に見られるのは平気らしいが、僕に見られるのは気が引けるらしい。


 伊織を正面に向かせ、小振りな胸にまた釘づけになる。


「み、見ないでください……恥ずかしいです」


 上半身がはだけている伊織の両肩と背中はいつもより綺麗に見えた。


 スベスベできめ細やかな白い背中を撫でるように触ってみる。


 小さな体はビクッと震えながらも受け入れ、手の表面が柔らかい感触を欲しいままにする。久しぶりの触り心地だ。いつもの日常に何かが足りないと思っていたが、正体がやっと分かって何よりだ。抱き枕のように触れていないと眠れない時期もあった。


 昼食後、璃子からメールが届いた。


 世戸さんがアマチュアチームに入ったのは本当らしい。


 ここにきてようやくアマチュアチームへの支援に力を入れ始めた。これで主要メンバーは10人、他の杉山グループからの参加者を含めれば、とんでもない数だ。だが幸いなことに、他のコーヒー会社にいるバリスタが杉山グループ側で参加しないという情報を得た。杉山グループ側についていたコーヒー会社のほとんどが陣営から離れてしまい、応募直前に所属を変えたことに対し、ジャパンスペシャルティコーヒー協会が不審に思い、杉山社長本人に調査を行ったところ、杉山珈琲宣伝のためと答えた。贔屓を恐れた幹部たちは、引き抜きを禁止しなければ、会長の座から降りてもらうと警告し、大会中に所属する企業を変える手は使えなくなった。これで杉山グループは、杉山珈琲のアマチュアチームのみで戦わなければならなくなった。杉山社長は全勝できると慢心し、早めにカードを切った。


 一方、うちは有望株となるバリスタの多くを獲得することができた。


 バリスタランド制圧がここまで効くとは思わなかった。バリスタ甲子園を始めとした子供向けの大会が注目されたことで、早い段階で有望株を入社させたはいいが、プロ契約制度はお金がかかる。資金繰りの末に有望株への投資を怠り、責任転嫁をするように、有望株をバリスタランドの店舗に押しつける形となった。多くのコーヒー会社は、有望株を即戦力か何かと勘違いしている。雇ったはいいが、コーヒー以外のことはさっぱりで、特に対人関係に苦労している人も少なくない。何かの道でプロになるような人間は環境を選べば覚醒するが、環境が合わなければただの社会不適合者だ。何かに集中している分、別の部分は疎かになりがちであることが、ここまで想定されていないのも馬鹿馬鹿しい。


 やはりプロを目指す教育が足りていない。


 あくまでもバリスタとして有望株であるだけの連中を、普通の正社員として迎え入れてしまったのが大きな過ちだ。どんな分野を目指す場合にも言える話だが、何かの道でプロを目指すことを真剣に考える時点で、能力に偏りがある社会不適合者だ。しかも正社員の事務や営業を普通にやらせたところで、能力を発揮できるはずがない。だから左遷された。有望株には競技の練習場所を与えるだけでいい。


 柚子からメールが届いた。受信した僕はすぐに葉月商店街へと足を運ぶ。


 葉月珈琲から赴くよりもずっと近い。葉月ショコラからも少し遠ざかった。


 璃子は葉月ショコラの後継者育成に大忙しだ。愛梨は優子の後継者として、アイリショコラマスターに就任したが、璃子はショコラティエの人口を増やすだけでなく、葉月ショコラで自分の代わりを務められる人を欲している。マスターとショコラティエの仕事をこなしながら僕に助言を出すのは限界だ。璃子は仕事から自由になりたい。元々は余生をのんびり過ごすために作った店だ。今はチョコレート作品をショート動画で作り、本格的な引きこもりに移行している真っ最中である。


 指示もほとんどメールだし、敵のマークを見事に回避している。


 葉月マリッジカフェに入ると、大きく変わっている内装が目に入った。カフェスペースと結婚相談所の席が同じになっているのだ。結婚希望者にお見合い相手を紹介しながらついでにコーヒーセットまで注文してもらえるのだ。柚子と瑞浪は客と話を進めながらコーヒーを提供する。


 オープンキッチンは必要最小限のサイズであり、カウンターテーブルを取っ払い、全てがテーブル席となっているのだ。どのテーブルにも相談用のお見合いプラン一覧が下敷き越しに表示され、どこの席に座っていてもスムーズな案内ができるようになっている。


 男性は年収のみで査定され、女性を全てお任せで探すとのこと。女性は年齢のみで査定され、コースに応じて男性を紹介してもらえる。実に分かりやすい仕組みだ。あまりにもカップリングが少なく、条件の悪い人ほど、相手に求める条件が高いため、条件を記入する形式は廃止となり、シンプルに年収と年齢という最大関数のみで釣り合いの取れる相手とマッチングさせるシステムだ。しかも登録者データをAIに相談し、釣り合いの取れた組み合わせを自動的に照らし合わせてくれるのだ。


 好き嫌いが一致していれば、カップリングが成立しやすいデータも出ている。


 AIによって結婚にまで発展したカップルもいるのだから驚きだ。


 柚子がお見合いプラン一覧を指差しながら、新規の相談者に説明する。


「あのぉ~、男性は年収だけで、女性は年齢だけで判断するんですか?」

「そうです。条件を言い出すときりがないので、まずは年収と年齢でマッチングしていただきます」

「納得できません。せめて同い年くらいじゃないとねぇ~」

「お客様、ここは結婚相談所です。恋愛をするための場所ではありません。お客様は結婚なさりたいのか恋愛なさりたいのか、まずはそこをハッキリさせてください。失礼ですが、35歳を過ぎると、5年後の婚姻率が一気に下がるんです。大半の男性は若い女性を求めています。お求めの年収ですと、最低でも40代くらいの相手になると思いますよ。今の若い男性はお金がない人も少なくないんです」

「そうなんですねぇ~。うーん、どうしよう」


 まーた迷ってるよ。迷える立場じゃねえってのに。


 葉月マリッジカフェには様々な年齢層の男女が相談にやってくる。何割かは登録することとなり、マッチングを待つこととなる。恋愛と結婚を完全に切り分けている。実に見事だ。


 恋愛をするだけならマッチング方法がいくらでもある。結婚を考えるならば、真っ先に考えるべきは生活が成り立つかどうかだ。アラフォーを過ぎた男女に必要なのは、恋愛を卒業する覚悟だ。柚子はそのことを真っ先に思い知ったからこそ結婚に踏み切れた。


 僕も今年でアラフォーだが、恋人の最年少が20歳(はたち)を迎えたばかりの皐月だ。つき合う相手に困ったことは一度もない。今にして思えば、多くの女性から告白を受け、歩み寄られたもんだ。振られたことは一度もないが、振った回数は数えきれないほどある。1つ分かったことがある。僕は若くて活気のある大和撫子が好きなのだ。それも複数人ときた。他人に興味がなかったというよりは、どんな人に興味があるのかが、長い間分からなかったと言える。


 人の価値観ほど、変化が激しく、あやふやなものはないと知る。


 常に変化を続けてきたのは進歩の証だ。常に新しい価値を受け入れてきた。そして僕と志を同じくする者たちだけがそばに残った。相手のことを好きになろうと嫌いになろうと、運命の選別は勝手に行われていくもので、縁がなければ学校や会社などを卒業し、接点がなくなれば会わなくなる。ここ数十年は人と知り合い続けた。身近にもインターネット上にも気が合う仲間は数多くいた。


 この歳になって、やっと自分が何者なのかが分かりつつあった。

読んでいただきありがとうございます。

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