表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第19章 逆襲編
458/500

458杯目「生者を惑わす死者」

 真凜の父親のブログは、カフェ経営の現実を生々しいくらいに物語っていた。


 2019年11月、令和恐慌が訪れると、常連さえ店に来なくなり、世界通貨危機の影響もあり、物価高までもがカフェ・オリエントを直撃した。


 当時社長であった鍛冶議員が度々訪問しに来たのも、丁度この頃だ。


 カジモール計画はこの頃には始まっていた。当初は大規模なショッピングモールとしてオープンする予定だったが、杉山社長の意向により、全国からカフェを集い、バリスタランドとしてオープンする計画へと変更されるや否や、面積拡大のため、今のバリスタランド南東エリアに位置するこの場所までをも買収する必要に迫られた鍛冶議員はカフェ・オリエントの買収に乗り出した。


 しかし、真凜の父親は買収に応じる気などなく、店が潰れれば真凜の母親と共に地元のコーヒー会社にアルバイトとして就職し、真凜からの仕送りと合わせた生活費で暮らすつもりであった。たとえカフェとしては潰れてしまったとしても、田舎風カフェの雰囲気を残したまま、昭和から平成を生き抜いた痕跡を残した方が、風情があるものと読み取れた。


 プロ意識を持ったバリスタにしか分からない感情が、このブログには詰まっている。


 鍛冶議員のことは地元の大手社長と書かれており、心底憎しみを抱いている様子だ。たとえどんなに富と名声を得ようとも、あんな人間にだけはなりたくないと愚痴をこぼす始末だ。店を維持したまま売らなかったのは、意地以外の何ものでもなかった。条件の良い価格を提示され、レートは上がっていったが、何度も断りの返事を出している内に鍛冶議員は強硬な態度を見せるようになり、最終警告とも受け取れる価格を提示したが、これも断ってしまったのが運の尽きだった。真凜の両親はアルバイトとしてコーヒー会社に就職していたが、突如社長から突然呼び出され、解雇を命じられた。


 謂れもない理由による解雇で生活を維持できなくなる。


 すると、誰にも頼ることなくカフェ・オリエントを売り払うかどうかの決断に迫られる。


 2020年の夏頃、娘からの仕送りが途絶えたとある。真凜は予てから穂岐山珈琲育成部に所属することを望んでいたが、結局育成部に上がることはなかった。大会で結果を出せればと思い、何度も挑戦していたが、希望は遂に叶わず、コーヒーイベントにも進出できず、既に体力を大幅に削られていた穂岐山珈琲によって一度解雇され、非正規雇用で地方の支店勤務という不遇に見舞われている。仕送りが途絶えた時期とも一致している。あくまでも仮説だが、鍛冶議員は真凜が仕送りをしているところに目をつけて穂岐山珈琲に揺さぶりをかけたものと思われる。穂岐山社長が言うには、以前から鍛冶議員に穂岐山珈琲の株を買収され、経営権の一部を握られていたのだ。中でも人事権を握られたことが致命的で、内部からの弱体化が始まった。真凜も他のバリスタたちと一緒に解雇された。リストラリストに真凜を入れたのが鍛冶議員だとすれば、全ての話に説明がつく。


「真凜、どうやら君を穂岐山珈琲から追い出して仕送りを途絶えさせたのは、鍛冶議員で間違いない」

「……やっぱりそうだったんだ」


 氷のような小声を出したかと思えば、無表情のまま恐怖のオーラを漂わせた。


「何か心当たりでもあったか?」

「5年くらい前、お父さんから連絡があったんです。鍛冶という男に気をつけろと言われました。でも当時は何のことか分からなかったので、気にも留めませんでした。まさか私を陥れるために、穂岐山珈琲の株を買収していたなんて……思いもしませんでした」

「穂岐山珈琲が狙われたのは真凜のためじゃない。ブランドを築き上げているコーヒー会社の中でも狙いを定めやすかったからで、当時はトップバリスタの登竜門と呼ばれていたくらいだ。杉山グループに株式を渡すための御膳立てもあった。真凜はトップバリスタを目指して、穂岐山珈琲に入ったのか?」


 真意を確かめるべく、隣の席に腰かけた真凜に尋ねた。


「はい……つまり、偶然だったということですか?」

「そういうことになるな。鍛冶議員と最初に会った日は覚えてるか?」

「――確か私が穂岐山珈琲銀座本店にいた時です。名乗りはしませんでしたけど、後で鍛冶議員の顔を見た時すぐに分かりました。私の目の前に現れて注文を済ませた後、私は福井県から来たんだって自己紹介されて、私も福井県の生まれです。偶然ですねって返事をしたんです」

「多分、その時に鍛冶議員は君のことを足羽家の娘と確信したんだろうな。穂岐山珈琲の名札をつける習慣が裏目に出てしまったわけだ」

「……悔しいです……両親の大事なお店を買収するために、ここまでやるなんて……」


 充血した目に涙を浮かべた横顔はかつての鈴鹿を思い起こさせる。制服が濡れても一向に構わず、顔を俯かせ、ボロボロと惜しみなく涙を流し、鼻水を啜り、頭と両腕の握り拳を小刻みに震わせた。


 僕はそんな彼女の頭上に、そっと優しく手を置いた。


「一泡吹かせたいです……あんなのが議員なんてっ……冗談じゃないですっ」

「真凜、これは僕ら一般大衆が、社会の腐敗を放置してきた代償だ。他の連中もバリスタランド設立のために、あの手この手で追い出されてる。何でこんな田舎に、どでかいテーマパークなんか作ったのかは知らねえけど、社会の腐敗を推し進めてきた権力者たちはもちろん、悪意を持った権力者を止められなかった僕ら一般大衆にも、責任の一端があるとは思わないか?」

「何が言いたいんですか?」

「自分たちで作った問題は、自分たちで解決すべきってことだ。これ以上野放しにしたら、また悲しむ人が出てくるんだ。被害者にできることは、新たな被害者を生み出さないことだからな。ブログを読んでいてよく分かった。ここには絶対何かある。それが分かっただけでも収穫だ」


 結局、どんな手掛かりがあるのかまでは分からなかった。


 杉山社長は慎重な性格だ。敵側の情報を覗いていないわけがない。このブログも恐らく読まれているだろう。本当に重要な証拠なら、消されていても不思議じゃないが、何か引っ掛かる。


 最後の更新は2022年10月8日だった。


『遺産は全く残せない。書くものすら買えない始末。はいそうですかとまんまと店を売ってしまったのが無念である。台風は簡単には立ち去ってくれない。所狭しと引っ越し先の家に入ったが居心地は最悪だ。にっこりと微笑む娘の姿が懐かしく思えてくる。埋め合わせの仕送りも遂に尽きてしまった。めそめそと泣いて悔しがる娘の姿が目に浮かぶ。たった一瞬でも必死に頑張っている娘に報いてやりたかった』


 思いついたことを次々と書き連ねているようにしか思えない。


 台風は恐らく鍛冶議員のことだろう。固定資産税を払えなくなり、やむを得ず土地を売ってしまったことを心底悔やんでいるようにも思える。最期まで娘のことを心配していたようで、心労が祟ったことが見て取れる。日付にもヒントがあると考えた。カフェ・オリエントが売られたのは2022年9月22日。この後10月に入ったところで、真凜の父親は倒れたようだ。


 死んだ後のことまで憂いていることからも几帳面で真面目な性格が窺える。文章が所々不自然だ。以前の記事と比べても差は明らかだ。別人が書いたようにも思えるが、自分で書いた言葉だ。


 この記事を最後に、更新が行われることはなかった。


「真凜、両親の没年月日は覚えてるか?」

「お父さんは2022年12月25日、お母さんは2023年3月29日、お父さんは生活のために無理な過重労働で倒れて、その後お母さんもコーヒーを飲んでいる時に倒れました」

「遺書は残してないか?」

「いえ、残してません」

「だとしたら不自然だ。君の父親は用意周到な性格だ。文章を見れば分かる。誤字脱字もないし、倒れてから死ぬまで2ヵ月以上もある。遺書を書く時間は十分にあったと思うけどな。犬小屋メダルのネックレス以外に何も残してないのか?」

「ネックレス以外だと、カフェ・オリエントの()()()くらいですよ。建物自体が潰れた今となっては何の役にも立たないと思いますけど――」

「何でそんな重要なことを黙ってたんだよっ!?」


 反射的に立ち上がり、捲し立てるように言った。


「ひいっ! ごっ、ごめんなさいっ!」

「今すぐ持って来い!」

「! ……も、持って来いって……えっと、バッグの中にあると思います。今すぐ持ってきます」


 慌てて更衣室へと戻っていく真凜。


 すぐに女性らしさの欠片もないバッグを持ってくると、ひっくり返して内容物をボロボロと落とした中には、財布、口紅、ティッシュ、扇形の櫛、画面の左右にある赤と青のコントローラーが自由に取り外せる某ゲーム機、1枚の四つ折りにされた紙が落ちてくる。


 真っ先に紙を拾って開いてみると、カフェ・オリエントの設計図が描かれていた。2階部分まで描かれているものの、何の手掛かりにもならない。設計図は中山道葉月の設計図よりも小さい。入り口こそよく似ているが、他は全くと言っていいほど違う場所だ。一度取り壊してから全て建て替えてしまっている。レトロカフェではあるが、妙に作られた感があって、どこか嘘くさい。


 葉月珈琲より小さく、30人が入るくらいの小さな店だ。ブログによれば、内側から花で飾られている小さな窓からは外の雄大な自然が見えたという。中山道葉月の窓からはカフェ大和しか見えないし、自然の要素なんてない。これほど味気ない景色はない。カジモール計画は周囲の木々を切り倒し、大きな建物で埋め尽くす計画であったことを聞かされ、真っ向から反対したことは想像に難くない。


 カフェは店内から見える景色もフレーバーの一部だ。


 この場所でしか見られない、目で味わう景色だ。中央エリアの一部は工事中で、新たに映画館が開設されるとのこと。昭和風の映画館になる予定だが、神社の隣に建っているパチンコ店のようで品がないし、こんな不細工なテーマパークのために潰れたんだと思うと、真凜の両親には同情の念しかない。


「真凜、これちょっと預かるぞ」

「構いませんけど、必ず返してくださいね」

「分かってる。ていうか何でバッグに入れてるわけ?」

「生前お父さんに渡されたんです。カフェ・オリエントが買収されてしまった時、肌身離さず持っていてくれと言われたので、いつもバッグに入れていたんです。どうして設計図なんでしょうか?」

「決まってるだろ。いつか必ずこの場所を買い戻して、全く同じ設計で建て直してほしいと思った。最期まで真凜のことを心配していた。君は希望を託された」

「私に買い戻せるわけ――」

「できる。僕がバリスタランドの大株主として経営権を手中に収めれば、バリスタランドを解体して元の持ち主に土地を返還することも可能だ。真凜が望むなら、カフェ・オリエントの設計図通りに店を建て替えることもできる。もちろん、経費はうちが負担する」


 無論、大株主になるには鍛冶議員の不祥事を暴き、杉山グループ側についている連中の支持を得る必要があるわけだが、栗谷社長に訴訟を起こす元気はない。ならば真凜の両親に懸けるしかない。


「それは願ってもないことですけど、どうしてそこまでしてくれるんですか?」


 疑いの目を向けるように真凜が言った。


「君がうちにやってきたのは何かの縁だ。僕にもっと力があれば、カジモール計画を阻止することができたし、他にも土地を奪われた人の中に、僕の大事な仲間がいる。陰謀を止められなかった僕にも責任の一端はあるというか、葉月グループの事業拡大のことばっかり考えてて、周囲が全く見えなかった僕の不手際でもある。特別なことじゃない。ただ責任を取るだけ。それに……個人的にカフェ・オリエントの姿を見てみたい気持ちもあるからな」

「――やっぱりあず君は変わってますね」


 両手を背中で結び、体を前に倒し、胸を強調する。


「よく言われる」

「私が今まで見てきた社長は、みんな自分が稼ぐことばかりを考えてきた人たちばかりでした。でもあず君は違います。ここまで社会全体の利益を考えて行動する人なんて初めて見ました。どうしてあず君が色んな女性からモテるのか、ちょっと分かった気がします」

「それは私も同感だな」


 皐月が腕を組んだまま話しかけてくる。


「……いたのかよ」

「さっきあず君の大声が聞こえてきたかと思えば、真凜が慌ててバッグを持ち出したからな。気になるのは当然だろう。私にも事情を聞かせてくれ」

「分かった。真凜、皐月にも話していいか?」

「はい、大丈夫です」


 真凜はさっきまでの事情を皐月に説明する。


 納得はするが、不祥事の決定的な証拠を掴むには至らない。


 鍛冶議員から強引な店舗買収の被害を受けた真凜なら何か知っていると思ったが、ロクな手掛かりを持っていないとなれば八方塞がりだ。真凜の両親が引っ越しを余儀なくされた集合住宅には別の人が住んでいて、真凜の両親が使っていたものは処分されていた。手掛かりは犬小屋のネックレスとカフェ・オリエントの設計図のみ。設計図は近くのコンビニでコピーして返したが、以前の家よりも派手で面積も広くなっていることからも、いかに慎ましやかな暮らしをしていたかが見て取れる。


 真凜もまた、平和を取り戻したい。一人娘を残して死ぬ時に、何もせず世を去れるものだろうか。


 これ以上何も手掛かりがないのであれば、真凜があまりにも不憫すぎる。


 ずっと住み続けたカフェだ。思い入れが何もないはずがないと僕の勘が訴えてくる。


「……分からん。これ以上何を調べろってんだよ」


 つい天井に向かって文句を言ってしまった。


「私にもブログを見せてくれ」

「別にいいけど、特に大したことは何も書かれてないぞ」

「――妙だな。他の投稿記事と比べても、最後の更新だけ文章力に差があるな。鍛冶議員のことを台風と表現したり、わざわざ使わなくてもいい表現をしたりしている。別の人が書いた可能性はないか?」

「それはないと思う。でも怪しいよな。ここに何か隠れてると、僕の勘が教えてる。真凜、犬小屋のネックレス、どこの店の物か分かるか?」

「これは非売品です。わんわんかふぇの限定品で、1回来店する毎にスタンプカードにスタンプを押してもらえるんです。通算100回来店してやっと手に入るものなんですけど、くれたのはお母さんでした。上京して通学しながらバイトをしていた私が心配だったのか、何度も来店してくれていたんです。肝心のわんわんかふぇは10年ほど前に経営不振で潰れちゃったので、今の時点でこの犬小屋のネックレスを持っているのは私だけなんです」


 クスッと笑いながら真凜が言った。


 だから形見なのか。妙に納得がいってしまった。


 ここまで娘思いな両親が何も残さないはずがない。100回来店するのだって、綿密に計画を立てなければ、実行は不可能だ。敵にはばれない方法で、真凜にSOSを出している可能性が非常に高い。


 客足が途絶えてしまった。北東、北西、南東、南西のエリアは全品1億円提供を始め、ニュースでも取り上げられるほどであった。名目上はオリエンタルモールの暴政に異を唱え、鍛冶への不信任を意思表示することが狙いと報道され、様々な憶測を呼んでいるが、流石に買えないためか、客足はすっかりと途絶えてしまったのだ。中山道葉月も遅れて全品1億円提供を始めると、アルバイトは毎日が日曜日である。シフトを大幅に減らす余裕ができた。百美や渚は学業に専念し、渚は大学進学を決めている。全員アルバイトを続ける意思はあるようだが、これ以上雇ってやる予定はない。


 3人くらい減らしてもいいと思ったが、これを決めるのは僕ではない。鍛冶からも全品1億円提供の取り下げを要請されているが、オリエンタルモールの株を全て渡すことを条件として突きつけている。だが今のところは拒否されている。株を手に入れる手段の1つとしても機能しているが、別の役割を果たしていることを僕は知らなかった。バリスタランドを手中に収めるまでは続けてやる。杉山社長は相も変わらず怒り心頭の様子であるとのこと。杉山グループにおけるコーヒー事業の拠点を握りつつあった僕が余程憎いらしい。『株式略奪作戦』実行には、喫茶処江戸以外の全ての店舗を味方につける必要があると璃子は言ったが、これは流石に骨が折れる。鍛冶議員を支持している中央エリアの連中を手懐ける唯一の方法がここに眠っているというのに、一向に見つからないのは一生の不覚。


 ため息を吐き、中央エリアへと赴いた。


 客は中央エリアに集中し、他のエリアには見向きもしない。杉山グループに心酔する民衆は少なくないのだ。葉月グループとは歴史の長さが違う。長年にわたり染みついたある種の忠誠心を揺るがすことは簡単ではない。バリスタランドを手中に収めるには喫茶処江戸を最下位に引き摺り降ろす必要があると璃子は言った。果たして可能なのかと思ったが、璃子の答えは至ってシンプルだった。方法を聞いた時、マジックのネタ晴らしをされた子供のように、何だそんなことかと納得してしまった。


 カフェ・チバニアンには少しばかりの客がいた。大半は喫茶処江戸にいるアマチュアチームにサインを貰い、握手をしてもらうためだ。アマチュアチームとは名ばかりで、バリスタランドにいる誰よりもプロバリスタのように見えるのが滑稽だ。書かれていることだけが真実とは限らないのかもしれない。


 ジェシーたちのような遠征組の構図とピッタリ重なっている。


 店内でドリップコーヒーを淹れている世戸さんが僕に気づく――。


 眉間に皺を寄せ、スタッフに断りを入れて外に出る。


 また視線が一致する。世戸さんは物怖じするように歩幅を狭くしながらも距離を詰めた。


 僕は彼女を知っている。以前コーヒーイベントで会ったこともある凄腕のバリスタだ。アマチュアチームを除けば、バリスタランド内の店舗から出場を果たしている変わり種でもある。プロバリスタに勝つことが求められるコーヒーイベントに今もなお出続けるのはプロに勝ちたいからだ。


 アマチュアである自覚があるというなら、とっくにバリスタ競技会から引退していても、何ら不思議じゃない。本音は言葉ではなく、行動に表れるもの。実行している行動こそが本音だ。プロでない者が集まるかと思いきや、真剣にプロバリスタを目指す者たちが集まっている。まさにバリスタランドだ。


「葉月社長、一度うちに来てくれませんか?」

「別にいいけど、なんか用か?」

「いくつか尋ねたいことがあります」

「なるほど、奥の席に予約済みのカードが置かれている理由はそれか」

「……ここは目立ちます。席までどうぞ」


 世戸さんは淡々とした顔のまま、案内するように手を店側に伸ばした。

読んでいただきありがとうございます。

気に入っていただければ下から評価ボタンを押していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ