45杯目「革命的なコーヒー」
CFL準決勝へと駒を進めていた。
この時点でベスト4、あと2回勝てば優勝だ。
準決勝は勝った人が決勝に進出し、負けた人は3位決定戦を行う。賞金が貰えるのは3位から。準決勝では、あの今大会最強と謳われるイギリス人のベネディクトと遂に対戦することに。
競技が始まると、ミルクピッチャーに牛乳を入れてから1杯のカップにエスプレッソをダブルショット分入れ、スチームノズルをミルクピッチャーに入れてスチームミルクを作るまでの作業をテキパキとこなしていく。この作業は呼吸と同じくらいの流れ作業でこなせる。
やっとスピード勝負ができることに喜びを隠せなかった。
通常の白鳥に加え、フリーポアで広げた扇のような翼を描いていく。
「あれは――白鳥か?」
「いや、更に書き足してるぞ。しかも横向きだ」
「翼が広がっているように見える。孔雀か?」
僕の方が早く提供し、審査が始まった。描いたのは孔雀。孔雀は本来デザインカプチーノの方が上手く描けるのだが、横向きであればフリーポアでも描ける。相手は横をリーフで飾った白鳥だった。白鳥ミラーなら負けていただろうが、孔雀と白鳥なら、もう勝負は見えている。
「創造性の面でアズサが優勢だと思います」
「主にシンメトリーの面でベネディクトが優勢だと思います」
ここで初めて評価が分かれる。シンメトリーじゃないのがまずかったか?
3人のジャッジの内、最初の2人が同じ意見の場合は3人目が話す必要がなくなるのだが、この場合は3人目も話すことになる。ここで3人目のジャッジが口を開く。
「――速さと創造性ではアズサ、明確さと色の表現力ではベネディクトが優勢と考えます。肝心の見た目ですが、基本的にはシンメトリーが問われます。しかし、アズサは本来フリーポアで描ける動物の幅を広げ、デザインカプチーノの方が上手く描ける孔雀をフリーポアで描いたのです」
会場がシーンと静かになり、全員が固唾を飲み、ジャッジの動向に注目する。
「私は……その芸術性でより難度の高いアズサのラテアートが優勢と判断します」
さっきとは対照的に会場が沸いた。
「! ちょっと待て! アズサはシンメトリーを無視してるんだぞ!」
ベネディクトがジャッジに詰め寄って抗議をする。
負けを受け入れられないのか、やけに必死の顔だ。しかしジャッジは冷静だった。
「何もシンメトリーだけがラテアートではありません。あくまでも1つの評価基準にすぎない。シンメトリーでない場合でもあらゆる視点から見た目の芸術性を評価することがジャッジには求められます。これはルールブックにも記載されているはずですが」
「くっ……」
ベネディクトが握り拳のまま悔しがる。
そうだったのか、知らなかった。ルールブックはちゃんと読んでおくべきだな。ていうかこれ、スピード勝負で負けていたら、僕負けだったんじゃねえの?
まさしくタッチ差の勝利だった。
「……俺の負けだ。決勝で負けたら承知しねえぞ」
ベネディクトが僕に握手を手を差し伸べながら負けを認める。
「ああ、そのつもりだ」
ベネディクトと握手を交わした。この時点で僕は準優勝が確定して決勝に、ベネディクトは3位決定戦に駒を進めた。みんなハートベースのものばかりを描いていたし、これを上回る作品を描ければ勝てると思った。決勝では特に難しいとされる薔薇を描くことに。
「すげえな、あのベネディクトが負けるなんて。これアジア人初の優勝あるんじゃねえか?」
「ああ、なんかあいつのラテアートが楽しみになってきたぜ」
3位決定戦が行われている束の間の休憩時間、客席に座って休んでいた。あの審査だけでドッと疲れた。ベネディクトは見事なハートのチューリップにリーフで端っこを飾る。ベネディクトは判定勝ちで3位となり、僕の番がやってくる。表彰台に立とうと奮闘したのは彼なりの意地なんだろう。
決勝の相手はオーストラリア人だった。これまた高身長でガタイの良い人だった。
――聞いたことがある。確かメルボルンのバリスタは強豪揃いで、ワールドバリスタチャンピオンレベルのバリスタを次々と輩出しているとか。面白い。こんな人と勝負できるなんてワクワクする。競争は嫌いだが、勝負事は好きかもしれない。内に秘められた想いに気づきつつあった。
「ではこれより、決勝戦を開始します。レディ……ゴーッ!」
決勝はいつもより盛り上がっていた。ここが正念場だ。
スピード勝負を捨てる覚悟を決め、他の指標で勝ちを狙うことに。すると、相手も同じことを考えていたのか、お互いに今までよりも遅いスピードだった。フリーポアの態勢に入ると、薔薇の花弁を描くために少しずつ絶妙に牛乳を落とす。薔薇の花弁が細かく出来上がり、端には細長く植物を飾る。
スピードでは僕が勝り、1輪の薔薇を置いた。ジャッジは短時間で仕上げたことに唖然としていた。作品を提供した後、大会初日と同様に用意されたメモに作品名を描く。
もう……これで最後なんだな。
相手が描いたのは2羽の白鳥。どうりで遅かったわけだ。白鳥を1羽描くだけでも一苦労だが、それを2羽も描いてくるとは。しかも両方共向かい合っていて、シンメトリーも完璧である。
「高難度である2羽の白鳥を描いたジョージの方が優勢だと思います」
「ここまで繊細な薔薇を手早く正確に描いたアズサが優勢と判断します」
1人目のジャッジに判定負けした時はどうなるかと思ったが、これで首の皮1枚繋がった。3人目のジャッジが口を開く。ここで優勢と見なされた側が優勝ということになる。
「どちらも今まで以上に凄いラテアートで、難易度も難しく、判定し辛いですが、ジョージの作品は2羽の白鳥がまるで鏡に映ったようにシンメトリーを演出しています。高難度なラテアートの中にもセオリーを維持しており、表現力や示唆に富んだ作品と言えます」
始めて負けを覚悟した。会場はさっきまでの熱狂ぶりとは対照的だ。
最後までジャッジの話を聞こうと静まり返っている。
「しかしそれに対し、アズサの1輪の薔薇は1つ1つの花弁が大きさも形も全く違うにもかかわらず、まるでパズルのピースように全体にバランスをもたらし、立派な1輪の薔薇を形成しています。しかもコントラストや陰影までもが細かく、まるでそこにあるかのような立体感さえあります」
――えぇ~、両方共そんなに褒めたら、どっちが優勢か分かんねえよ。
会場中がジャッジの次の一声に注目する。
「……私はラテアートの常識を悉く覆し、誰よりも繊細な薔薇を描いたアズサを優勢と判断します」
「よっしゃあああああぁぁぁぁぁ!」
満面の笑みでガッツポーズを決める。会場からは惜しみない声援が送られ、僕は観客に応えるように開いた両手を惜しみなく振った。僕が決勝で1輪の薔薇を描いたのには訳がある。
1輪の薔薇の花言葉、それは一目惚れである。
コーヒーに一目惚れしてからというもの、ずっとコーヒーのために身も心も捧げてきた。最愛の恋人が僕を見離すことはなかったのだ。歓声はいつの間にか、拍手へと変わっていた。
「ジョージ・チャップマンだ。アズサ、優勝おめでとう」
「ありがとう」
ジョージと握手を交わし、彼からも惜しみない拍手が送られる。
「それでは今から表彰式を行います」
3人分の表彰台が既に用意されており、3位となったベネディクト、2位となったジョージが呼び出され、トロフィーが渡された。
そして――。
「今回のコーヒーフェストラテアートワールドチャンピオンは、アズサーハーズーキー!」
歓声と拍手の中、トロフィーの姿が目に映る。
トロフィーはガラス細工でできた頑丈で軽いクリスタルのような見た目だった。
こうして、葉月梓の名前がアトランタに刻まれた。
またしてもアジア人初の優勝らしい。僕はトロフィーと賞金を受け取った。これでしばらく店が延命できる。優勝よりもこっちの方がずっと嬉しかった。
記者に取り囲まれてインタビューを受け、アトランタの新聞の一面に載ることに。
その時、またしても恐ろしい事態になった。
僕が休憩しようと思った時、色んな人からサインを強請られた。ペンとサイン色紙を持って僕を取り囲むように群衆が集まってくる。集団は苦手だってのに……押し寄せるなんてやめてくれよぉ~。
集団リンチを受けた時のことを思い出す。
ファンサービスはしないと心に決めていたため、1人1人丁寧に断った。
そんな時だった――。
「こんにちは。サインください」
声をかけてきたのは見知らぬ日本人だった。眼鏡をかけ、笑顔で声をかけながらしゃあしゃあと僕に近づいてきたのだ。どうやらこのコーヒーイベントに参加していたらしい。
「こっ! 来ないでっ!」
「えっ!? ちょっ、ちょっと待ってよ」
怯えながら逃げるしかなかった。明らかに不思議がっていたが、身内でも慣れた人でもない日本人には耐性がない。その光景は外国人たちからも不思議がられた。逃げる僕をジャスティンとジョナサンが追いかけてくる。人気のない所まで逃げると、僕は2人に問い詰められる。
「一体どうしたんだよ?」
「悪い……気分が悪いんだ」
ジャスティンたちに日本人恐怖症のことを話した。この病気が治るまでは、あいつらとは恐怖心からかロクに近づいて会話をすることもできない。
「そんなことがあったのか」
「うん、どうしても身内以外の日本人が怖いんだ。赤の他人やかつてのいじめっ子に対しては、近づくことさえ体が勝手に嫌がるんだ」
「確かマイページには外国人観光客限定って書いてたけど、それが本当の理由だったのか」
「うん……国内からも人が来たら厨房がパニックになるっていうのは方便で、本当の理由を伝えたところで誰も信じないと思ったから」
「俺は信じるよ。さっきの怖がり方は、とても演技とは思えなかったし」
「トラウマなら仕方ねえな」
「――ありがとう」
2人から励まされた。一応口止めはしておいた。
恐る恐る会場にまで戻ると、僕はニコラスに誘われ、彼の家で祝勝会を開いてもらうことに。
それにしても、ニコラスの家って……でかいな――部屋がいくつもあるし、プールにテニスコートまである。アメリカはとにかく何でもでかいのだ。滅多に手に入らない高級肉までご馳走してくれた。流石は食の宝庫アメリカだ。ニコラスは僕のファンであり、ファンサービスをしないことを知っていた。
「みんなにはアズサがもう帰るって伝えておいたから、ここにいる人からファンサービスを申し込まれることはないと思うよ」
「ありがとう。皮肉なもんだよね。ファンサービスを申し込んでくる時点で、僕のファンじゃないって言ってるようなもんなのに」
「ふふっ、アズサは何でファンサービスをしないの?」
「面倒だからっていうのもあるし、いちいち対応してたら切りがないし、人間自体あんまり好きじゃないんだよなー。人混みとかも苦手だし」
「意外とシャイなんだね。あっ、そうだ。是非アズサに飲んでほしいコーヒーがあるんだよ」
「僕に飲んでほしいコーヒー?」
ニコラスが言うと、僕に革命的なコーヒーを紹介してくれた。
それは他でもない、『ゲイシャ』と呼ばれるコーヒーだった。
ゲイシャは1930年代のエチオピアにあるゲシャ・ビレッジという場所で発見されたことが名前の由来とされている。ゲシャという名前が伝言特有の現象なのか、ゲイシャという名前で伝わったため、今ではゲイシャが通称である。味は蜜柑やレモンといった柑橘類、あるいはネクタリンやパッションフルーツのようなフルーティな酸味と甘みがあり、蜂蜜やチョコレートのような後味を持つものもある。ジャスミンやベルガモットのようなフローラルな香りがあり、強い風味を持つ。
精製は主にナチュラルプロセスという、果実ごと日干しにして、乾燥した後で豆を取り出す方法と、ウォッシュドプロセスという先に取り出した豆を水洗いして乾燥させる方法の2種類がある。
ゲイシャならではの香りを引き立たせるため、浅煎りで出されることが多い。2004年にコーヒーの国際品評会で優勝してからは、一躍脚光を浴びることとなった。しかも連続で優勝しすぎたという理由で、ゲイシャ種に特化した部門が出てくるほどだ。それからは中南米を中心に栽培が進んでいる。
紛れもなく『世界最高峰』のコーヒー豆だ。
ニコラスにパナマゲイシャのドリップコーヒーを淹れてもらう。
この花のような香り……もうこの時点で分かる。これ絶対美味いやつだ。期待を膨らませながらコーヒーカップを手に取り、恐る恐る口に含む。
「!」
……何だっ! この味は? これ本当にコーヒーなのか? 確かにコーヒーの味だが、これはコーヒーというよりもフルーツだ。この柑橘系のフレーバーは一体何なんだ? 甘味と酸味が同時に味覚を襲ってくる。こんなコーヒーは生まれて初めてだ。
「やっとアズサが驚いた顔が見れたよ。いつもはこっちが驚かされてばかりだからお返しだよ」
「これは驚いた。まるでフルーツを飲んでるみたいだ」
「ベルガモットのフレーバーが特徴的なんだよ」
「これが……ベルガモットフレーバーか」
ニコラスは僕に柑橘系のフレーバーがベルガモットであると教えてくれた。その後も丁寧にゆっくりな英語で全部教えてくれた。もちろん、いつものネイティブ英語でも十分通じるのだが、彼は僕が英語が苦手な日本人だと思っているのか、発音が丁寧だった。明らかに日本人慣れしている。
「これ、どこで売ってるの?」
「今はあんまり出回ってないよ。僕は父親が会社の社長で、アメリカスペシャルティコーヒー協会の人と仲が良いから、それで手に入ったんだ。買うにしても凄く高いよ。手配くらいならしてもいいけど」
「買う。是非届けてほしい」
「分かった。多分来年くらいになると思うけど、それでもいいかな?」
「喜んで。うちの店の住所はマイページに乗ってるから、そこに連絡してくれ」
「うん、いいよ」
確かこの時は1ポンドにつき1万円以上という破格の値段だった。
この値段からも、ゲイシャの人気の高さが窺える。
僕は祝勝会で他の参加者たちといっぱい遊びまくった。コーヒーにまつわる色んな話をした。一時はどうなるかと思ったが、優勝もできたし、貴重なコーヒーも味わえたし、結果オーライだ。
この日の夜、祝勝会がお開きになると、みんな家に帰っていく。夜に1人で歩くのは危険だからと、僕はニコラスとマートンにホテルまで送ってもらっていたが、マートンから質問を受けた。
「アズサ、そういえばさっき、日本人のファンが君に声をかけた時、物凄く怖がる様子で逃げていったけど、あれは一体何でなの?」
「どうしても言わなきゃ駄目?」
「無理にとは言わないけど」
ニコラスとマートンにも日本人恐怖症のことを話し、例によって口止めした。
「なるほど、つまり君は過去のトラウマで、身内以外の日本人が怖くて、慣れてる人は目を合わせずに近づいてこなければセーフなんだね」
「そういうことだ。がっかりしたか?」
「いや、誰にだってトラウマの1つや2つくらい抱えてるもんさ。茶髪でロングヘアーの男子ってだけでそんな目に遭うなんて、ロクな学校じゃねえな」
「アズサの店は外国人観光客限定って君のマイページに書いてあったけど、それが本音なの?」
「うん。この病気が治るまでは、あいつらとは距離を置いて生きていく」
いつもなら同情されっぱなしで終わるのだが、ニコラスは違った。
「君が受けてきた酷い仕打ちには同情するけど、今のままずっと日本人を避け続けていたら、トラウマは一生続くと思うよ」
「……さっきみたいにあいつらを見ただけで体が回避行動を起こすんじゃ無理だ。あんな状態で良いコーヒーは淹れられない」
「徐々に慣れていけばいいさ。何も全員が悪い奴ばかりじゃないんだし、行動を起こさないと、ずっとそのままだよ。学生時代に仲が良かった人が大丈夫なら、後から出会った人とも、ずっと話していれば慣れてくるんじゃないかな?」
これじゃまるで……僕が臆病者みたいじゃねえか。
まっ、臆病なんだけど。否定はしない。
――言われてみればそうだ。美羽と最初に出会った時こそ怖かったが、美羽の人となりが分かるにつれて安心を得た。今は出会った時よりは慣れている。それでも目を合わせたり、近づかれるのはマジ勘弁だけど。原因は僕自身の心にあるということか。だが元はと言えば……あいつらが僕に植えつけたトラウマなのだ。何故僕があんな奴らのために、日本人恐怖症を克服するための努力をしなければならないのか、それだけが理解できなかった。むしろあいつらが僕みたいな犠牲者を出さないよう尽力するべきだろう。僕を散々拒絶したのはあいつらじゃねえかっ!
なのにっ……何故……。
「! アズサ、一体どうしたの?」
「えっ!? 何?」
「目から涙出てるよ」
「!」
目の下を自分の指で優しく触れると、確かに水っぽい何かが指に伝わった。
それは自分の力ではどうにもならない、悔しさや憤りの象徴だった。
「無理しないで、ちょっとずつ確実に進歩していけばいいんだ。だから焦らないで――」
「別にさー、無理に嫌な奴らと仲良くする必要ないんじゃねえか?」
マートンが僕の代弁をするかのように言った。
「それはそうだけど、このまま一生日本人恐怖症のままな方がずっと辛いと思うよ。今の内に克服しておかないと、後々問題になると思う」
ニコラスは僕の気持ちに配慮しながらも、日本人恐怖症の克服をやめろとは言わなかった。
トラウマと向き合うよりも、トラウマから逃げ続ける方が辛い……か。
そうか……だから彼は僕に克服を勧めているわけか。だがそんな勇気は僕にはなかった。それよりも優先すべき課題がいくつもあったからだ。それまでは到底この課題には向き合えないが、この状況を放置したことで、僕は後々思わぬ形で代償を払うことになる。
ニコラスとマートンに礼を言うと、ホテルに入り、部屋で眠りに就いた。
帰りの時間が迫っていた。明日には飛行機に乗って帰らないといけない。色々あったけど、ここにいた日々は凄く楽しかった。日本にいる時とは違い、自分を押し殺す必要がなかったのだ。それだけでも嬉しかった。この充実した日々の出来事を思い返していた。ヴェネツィアにいた時もそうだが、向こうの人は日本人よりもずっと自由すぎる人たちだった。
自由だからこそ、自分のしたことにも責任が取れるし、良くも悪くも1人1人の考え方が自立しているわけだ。地元の子供たちとも話したが、僕よりも年下で10代を迎えたばかりなのに、考え方が大人で感情のコントロールもできていた。日本もこういうところは見習うべきだ。日本は20代や30代になっても頭の中が小学生のような連中が山のようにいる。
かつてマッカーサーが日本人は12歳の少年と言ったとされるが、あながち間違いとも言い切れないのが恐ろしい。向こうでは自分のマインドに主体性がない、議論ができない、いつまで経っても他者依存な人は精神的に幼いと見なされる。もっとも、日本と外国じゃ、環境的要因による精神構造の形成にかなりの違いがあるし、この論法を100%当てはめるのは間違いだと思うが、それでもあいつらの言動がどこか幼く見えてしまう部分には同意できる。
あいつらはみんなで1つだからこそ、人と違うことを極端に恐れるのだ。
無論、それが迫害をしてもいい理由にはならないが……。
次の日、僕は帰りの便で日本へと帰国するのだった。
ゲイシャは実際に存在するコーヒーであり、スペシャルティコーヒーの中でも最高峰と言われています。