433杯目「スパイラルスパイ作戦」
中山道葉月は思わぬ罠に陥れられていた。
客が寄りつかないばかりか、変な噂まで立てられている。
時給3000円であるのをいいことに、過重労働を押しつけているとか、バイトが女性ばかりなのは僕の将来のハーレム候補であるとか、こっそり新種のコーヒーを混ぜて高く売っているとか、どれも少し考えれば簡単に嘘だと分かるものばかりだが、信じている人の方が多いことには、怒りを通り越して哀れみさえ覚えた。陽動作戦は嘘を嘘と見抜けない人ばかりだからこそ意味を成す。
人間の愚かさを最大限に利用する。それこそが真の愚民政策なのかもしれない。
「じゃあ7月に入ったあたりから噂を広められて、客足が減ってしまったわけか」
「そればかりやないで。アトラクションもガラガラや。お陰でみんな暇になってもうたけど、売り上げは全く上げられないし、今んとこ7月は最下位争いをするレベルで売り上げが下がってんねん」
「売り上げランキングって一月毎にあるのか?」
「一応どの店も売上総利益が公開されている状態で、来年の3月には年間売上総利益が出ることになっとるみたいや。やっぱあず君がゆうてた通り、周辺の店は杉山グループの犬や。カフェ大和だけは改心したみたいやけど、油断はできんで」
「噂を広めている店舗は特定したか?」
「いや、どの店舗までかは知らんなー。特定したとしても、やってないってゆうやろうし」
「確実な証拠が必要ってわけか」
これだけの事態になっても、何もしないところにこいつらの全てが表れている。
施設の連中も自分たちの状況が日に日に悪くなっているにもかかわらず、ロクに解決を考えようとすらしなかったのだ。当事者意識が薄く、自分の人生さえ他人事のように考える精神構造は、工場労働者を育成するシステムとしては最適だが、非常事態に何もできない人間を生む無力なシステムでもある。神崎や成美とて同じ。一様にはいかないものを無理矢理同じように加工した弊害だ。
仕事はできるが、必要以上の仕事はしない。こうしてみると、経営者と労働者は本来交渉し合って待遇を決めるべきものであることがよく分かる。なのにこの国ときたら、交渉なんて一切せず、人任せで与えてもらうことに慣れているために、文句ばかり言う人間になってしまっている。
かく言う僕もそうだ。ずっと環境に文句を言っていたのは一方的に必要ないものばかり与えられ、自律を失い、もっとああしろこうしろと言われ続けてきた結果だ。誰かに解決してもらうのが当たり前になっていたが、社会に出てみれば、最悪の事態はそう簡単には起きないこと、大半の問題は自分で解決できることを知って度肝を抜かれた。結局は自分次第であることを早く知るべきだった。
「神崎、成美、これだけ好き放題されてるってのに、何で何の対策も取らねえんだ?」
「そう言われても、うちはただでさえ他とは全く違うお店になってるし、言わせておけばいいじゃん」
「このまま客が来ない状況を放置すれば、店舗の宣伝責任を問わないといけなくなる」
「じゃあどないせいっちゅうねん」
「妨害してくる店舗があるっていうなら、それを突き止めればいい」
「突き止めるゆうてもやなー、誰かが教えてくれるわけでもないのに」
「いるだろ。バリスタランドに忠実なゲストたちがな。これから餌を撒く。2人は一般客に成り済ましてくれ」
「「?」」
同時に目を細める神崎と成美。今は怪しまれないよう、普通に営業してもらう。
作戦を練り、シフトを調整してもらい、僕はすぐに帰宅するのだった――。
7月下旬、休日を迎えると、情報収集のため閉店させた。
外から見ても閉まっていることが分かるよう、白い店舗用シャッターが窓や扉を覆っている。
だが神崎たちの仕事が終わったわけではない。これから重要な仕事を任せるため、既に行動を始めてもらっている。バイトたちは何故閉めるのかと首を傾げながらバリスタランドの外側に集合する。普段は着用しない自然な私服に着替えてもらい、サングラスをかけさせた。
スタッフとしてではなく、一般客として入園させ、正体を隠させた。
「ねえ、これからお仕事でしょ。何でお店閉めちゃうの?」
「もしかして全員クビですか?」
「んなわけねえだろ。店は一時的に閉めるけど、仕事時間ではあるし、時給は保証する。今日はみんなにスパイの仕事をしてもらう」
「「「スパイ!?」」」
理恩、百美、渚は目を大きく開けながら困惑の顔を見せる。
店の前には1枚の張り紙がガムテープで貼られている。過重労働により、アルバイト全員が疲労困憊であるにもかかわらず、賃金が全く上がらないことを不服とし、待遇を改善しようとしないマスターに対する抗議の意を示すため、しばらくは一切の労働を中止する旨が書かれている。通りがかりの客たちは張り紙を見るや否や顔色が変わり、中山道葉月から早々に離れていく光景が見て取れる。
「これを読んでみろ」
「私たちアルバイトは中山道葉月による過重労働で心身共に健康を害しました。よってこの状況を放置している中山道葉月への抗議のため、しばらくの間ストライキをさせていただきます。場合によっては葉月グループに対して法的手段を用いる場合があります。アルバイト一同より」
「これ、誰が書いたの?」
「実莉に書いてもらった。文字通りしばらくは営業中止だ。理恩、百美、渚、君たちはこれから学生組として、中央エリアと北東エリアの店舗を回って情報を集めてきてほしい。店舗スタッフにさりげなく声をかけて、葉月グループアンチを演じながら、中山道葉月の話題を振ってくれ。今の君たちは葉月グループアンチだ。敵もアンチに対しては情報を開示してくれるはずだ」
「葉月グループアンチとして、敵の根城に潜り込むってわけですね。なんかワクワクしてきました」
「くれぐれもこっちの狙いを悟られないよう、ごく自然に頼むぞ」
「「「ラジャー!」」」
理恩、百美、渚がビシッと敬礼すると、纏まりながら南東エリアの店舗へと入っていく。
カフェ大和は既にうちの味方だが、そのことを証明するかのように、店舗には客が全くいない。
どの商品も相変わらず1億円という破格の値段で売られている。というかそもそも売る気がないことを値段で示している以上、客なんてまず来ない。このことが葉月グループへの服従を示す行為として成立しているが、これを利用してカフェ大和を葉月グループが脅しているという噂まで立てられている。
相手の力を逆手に取る手法、まるで合気道のようだ。
だが今回はこっちがその手法を利用させてもらう。
敵の力で敵を屠る。相手の戦術の中にも攻略のヒントがあると璃子は言った。
バイトたちには相手の本音を引き出すためのうまい手法を伝えている。
澪、真凜、実莉にも同様の作戦を伝え、女性組の群れとして、3人一緒に北西エリアと南西エリアへと赴き、作戦を遂行してもらっている。僕、神崎、成美の3人は南東エリアの店舗を回り、大人組として情報収集を行うことにしたわけだが、僕らはこれから数日かけてカフェ巡りをしなければならない。
スパイ行為は緊張感との勝負だ。個人で動くよりもチームを組んでいた方が緊張が解れるし、何より百美あたりがうっかりミスをしないよう誰かに監視させる必要がある。百美は外見も声も幼いし、多くの人から本音を引き出すことができる。子供や侮っている相手には本音が漏れやすい性質がある。
無論、カフェ巡りは全部経費になるし、僕は神崎と成美の3人で南東エリアを回った。
3組で外側から螺旋状にスパイ行為を仕掛ける。名づけて『スパイラルスパイ作戦』である。
「まずどこから回るの?」
「とりあえずコーヒー越廼村に行く。莉奈の中学時代の制服を借りてきた。サイズはピッタリだし、どっからどう見ても女子中学生にしか見えねえだろ」
「それドヤ顔で言うことやないで。まあでも、確かにこれやったら誤魔化せるな。でも今のあず君ってどっかで見たことある顔なんよなー」
苦笑いを浮かべながらも、指を顎に当てて考え込む神崎。
目を隠すのが最低条件である以上、仕方あるまい。
コーヒー越廼村は鍛冶珈琲から出店されているだけあって、より警戒が必要だ。鍛冶は喫茶処江戸のマスターとして勤めているが、ここは部下に委任しているようだ。中山道葉月からギリギリ見える場所にあるが、南東エリア全体の営業努力が良くないのか、どの店にも客があまり寄りつかない。中山道葉月の悪い噂を広めれば、必然的に他の店舗にも客が来なくなっている。人を呪わば穴2つだ。やるならせめて他のエリアの店舗を担当するべきだった。
所々に詰めの甘さが垣間見えるあたり、仕掛け人はそこまでの大物ではない。
入ってみれば、何やら客回りが悪い様子だ。コーヒー1杯で大笑いしながら長く居座っている客が何組もいることに驚く中、僕らは数分ほど待ち、ようやくカウンター席に座ることができた。ここではコーヒーカクテルが売りになっている。どうりで客の声がでかいわけだ。
カウンター席に座れば店員と話しやすい。
何なら目の前でコーヒーを淹れ、時代考証に合わない料理を作っている。
丸い黒眼鏡が特徴の西村さんが、何食わぬ顔で成美と対面するように立つ。
「コーヒー3つください」
「はい。えっと、セットメニューで注文するとお得っすよ」
「じゃあランチセット3つでお願いします」
「はい、少々お待ちください」
「ふーん、コーヒーカクテルやってるんだー」
「そうっすね。でもお客さん的にコーヒーカクテルはまだ早いっすよ」
しまった。そういや僕、女子中学生役だった。
気分を切り替え、お茶を濁すようにメニューを見る。今は西村さん1人でオープンキッチンのワンオペをしているが、裏には料理を作っている人もいるようだ。コーヒーはお粗末な品質だが、オートタンパーにドリップコーヒーマシンにエスプレッソマシンまでもが最新式で丸見えだし、これじゃレトロカフェとしての雰囲気が台無しだ。最新式のマシンは客から見えない場所に隠しておくのが暗黙のルールだと思っていたのだが、もしかして僕だけがそう思っているのか?
――あれっ、ここのコーヒーカクテル、思った以上に安いな。
「お嬢ちゃん、あんたも1杯飲むかい!?」
真後ろから中年おじさんの声が聞こえてくる。
顔は赤くなり、テーブルには何杯ものコーヒーカクテルが置かれている。
僕の隣に座っている女性客は背筋が凍るようにビクビクしている。
「いえ、遠慮しておきます……」
後ろを向きながら丁寧に断りつつ、すぐにまた顔を前に向けた。女性客の目の前には烏龍茶が置かれている。アルコールどころかコーヒーも苦手のようだ。相手が下戸かどうかも確認せずによく言えるよな。酔っ払うと見境がなくなるんだろうか。明らかに冷静な判断力を失っている。
――ん? 待てよ。これ使えるんじゃねえか。
「ねえねえ、ここって人に奢ったりできるの?」
「ええ、一応できますよ」
「じゃあさ、私が奢るから飲んでみせてよ。このカッコ良いやつ」
「えっ、いいんすか?」
「かまへんかまへん、こいつは家が金持ちやからな。どんどん奢ってもらったらええ」
右方向からしゃあしゃあと言ってのける神崎の生意気な声が耳に入ってくる。
こいつ、僕がこの前言ったことを根に持ってやがるな。
「じゃあ1杯だけ奢ってもらっちゃいますね」
機嫌良さそうに1杯のコーヒーカクテルを淹れる西村さんだが、僕が注文したのはすぐに酔えるコーヒーカクテルだ。ヴェーパー・インフュージョン製法によって作られた酒をエスプレッソマティーニの材料として加えたものであり、香料と植物を数種類使ったフレーバースピリッツだ。
真理愛の店は高級店ということもあって客の民度は高いが、静かに本音を吐き出すことを知った。
酒は人の本性を表す真実薬と真理愛は言った。言いたいことを全部ぶちまけるわけじゃない。日頃の鬱憤を自分の言葉にし、発言ができる数少ない居場所としてのコーヒーカクテルバーが理想的だ。サードプレイスが家庭でも職場でもない第3の居場所として成り立つには、やはりコーヒーカクテルの力が必要なのだ。コーヒーカクテル市場はまだ発展途上だが、その1つの答えがここに出ようとしている。
ランチセットを食べながら、コーヒーカクテルを西村さんに飲ませ、また1杯、また1杯と、奢りと称すれば案外たくさん飲めるもので、西村さんは顔を真っ赤にし、小さい音を立てながら空っぽのワイングラスを置いた。奥の連中はまだ気づいていないし、客が外で行列を作っているわけでもなく、ランチセットを食べ終えた客が次々とコーヒー越廼村を去っていく。
西村さんは酔っ払いながらも会計を済ませ、再び僕らの元に戻ってくる。
成美と視線を合わせ、僕がコクリと頷くと、成美も呼応するように頷いた。
「さっき南東エリアに入った時、閉店してたみたいだけど、時間帯によって空いてる時間変わるの?」
「それは知らんけど、なんかあったんかなー。すぐ近くの店も値段おかしかったよなー」
「1億円ってやばいよね。あれ売る気ないじゃん」
「あー、それって中山道葉月とカフェ大和のことっすよね。ああいう所に近づいちゃ駄目っすよ」
西村さんが鼠捕りに入り込むように話しかけてくる。
「だよねー。私葉月グループ嫌いなんだよねー。早く撤退してくれないかなー」
子供っぽく言葉を返し、酒によって目覚めた虚栄心を煽る。
「気が合うっすねー。実を言うと、葉月グループはバリスタランドに招かれた時点で、事実上詰んでるんすよね。ここだけの話なんすけど、中山道葉月はバイト全員がストライキを起こしていて、誰も働いていないんすよね。あそこのマスターが自分の失態を僕らのせいにしてるんすよ。頭悪いっすよねー」
「……そうやな」
「ひっどいマスターだねー。でもあれで売り上げとか大丈夫なのかなー」
「そういえば、バリスタランドの店舗って、売り上げが悪かったらロイヤリティ100%だよね?」
「あー、それなんすけど、葉月グループ以外の企業店舗は杉山グループとロイヤリティなしの契約を結んでるんすよね。なので葉月グループ以外の店舗がワースト5位に入ってもペナルティないんすよ」
やっぱりそうか。僕の読みは正しかった。
どうりでロイヤリティ100%の話を聞いても、誰もビビらなかったわけだ。
カフェ大和もオリエンタルモールと契約を交わしてはいるが、契約違反のため、3月末を迎えればロイヤリティ100%と本部の株20%を取られてしまうし、中山道葉月も閉店してはいけないルールを破っているが、このルールには大きな欠陥があることを璃子が発見した。
それはやむを得ない事情で、労働者が1人も店舗に出勤しなかった場合である。中山道葉月はオリエンタルモールに対して閉店の申し立てを行った。名目上はアルバイト全員によってストライキを起こされてしまい、法外な過重労働をさせないと誓うまでは一切の労働を拒否するというもの。労働者はすぐには集まらないし、璃子が鍛冶を相手に交渉した結果、猶予期間終了までにストライキが中止されるか、代わりのバイトを雇って研修を修了させなければ、契約違反扱いとなることが決定した。
猶予は8月末まで。美羽が言うには、本来なら7月末までの期間を低姿勢かつ丁寧な交渉で1ヵ月延長させたとのこと。プライドを捨てさせたら、美羽の右に出る者はいない。猶予期間中に全員の内の誰かがバリスタランドの陰謀を発見しなければ、葉月グループ包囲網攻略は厳しいものとなる。奴らの弱みを握ることさえできれば、奴らの仕掛けた罠が奴ら自身を襲うことになる。美羽が恥を忍んで期限を延ばしてくれたんだ。どこかに噂を広めた張本人がいる。そいつさえ特定できれば……。
「じゃあ葉月グループだけを一方的に叩き潰せるっちゅうわけや」
「そうっすね。しかも悪い噂が広まっているせいで、お客さんからも敬遠されてるみたいっす」
「ねえねえ、私たちも協力したいんだけど、どっから噂を仕入れたらいいかな?」
「あー、噂だったら珈琲屋川崎の人に教えてもらったんで、そこに行けば、噂を広めるお手伝いができると思いますよ」
「「「!」」」
――珈琲屋川崎って、確かこの前喫茶処江戸にいた鍛冶と話していた連中だよな?
「今度そこに行ってみるかー」
「ところで、あなた方はつき合ってるんすか?」
「あー、そうやな。彼女は俺の妻で、こいつは娘や。まだ中学生やっちゅうのに、バリスタランドに遊びに行きたいってうるさいんや」
咄嗟に手を動かしながら神崎が言った。話作るなよ。ややこしいじゃねえかよ。
まあでも、一家揃って葉月グループアンチなのであれば、娘役である僕までもが影響を受け、アンチと化していることにも説明がつくし、見た目だけなら親子関係でも問題ないか。
「へぇ~、そうなんすねぇ~。でもバリスタカードとか、子供たちの間でめっちゃ人気っすよ」
納得するようにゆっくりと頷く西村さん。
「アマチュアチームの人とか人気だよねー」
「でもさー、ストライキなんか起こして、どうするつもりなんだろうね」
「バイト一同がストライキをやめへんかったら、多分みんなクビやろなー」
「別にクビになっても、生活保護で良くないすか?」
「「「あははははっ!」」」
口を開けながらつい笑ってしまった。実のところ、本当にそうなりそうで笑えないんだが。
中山道葉月が撤退すれば、バイトたちはクビになる。あの様子だと、他に居場所ないだろうし、一体どうしたものか。全ては彼女たちの努力次第か。
杉山グループの圧政から解放されてから考えるか。
西村さんと話し込んでから店の外に出る。誰が噂を流しているかまでは分からないようだ。いずれにしても、また探りを入れる必要がある。南東エリアは中山道葉月に対する警戒心が強い分、下手にバイトたちに探りを入れさせることもできない。他のエリアは正直当てにしてない。自分たちの営業だけで精一杯だろうし、喫茶処江戸に至ってはコーヒーイベントに向けた準備で忙しい。
噂の発祥は南東エリアで間違いない。他の店舗を陥れるリスクを他のエリアが取るはずがない。1つ分かったことがある。このエリアは部下たちの中でも特にどうでもいい部類、つまり捨て駒だ。どうなってもいい存在ならば、リスクの大きい選択をさせても問題ないし、今年度限りの店舗なら、尚更リスクを取れる。中山道葉月を何が何でも罠に嵌めたいと、鼠捕りを仕掛けている連中の姿が目に浮かぶ。
南東エリアを歩きながら次なる店舗へと歩いていくが、僕は諦めたように足を止めた。しかしながら、客が途絶えていることもあり、1人1人の客を観察する術に長けた者がいれば、集中的にマークされる可能性もある。客足がそれなりにあれば、さりげなく中山道葉月の話をしても疑われにくいが、僕らだけ入ってこんな話をするのは疑ってくださいと言っているようなものである。
忙しければいちいち客を判別する余裕がないし、こっちとしても、その他大勢に擬態できる分ばれにくいのだ。幸いにも他の店舗はうちに挨拶にすら来なかった。故にうちのスタッフの顔を知られていないメリットを存分に活かすことができた。相手からすれば、徹底無視がミスを招いた格好だ。
カフェ巡りをすれば疑われる。1日あたり1店舗程度が限界か。
今日は撤退するしかあるまい。もっと客がいる時に探りを入れたい。
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