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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第17章 死闘編
430/500

430杯目「良心的な敵兵」

ここで第17章終了となります。

次回から第18章包囲網編となります。

バリスタランドを取り巻く陰謀が葉月グループを襲う展開となります。

果たしてあず君は無事生き延びることができるのか必見です。

 6月下旬、雁来木染に変装した僕は、初めて男とデートをすることに。


 そういや、今まで身内以外の男と一緒に出歩いたことなんてロクになかったな。


 だがこれもバリスタランドの全貌を把握するためだ。男同士なら女とデートするよりも思考パターンが読みやすい。そういった意味では気楽かもしれない。ここんとこずっとバイトたちの面倒を見ていたし、百美の問題行動をきっかけに、中山道葉月の包囲網にうまく入り込めそうだ。うちにだけ店舗同士の連携の話が来なかった時点で、敵対心があるのは分かった。どうにか動機だけでも掴みたいところ。


 しかし、どう行動すればいいのか分からない。


 デート先はバリスタランドから遠方にある福井市のショッピングモールだった。


 正午、先に着いていた中村さんを見つけると、一目散に駆け寄った。


「お待たせ」

「あっ、木染ちゃん、こんにちは」

「あれっ、他の仲間たちはどうしたの?」

「呼んでませんけど」

「ふーん、てっきりみんなで一緒にお出かけなんて甘っちょろい手を使う人だと思ってたけど、案外骨のある選択をするんだね。ちょっと感心しちゃった」

「やだなー、そんなわけないじゃないですかー」


 王道と言っていいかは分からないが、まずはカフェに赴くことに。


 杉山グループのことやバリスタランドの話をすると怪しまれる。世間話に興味がないのか、今の流行が全く分からない。引きこもりの弱点と言っていい。話にまるでついていけてないが、相手に話したいだけ話させよう。バリスタはまだ始めたばかりで、将来的には上京して杉山珈琲のアマチュアチームに入りたいとのこと。中村さんも穂岐山珈琲のことは知っていたようで、一時期は葉月珈琲を目指したこともあったという。絵に描いたような夢見る若者の姿に、僕は一筋の関心を覚えた。


 最初こそバリスタの話だったが、唐突に中村さんの話へと変わっていく。


 服装もどこかの雑誌を見てマネしたものと容易に分かるもので、オールバックの髪型にワックスをつけているのが丸分かりだし、トップバリスタを志した日から今までの話をすぐに仕掛けるあたり、デート経験に乏しいことが露呈してしまっている。男は女とのデートにここまで熱くなるものなのか?


 何だかこいつが詐欺被害者のように見えてきた。


 コーヒーを味わっていると、フレーバーを感じる暇もなく中村さんが話しかけてくる。


 バリスタ歴はまだまだ浅いようで、奇しくもコーヒーにまつわる話を僕の方から振る格好となってしまっている。リードできない男の方が昔から多数派だ。


 男が引っ張るべきとメディアが煽るから仕方なく引っ張っていただけだ。同調圧力がなくなってしまえばこんなもので、本来は引っ張られたいと思ってる人の方が多いのかもしれない。


「木染ちゃんはバリスタ派遣会社を経営されてると聞きました。俺もトップバリスタになって、杉山珈琲に入ろうかなって思ってるんです。もし機会があれば、杉山珈琲に紹介していただけませんか?」

「分かった。考えとくね。でもどうして杉山珈琲に入りたいなんて思うわけ?」

「俺、プロバリスタを目指してたんですけど、全国でプロ契約制度が廃止されるって聞いて、プロはもう活躍できないのかなと思ったんです。でも杉山珈琲のアマチュアチームがあの葉月グループのプロバリスタを相手にコーヒーイベントで競り勝ったんです。国内予選のチャンピオンは、大半が葉月グループと杉山グループのバリスタでしたから、トップを目指すならどちらかという話になりますけど、杉山グループはプロにならなくても世界で通用するバリスタを育成するために、バリスタランドを作ったと言ったんです。それで自分からコーヒーハウス出雲の店舗スタッフを申し出たんです」

「何か条件とか突きつけられなかった?」

「……条件ですか?」

「経営者の界隈で有名な話だけど、杉山社長は利益を出さない人をすぐ切っちゃうの。非正規雇用を本格的に始めた最初の経営者の1人で、一説には社員を切りやすくするために非正規雇用を拡大させる方針の一助になったとも言われてる。利益を出さないとクビとか、何かしら言われていても不思議じゃないよ」

「……」


 中村さんが黙った。ちょっと早まりすぎたか……。


 いかん、バリスタの話をすると、どうしても杉山珈琲に辿り着いてしまう。


 有名ブランドを乗っ取ると、日常会話でも出てくるレベルの影響力が現れるのか。将又こいつのトーク力のなさなのか、いずれにしても脅威が増してきている。これからトップバリスタを目指そうとしているはずの若者たちだというのに、プロを諦めるマインドが常態化しているのだ。


 対照的にプロ契約制度を推し進めてきた穂岐山珈琲の存在は儚くも忘れられつつある。穂岐山社長は故郷でもある岐阜市に唯一の店舗、穂岐山珈琲岐阜()()をオープンしたが、松野がマスターを卒業し、今は根本がマスターとして活動している。コーヒーイベントでのリベンジに燃える彼は、アマチュアチームを前にして何を思うだろうか。


 松野は穂岐山珈琲役員に昇格し、中津川珈琲の吸収合併に成功している。


 中津川珈琲は葉月グループとの取引が満了し、令和恐慌を乗り越えようとした矢先、ウクライナ危機によるオレクサンドルグループ崩壊も重なり、支援を受けることもできなくなった。5月を迎えると、皮肉にもオフィスを貸し出していた穂岐山珈琲により、波に呑まれるように吸収合併される格好となった。


 中津川さんは穂岐山珈琲人事部長として迎えられ、どうにか安息の地を得ることができた。


「まっ、何もないんだったら別にいいけど、信用はしない方がいいかもね」

「そうですか……」


 何かを語りたそうにしながらも、口は鍵をかけられたように閉ざされている。


 カフェを出ると、しばらく一緒に歩きながらショッピングモールを散策する。


 本当はカフェ巡りがしたいが、中村さんの好みに合わせた。慣れない場所に戸惑いを隠せなかったが、クールな女性を演じ続けた。ごく自然に立ち振る舞うが、ミニスカートが気になって仕方がない。捲れたら男ってバレちゃうし、ロングスカートにしておけばよかったか?


 紫色のブラウスに手を置き、どうにか心臓を落ち着かせる。


「木染ちゃん」

「どうしたの?」

「いつもサングラスかけてますけど、素顔とかどうなのかなぁ~って」

「私童顔だから、人には見せたくないの」

「思ったより恥ずかしがり屋なんですね。やっぱ木染ちゃんは可愛いです」

「一応言っておくけど、私は今年で34歳だから」

「えっ……34歳?」


 実年齢を聞いた瞬間、目が点になったまま動かない。


「……この歳で童顔なんて恥ずかしいでしょ。だから少しでも大人っぽく見せるために、こうしてサングラスをかけたり、大人っぽい服装をしてるの」

「しっ、失礼しました。てっきり年下と思ってました」

「あー、気にしないで。慣れてるから」

「俺はよく年上と間違われることが多いんですけど、まだ24歳なんです。一回り年上って分かった時はちょっとビックリしましたけど、俺は木染ちゃんのこと、結構タイプですよ」

「そ、そう……ありがと」


 つい手を上げながら愛想笑いを浮かべてしまった。文字通りお手上げである。


 中村さんは見た目こそ中年おじさんのように見えるし、顔中に毬藻のような黒い髭がうっすらと生えている。あまりモテるようなタイプではないし、女性によっては生理的に無理と言うかもしれない。だが年齢だけでつき合うかどうかを決めないところは天晴だ。


 葉月グループ包囲網の構成員たちは悪人でも何でもない。ただ純粋にトップバリスタを志す者たちばかりで、悪いのはこいつらを利用している杉山社長だ。こいつらも葉月グループに負けた時は、カフェ大和のように干される未来が待っている。良心的な敵兵だ。


 しかし、ここまで好意を抱いているのはチャンスかもしれない。


 どこかに居酒屋でもあればいいんだが、流石に真っ昼間から営業してる居酒屋なんてねえよな?


「どこか行きたい所ってあります?」

「行きたいところねぇ~」

「君、ちょっといいかな」


 警察官が威圧的な声をかけてくる。すぐに理由が分かった。


「はい。どうしました?」

「何でこんな小さい子に声をかけてるのかな?」

「えっと、小さい子じゃないですよ。一応成人してますから」

「本当に?」

「……うん」

「じゃあ身分を証明できるものを見せてくれるかな」

「えっ……」


 身分証明って……しまった――雁来木染に身分証明の手段なんてねえぞ。


 慌てて財布の中を確認する。葉月梓としてのマイナンバーカードと健康保険証しかねえ。


 背中に妙な冷や汗が流れてくる。赤いハートが描かれているピンク色の財布には変装中の僕を助けてくれるカードなんて――ん? 何だこれ? 雁来木染のプロフィールカード? いつの間にこんなものが。


 一か八か出してみるか。どの道これがないとどうにもならないし。


 架空の人物と言っていい雁来木染のプロフィールカードを警察官に差し出した。顔写真はなく、身分証明とは言っても名刺に近いもので、その場を誤魔化せるように住所まで載っている。ここは確か璃子の家だ。そういえば、一度だけ璃子に財布を見せたことがある。


 これってもしかして――。


「――なるほど、確かに確認した。じゃあサングラスを外してもらえるかな?」

「そこまでする義務ないと思うんだけど」

「じゃあ確認するから、一度家まで連絡させてもらうよ」

「待ってください。それは職質の範疇を超えています。いくら警察でもそこまでの権限はないはずです。この子は顔を見られるのが恥ずかしくてサングラスをかけてるだけなんです」

「あっ、だからかー。まあ、ここんとこ物騒な事件が多いからねー。気をつけろよ」


 警察官が去っていくと、中村さんが心配そうに僕を見下ろす。


「大丈夫?」

「うん、ありがと。男気あるんだね」

「なんか白けちゃいましたね。あっ、そうだ。最近見つけた店なんですけど、行ってみますか?」

「そうだね。じゃあ中村さんに任せちゃおうかな。どんなお店なの?」

「居酒屋なんですけど、コーヒーカクテルも飲めるんです。最近はどの居酒屋でも上質なコーヒーカクテルを出すのがステータスになっていて、居酒屋出身のバリスタも出てきたって話ですよ」

「へぇ~、それは興味深いね」


 無事に職質をやり過ごした僕らは、中村さん行きつけの居酒屋へと赴いた。


 その場所とは、朝倉商店街に位置する珈琲居酒屋エチゼンだった。


 島根からバリスタランドの近くまで引っ越した時に見つけたらしいが、ここは渚の実家でもある。葉月梓としての僕が面割れてんだよなぁ~。この商店街までやってきた時はちょっと嫌な予感がしたが、同じ店に違う立場で行くことになろうとは。扉を開けると、渚の母親が笑顔で迎えてくれた。


 バリスタランドのスタッフが帰りに寄る穴場として注目を浴び、皮肉にも葉月グループ包囲網の構成員たちによって一過性のブームとなっていた。渚の母親が真理愛のファンであることからコーヒーカクテルメニューを始めたらしいが、模倣の割にはとても質が高い。中村さんがコーヒーカクテルを何杯も飲み干すのを見守っていると、顔が真っ赤に染まった中村さんが鋭い眼差しで僕の顔をジーッと見つめている。


「木染ちゃんって、誰かに似てる気がするんですよねー」

「有名人の誰かにそっくりな人なんて、いくらでもいるでしょ」

「あの、木染ちゃんはどんな男性が好きなんですか?」

「……そう言われてもねー、普段は仕事ばっかりで、恋愛に興味を持ったことがないの」

「そっか……やっぱ俺じゃ駄目ですか」

「だって中村さんって、男気はあるけど意地悪なんだもん」

「意地悪って、どういうことです?」

「中山道葉月のスタッフに聞いたけど、他の店舗は連携して、スタッフを足りない方に送ったりしてるのに自分たちだけ全然連携してもらえなかったって言ってたの。ただの連絡ミスにしては度が過ぎてると思うけど、下手に値下げまでしたせいで、中山道葉月にはお客さんが寄り付かなかったって聞いたの。あんたも同じ南東エリアのお店で勤務してるんでしょ? どういうつもりかは知らないけど、他のお店に意地悪する人は、流石にちょっと無理かな」


 アイリッシュコーヒーを飲み干し、ポケットから財布を取り出す。


「待ってください。それには深い事情があるんです」


 立ち上がろうとする僕を制止するように、中村さんが手を伸ばしながら声をかけた。話を聞こうと再び座ってから中村さんに注意を向ける。どうやら話してくれるらしい。どうやって酒を飲ませるかを考えていたが、あの警察官は僕に大きく貢献してくれた。確実に焦らせ、考える隙を与えない。酔っ払っている上にチャンスを掴みかけているこの人をコントロールするのは、赤子の手を捻るようなもの。


「何かあったの?」

「うちは島根にできたばかりのコーヒー会社で、社長は会社を宣伝するのに夢中でした。そんな時にバリスタランドの話が舞い込んできて、どうにか出店できることになったんですが、社長から条件を突きつけられました。他に代表候補となるコーヒー会社もありましたし、本当なら書類選考の段階で落ちていたはずだったんですけど、杉山社長から岐阜代表店舗を妨害する条件で出店を認めると言われたんです」

「ふーん、それで?」


 やはり杉山社長が1枚噛んでいたか。これは思った以上にややこしくなりそうだ。


 バリスタランドの出店は書類選考で決まるが、これはあくまでも建前で、基本的には杉山社長の犬しか受からない出来レース仕様となっている。コーヒー会社を設立したはいいが、不況の波から死に物狂いで脱出を試みようとする社長の心の隙に忍び込み、まんまと手駒にする手法だ。


 バリスタランドで宣伝できれば、全国のコーヒーファンにアピールができる絶好の機会だ。コーヒーイベントだけではどうしてもノウハウを積み重ねている古参の企業には勝てない。杉山社長は全国各地の社長に逆転の一手を打たせる隙間を用意したのだ。それが嵌め手とも知らずに。


 譲歩を迫れそうな相手には容赦なく有利な条件を突きつける。交渉の基本だ。


「俺はコーヒーハウス出雲のスタッフとして、中山道葉月のメニューの値段をメモしてくるようマスターに言われて、中山道葉月よりも安い値段で商品を提供しました。でもそうしたら、今度はうちの店の売り上げが下がり始めて、妨害ができなければ、ペナルティを適用されることになってるんです」

「それで中山道葉月のスタッフを苦しめたんだ」

「好きでやってるわけじゃないですよ。期間だって1年だけですし、妨害し続ければ、杉山珈琲に正規雇用で転職できるんです。多分、他の店舗のバイトたちも……」

「あんたの幸せは、誰かの不幸の上に成り立ってるんだ」


 冷めたように言うと、中村さんは急所を突かれたように、頭がピクッと動いた。


 黙って勘定を済ませ、珈琲居酒屋エチゼンを去った。


 しばらく歩いて後ろを振り返るが、中村さんが出てくる様子はない。縁がなかったことは十分に伝わっているようだ。バリスタ派遣会社の視点でも許容し難い事実だ。何より包囲網の構成員たち全員が自我を失っていることに驚きを隠せない。中山道葉月をいじめ抜く覚悟ができていないのだ。


 中山道葉月さえ潰せればそれでいいと言える度胸があれば、まだ清々しいとすら思えるが、意地悪な所業と知り、躊躇する様子を見せられると、こっちとしてもどうしていいか分からない。分かったのは中山道葉月とカフェ大和を除く南東エリアの店舗が妨害工作を条件に出店を認められていることだ。あの連中も一歩間違えば、飯を食えない大人として施設に通っていたと考えれば、中山道葉月は教育によって弱体化した連中のお陰で生き延びたことになる。何とも皮肉な話だ。


 しかしながら、つけ入る隙があることは確認できた。有能な味方よりも無能な敵の方がより勝利に貢献してくれることを僕は知っている。あいつらはトップを目指しているが、プロになることは諦めている。権力の犬にならなければ、仕事もできないことへの情けなさを感じざるを得ない。


 あの連中は異性どころか同性からもモテない。父性を潰された男に魅力などない。


 こんなものなのか。現代の人間ってのは――。


 夕刻、帰宅すると、唯と伊織を誘い、3人で風呂に入った。


 唯の体を洗いながらも、僕の後ろでは伊織が僕を洗ってくれている。泡立てたタオルで丁寧に擦りつける伊織に対し、僕は荒々しくも唯のたっぷりとした感触を味わっている。


「中山道葉月にとってはかなり厳しい状況ですね」

「そうですね。今後も色んな妨害工作をしてくると思うと、油断できませんね。中山道葉月のスタッフはそのことを知ってるんですか?」

「知ってるわけねえだろ。ばれたらパニックだ。百美は口止めしてるし、カフェ大和にはこれからどんな妨害工作をやってくるのかを調査してもらうことにした」

「早くも味方を増やすなんて、流石はあず君ですね」

「怪我の功名だ。カフェ大和を相手に問題行動を起こしたことがきっかけで、コミュニケーションを取る機会ができた。もし問題児が1人もいなかったら、うちは今頃、追い詰められていたかもな」

「常識人じゃないからこそ、非常事態に活躍するんじゃないですか。誰かさんのように」


 唯が歯を見せながら後ろに顔を向けた。


「かもな。でもバリスタランドの葉月グループ包囲網は思ったより強力だ。何とか売り上げを伸ばして、大きなペナルティを免れてから、撤退するまでの我慢だ」

「そんな弱気な姿勢、あず君らしくないです」

「そうですよ。あず君が撤退なんてしたら、これからバリスタを目指す人を飼い殺しにする土壌が、バリスタランドに根づいてしまいますよ。杉山グループを放っておいたら、また悲しむ人が出てきます。プロ契約制度の廃止が法律化すれば、日本のコーヒー業界が衰退してしまいます」

「それを阻止するには、あず君が包囲網を打破して、オリエンタルモールの株主になるしかないですよ。今日のあず君の活動は決して無駄じゃないです。包囲網を形成しているバリスタも、本当はプロを目指したいってことが分かったじゃないですか」


 伊織が僕の背中に抱きつく。石鹸の泡で滑りやすくなっていて気持ちいい。もう少し面倒を見てやりたいが、来月からは国内予選の季節だ。7月から8月にかけて地方予選が行われ、シード権を持つ前回大会ファイナリストたちも合流するコーヒーイベントでの戦いとなるわけだが、ここでも杉山グループとの戦いが待っている。去年は不意を突かれたが、今度はそうはいかない。


 全戦全勝でリーチを決め、葉月グループの全力を見せてやる。


 嵌め手は決まれば有利になるが、正しく対処されると大きく不利を取る諸刃の剣だ。


 今はほくそ笑む魔王のように待っていろ。必ず喉元に刃先を突きつけてやる。

読んでいただきありがとうございます。

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