394杯目「責任を背負って」
9月下旬、僕は最後の砦を頼ることに。
他でもない璃子である。葉月グループの参謀的存在として、経営までうまくやってくれた。
葉月ショコラが閉まってから、誰にもばらさないよう、口止めしてから事情を説明する。コーヒーイベントは璃子も見ていたようで、例年とは全く異なる状況を静乃から聞いて何かあると感づいていた。静乃はJLACに参加しており、那月とも仲良しそうに話していた。
璃子の実績を買い、優勝回数勝負で勝てるよう、バリスタをどう訓練するかの指南を求めた。
「はぁ~。お兄ちゃんらしくもない無茶な懸けなんかしてぇ~。そんなの最初から全部仕組まれてるに決まってるじゃん。約束守ってくれる保障もないし、物事の裏は読めても、人の気持ちは読めないよね」
「まっ、否定はしないけど、約束を守ってくれる保証ならある」
「なんか弱みでも握ったの?」
「これから握るんだ」
「だと思った。本当に弱みを握ったなら、こんな賭けに乗る必要ないわけだし。ていうかコーヒー農園を手放すって本当に言ってるの?」
「本当だ。一応誓約書にもサインした。僕が負けたらコーヒー事業からの撤退と辞任発表。杉山社長が負けた場合、今までに働いた悪事を記者会見で全部発表した上で、辞任を表明する誓約書にサインさせた。もし破った場合、負けた方がグループの全財産を支払うことになる。約束を守っても守らなくても、負けた方が破滅するってわけだ」
「その約束をした直後のコーヒーイベントで3勝4敗ねぇ~。まあでも、それならまだ何とかなるかも」
「本当かっ!?」
璃子に顔を至近距離まで近づけ、両肩に両手を重く押しつけるように乗せた。
「ほっ、本当だって……お兄ちゃんはコーヒー業界のために戦う決意をしたんでしょ。どの道戦わないとこっちがやられるわけだし、お兄ちゃんのピンチは私のピンチでもあるんだから、協力させてもらうね」
「璃子ぉ~!」
情けない声を上げ、豊満な膨らみに顔を押しつけた。もふもふしていてとても柔らかい。
璃子はそんな僕を優しく受け止め、頭を撫でながら花の香りを漂わせる。大人の余裕というか、いつも落ち着いて物事を見つめている璃子を、最も能力を発揮できるポジションに置いたのは正解だった。
こんなにも心強い味方がいるんだ。何だってやってやる。
「ところで、何をやればいいわけ?」
「まずは士気を上げるために、お兄ちゃんは年に1回、必ずバリスタ競技会に参加すること」
「メジャー競技会には参加できない決まりだぞ」
「まだ参加したことがないバリスタ競技会を見つけて参加するの。お兄ちゃんが現役でいてくれた方が、みんなやる気になると思うし、ちょっとは貢献できると思うよ。お兄ちゃんは人をその気にする力があるんだから、まずはみんなをやる気にさせないとね」
「とは言ってもさー、急にみんなを皐月くらいの強さに育てるのは難しいぞ」
「お兄ちゃんがみっちり教えた人はみんな大成してるんだから、指導範囲を広げればいいの」
「どうやって?」
「バリスタの強化合宿」
唐突に璃子が淡々とした子供っぽい声で言った。
「強化合宿?」
「お兄ちゃんは教える範囲が狭すぎるの。一度に大勢に教える方法があるとすれば、それはもう合宿しかないと思う。合宿だったら一度に大勢の人に教えられるし、バリスタは運動不足の人も少なくないから、体力強化のために合宿形式にするの。皐月ちゃんが最後まで競技ができるのは、体力があるからだよ」
「皐月と知り合いだっけ?」
「一度遊びに来てくれたことがあったの。あの子、お兄ちゃんに夢中みたいだよ」
「その辺は心配ない。事実重婚の件も結構昔から知ってる。オンライン授業じゃ駄目か?」
「オンライン授業と実際に目の前で教える授業は全然違うよ。基礎知識ならともかく、実技は見ただけじゃ分からないこともあるし、家にコーヒーマシンの設備があるとも限らないし、強化合宿は極秘でやりやすい。もし公開練習にしちゃうと、こっちの情報を探っている杉山珈琲のバリスタにまで実技を教えることになっちゃうでしょ。だから訓練さえできれば太刀打ちできそうな人だけを集めて、来年のコーヒーイベントに備えるの。条件はコーヒーイベントに進めるくらいの実力がある人。最低10人は欲しいかな」
引き出しから取り出すように、璃子はアイデアを僕に提供してくれた。
葉月グループは少数精鋭になりがちだ。それは実力格差が生じやすいことも見抜いていたようで、杉山珈琲のような、参加者が全面的にしっかりしている強豪軍団ではない。
そうか、杉山社長はここまで読み切った上で勝負を仕掛けてきたのか。メジャー競技会の中でも特に競争率の高い競技会にばかり参加させているし、他の競技会は置いてけぼりだ。葉月グループは予選通過率が低く、少数精鋭ばかりが目立つ格好となっているところを突かれたのだ。
どうりで璃子はさっきからため息を吐いているわけだ。
「皐月以外の人が鍵を握ってるってことか」
「皐月ちゃんがこの優勝回数勝負の鍵を握ってるのは間違いないと思うよ。今回のコーヒーイベントも、1人で2勝分稼いでるでしょ。那月ちゃんも優勝できるだけの力はあるんだから、バリスタに絞ればもっと勝てるようになると思うけど、しないだろうね。勿体ない」
「それは言わない約束だろ」
「那月ちゃんの夢を応援するのはいいけど、そんな余裕あるわけ?」
「ばらすわけにはいかねえだろ。それにあいつにも覚悟がある」
「優子さんから聞いたよ。両方の世界大会でファイナリストになれなかったらバリスタに絞るって。今の状況を考えたら、絞ってくれた方がありがたいけど、他に優勝回数勝負で勝てそうな人っているの?」
璃子に尋ねられると、僕は虚しさを漂わせた真顔のままだんまりを決め込んだ。
天井が見えるくらいに頭を上げ、色んなバリスタの顔を思い浮かべた。
――うーん、困ったなー。椿は家庭優先で1番なんて目指してないだろうし、花音はこれ以上レベルの高い領域に辿り着けそうにないし、美月はサポーターに回ってしまったし、真理愛も今は妊娠中で動けない状態だ。来年の春に生まれるそうだが、コーヒーカクテルのテイスティングがしにくくなるのは痛い。
うちって案外戦力不足だな。他に逸材がいれば……。
「その様子を見ると、全然いないみたいだね」
「しょうがねえだろ。みんな事情ってもんを抱えてる」
「桃花ちゃんとか、お勧めだと思うけど」
「桃花ねぇ~。確かJBrCは去年まで何度もファイナリストか。最近はJSCとJCIでもファイナリスト経験がある。今年はJACの日本代表になってるから、ドリップコーヒーの腕と味覚に優れた桃花はJBrCかJCTCだな。12月にはポートランドで試合があるけど、本当に参加させるわけ?」
「私が見た限りだと、コーヒー抽出器具の中ではエアロプレスが1番うまく扱えている気がするし、JBrCでもエアロプレスを使えば、優勝できるんじゃないかな」
「確かにJBrCはどの抽出器具を使ってもいいけど、ペーパードリップ以外の抽出器具を使った人が優勝したことは一度もねえぞ」
「前例は作るもの。お兄ちゃんがよく言ってたよね?」
こんな時に自分の言葉を言い返されると耳が痛い。
今の僕は判断力を失っている。ここは璃子に任せるか。
「……分かった。とりあえず誘ってみる。他はどうするかな」
「弥生ちゃんはどう?」
「あいつはまだ才能が開花してない。でも原石のでかさだけで言えば、皐月に匹敵するものがある。バリスタ以外にも色んな大会に出たことがあって、その全てで一度も予選落ちしたことがない安定感を誇る。学校を一度も欠席したことがない優等生で、中学卒業までの9年間で唯一の皆勤賞だ。あの無尽蔵な体力は目を見張るものがあるな。しかもフレーバーを当てるのもうまい」
「じゃあ弥生ちゃんも呼んだ方がいいかもね。でも何で才能が開かないのかな?」
「それが分かったら苦労しない。まずは一通りチャレンジしてもらって、どこに才能が眠っているかを探すための採掘作業から始めてるけど、あのままじゃ来年のコーヒーイベントには間に合いそうにないな」
「お兄ちゃん、強化合宿の目的分かってる?」
軽く腕を組みながら黒いポニーテールを靡かせる璃子。
「杉山珈琲のアマチュアチームに対抗するために、太刀打ちできる人を育て上げることだろ」
「それもあるけど、1番の目的はどのバリスタ競技会に参加させるかの意識をハッキリさせることだよ。皐月ちゃんは目的がハッキリしている上に、遂行するだけの才能、プレゼンを組み上げる能力、誰にでも分かりやすく伝えられる能力、精密機械のように正確なコーヒー作りができるからこそ為せるなの。他の人はあんな風にはできない。どんなプレゼンや作品が刺さるかを知っていて、最適なルーティーンを組み立てられる人に、強化合宿はいらない」
「それもそうだな。じゃあ皐月は除外か」
「お兄ちゃんが伊織ちゃんに指導していたのは、入社した最初の頃だけだし、みんながみんな伊織ちゃんや皐月ちゃんみたいに才能を開花させていたら苦労しないけど、世の中にはちゃんと磨いてあげないと、原石のまま埋もれてしまう人が圧倒的多数派だし、そういう人たちを導いていくのが、コーヒーから天命を受けたお兄ちゃんの仕事じゃないの?」
やや強い口調で璃子が一歩踏み込みながら言った。
うっ……それを言われると弱い。確かに僕が指導できる範囲は狭い。葉月珈琲に所属している人にしか指導してこなかったツケがこんな形で回ってきたのだとしたら……それは紛れもなく僕の責任だ。
……僕が身を切る思いで責任を取るしかない。
責任を取るとは、痛い目を見るということだ。社員を過労死させてしまった会社の上司は、死んだ社員と同じ条件で働くんだ。兵士を無駄死にさせてしまった司令官は、自ら最前線に赴いて死に物狂いで戦うんだ。なのにみんな、姿勢を低くして謝っただけで、痛い目を見たがらない。頭を下げただけで責任を取ったという思い込みがあまりにも図々しい。それが誤った認識であることを、ほとんどの人は知らない。
現場の痛みを知らずして、人の上に立つ資格などない。
「……やるっきゃねえか。で? 何をすればいいわけ?」
「強化合宿を月に一度、2泊3日で極秘に開催して、バリスタとしての極意を、お兄ちゃんがみっちり教え込む。強化が必要な人のリストを用意して、来月からコーヒーイベントまでの1年間、必ずやること。みんなには出張扱いで来てもらって、他の人には内容を一切漏らさせない。このことが世間に知れたら、お兄ちゃんの指導を受けようと全国からバリスタが集まりかねないから、ほとんど人が来ない宿舎を借りてやるの。林間学舎で泊まった場所とかあるでしょ。でなきゃ葉月グループは破滅。分かってるよね?」
いつになく真剣な目つきで僕に眼差しを送る璃子。ここまで本気の顔を見たのは久しぶりだ。学生時代から度々助言を送ってくれたが、誰よりも狡猾になれる妹が味方でいてくれるのは本当に心強い。
覚悟を問われたが、僕は怯むことなく口を開いた。
「来月までに強化合宿の参加者リストを作っておく。次のコーヒーイベントは絶対に勝ち越さないとな。あと7勝されたらこっちの敗北だ。全敗だけは避けたい。2年目で決めるつもりだったけど、今回負け越したのは、紛れもなく僕が悪い。バリスタオリンピックの直後で、みんな消耗が激しい中、よくやってくれたと思う。だから僕も一肌脱ぐことにする。血を吐いても強化合宿は成功させる。璃子、一緒に指導してくれ。ラテアートは得意だろ?」
「――やっと顔が戻ったね」
「目が覚めただけだ。僕は自分の失敗に……ずっと鈍感なままだった」
「分かるよ。経営者の失敗で損をするのは、自分だけじゃなく、みんなだもんね……でもねお兄ちゃん、それが背負うことなんだよ。何で偉い人たちが建前とか中立的な言葉で誤魔化そうとするのかが分かったでしょ。他の人たちはお兄ちゃんみたいに、痛い目を見ることに慣れてない。だから無難にやり過ごそうとするし、極力失言を避けようと語らないし、揚げ足を取られたくない魂胆が丸見えなのが滑稽だけど」
「言うようになったな」
「そりゃお兄ちゃんにくらい物言わせてほしいよ。私を強引に就職レールから引き摺り下ろして……でもお兄ちゃんはちゃんと責任取ってくれた。私が密かに持っていた、ショコラティエの夢を掘り起こして、私をショコラティエにするために、身を切ってまでお店を経営して稼いでくれた。就職レールに乗らなくても、ご飯を食べられる大人にしてくれた。だから私はお兄ちゃんについていくって決めたの」
ちゃんと覚えててくれたんだ。璃子は思った以上に侮れない。
行動力は僕が勝るが、純粋な賢さは璃子の方がずっと上だ。
人を用いて団結させる腕前はピカイチだ。絶対敵には回したくなかった。璃子がいじめを回避するために習得した迷彩戦略という名の徹底回避は、僕の正面突破という名の徹底抗戦を遥かに凌駕していた。
「……ありがとな」
「今は1人でも多くの戦力が必要だから急がないと。強化合宿の場所は確保しておくから、後は条件に沿った人のリストでも作っておいたら?」
「分かった。璃子はどうする?」
「私も強化合宿に参加するとして、他に優勝回数勝負の件を言ってる人はいるの?」
「僕と璃子以外だと、唯と伊織だけだな。参加者には伝えない方が最善だと思ってる」
「その方がいいかもね。じゃあ、後はよろしく」
璃子が再び1階に戻る。来年からは愛梨がヤナセスイーツを復活させるらしい。
昔とは異なり、ショコラトリーに寄った洋菓子店にするんだとか。設備は過去を忘れるために総取り換えするところは実に彼女らしい。どんな店になるのかが楽しみだ。
方針が決まった僕に怖いものはなかった――。
9月末を迎える頃には、強化合宿参加者リストが完成した。秘密裏に強化合宿を打診し、千尋、桃花、弥生、陽向、莉奈、小夜子、美咲、香織、紗綾、吉樹、響、凜の12人と決まったわけだが、全員には極秘事項であることを伝えた上で、コーヒーイベントでの国内予選優勝を目指したトレーニングと称した合宿に1年を通して参加することを伝えると、みんな快く協力してくれた。
吉樹と香織は焙煎が得意であることから、JCRCに参加するよう説得した。総合力に優れる千尋と弥生にはJCCに参加してもらうことに。凜と小夜子にはJLACを打診した。凜は以前からラテアートを得意としているし、他の参加者に指導もできる。ドリップコーヒーの才能が開花している桃花、サイフォンに慣れている美咲はJBrC、前回大会ファイナリストの弥生、味覚に優れた陽向はJCTC、アイデアに富んだ響と紗綾はJBC、コーヒーカクテルに精通している千尋、真理愛の修業を受けた莉奈はJCIGSCに参加してもらうこととなった。
中には前回大会に再挑戦する者もいるし、千尋と弥生は片方の大会でシード権を持つ。
余裕のある者でなければ、同時参加しても中途半端な数字に終わる。どの大会にも2人ずつ精鋭を送り出して勝負させる。杉山珈琲が他の社員を参加させない保証はない。まず2年間頂点を目指してもらう。璃子が言った通り、僕が直接教えると言ったら、喜んで参加してくれた。
それほど僕が教えることにみんなが価値を感じてくれている。ならば価値がある内に、この権利を使っておきたい。みんなそれなりに一生懸命にやるだろう。だがそれだけでは足りないのだ。だから建前上の深い訳を用意する必要がある。それは璃子が考えてくれるようだが、場所はもう決まったのだろうか。
再び葉月ショコラへと向かうと、璃子からバックヤードに呼ばれ、店の奥へと入っていく。
「何人集まることになったの?」
「12人だ。しかも7種類のバリスタ競技会に2人ずつ参加してもらうことになった。うちの主力である千尋と弥生の2人は2種類のバリスタ競技会に参加する。どっちかで優勝してくれたら幸いだ」
「思ったより結構集まったね。リストを見る限りだと、どれも身内と女性ばかりだけど、お兄ちゃんと他人の関係性がよく分かるね」
「学生時代の影響なのか、どうも年上の男が苦手なんだよなー」
「ベテランがいるとは言っても、ちょっと不安かもね。アマチュアチームに勝てそうな歴戦の猛者たちがみんな卒業しちゃったタイミングで、勝負を仕掛けられたのは痛いかな。そういえば、響ちゃんは今年のコーヒーイベントには参加してたの?」
「いや、参加してない。響はワールドカクテルチャンピオンシップっていうカクテルの世界大会の国内予選に集中するために、コーヒーイベントは見送ることになったけど、決勝で負けてフリーになったから、強化合宿に参加してもいいってさ」
「決勝までいったんだ……」
静かな驚嘆を隠せない璃子が呟く。
響は葉月珈琲で唯一のバーテンダーだ。
既に世界一のコーヒーカクテラーとなったわけだが、今度は世界一のバーテンダーという新たな夢が生まれた。それでもうちを出ようとしないのは居心地の良さだろうか。
来年からはよりバーテンダーとしての活動がしやすい葉月コーヒーカクテルに異動してもらい、しばらくは妊娠中の真理愛に代わり、マスター代理となることを伝えている。響の親父、ルーカスは娘が立派に独立したことを見届けたかのように実家の店を畳み、エドヴァルドがいる実家へと帰ってしまい、今は響の家となっている。結構良い店だったんだけどな。
もっと有名になって、自分のために来てくれる客が増えた時は自分の家でまたバーを開くんだとか。
何年かかることやら。響が言うにはバリスタかバーテンダーかで悩んでいた時期があり、ワールドコーヒーイベントを通じて方向性が決まり、バーテンダーとして活躍する方針が決まった。伊織がヒントを示してくれたと響は言った。何かの道で世界一を究めてからがチュートリアルであると、響は初めて知ったようであった。食べていくのに困ることがなくなってからが正念場だ。本当はどう生きたいのかが問われる1番の時期と言ってもいい。それに答えられない人が燃え尽き症候群になるのかもしれない。
多分、こんな時のために知見を広げていく必要があるのだと、僕は再確認するのだった。
しばらくはそんな響の暇を潰せそうで何よりだ。
「みんな本当の目的も分からないまま、お兄ちゃんに協力するわけだ」
「ああ。社運を懸けた勝負をしている自覚もない連中が、杉山グループの連中をぶっ潰す。これが本当のポーカーフェイスだ。後は死ぬ気で優勝を目指すだけのインセンティブがあれば、きっと勝てる」
璃子は僕の言葉に黙って頷いた。少しばかり不穏な笑みを浮かべて。
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