382杯目「二重相談」
午後3時、弥生と皐月とのデートからこっそりフェードアウトした僕は会場に向かった。
アメリカ代表の1人、ジェシーの競技が始まる。天性のラテアーティストと呼ばれた彼女が確実にスコアを稼いでくるであろうラテアート部門が今日の目玉となっている。
WLACではメジャー競技会において史上初となる3連覇を果たした。そんな彼女がバリスタオリンピックに参加することを公言した時は全米に衝撃が走った。マイケルジュニアとの頂上決戦、史上初となる同一国代表のワンツーフィニッシュが期待された。
ジェシーの競技は予選向けと言える無難さを重視したプレゼンだ。
特筆すべき点はないが、ラテアート部門だけは最も時間を割いた。
那月が参加していた時と同様、またしてもバリスタの中に1人だけ画家がいる感覚に陥った。特に造形が重視されるパティシエ、ペン捌きが重視される画家はラテアートに向いているのかもしれない。そんなペンスティックイーンの彼女がまだ25歳なのだから驚きだ。
コーヒー業界は別の業界からも参戦する人が出てくる職業となっている。
以前よりもバリスタの価値が上がっている。優秀な人ほどよりメジャーな職業に就いてしまう。ならばコーヒー業界をメジャーな職業にしてしまえばいい。そうすれば優秀な人材の方からやってきてくれる。想像を絶するほどの困難を要することにはなるが。
インタビューを終えたジェシーが僕に気づいた。
「あっ、アズサ。ちゃんと見ててくれた?」
「もちろん。予選突破は確実だろうな」
「ありがとう。でもどうしてそこまで分かるの? もしかして運営側?」
「んなわけねえだろ。見れば分かる。通過できる人はコーヒーのアイデアだけじゃなく、1つ1つの動きに気を配ってる。作業工程を目の前で見せるところとか、あれはかなりのホスピタリティポイントを稼げただろうな。とても2位通過とは思えない競技だった」
「選考会の時はマイケルジュニアに負けたけど、今度は勝つつもりだから。私は女性初の優勝を目指してるの。ワールドコーヒーイベント主催のバリスタ競技会だと、バリスタオリンピック以外は全部女性初のチャンピオンが出たでしょ。大会2日目はWCRCで女性初のチャンピオンが誕生して刺激を受けているの。ねえ、どうやったらそんなにチャンピオンを輩出できるの?」
「うちのグループに入ったら教えてやるよ」
「あら残念」
僕は会場を後にした。伊織の顔が見たくなったのだ。
アリスの件は解決に向かいつつあるし、伊織たちにはサポーターチームがいる。
そろそろ日本に戻りたいと思う自分もいるし、最後まで残りたいと思う自分もいる。こんなに迷ったのはいつ以来だろうか。まずは皐月を呼んでみるか。
弥生と皐月は今日まで喧嘩中だった。
表面上はそう見えないが、店内では口も利かないくらいに仲が悪化していた。
2ヵ月前――。
日本は新年度を迎えていたが、葉月グループはそれを無視するが如く、いつものように業務を行った。
そんな折、皐月が泣き顔のまま葉月珈琲の扉を開けた。伊織たちは他の客との接客で大忙しだ。
話を聞いてみれば、彼女は弥生のことで悩んでいた。
ある日のこと、弥生と皐月が買い物に出かけていた。弥生は値段を気にしながら買い物をしていたが、皐月は値段を全く見ず、気に入った商品を次々と購入しようとした。見ていた弥生が皐月を咎め、2人は口論の末に、口も利かなくなったというのだ。全く違う境遇で過ごしてきた2人にあった常識や価値観の大きな差が浮き彫りとなってしまった。今まで見ないふりをしてきたが、遂に無視できなくなった。
弥生には皐月の言動が貧困者を嘲笑っているように見えている。
値段を気にする方がおかしいと言っているものと弥生は受け取り、質素倹約に勤めてきた自らの生き方に対する侮辱と受け取ったことが、不仲の発端であった。
「つまり、皐月は弥生と仲直りしたいってわけか」
「そうだ。正直に言えば、弥生が何をそんなに怒っているのかが分からない」
「君は弥生から嫉妬を買ったんだ。貧困を経験した人の前で、値段を見ずに買い物をするのは喧嘩を売る行為だ。それで弥生は過去の自分を否定されたと思ってる」
「何故そこまで分かるんだ?」
「僕も貧困を経験した身だから」
「……値段なんて気にしたこともなかったな」
「皐月、バリスタは実力さえあれば、身分に関係なく出世できる世界だ。この先も色んな層の人間と関わることになる。特に日本は富裕層に対する嫉妬心が強い。表面上は貧困者を演じるようにした方がいいかもな。それと買い出しに行く時、相手側と値切り交渉ができるようになっておかないと、こいつには言い値で売れるとか思われたら最後、うちの損害にも繋がりかねない」
「心得てる。コーヒーについてなら本を読み尽くした。あず君の本もな」
笑顔を見せながらデミタスカップの取っ手に細長い指を通す皐月。
2人で買い出しに行かせたために起きた悲劇だ。でも何で2人で買い出しに行ったんだ?
「ていうか買い出しだったら1人で十分だと思うけど」
「弥生が行き先の近くに隠れ家カフェを見つけたと言うから、帰りに寄ろうと思って、2人で出かけた。隠れ家カフェに行った後、店の冷蔵庫の食材が足りないことを思い出して、スーパーに買い物をしに行ったら、弥生が私の買い物かごを見ながら、どういうつもりかと問われた。それで言い合いになって……」
「なるほど、見事に弥生の嫉妬心を逆撫でしてしまったわけだ。分かった。今度のバリスタオリンピックまでに仲直りできなかったら、その時は僕が何とかする」
「……ありがとう」
弥生は皐月の実績に対して向けていた羨望を爆発させた。
目に見える形で自分を突き放していく存在を親友として受け入れるのはさぞ辛かっただろう。
その次の日、今度は弥生が葉月珈琲に相談にやってくる。
相談内容は案の定皐月のことだった。弥生は皐月の実績に対し、実力ではなく環境に恵まれていたからだと言い放ってしまい、皐月の怒りを買った。皐月にとっては青天の霹靂だろうが、弥生にとっては今までの積み重ねが口を動かしてしまった。
「それは問題だな」
「はい。どうやったら仲直りできるんでしょうか」
「謝ったらいいんじゃねえの」
「それができるならもうやってます。女性同士の関係は難しいんですよ」
「男同士は簡単だぞ。殴り合いで決着をつければいいからな。まっ、最近は男同士でも殴り合いをしなくなってるし、先行きが心配だ」
「平和主義じゃ駄目なんですか?」
「一度も殴り合いをしたことのない奴が、殴り合い以上の駆け引きを求められる社会でやっていけるとは到底思えない。いくら平行線を保っているつもりでも、どっちかがちょっとでもズレていたら、必ずどこかでぶつかることになる。2人の場合、そのどこかが今だったってことだ。家族とか友人がいる人なら、誰にでも必ず平行線を保ちきれない時ってのが必ずやってくる。平和主義者を名乗ってもいいのは、戦いで必ず勝てる奴だけだ。確か千尋のサポーターをやるんだろ。バリスタオリンピックの時なら3人が同時に揃う。その時までに仲直りできなかったら、僕に任せてくれ」
「分かりました」
時は流れ、バリスタオリンピックがやってくる――。
弥生と皐月はまだ仲直りができてなかった。お互いに目を合わせようともしないし、サポーターチームのチームメイト同士となり、顔を合わせた時も一切会話をしなかった。
今日の大会4日目、僕は弥生と皐月を呼び出した。
先にメールで皐月を誘い、昼食を済ませてから僕が待つカフェの前に合流するよう伝えた。その後で弥生を合流させるよう、集合時間をズラして2人を誘った。
午後1時、先に誘った皐月が僕の目の前に立った。
「まだ仲直りできてねえのか?」
「簡単に言うが、そう言うあず君は喧嘩中の相手と話せるのか?」
「僕は喧嘩なんてしないし、したこともない。ボール球は絶対に振らない主義でな。見送ればボールになる球を無理矢理振りにいくからイラッとくるんだ。誘い球を振るのが挑発に乗るということだ。誘い球は全部かわすようにしろ。売り言葉に買い言葉で返せば、相手は君に反感を持つ。君は美人で才能もある。今後も色んな奴から嫉妬を買うことになるだろうな。そのたんびにこれくらいの問題を解決できないようじゃ、トップバリスタへの道は遠いぞ」
「だったらどうすればいい?」
「僕が話し合いの場を設ける。弥生に思ってることを全部伝えろ。30分後にあのカフェで弥生と待ち合わせをする。その後は公園まで3人で歩く。伝えるのはその時だ。自然を満喫すれば、些細なことが全部どうでもよくなる。弥生の気分が落ち着いたところで、皐月の方から話を切り出せ」
「まずはムードを作るというわけか」
とは言っても、普段から感情を抑えている皐月を動かすのは容易じゃない。
皐月を動かしつつ、弥生と仲直りさせるには、あの方法を使うしかない。
それは共通の敵を作ることだ。弥生と皐月は共通の相談を僕にしていることを知らない。狙い目があるとすればここだ。この2人が親友に値するかどうかはそれで分かる。人は想定外の事態が起こった時に本性が出る。それでうまくいかなかったら……弥生はここまでだ。
弥生には大きな欠陥がある。肝心な時に踏ん張れないことだ。
皐月は値段を見ないで買い物をする姿をお嬢様気取りだと言われると、仕返しにそのことを弥生に突きつけた。弥生自身もそのことは分かっていただけに、人から言われることを受け入れられなかった。
だったら僕の方からその話題に触れ、しっかりと問題に向き合ってもらうしかない。
「僕が君に電話をかけたらそれが合図だ。しばらくは店の奥に引きこもって髪型を変えてくれ。その間に弥生から本音を聞き出す。君にも聞いてもらうぞ。離れたら電話に出たまま話を聞いてくれ」
「弥生の本音を聞くんだったら、私もいた方が良くないか?」
「あのなー、君らは喧嘩中だろ。そんな状況で本音を引き出すのは難しい。喧嘩している相手には心を許せないし、どうしても隠そうとする。逆にその場からいなくなれば、絶好のチャンスと言わんばかりに口を開いてくれるはずだ。ストレスから解放された瞬間に人は油断する」
「……不本意だが仕方がない。その通りにしよう」
午後1時半、弥生がカフェに入ってくる。
ケルティックタイガーの真向かいにあるカフェで、僕と皐月は既にテーブル席に着いていた。ケルティックタイガーに来た時、カフェ巡りで一緒に行く約束をしていたから場所は把握済みだ。
弥生が僕と皐月を同時に黙視する。
「……」
「あの、あず君1人じゃなかったんですか?」
不穏な声で僕に尋ねる弥生。
「ああ。皐月がどうしてもついていきたいって言うからさ」
「明日までは何もすることがないからな」
「……」
皐月とは一切目を合わせず、他愛もない会話が続いた。
スマホを取り出すと、皐月は会話を切り上げて席を立ち、店の奥へと歩いていく。
合図はスマホを取り出した時。皐月は常に僕の手から目を離さなかった。直接電話をかけると弥生にバレてしまいかねない。皐月と通話状態のまま、弥生は皐月に勝ちたいという本音を話してくれた。そして皐月との試合で慰安票を貰ったことが自分であることを告白する。
「よく慰安票だって分かったな」
「本来であれば、あの試合は満票で負けるはずでした。それくらいの差でしたから」
「皐月が慰安票で勝った話をしてくれたのは弥生だったな。じゃあ他の人は知らないんじゃねえの?」
「はい。知らないでしょうね。でもあれが慰安票だったのはハッキリ分かります。屈辱でした。ある意味満票で負けるよりも……ずっと悔しかった」
「だから修業してほしいと?」
「はい。私としては、もうあんな思いはしたくありません。自分の中にある弱さが原因なのも分かっています。それを克服したいんです。あず君が弱さを克服したように」
「……」
コーヒーが僕に課した修業は、かつて受けた大きな傷を治してくれた。困難に立ち向かう強さを与えてくれた。弥生も気づいていたようで、弥生がここまで自己分析に優れているとは思わなかった。強い人間は自分の弱さが分かる。一刻も早い修行を必要としている。皐月に追いつき追い越せと言わんばかりに、弥生は自らの背中に鞭を打っている。弥生は現状を打破したいのだ。
そのためなら何でもやると言わんばかりだ。
皐月が髪型を変えて戻ってくる。スマホの通話ボタンを消したのが合図だ。
店を出る時、僕が弥生と皐月と共に立ち上がった時だった――。
「皐月、会計を済ませておいてくれ。ケルティックタイガーに財布を忘れた」
「ああ、分かった」
「葉月グループに請求してくれ。経費になる」
「……律儀だな」
弥生の手を引いて外に出た。
「あの、どうしたんです?」
「なあ、さっきいくらでも殴っていいって言ってたよな」
「えっ……やらないんじゃなかったんですか?」
「拳ではな。皐月が何も行動を起こさなかったら、君と皐月の仲はその程度だったってことだ」
「それってどういう……」
「君には時間を与えた。今日仲直りできなかったら、君はマイナー店舗に降格だ。同僚とすらうまくやれない奴は就職には向かない。もちろん、君が言った通り、厳しい修行を課すことにしよう」
「……」
皐月からレシートを受け取り、3人で店を出た。
僕はわざと弥生を挑発し、皐月が彼女に代わって僕の胸ぐらを掴んだ。
荒療治ではあったが、弥生と皐月は無事に仲直りし、問題は解決した。2人のことは騙したまま。皐月にとっては挑発の言葉が、弥生にとっては皐月を怒らせることが想定外だ。僕自身は嫌われたかもしれないが、それは経営者の常だ。これで2人共成長するなら安い。
そう思っていた時だった――。
午後6時、桜子と響の祝勝会が行われた。
どの日もサポーターチームは忙しかったが、大会4日目と5日目はぽっかりと穴が開いている。バリスタオリンピックが終わってからだと、万が一のことがあれば、桜子も響も優勝を祝ってもらう気にはなれない。そのことに配慮した結果、大会期間中に祝うという異例の事態となった。
伊織たちは桜子と響を囲みながらケルティックタイガーの客席の半分を占領し、他の客たちからも優勝を祝ってもらっていた。更には噂を聞きつけた近隣住民までもが駆けつけ、まるで自分たちのことのように喜びを共有している。ダブリンはワールドコーヒーイベント本社がある場所なだけあり、バリスタオリンピックを地元で開催できる喜びを噛みしめた。
「ちょっといいか?」
皐月に後ろから呼び止められた。振り返ってみれば、皐月の後ろの席で弥生が腰かけている。
古びたマットの席を立ち、店の端に陣取っていた2人の元へと足を運んだ。
「どうかしたか?」
「……私たちのせいで迷惑をかけた。ただでさえ忙しいのに……済まなかった」
「私も皐月ちゃんと同文です」
「何だ。でっきり僕が謝れって言われるものだと思ってた」
「最初は酷いと思った。でもすぐに演技だと分かって手を離した」
「私たち、2人であず君に無茶な相談をしていたんですね」
「最初に怪しいと思ったのは、弥生の手を引いてすぐに店を出たところだ。2人だけで話せる数少ないタイミングを確保したと考えれば説明がつく。私は思った。弥生もあず君に相談してたんじゃないかって」
「誰かに背中を押されないと行動もできないようじゃ、まだまだだな」
まだ10代だ。先は長いぞ。10年経ってもまだ20代。
たとえ全財産を払ったとしても買うことができない宝だ。
20代の僕は10代よりも幸せに過ごしていた。言いたいことが言えて、やりたいことができて、欲しいものは全部手に入れた。今度は自分のためではなく、自分たちのために生きようと思った。コーヒーを通して、より多くの身近な人たちの幸せに貢献したい。
それがきっと僕の役割だ。パイオニアとしての――。
皐月はもう自分で生きていけるだけの力は持っているが、まだまだ弥生と引き離すには早いか。
伊織と千尋は早い段階で祝勝会を切り上げ、不確定な準決勝に向けての準備を優先させている。祝ってあげたいが、今はそれどころじゃないと言わんばかりだ。
「あず君、何をどうやったら、こんなに世界チャンピオンを輩出できるの?」
不思議そうに話しかけてくるアリス。
「種を明かしちゃうと、何だそんなことかと落胆するぞ」
「それでも知りたい」
「葉月グループのバリスタと他のコーヒー会社のバリスタの1番の違いは分かるか?」
「1番の違い?」
「自由時間だろ?」
割って入るようにアリスの隣に座ったディアナが言った。
「正解。うちのバリスタは自由時間が長い。他のコーヒー会社のバリスタは、どうしても店の業務で時間が潰されてしまう。でもうちの場合、プロ契約を結んでいるバリスタは、大会に参加登録してから大会が終わるまでの期間は好きに立ち回れるし、そうでなくても営業時間外に好きなだけ練習や実験ができる。こんなの他の店じゃまずできない。でもうちはできるんだよ。うちは多くのコーヒー農園を持つことで莫大な利益を得ることができるから、その分をバリスタに投資できる。だから伊織たちは大会前から好きなだけ大会に向けた準備ができるってわけだ。大会はどれだけ準備ができたかで結果が決まる。だったら準備に投資すればいいだけのこと。世界チャンピオンを定期的に輩出すれば、うちの宣伝にもなるし、優秀な人材はうちに集まってくるようになる」
投資、利益、人材、これらがうまく噛み合うだけで、好循環を生み出すことができる。
コーヒー農園を手に入れた後、僕が最初に始めたのがコーヒー開発だ。新しい栽培、新しい精製、新しいコーヒー豆、常に新しいものを求めてきた。コーヒーが育ちやすい環境を整備し続けた結果、今まで不可能と言われた栽培範囲の拡大が可能となった。できると信じた者だけを募り、諦めなかった結果だ。
アリスの研究室にも新しいコーヒー豆を寄贈し、分析をしてもらっている。
「準備に時間を費やせばいいのは分かったけど、どうしてその発想に辿り着いたの?」
「簡単な話だ。日本のアスリートは長子以外に多かった。それは長子が親に縛りつけられて自由に動けない上に、徹底した干渉を受けて才能を抑制されちまうから、高確率で戦えない人間に育ってしまいやすいことが分かった。末っ子は自由気ままにさせてもらえる分、夢中になったことに取り組みやすいし、練習時間も膨大なものになる。だから日本のアスリートで大成している人は、末っ子に多いわけだ。僕はそこからヒントを得て、うちに入ってくる全ての社員を末っ子と同じ条件で育てれば、うまくいくと思った。才能がある奴は干渉さえ受けなければ天井知らずの成長を見せる。人生がうまくいかない人を量産している元凶はかなり身近にいるってことだ。僕は才能のあるバリスタの卵を親と学校から引き離して、自由奔放に育てる方針を試みた。後は納得がいくまで、ひたすら好きなことに没頭できるようになれば勝ちだ」
「如何に制約を受けないようにするかがコツってことだな」
「その通り。鍵を握っているのは葉月珈琲塾の教育だ。響は葉月珈琲塾に通っていた。うちの塾から初めての成功例が出たんだ。親と学校の教育が間違っていたことが、また1つ証明されたわけだ」
葉月グループの人間教育は、従来の義務教育を遥かに凌駕していた。
国内の馬鹿共がこれに気づくのは時間の問題だ。これで明治ごっこからは脱出できる。
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