379杯目「道なき道」
――大会3日目――
バリスタオリンピック予選もいよいよ折り返し地点。
他の会場で行われていたメジャー競技会はこの日をもって全工程が終了し、より多くのコーヒー会社が宣伝のためにブースを作るスペースが増えるのだ。
世界的企業が優先的に1日目からブースを並べるが、4日目からはその他のコーヒー会社も販売用のブースを設けて宣伝することができる。ここで入れ替わるブースもあるが、大半は最終日まで残り続ける。これ以上ないチャンスを企業が逃す理由はない。引き上げるのは採算が取れないと思い、引き際を悟った場合だ。つまり、ここにいればどんなコーヒー会社が生き延びているのかが一目瞭然だ。
バリスタだけではない。コーヒー会社もまた、この舞台で競争させられているのだ。
「あず君、いつまで寝ているつもりなんですか?」
可愛らしい幼女のような声が聞こえる方向に手を伸ばした。
指が柔らかい膨らみに辿り着く。プニプニしていてとても柔らかい。
「ちょっと、もう、あず君ったら」
「――伊織?」
気がつくと、僕の上には伊織が両手を広げながら覆い被さるように乗っている。
僕は伊織の頬に触ってしまっている。伊織の頬は桃のように赤く染まり、目を閉じたまま快感を味わっている。手を離すと、変形していた頬が元に戻る。
「いつもみたいに頭を撫でてくれないんですね」
「今それやったらまずいだろ――ところで、今何時だ?」
「12時38分です」
「何だそんな時間か……って大遅刻じゃねえかっ!」
「うわっ!」
飛び起きた勢いで伊織に至近距離まで迫ってしまう。
根本の競技時間が一刻一刻と過ぎていく。だが伊織は僕の上から全くどこうともせず、石像のように立ち塞がっているようだった。伊織がなかなか腰を上げないまま、僕は動けないでいた。
伊織は覚悟を決めたように固く目を閉じ、僕の対応を待っている。
「……伊織」
「安心してください。他の人はみんな出かけてます」
「そういう問題じゃねえよ。根本はともかく、千尋の応援に行かなくていいのか?」
「千尋君の競技は6時からです。まだ余裕があります」
「根本には聞きたいことがあったんだ。そこをどいてくれ」
「嫌です」
「伊織が意地悪をするなんて珍しいな。千尋のこと言えなくなるぞ」
「いいんです。あず君はここんとこずっと私のことを見てくれていません。ちゃんと私のことも見てください。恋人なのに……他人のように扱われることが、どれだけ辛いか知ってますよね」
「……」
それを言われると弱い。唯にも同じことを言われた経験がある。
無視しているわけではないが、他のことにばかり夢中になると、女は嫉妬を覚えるらしい。
「伊織のためだぞ」
「分かっています。あず君は私のことを思って……無理しながら隠し事をしてくれました。でももういいんです。あれからずっと考えてました。私たちが人前でどう振る舞うべきかを。私には耐えられません。堂々とあず君に触れていたいんです。たとえ人前であっても。世間なんて気にしなくていいって言ったのはあず君ですよ……自分に嘘を吐いて生きるのは、もうやめにしませんか?」
「……本当にいいのか?」
「はい。自分の生き方を貫いて死ねるなら本望。あず君から教わった言葉です……過保護に守らなくても大丈夫です。私はあず君がいてくれれば平気ですから」
ダブリンに渡った時から、伊織がどこか寂しそうにしていたのはそのためか。
迷いを払ったつもりが、恋人として振る舞えないことへの葛藤が伊織を苦しめていた。
そんな中、鬼門とも言える1日目の朝を戦ったんだ。考える時間ができたのは幸いだった。伊織と同じ部屋でなかったために気づくのが遅れた。千尋は僕と伊織がバッシングを受けることを恐れて別々の部屋にすることを勧めてくれたが、そのことが伊織を更に傷つける結果となってしまった。
「……そうだな。伊織、今日から一緒に寝よう。千尋には隣の部屋に移動してもらう。これからはいつでも僕のそばにいていいぞ。僕らの関係は来年公表する。それでいいな?」
「はい。じゃあ行きましょうか」
あっさりと僕の上からどいてくれた伊織は外出用の服装だ。既に出かける準備はできていた。
着替えてから早速バスで会場まで向かうと、その道中では手を握り合っていた。
誰も見ていない。傍から見れば女子中学生と女子小学生の姉妹にしか見えない。見事なまでにカモフラージュができていたのだ。今まではこの特徴で女とよく間違われていたが、こういう時に役立つのだと初めて知った。僕はまだまだ自分のことをよく分かっていないのかもしれない。
伊織がまた背中を押してくれた。それは彼女が前に進む覚悟ができた証だ。
愛弟子がいつの間にか成長しているところを見ると嬉しくなる。
いや、今は恋人なのだ。この複雑な関係性とはいつか折り合いをつけないとな。
「根本さん、競技終わっちゃいましたね」
「黒柳と同様に、選考会の時と同じ食材だな」
「選考会と同じでも大丈夫なんですか?」
「問題ない。予選通過できるだけのハイスコアを記録できるんだったらな。それに予選はレパートリーポイントのためにとっておきを使わない人もいる」
「あず君もそうだったんですか?」
「良い質問だ。僕がプレゼンで提供してきたものは、全部勝つためのとっておきだ」
「……そう言うと思いました」
ネタバレをされたファンのように、冷めた顔で伊織が言った。
何だそんなことかと言わんばかりのつまらなそうな横顔も可愛い。
「根本、そっちの調子はどうだ?」
「葉月さん! どうして本巣さんと手を繋いでるんですかっ!?」
「傍から見れば姉妹のようにしか見えないからな。誰も気にしなかったぞ」
「あなたという人は……浮気は駄目ですよ」
「浮気じゃない。恋人公認の妾だ。それに僕が誰とつき合おうと、君の人生に関係ないだろ」
「やれやれ、葉月さんはいつだって常識を変えていく人だとは思ってましたけど、同時に複数人の女性とつき合うところにまで及ぶなんて、子供はどう思うんでしょうね」
「もう受け入れてるぞ。伊織がようやく自分に素直に生きるって決めたみたいだからな」
「そうですか。まあどう生きようと勝手ですけどね。僕も勝手にやらせてもらってますし」
自らの宿命を受け入れたように、根本は目を細くしながらステージ上に置かれているタンパーを見た。
「根本、沙織の件は知ってるか?」
「ええ。黒柳さんからのメールを見た時は驚きましたよ。育成部の中に裏切り者がいたなんて」
「でもお陰で根本が裏切り者じゃないってことが証明された。沙織は勿体ないことをしたな」
「勿体ないこととは?」
「穂岐山珈琲に残っていれば、沙織も食い繋ぐことができたのに」
「松野さんから聞きました。育成部を分社化して、穂岐山珈琲本社として岐阜に移動すると。思い切ったことを考えましたね。全てなくなるよりはマシですけど、穂岐山珈琲にとってはダメージが大きいです。今まで連れ添った役員や社員を手放すことになりますし、役員の中にも裏切り者が数人いるとか」
「ああ。沙織がこの情報を吐き出してくれたのは大きい。美羽に伝えたら迅速な対応をしてくれた。沙織のことは責めないでやってくれ。あいつも被害者みたいなものだからさ」
「どうして庇うんですか?」
不思議そうに根本が言うと、伊織まで僕の目を見つめた。
「沙織は追い詰められてた。あいつは育成部の中でどんな存在だった?」
「ポテンシャル採用された人でした。でも大会では全く結果を残せず、準決勝にも進出したことがないんです。御岳さんや黒柳さんが結果を残していく中、ずっと置いてけぼりにされていました。穂岐山社長からも、このままだと店舗に戻さないといけないと言われていたくらいです。育成部は才能を伸ばす部署であると同時にバリスタを厳選する場所でもありますから、結果が出ないままだと、ただの店舗スタッフに戻ってしまいます。毎年他の店舗スタッフの中から、見込みのある人を引っ張り上げることを繰り返していました。店舗スタッフとは給料にも差がありますから、必死だったのは確かだと思います。僕がもっと早く気づいていれば、こんなことにはならなかったかもしれません」
「育成部には何人ものバリスタがいるんだろ。沙織じゃなくても、どの道育成部を追われそうな人の中から選ばれて同じことをしただけで、沙織がたまたまその役に選ばれたってだけだ。ていうか鍛冶社長に弱点とかねえのか? なんかあるだろ。炎に弱いとか」
「それじゃモンスターじゃないですか」
笑いをこらえるのに必死な伊織が隣からツッコミを入れた。
「立派なモンスターだ。コーヒー業界の平和を乱す雑魚モンスターと言っていい」
「……そうですね。父さんはコーヒー業界に立ち入るべき人間じゃない。招かれざる客です」
「だったら協力してくれ。鍛冶社長は何が目的だ?」
「知っている限りを話すと、父さんはどちらかと言えば、地元に執着する人間です。だから穂岐山珈琲を狙っていると知った時はおかしいと思いました。最初は僕を連れ戻すためぶ吸収合併するものだと思ってましたけど、絶対に戻らないと言ってもやめなかったんです。つまり最初から穂岐山珈琲を吸収合併する予定だったということです。僕は父さんに会いに行って理由を聞きました。そしたら……」
信じられないと言いたげの根本が一瞬言葉に詰まった。
「そしたら?」
「父さんはある人からの指示で、吸収合併に動いていると言いました。流石に名前までは明かしませんでしたが、自分の意思で動いていないことだけは確かです。コーヒー会社を吸収合併するだけなら、中小のコーヒー会社に吸収合併を働きかけるのがセオリーのはずですから」
「ますます謎だな」
「それ以上は何も話してくれませんでした。バリスタオリンピックが終われば、もうお前の居場所はなくなると言われました。あの時は流石にムカつきましたけど、あれで絶対に穂岐山珈琲に残ろうと決意しましたよ。穂岐山社長から分社化の話を聞いた時は驚きました。まさか葉月社長の発案だったとは。でも育成部だけを生き残らせたとしても、最も経費がかかる部署である上に、他の部署は全て吸収合併されますから、収入源だけが抜かれている状態です。それでどうやって生き延びろと言うんですか?」
「そこは帰ってから説明する。まずはついてきてくれる人を集めるところから始めないとな」
「……」
不信感を募らせている根本は、終始不満な表情を崩すことはなかった。
根本自身が裏切り者である可能性がまだ消えていない以上、これ以上の説明はできない。
何よりこの後には、マイケルジュニアの競技が控えている。穂岐山珈琲勢が全員予選落ちするようなことがあれば、全員の即帰宅が余儀なくされる。閉会式への出席は任意で構わない。早く戻ればその分吸収合併の話も進んでしまうことが目に見えているため、できるだけ先延ばしにするのが精一杯だ。
彼らは文字通り社運を懸けている。犠牲は伴うが、生き延びることはできるはずだ。
「タイム。僕は様々なブレンドコーヒーを試作しました。コーヒーが持つ様々な風味特性や、組み合わせた時に発揮する風味特性を調べ尽くした結果、遂に究極のコーヒーに辿り着くことができました。それは3種類のコーヒーを組み合わせた『トリプルブレンド』です。通常は2種類のコーヒーをブレンドしたダブルブレンドが主流ですが、今回は3種類のゲイシャを組み合わせたトリプルブレンドです。1つ目はコロンビアゲイシャ、2つ目はケニアゲイシャ、3つ目はボルネオゲイシャです。特に注目していただきたいのが、このボルネオゲイシャです。インドネシア、標高1200メートル、品種はゲイシャ、プロセスはアナエロビック・ファーメンテーションです。まずはエスプレッソからお作りします」
午後6時、遂に千尋の競技が始まった。
意外なことに、千尋は葉月グループが栽培中のスマトラゲイシャに目をつけていたのだ。
世界最高峰のコーヒー豆が飛ぶように売れているが、栽培地域はかなり限られていた。その多くは中南米であったが、もっと広い地域で栽培されてもおかしくないと感じた。
栽培に適した地域があるはずなのに、何でみんな調べようともしないんだと思いながら、僕はゲイシャやシドラの栽培地域を拡大しようと特派員を派遣してアフリカやアジアを探し回り、場所を発見し、コーヒー農園にするべく買い取った。そしていくつかの国で栽培に成功した。
葉月グループは誰もやらなかった偉業を成し遂げたのだ。
リスクの高い賭けではあったが、何度か失敗を重ねてからようやく成功の芽が出た。
「火山によってもたらされた、豊かで一年中一定の湿度を保てる土壌はコーヒーの栽培に適しています。標高1000メートル以上の高地では、昼と夜の寒暖の差が大きく品質の良いコーヒーが育つため、栽培も盛んです。インドネシアはスマトラ島が国内コーヒー生産量の約75%ほどを占め、それにジャワ島、スラウェシ島が続きますが、ボルネオ島でもコーヒーの栽培は行われています。インドネシアと聞くと、多くのコーヒーファンはロブスタ種のコーヒーを想像するかもしれません。しかし、ゲイシャやシドラの豆が世界中のコーヒーファンを魅了している今、それらのコーヒーを栽培できる地域を増やそうと、葉月グループは尽力してきたのです。スマトラゲイシャエスプレッソのフレーバーです。マンゴー、マンゴスチン、アフターにはダークチョコレート、フルーツキャラメルを感じます。プリーズエンジョイ」
葉月グループの理念を逸早く汲み取り、ここまで熟成させたというのか。
今回からはどのコーヒーを使い、シグネチャーをどう開発していくかは全てバリスタたちに一任しているが、僕の知らないところでもう手をつけていたとは。
僕が鍛冶社長の件で奔走していなければ、もっと伊織や千尋のアイデアにつきっきりで面倒を見てやることもできたが、この競技はその必要がないことを確信させてくれた。
「どのプロセスでも程度は異なりますが、醗酵が起こっています。最新の研究で、そのプロセス中の醗酵がコーヒーの味わいに影響していることが少しずつ明らかになってきました。醗酵とは微生物が糖類を分解し、アルコールや二酸化炭素、化合物などを生成することを指します。これらの生成物の内、コーヒーにおいては化合物の生成がポイントになっており、最新の研究でプロセス中の醗酵によって生成される化合物がコーヒーの味わいに影響を与えていることが判明してきました。コーヒーチェリーには微生物が多く付着しています。その中でも果肉部分に微生物は多くいます。果肉を取ってしまうウォッシュドプロセスは醗酵しづらく、反対に果肉のまま乾燥させるナチュラルプロセスの方が醗酵が起こります。このコーヒーチェリーに付着している微生物は、国や地域、標高はもちろん、その土地によって異なります。微生物も農園ならではのテロワールの一部なのです。今回はそのゲイシャに適した微生物をボルネオ島で発見したエピソードを交え、スマトラゲイシャを主体的に使ったコーヒーを堪能していただきます。次はスマトラゲイシャを使ったシグネチャーです」
千尋はエスプレッソ部門から始めると、続いてマリアージュ部門、ラテアート部門を終わらせ、ブリュワーズ部門に入り、全く新しいコーヒーを披露していった。
ラテアート部門では、フリーポアラテアートでアフリカゾウを、デザインカプチーノでシロナガスクジラを手早く描いた。それぞれが陸と海の最大動物という特徴を持つことからも、自らが地球上で最大値を誇るバリスタになりたいという意欲が見て取れる。
この様子を見るに、予選突破を確実にしておきたい意図を感じた。
出し惜しみをすることはなく、伊織とは真反対の路線を歩いている。
「このスマトラゲイシャは南国フルーツのフレーバーを持っています。ゲイシャはシングルオリジンで使われることが多いですが、スマトラゲイシャはブレンド向きであることが判明し、ブレンドしたコーヒーのフレーバーを更に底上げし、南国フルーツのフレーバーを追加する作用があることを発見しました。収穫したチェリーをタンクなどに入れ、蓋をして密閉、酸素を遮断し、嫌気性状態にします。微生物の活動を活発化させることで醗酵を促し、より積極的に利用した手法です。このようにコーヒーチェリーとチェリーに元からついている微生物だけを利用しており、他には何も加えておりません。アナロビック・ファーメンテーションは従来のコーヒーからは考えられないような独特な味わいから、調味料のように味つけしている、コーヒーそのものの味わいではないと思われてしまうことがあります。しかし、醗酵を促進させているという違いはあれど、従来のウォッシュドプロセス、ハニープロセス、ナチュラルプロセスといったプロセスと実は同じです。その農園、そのテロワールを活かしたプロセスなのです。コーヒーが持つ新たな可能性を開くために必要な精製工程だったのです」
意気揚々とプレゼンする千尋に、ここにいる誰もが釘づけとなっている。
目線の集中砲火を浴びるプレゼンは体力以上にメンタルを消耗する。
にもかかわらず、コーヒーが持つフレーバーを楽しそうに語りながら、ゆっくりと味わう余裕を設け、パフォーマンスを披露する姿は、昔ながらの舞台背景としてのカフェに登場するモブとしてのバリスタではなく、物語で最も多く登場するカフェの主役としてバリスタだ。バリスタはもっと評価されていいと、彼は自信を持って語っているように思えた。
そんな最も身近なライバルの競技を伊織は固唾を飲んで見守っている。
千尋のステージ設計はかなり手の込んだもので、田舎風のカフェではなく、都会風の大きなカフェだ。
大きなホテルの1階にあるカフェをイメージしたもので、ホテルに泊まりに来る客、用事を済ませてホテルを出る客、全ての客が一度は目にし、その魅惑の香りに引き込まれ、少しくらいならと、試しに立ち寄ってみればあら不思議、いつの間にかコーヒーに釘づけになっているというストーリーだ。
「このコーヒーカクテルにはトリプルブレンドゲイシャのコーヒーに加え、ノルウェーのシェリービットを組み合わせることで、コーヒーが持つフレーバーを更に引き上げることで、コーラのフレーバーになります。これをソーダマシンに投入し、炭酸を入れることでコーラのフレーバーを強め、後味をより濃厚にします。炭酸化は多くのバリスタが苦戦してきた要素で、シグネチャーにおける未完成部分とされてきましたが、スピリッツとなら合うと思い、炭酸化を試したところ、見事なまでにマッチしたのです。それでは引き続き、コーヒーをお楽しみください。タイム」
競技を終えた千尋に惜しみない拍手と歓声が飛び交った。
千尋は松野が始め、誰もが苦戦してきたコーヒーコーラを遂に完成させた。
これを最後に持ってきたのは、炭酸がもたらす満腹感を防ぐためだ。満腹感がある時はどんなに美味しいコーヒーであっても、味わいが半減することを考慮に入れ、最後にこのコーヒーコーラカクテルを完成させたのだ。しかも決め手になったのが、響の伯父、エドヴァルドが丹精込めて完成させたシェリービットだが、ここで使ってきたか。まずは予選突破を確実にするだろうが、問題はその後だ。
千尋がホッと胸を撫で下ろすと、休む間もなくインタビューを受けるのだった。
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