377杯目「大富豪とポーカー」
――大会2日目――
昨日は各ブースが大忙しだったが、響はWCIGSCの予選を突破した。
桜子が参加しているWCRCは2日かけて決勝が行われるため、桜子と響がサポーターに回れるのは3日目。3日目以降の予選を考えていたため、伊織はピンチと言っていい状況だったが、今までにないアイデア、誰もが忘れかけていた知見を披露し、逆境を乗り越えた。
ぶっちぎりの1位通過だったが、1位通過は決勝で勝ちきれないジンクスがある。そこをどうやって打ち破っていくのかが見所だ。響はあえてシェリービットを使わなかった。下手にコーヒーカクテルに合わせるよりも、そのまま飲んだ方が美味いスピリッツは少なくない。
ケルティックタイガーのキッチンに引き籠り、まだ確定すらしていない準決勝のために、健気にもコーヒーを淹れ続ける伊織からは優勝への執念がビリビリと伝わってくる。
シェリービットはまだ使っていない。温存するのはいいが、使わないまま敗北すれば、シェリービット蒸留所に多大なダメージを与えることになる。持って半年と言われてから残り3ヵ月を切った。
利益を出せなければ吸収合併の危機を迎えているが、伊織はシェリービットをここぞという時に使うつもりであることが見て取れる。響でさえ優勝に導けず、まだ開拓もされていないスピリッツが誰も知らない大きな可能性を秘めていることは明らかであった。
「とても美味い梅酒だ。これを使っていれば準決勝は確実だったと思うぞ。何で使わなかったんだ?」
伊織梅酒を口に含んだディアナが正直に言った。
「これは私の集大成です。なので決勝までは使いません」
「予選の競技はとても良かったが、準決勝進出を決定づけたかと言われれば疑問が残る。だから準決勝では使った方がいいんじゃないか」
「切り札は残してきます。途中で負けてしまったら意味がないですけど、先に切り札を使ってしまうと、決勝で勝ちきれなくなります。あず君は生き残る前提で、切り札を最後まで残していました。最も自信のある作品を決勝に残して、できないという思い込みを払拭して、自分の全てを前面に出して、あのマイケルさんを上回ったんです。今までの競技を見ていて、バリスタオリンピックの必勝法が分かりました」
自信満々の笑みを浮かべる伊織。これにはサポーターたちも驚きの目を向ける。
「必勝法が分かったとは言っても、バリスタ競技会に正解はないぞ」
「はい。正解はありません。でも大会毎の必勝法に近づく方法ならあります。平たく言えば、バリスタオリンピックは大富豪なんです」
「大富豪?」
「強いカードを残しながら手札を減らしていくトランプゲームだろ」
「はい。どんなに強い札でも、使ってしまえば価値がなくなってしまいますよね。バリスタオリンピックで言うなら、レパートリーポイントがつかなくなるということです」
「と言うと?」
「レパートリーポイントは準決勝であれば10分の1倍分、決勝であれば10分の2倍分がフレーバーポイントに加算されます。フレーバーポイントが100ポイントなら120ポイント、200ポイントなら240ポイントになるので、ハイスコアを記録するほど、レパートリーポイントも高くなるんです」
この時、僕の脳裏に一筋の雷が走った。
伊織は気づいてしまった……バリスタ競技会の必勝法に。
「――そうか、そういうことかっ!」
「あず君も気づきましたね」
「なるほどな、伊織が言いたいことが分かった」
僕の隣で伊織の話を聞いていた皐月も納得しながら頷いた。
「どういうことなの?」
弥生が頭を傾げながら尋ねた。
「レパートリーポイントが加算されるのはフレーバーポイントに対して、つまり、決勝まで使っていない工夫を行った上で、フレーバーポイントでハイスコアを記録できた人が、最後に勝つようにできているんです。前回大会で優勝したマチューさんは、最後の最後に切り札を使いました」
「確かに決勝だけは、誰もが驚く創意工夫をしていたな」
「レパートリーポイントが加算される準決勝と決勝でハイスコアを記録できるドリンクを温存した方が、総合スコアが多くなるということか」
「だから大富豪ってわけか。そこまで考えて温存していたわけか」
「はい。他のバリスタ競技会はポーカーです。レパートリーポイントがないので、必然的に1つの競技の質を熟成させていくことが求められます」
手札を充実させていくからポーカーか。伊織らしい例え方だ。
正直に言えば、僕はバリスタ競技会の攻略法には気づいていたが、必勝法には気づけなかった。
無論、伊織が言っていることは机上の空論だ。予選で手を抜きすぎれば、通過することさえできないわけだし、完璧な必勝法とは言えないが、決勝にいける前提のバリスタにとっては効果絶大な作戦だ。伊織の策が吉と出るか凶と出るかは、5日目の結果発表を待つしかない。
それにしても、通過ギリギリを狙った競技を行うとは恐れ入った。
僕は予選から決勝まで、全部門でレパートリーポイントを狙っていたが、最終的に総合スコアの最大化が功を奏した。伊織のあの自信は何だろうか。何か秘策でもあるといいが。
「ところで、そろそろ響さんと桜子さんの競技が終わる頃じゃないか?」
「そうだな。伊織はどうする?」
「私はここで練習しています。2人のことは信じてますから」
「分かった。ディアナ、伊織のこと頼むぞ」
「任せておけ。伊織は酒が飲めないと聞いた。テイスティングなら得意だ」
「ディアナさん、私のサポーターをしてくれるのは嬉しいんですけど、オランダ代表のサポーターはしなくても大丈夫なんですか?」
「心配ない。私はあず君から大きな恩を受けた。バリスタオリンピックファイナリストの恩恵は私が思っていた以上だ。実家の洋菓子店がどうにか持ち直して、私もアムステルダムにコーヒーとスイーツがメインのカフェを開くことができた。世界通貨危機も乗り越えたし、何があっても生きていける自信がある」
「――結果を残した先には……何があるんでしょうね。楽しみになってきました」
機嫌良く自慢の伊織梅酒を眺めているその目は、未来への希望を予感させるものがあった。
胸いっぱいに期待を込めたまま、僕はワールドコーヒーイベントの会場へと向かった。
ただ競技が行われているだけでなく、競技者たちのブースを取り囲むように、世界中から集まったコーヒー豆やコーヒーグッズの宣伝イベントが行われ、僕も皐月も恋する乙女のような目で見物する。桜子も響も朝早くからの競技を終えているようで、夕方の結果発表を待つのみとなっている。
サポーターチームの多くは2人の競技を手伝ったが、桜子にはほとんど干渉はできない。だがそばにいることで心の支えになることはできる。当初はバリスタオリンピックに参加する伊織と千尋のみのサポートをするはずだったが、みんなの厚意で桜子と響もサポートを受けることができている。
「凄い……ワールドコーヒーイベントって……こんなに素敵な催しだったんだな」
「皐月は観客として見ていたことがあるんじゃねえのか?」
「あるにはある。でもここまでじゃなかった。本家のオリンピックと比較しても全く引けを取らないし、以前私が来たのは学生の時で、親も一緒だったし、探検はできなかった。今日はオフでいいのか?」
「もちろん。皐月は9月のコーヒーイベントでJBCに出るんだろ。今の内に色んなブースを回っておけ。4日目もオフだけど、5日目から多忙になるだろうな」
「あれっ、あのブースは葉月グループか?」
「ああ。うちは世界中にコーヒー農園を持ってるからな。最近はインドネシアに買った土地にゲイシャの苗を植えて、『ボルネオゲイシャ』として花開きつつある」
「ボルネオゲイシャか。今度のコーヒーイベントで使ってみたいな」
好奇心旺盛な皐月が早速葉月グループのブースへと駆け足で向かった。
目を閉じながら紙コップに入った1杯のボルネオゲイシャを口に含んだ。
全く初めての味わいにすっかりと惚れ込み、自らの豊満な胸を擦りながら余韻に浸る皐月。かつてゲイシャやシドラと出会った時の僕と同じ目だ。
「まだどこにも出回ってない豆だし、フレーバーを見極めるのだって難しいぞ」
「参加者全員がプロなんだ。新しいコーヒーを使いたい。東南アジアで初めて栽培に成功したゲイシャの豆だ。このマダガスカルで栽培されている『アンバーマウンテン』も凄く美味しい。こうしている間にもたくさんに品種が生まれているんだ。新しい豆でどんなコーヒーを淹れようかと思うと、ワクワクする」
「……皐月がうちに来てくれて良かった」
「私も……葉月グループに入れて良かった」
「「――ふふっ、あはははは!」」
お互いの顔を見ながら共鳴するように笑った。
皐月がうちを選んだ理由が分かった。未知の可能性に触れることがたまらなく好きなんだ。こんなにも目をキラキラと輝かせることができるバリスタも珍しい。まっ、日本のコーヒー業界で新しい品種の開発なんてうちくらいだし、ここは穂岐山珈琲よりも大きくリードしている点だ。
海外に土地を買ってコーヒー農園を作るコーヒー会社も、ちらほら出てくるようになった。
葉月グループが前例を作ったことで、幾分か栽培がしやすくなったらしく、事実上のパイオニア企業となっていることもまた、うちの知名度を伸ばす要因となった。今のコーヒー業界で葉月グループの名を知らない者はいない。未来への投資を惜しまないグループ企業は、リスクもあるがリターンも大きい。
ワールドコーヒーイベントにスポンサーとして参加しているコーヒー会社は、いずれも世界的企業だ。
葉月グループがそこに名を連ねたのは本当に誇らしい。
「……本当に残念だ」
「残念って……何が?」
「私があと10年早く生まれていたら、あず君と結ばれていたかもしれないと思うと……残念だ」
「確かにその可能性はあったかもな。皐月のことも結構好きだし」
「……いっ、言っておくが、3人目の恋人にはならないぞ! あくまでも友人だからな!」
顔を赤らめながら、必死に言い訳の言葉を探す子供のように声のトーンが上がる皐月。
「心配すんな。あんなことは最初で最後だ。伊織は天涯孤独だし、親戚との関係も脆弱になってる。僕以外とは密接な関係じゃない上に、うち以外に居場所がないからこその芸当だ。他の人がそうそう真似できることじゃないのは分かってるだろ。それに本気でこの舞台を目指しているなら、せめて10年以上はバリスタ競技会に時間を費やすべきだと思うぞ。僕だって起業してからバリスタオリンピック制覇に10年かかったわけだし、他のみんなもそれくらいかかってるはずだ」
「そうだな。親父が悲しむだろうが、世界一のバリスタを目指すためだ。嫁入りは我慢してもらおう」
「恋人を持つなとは言ってないぞ。僕だって夢を追っていた時、恋人の支えがあったから踏ん張れた」
「言いたいことは分かるが、ちゃんと釘を打っておかないと、親父がうるさいんでな」
「皐月の親父って、確か立花グループの総帥だったよな?」
「ああ。立花グループは大分で1番のグループ企業だ。主力事業は建設業で、今はコーヒー業界が盛んになった影響で、地元にカフェを建設する仕事が舞い込んでる。間接的ではあるが、葉月グループがコーヒー業界の地位を上げてくれたお陰で仕事が増えた。親父がよろしく伝えてくれと言っていたぞ」
「なるほどな。じゃあ、皐月がうちに来たのって――」
「お察しの通り、あず君の活躍がきっかけでコーヒーに興味を持った。立花家には家訓がある。惚れた仕事に一生を尽くせ。だから私はトップバリスタになるためにどの企業に入ればいいのかを調べ尽くした。その結果、最も実績を出している葉月グループに入るのが確実だと思った。当時は葉月珈琲だったから、葉月珈琲傘下のカフェに入ることを考えた。葉月グループにはメジャー店舗とマイナー店舗があることも知った。メジャー店舗に配属することができれば、有利な条件で大会に参加できると聞いた。お袋は高校に行けとうるさかったが、親父がコーヒーの実験室を用意してくれたのが大きかった。今にして思えば、あず君のバリスタオリンピック優勝が私の人生の分岐点だ。目標もないまま、退屈な日々を過ごしていた私に夢を与えてくれたことには感謝してる」
改まったように皐月が言った。皐月がそう言うんだ。きっとそうに違いない。
話を聞いていて思ったが、グループ企業総帥の令嬢なのに、就活の腕前も上級者クラスとは……やはりこいつは何をやっても1番を取れる器だ。しかもうちでは伊織と千尋の競技から全てを吸収し、時には葉月創製マスター代理としてマイナー店舗の完全監修を行ったりするなど、参謀的存在としての手腕も光っている。もはや生きる帝王学と言ってもいい。いつか立花社長に教育方針を聞いてみたいものだ。
僕が何より感謝しなければならないのは、皐月が敵に回らなかったことかもしれない。
「僕は何もしてねえよ。でもきっかけを作る手助けができたなら、それは誇りに思う」
そう言いながらコーヒーを飲み干し、葉月グループのブースを離れた。
「今すぐにとは言わない。だがいつか必ず、あず君と一緒に仕事がしたい。結ばれずとも、せめて可能な限りそばにいて、あず君を支えたい。それが私の願いだ」
――今更ながら気づいてしまった。
ふと、優子の言葉を思い浮かべた。
皐月と似たようなことを言っていたが、そういうことだったか。
確かに言われてみれば、みんな事実上の妾だな。
「あっ、あず君ここにいたんだ」
通りかかった千尋が声をかけてくる。
「桜子と響の応援に行ってたのか?」
「うん。参加者の中でも際立っていたよ。6時からの黒柳さんの競技まで時間があるけど、どうする?」
「そうだな。せっかくだから様子を見に行くか」
準備中の黒柳がいるブースへと向かうと、1人の可愛らしい男性と目が合った。
「あっ、あず君、久しぶりー! やっと会えたねー!」
「チェン、久しぶりー」
双子の兄弟のように抱き合った。背丈は僕と同じくらい。僕と同じくらいの長さと美しさを誇る黒髪、僕よりも少しだけ濃い肌、何だか自分の色違いを見ているようだ。
「もしかしてリー・チェンミン?」
「うん。千尋君と会うのは4年ぶりだね」
「そ、そうだね……あはは」
あっ、こいつ今、この見た目で33歳なのかって思ったな。
僕が誕生日を迎えた時、年齢を教えた時と全く同じ顔だ。
奇しくもチェンとは生年月日まで一緒なんだよなぁ~。
運命的なものを感じつつも、彼自身が台湾のあず君と呼ばれることに苦しみ、より一層実績を出そうとしながらも失敗を繰り返した。本当なら僕を見た瞬間に殴りかかってもおかしくないくらいの心境だが、それでも僕を最も偉大な親友と言ってくれる優しさには、僕でさえ敵わない。
「千尋、1つだけ引っ掛かることがあるんだけどさ」
「どうかしたの?」
「伊織が競技時間を登録した時、1日目の朝しか空いてなかったんだよな?」
「うん。伊織ちゃんもそう言ってたよ」
「1日目の朝が5人分だとすると、6人の4位通過者の中で伊織が1番総合スコアが高いなら、1日目の朝以外に1人分空いてるはずだ。でも伊織は1日目の朝しかなかったと言っていた」
「――要するに、伊織ちゃんよりも総合スコアの高い4位通過の人が1人いたって言いたいんでしょ?」
「正解。伊織の前にいた人って誰だっけ?」
「アメリカ代表のケリーだ」
不意に後ろから皐月の冷え切った声が聞こえた。
「うわっ、ビックリしたぁ~」
「アメリカ代表のケリー?」
「ああ。4位通過で伊織よりもスコアが高かった。伊織は95番目じゃなく、96番目に競技時間を登録した。だから1日目の朝しか選べなかったんだ」
「なるほどねぇ~。代表たちの行列は2列だったから、気づくのは難しいよねー」
僕らが今更気づいたこの事実は、アメリカ代表のレベルの高さをうかがわせるものだった。たった1つの順位の違いで明暗が分かれた。せめて2日目の朝なら、もっと余裕を持った競技ができたが、伊織は向かい風すらも、自らの向きを変えたことで追い風にしてしまった。全く大した奴だよ。
葉月グループサポーターチームの面々が僕の前後左右に座り始めた。競技時間が近づくにつれて空が暗くなっていき、2日目の終わりが近づいていることを月が告げる。
僕らが黒柳の様子を窺っている矢先のことだった――。
「あれ、桜子じゃないか?」
全身を震わせながらテストスプーンが描かれているトロフィーを持つ桜子の姿が見えた。顔はぽかーんとしたままで、今起こっていることが信じられない様子だ。桜子の隣には自信満々の笑みを浮かべた響の姿があり、カクテルグラスが描かれたトロフィーを持っている。
「あ……あず君……私」
「どしたの?」
「ゆ……優勝しちゃいました……響さんも」
「「「「「ええーーーーーっ!」」」」」
僕らの脳裏が一斉に戦慄する。桜子と響がそれぞれの世界大会で優勝を決めてしまったのだ。
響はともかく、桜子はファイナリストになれれば凄いと思っていたし、初参加で初優勝だ。しかも彼女はWCRCで快挙を成し遂げた。
ロースターの世界大会において、女性初、しかも史上最年少での優勝を決めた。
「おめでとう! やったじゃん! 私は響さんのサポーターだったから、響さんの優勝は知ってたけど、桜子さんも一生に優勝してたなんて知らなかったー!」
莉奈が桜子に抱きつきながら惜しみなく称賛の声を届ける。
響も他のサポーターから称賛の言葉を貰い、2人の目からは今までの想いが溢れ出ていた。
「桜子、響、2人共よくやった。まさかダブル優勝を決めるとはな」
「私、ロースターを始めて本当に良かったです。今日のことは一生忘れません」
「私もだ。やっと世界一のコーヒーカクテラーになれた」
響はバリスタとしてではなく、バーテンダーとしてバリスタの世界大会を制覇した。しかも響までもが女性初の優勝という偉業を成し遂げていた。同時期に異なるメジャー競技会で、しかも女性初の優勝を決めたのは、バリスタ競技会史上初めての快挙であった。2人はもう、どんな困難にも負けないだろう。
サポーターたちはそれぞれの優勝を今まで話題にすることはなかった。
それはきっと、本人たちから聞くことで、優勝に驚いてもらうためだったんだろうが、結果的に両方共驚かされることとなった。誰もダブル優勝など、信じてはいなかったのだからしょうがない。
うちの優秀なスタッフたちはできっこないことをやり遂げた。
特に桜子の進歩の早さには驚異的なものを感じた。男性ばかりが支配的だったロースターの世界で唯一の女性参加者であることが話題となっていたが、そんなことは気にも留めず、インタビュアーも気を使ってか、彼女が女性であることには一切触れなかった。いや、触れられなかったのだ。
昨今のフェミニストブームにより、彼女の気に障る発言を誰もが避けたことが幸いした。
しかし、世の中はそう甘くはなかった。伊織の予想以上の開幕競技に加え、桜子と響の優勝は、千尋に大きな重圧となって、伸し掛かっていたのである。
それは葉月グループを代表することへの重圧に他ならない。
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