361杯目「誤魔化せない愛情」
2023年1月、僕らは遂にバリスタオリンピックイヤーを迎えた。
正月の正午を迎えると、親戚一同が次々と集まってくる。美羽もすっかり家族の一員だ。クリスマスパーティには顔を見せることなく、正月に顔を見せるようになっている。
伊織と子供たちが見守る中、唯が僕の腰回りに布を巻き、締めつける力が段々と強くなる。
「うわっ……やっぱこういうのじゃなくて、いつもの私服がいいんだけど」
「駄目でーす。ほーら、動かないでください。あず君はみんなのアイドルなんですから」
「いつからアイドルになったんだよ?」
「私があず君を認識してからです」
「それだとみんなじゃなくて、唯のアイドルだろ」
「昔はそうでしたけど、あず君は世界を変えたじゃないですか。バリスタという、あらゆる舞台の背景でしかなかった職業を、みんなが憧れるプロの職業に変えたんですよ。まあトップバリスタになるハードルは高くなっちゃいましたけど、それはバリスタの価値が上がったということでもありますし、ただコーヒーを淹れるだけの仕事という認識を変えたのも大きな功績ですよ。時々葉月珈琲塾の生徒も遊びに来るんです。みんないつかは葉月珈琲で働きたいと思って、生のトップバリスタを一目見ようと列まで作って」
「結構いたけど、5年後にうちで働けるのは、あの中に1人いるかどうかだ。ほとんどは途中で諦めて、別の道に舵を切る。だからそうなってもいいように、生きる力を育てる教育をしてる。才能のない人間にこそ、教育が必要だってことが――痛っ!」
胴を巻いている布を締めつける力が一瞬だけ痛いくらいに強まった。
「才能のない人間なんていません。才能を潰す人間がいるだけです」
「分かった! 分かったからっ! いてて……」
才能がない人というのは、一生をかけても得意を見つけられなかった人、もしくは戦いから降りた人という意味なんだけどな。唯には僕が飯を食えない大人たちを棄民だと思っているように見えるらしい。
今になってやっと分かった。才能を開花させるのは、個性と教育の噛み合わせ次第であると。
だからこそ、葉月珈琲塾では生徒の個性に合わせた教育を行っているが、特に難しいのはサラリーマンに向いていない生徒だ。就職に向いてない人ほど厄介なものはない。従来の教育なら適応障害を起こし、やがて魂と知性の抜け殻となり、手の施しようがない無気力ニートになる。夢を掴めなければ同じくニートコースだ。かつての僕と同じ分岐点にいる子供たちだし、丁重に扱ってやらねば。
結局、僕は唯に可愛らしい着物を着せられてしまった。牡丹がモチーフとなった赤い色彩が特徴の高価な着物だが、驚くべきは唯がいつの間にか着付けを習得していたことだ。柚子に教えてもらったらしい。肝心の柚子は結婚を約束した結城を親戚の集会に連れてきた。
葉月マリッジカフェで同棲し、今は葉月創製の2階が空いている。
葉月グループにはマスターが居住地である店舗を空けると、辞めてしまうジンクスがある。
長らく辞めていく者が後を絶たなかったが、慶さんは辞めなかった最初の例だ。凜の活躍次第で、マスターの座を譲ることを明言しているものの、親父とお袋が葉月ローストから少し離れた家に引っ越してからも変わらず営業を続けている。親父とお袋の枠が空いたことで、2人分をマイナー店舗から補充する形で辞めることになったが、今でもユーティリティー社員として店舗を訪れ、焙煎作業を手伝っている。
親父とお袋は、ようやく自由を手にしたのだ。
伊織は親戚たちの人気者となっているが、遂に伊織に対して禁断の質問が飛んでくる。
「ねえ、伊織ちゃんって、いつまでここで暮らしてるの?」
「えっ……」
思わず声が詰まる伊織。疑問を投げかけた声の正体は柚子だった。
「えっ……じゃないでしょ。いくらあず君の愛弟子とは言っても、いつまでも日常生活にまで密接に関わるわけにいかないでしょ。唯ちゃんにも迷惑だろうし」
「迷惑だなんてそんな」
「それとも、どうしても出ていけない理由でもあるの?」
「今はその……検討中というか、これから見つけるところです」
「伊織ちゃんって、ホント嘘吐くの下手だよねー」
柚子が呆れながら呟いた。2人して伊織の動向を疑いの目で観察している。
既に事情を知っている璃子に至っては、もう諦めの顔だ。
「ねえ、嘘ってどういうこと?」
「伊織ちゃん、あず君とつき合ってるよね?」
「「「「「ええっ!?」」」」」
親戚一同が一斉に合唱曲の如く叫び、口を開けたまま顔が固まっている。
人一倍観察眼に優れる柚子を誤魔化すのは至難の業だ。でも何でばれてるんだ?
何かがおかしい。璃子が口を割ったはずはない。僕が同時に2人とつき合っていることは、僕らだけの国家機密のはず。何かまずい言動でもあったか?
咄嗟に璃子の方を見る。璃子とはすぐに目が合ったが、僅かに首を横に振った。璃子がばらしたわけではないことは分かったが、あまりにも鋭すぎる。
「何言ってるの。あず君にはもう唯ちゃんがいるんだよ。子供たちだっているのに」
「いおねぇも家族だよ」
「そうだよ。時々お父さんと一緒の部屋で寝てるし」
「「「「「!」」」」」
何の悪気もなく、紫が僕らの事情を笑顔で暴露する。
子供って時に残酷だな。全然見られてないと思っていたのに、以外と見てるもんだ。
「ふーん、一緒の部屋で寝てるんだー」
「うん。お父さんとお母さんといおねぇの3人で寝てる時もあるよ」
「3人でっ!? あず君、これは一体どういうことなの?」
「いや……その、これには事情があって」
「どんな事情があるにせよ。これはちょっと問題なんじゃないの?」
「あず君、もうこれ以上隠すのは無理ですよ」
目をうるうるさせながら降参を催促する唯。
「……はぁ~、しょうがねえな。そうだよ。伊織ともつき合ってる。唯も子供たちも公認でな」
「じゃあ、二股ってこと?」
「二股とは言っても、浮気してるわけじゃねえぞ。唯の許可も得てるし、法律違反でもない」
「いつ頃からそういう仲なの?」
「半年くらい前かな。伊織が天涯孤独になって丁度1年が経った頃、葉月コーヒーカクテルで飲んだ勢いで告白されて、それでつき合うことになった後ですぐ唯にバレてしまって、もう駄目かと思ったら、唯が事実重婚を提案して、妾として一緒に住むことになったわけだ」
「唯ちゃんはどうして事実重婚を許可したの?」
「結婚は1人までですけど、事実婚は何人とでもできますし、わざわざ1人だけをパートナーに選ぶ時代はもう終わったという共通認識を持っていたのもあります。それに伊織ちゃんは、あず君が手塩にかけて育てたバリスタです。追い出すようなマネをしたら私とあず君の仲にも支障が出ると思ったんです」
今度は事実重婚の提案者である唯が弁明を図った。
僕は伊織を守るように彼女の手を握った。その手は冷たく、こっちまで凍ってしまいそうなほどだ。
プルプルと震えているのは寒いからではない。親戚一同から咎められることを恐れてだ。特に親戚一同の免疫細胞としての役割を果たし続けていた柚子からは疑念の目を向けられているが、不思議なことに、柚子の伊織に対して向ける目は僕が唯と結ばれた時ほど厳しくはなく、むしろ歓迎している様子だ。
柚子が怒っているのは僕らの仲を隠していたことにある。
「まっ、事情は分かったし、唯ちゃんも子供たちも公認のつき合いだって言うなら、別に咎める気はないけど、今の日本だと、ポリアモリーは立場的にきついよ」
「ポリアモリーねぇ~。まっ、あず君らしいと言えばあず君らしいか。あたしは歓迎するよ。特に問題を起こしているわけじゃないんでしょ。だったら個人の勝手としか言いようがないかな」
美羽が負けを認めたような顔で言った。目の奥が複雑そうだ。
「まあでも、あず君が事実重婚をすると、不思議とそれが正しいっていう気がするんだよねぇ~」
「何? リサもその気なのか?」
「そんなわけないでしょ。あず君みたいに色んな人からモテる立場で、しかも複数人と恋愛することに寛容なパートナーがいて初めて成立するものだし、法律違反じゃないにしても、慣習に違反していることがバレたら、ただじゃ済まないよ」
「分かってる。バラしたい奴はバラせばいい。別に事実重婚をやめる気はないし、恋愛には正解なんてないんだ。正解のないものを法律で規定しようってのがそもそもの間違いだ。重婚さえしなければどんなつき合い方をしようと自由だ。僕は唯も伊織も守っていくと決めた。それに伊織には身寄りがないんだし、バリスタオリンピックの準備も、ここに住み込みでやった方がずっと便利だ」
「そう。じゃあそうしたら」
意外にもお袋は寛容な反応を示した。親父も同意見と言わんばかりに口角を上げている。
「反対はしないんだな」
「どうせ反対したところで、全力で自分を貫くに決まってるし、反対するだけ無駄ってもんだ。今更成人して独立した息子の人生にとやかく言う気はねえよ。3人がそれでいいって言うなら、それも人生じゃねえか。好きにしろよ。お前の人生だ」
親父に賛成するように、他の親戚たちもうんうんと頷いた。
伊織は葉月家の一員として正式に認められた。柚子はため息を吐いているが、これは伊織に対して向けられたものではない。革新派の僕に対してついていけないと思っている時のため息だ。
「でも伊織ちゃん、あず君は伊織ちゃんよりも一回り年上だよ。大丈夫なの?」
「はい。私、年上がタイプで、特に中年くらいのおじさんが好みなんです」
親戚一同の公認を得たことですっかり安心したのか、自らの性癖をニヤケ顔で暴露する伊織。
幼女みたいに可愛い顔してるのに、年上のおじさん好きとはな。
つまり、僕はおじさんとして見られていたわけだ。ここで衝撃の事実が露見してしまうとは思わなかったが、案外これが年相応の見られ方なのかもしれない。見た目だけは中学の頃からほとんど変わっていないが、中身は確実におじさんへと向かっていることを思い知らされた。
――だからいつも僕の枕に顔を押しつけながら、気持ち良さそうに嗅いでいたのか。
「じゃあ璃子は最初から知ってたのか?」
「うん。つき合い始めた頃に、お兄ちゃんの方から話してくれたの。お兄ちゃんは何をやっても別に不思議じゃないから、特に驚くことはなかったけど」
「あず君が進歩的というよりは、多分俺たちの認識が遅れているだけなのかもな」
「お兄ちゃんが時代相応なら、この国はかなりの周回遅れかもね。私も有名になる前は、前時代的な女性の見方をされて結構疲れたけど、時代が進歩してきた裏には、色んな人の活躍があったと思う。特にお兄ちゃんを見ていると、そんな気がするんだよね」
「コーヒー業界をメジャー業界に押し上げたのはあず君だけど、このことを知ってる人は少ないからな」
璃子が蓮と仲良しそうに過去を振り返っている。時折蓮が璃子の豊満な胸に後ろから手を回しながら押すように触った。璃子は恥ずかしそうに目を閉じながら快感を露わにしている。
ここまで仲が良いと、もはや夫婦だ。うちの妹は立派に所帯を持っている。より稼いでいるのは璃子の方で、見事に女主人を務めている。いや、主人なんて古い。立派な事実婚夫婦だ。
璃子は去年の7月に三十路を迎えたが、未だに小学生と間違われている。
本格的に顔の皺でも増えてこないと、一生身分証明を要求されそうだ。
数日後――。
僕と伊織のことは、身内以外の誰にもバレていなかった。
どうやらみんな黙ってくれているらしい。いや、恥ずかしくて言えないのかもしれん。
バリスタオリンピックまで半年を切ったことで、バリスタたちの緊張感はより一層高まっている。伊織たちはアイデアを熟成させながらも、次々と課題をこなしていった。シェリービットを使ったコーヒーカクテルを千尋が完成させてしまった。これは好評を博すこと間違いなしだ。
現時点では千尋がリードしている。根本や黒柳への対抗馬としては十分だ。休日だったが、あくまでも店舗としての休日だ。バリスタに休日はない。特にバリスタオリンピック日本代表ともなれば、寝ている時以外に休む暇はない。千尋と響も新たなコーヒーカクテルを作るためにうちを訪れている。
「抹茶、オレンジピール、コロンビアシドラの豆を砕いて粉にしたもの、シュガーシロップを混ぜ合わせたオリジナルコーヒードリンクをシェリービット、10種類のボタニカルを投入したジン、冷やしておいたコロンビアシドラのエスプレッソ混ぜ合わせることで、『シェリービットマティーニ』を作ってみた」
「……美味い。ここまで洗練された味、なかなか作れるものじゃないぞ」
「響ちゃん、このシェリービットだけど、バリスタオリンピックでも使いたい。コーヒーとの相性もバッチリだし、シェリービットマティーニにも、まだ改良の余地があるんだよねー」
「ああ、いいぞ。好きなだけ使ってくれ。これだけ熟成させたものでも、まだ伸びしろがあるんだな」
「コーヒーに終わりなんてない。永久に進化し続ける。だから完成することはない」
「それが向上心の源か」
千尋は伊織に代わって葉月珈琲のエースを勝ち取った。
特にメジャー競技会を2つも制覇している功績が大きい。
国内予選だけなら十分な実績を持ち、日本国内では史上初となる選考会2連覇を達成している根本よりも一歩リードしている。レパートリーポイントの観点から見ても有利だ。最も期待されているのが千尋であると、伊織は気づいているようだった。千尋のそばにいながら全く目を合わせない。
そんな時だった――。
スマホが外の状況を伝えるように震えた。確認してみれば、皐月からの連絡だった。
午後3時から、皐月はエマと北島さんとの水族館デートにつき合わされることになるらしい。
皐月には水族館デートの時間を伝えるようにしか言っていない。やっとエマの都合がついたのか、今日になってようやく決まったようだ。昼食を済ませると、僕は伊織たちに外出を告げてから外に出た。店の営業がないとはいえ、伊織の件が千尋にばれないか心配だ。
千尋ならあっさり理解するだろうが。
「で? 何で伊織までついてくるわけ?」
「だってあず君が心配ですから」
「いつもだったら送り出してくれるのに、何で今日に限って心配なの?」
「あず君は外出する時、必ず目的地を言いますけど、今日は何も言いませんでした。ちょっと出かけてくるとは言いましたけど、あず君が何かをちょっとやると言った後、ちょっとで済んだ試しがないです」
「ちゃんと見てるんだな」
「ずっと一緒に過ごしてきたんですから、当然ですよ。ところで、どこに行くんですか?」
「この前皐月がエマと一緒に来た時、エマの仮交際相手が、何故か皐月にまで水族館デートを持ちかけてきたし、それで3人を監視することになった」
「3人でデートって、確かに不自然ですね。北島さんって人でしたっけ?」
「ああ。伊織は他の客の相手をしてたから知らないと思うけど、北島さんがエマの彼氏に相応しいかどうかを確かめてほしいって依頼を受けた」
「エマさんは恋愛に興味ない感じがしますけど」
伊織は歩きながら僕を見上げている。どうやら彼女も気づいていたらしい。
水族館はここから近い場所にある。電車にもタクシーにも乗らなくていい場所に目的地があると、それだけで幸せを感じる状態にすらなっている。
こんなんで幸せを感じるとか、ハードルが接地してるんだよなぁ~。
「何してるんですか?」
「皐月に現在位置を聞いてる。僕らが監視しやすい場所に誘導してほしいってな」
「後をつけてどうするんですか?」
「皐月には通話機能を使わせてる。会話は全部丸聞こえだ。変な動きを見せたら、エマに密告してやる」
「監視でしたら、皐月さんに任せても良さそうですけど」
「皐月1人じゃ限界があるだろ。それに僕にはもう1つ役割がある」
「役割?」
水族館の入り口に辿り着くと、エマ、皐月、北島さんの3人が合流する。
僕も伊織もサングラスと帽子をかぶって後をつけた。
『今3人の後を追っている。皐月は先頭に立って、エマと北島さんが後ろを向かないようにしてくれ』
『分かった。今のところは特に問題はない。エマも北島さんと楽しそうに喋ってる』
僕らは3人の後をつけた。ばれないようにしながら後を追うはずだった。
「ここの魚って、全部で何種類くらいいるんでしょうね」
伊織が小学生のような疑問を口遊んだ。
監視するどころか、伊織自身が海の生物に夢中になっている。これじゃミイラ取りがミイラだ。
「係員に聞いてみたらどうだ?」
「そんな恥ずかしいことできませんよ」
「だったら何で聞いたんだよ?」
「話題を振ったんです。あず君には水族館を楽しむ気がないんですか?」
「楽しめるような雰囲気じゃねえだろ」
「エマさんたちは楽しんでますよ。1人は例外みたいですけど」
皐月は僕が言った通り先頭に立ち、前方に気をつけながら後ろ向きに歩いている。
「楽しむっていうより、楽しませてるって感じだな。皐月は昔っからアイドル同然の扱いを受けてきた。子供の時はモデルもやってるし、人と話すことには慣れてるみたいだな」
「あれだけ美人でスタイルも良くて、バリスタとしても優秀でコミュニケーション能力も高いなんて」
「人間の取り柄なんて、人生を構成する要素の1つにすぎない。場合によっては短所にもなりえる。美人でスタイルが良いってことは、それだけ声をかけられる回数も多いからストレスも多くなるし、バリスタとして優秀でコミュ力があるってことは、真面目で心遣いができる優しい人間を演じてるってことだし、イメージを崩されたくないがために、望まない要求をされても嫌な顔1つできない」
「――もしかして、あず君が尾行してるのは、皐月さんが断れない性格だからですか?」
「その通り。皐月には断る勇気がない。だからこのままだと、交際を申し込まれるような事態になれば、断れなかった場合は厄介なことになる。エマは絶望するだろうし、皐月も罪悪感を持ちながら日々を過ごすことになる。北島さんは本気だ。さっきから皐月のことしか見てないし、エマから段々離れてる」
「エマさんとつき合ってるのに、これじゃ浮気じゃないですか」
「これが仮交際だ。前にも言ったけど、仮交際は何人としてもいいんだ。その中で最も気に入った相手に結婚を前提とした真剣交際を申し込むのが、今の婚活のトレンドだ。僕も昔は優子に美羽に鈴鹿に小夜子たちとも仮交際してた。だから分かるんだよ。本気の目かどうかが」
皐月は本来強気な性格だが、それは僕らのように気の知れた相手に対してのみ。知り合い以下の相手に対してはどこか他人行儀で、嫌われることを第一に恐れるところがある。
身内に対しては思ったことを言えるが、他人に対しては気を使ってしまう。誰に対しても気を使わない僕よりずっと複雑怪奇な性格だ。他人なんてどうでもいいと思うくらいが丁度良い塩梅なのに。それだけ皐月が注目されているという証でもある。
皐月はバリスタアイドルとしてのイメージを守りたい。
エマはリサたち4人組の中で唯一パートナーがいない。
どちらかの望みは叶わぬ夢となった。
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