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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第2章 自営業編
36/500

36杯目「宣伝効果」

 ヴェネツィアで開催されたWDC(ダブリューディーシー)で優勝した後、無事に家まで戻った。


 出発してから帰ってくるまでに1週間程度の時間が過ぎていた。店の掃除はしてくれていた。帰った後はぐっすり眠る。遠征は疲れるのだ。


 翌日、璃子が携帯を持ったまま歩み寄ってくる。


 賞金は全て円に変えた。寄付する場合を除けば両替するつもりだ。


 それにしても……まさか日本人に会うとは思わなかった。


 奴らはもう……ヴェネツィアにまで進出していたというのか!?


「お兄ちゃん、『来た、見た、勝った』っていうこのメール何?」


 璃子が携帯を指差しながら聞いてくる。当時はガラケーだった。


「そのまんまの意味だ」

「じゃあ……もしかして大会で優勝したの?」


 璃子が目をキラキラ輝かせながら聞いてくる。


 ううっ! 可愛いっ! なんて可愛いんだ。


「うん、優勝トロフィーに賞金も貰った! ほらっ、5000ユーロも貰ったし、イタリアからの客足も増える。これで当分は店が持つと思うぞ」

「凄い。本当に優勝したんだ」

「動画でも優勝を報告した。他の国からの客だって来るかも」


 商売繁盛に淡い期待を寄せる。


 何人かは僕の店に来てくれると言ってくれたが、余程興味がない限り、早くは来ないだろう。


「どれくらいで来るかな?」

「早くても1ヵ月くらい先じゃないかな?」

「ふーん、でもこれ、世界的に有名な大会じゃないんだよね?」

「うん……でも宣伝効果は大きいと思うぞ。少なくともヴェネツィア市民の多くは僕のことを知ってくれたわけだし、イタリアの新聞にも載ったんだぜ」


 そう言いながら貰ってきたヴェネツィアの地元新聞を璃子に見せる。


「……凄い。ファイナリストの中に1人だけ背の低い子供がいるね」


 璃子はからかうように言った。向こうは背の高い人が多いのだ。


「うるせぇ! 背はかんけーねーだろ!」

「まさかお兄ちゃんが新聞に載る日が来るなんてねー」


 璃子は新聞を抱くように持ちながら嬉しそうに微笑む。


 この笑顔を見るためだけでも、全力を尽くした甲斐があったと思う。


 あぁ……守りたい……この笑顔。


 正午を迎えると、再び店の営業を始める。すると、そこには前にも見た顔がいる。


 うちの店にとって初めての常連の唯だ。


 彼女は僕がいない間、一度うちを訪れて璃子に会っていたとのこと。璃子は迂闊にも僕が大会に出るためにヴェネツィアまで行ったことを伝えてしまっていた。


「ヴェネツィアまで行ってたんですね。優勝おめでとうございます」

「璃子、どういうつもりだ?」


 僕は半ば呆れ顔で璃子を問い質す。


「ごめん。最初は出張と言って誤魔化したんだけど、つい口が滑っちゃって」

「うちの店の存在がみんなに知られたら、まずいってことくらい分かってただろうに。そもそも何で閉まってる店に唯を入れたわけ?」


 璃子は冷や汗をかきながら座っていた。


「だって……葉月珈琲始まって以来初めての常連だし、ずっと話している内に仲良くなったから、唯ちゃんなら大丈夫だって思ったの。あっ、でも少し話しただけで、商品は売ってないよ」


 璃子がテンションの低い声で言い訳を始める。


「……唯!」

「はっ、はい!」

「今は訳あって、うちの店の存在を親戚に知られるのはまずいんだ。みんな僕が高校に行ってると思ってるからさ。ほとぼりが冷めた頃に自分の口から言おうと思ってる。前にも言ったとは思うけど、うちの店のことも、僕のことも、絶対誰にも話すなよ! バレたら出禁だ」

「――はい……分かりました」

「お兄ちゃん、言い過ぎだよ!」


 さっきまで大人しかった璃子が反撃に出る。


 これくらい言っておかないと、いつ親戚や親戚の知り合いにばれるか、分かったもんじゃない。


 人間は噂好きな生き物だ。1人にばれたら次の日には100人が知っているような社会だ。


 学生時代に身をもって思い知った――。


 二度と同じ過ちは繰り返さない。


「日本人恐怖症のことは以前聞きましたけど、私としては警戒しすぎな気もします。どうしてそこまで信用できないんですか?」

「あいつらは少数派を目の敵にしてる。多数派に属さないと殴られる。これは日本人の掟みたいなもんだからな。僕みたいにとことん人と違う人間は、あいつらにとっては敵でしかない。あんな連中に淹れてやるコーヒーなんてねえよ!」


 あいつらのことになると、どうにも感情が剥き出しになってしまう。


 日本人が少数派に対して鬼のように冷たいことをよく知っている。


「ところで、前々から思ってたんだけど、いつも平日の昼間からここにいるよね? 唯ちゃんは学校のはずだけど、何でここにいるの?」

「実は……その……」


 唯の表情が曇る。引き攣った顔からは、どこか後ろめたさのようなものを感じた。


「不登校なんだろ?」

「えっ!? 何で分かるんですか?」

「僕も不登校だった時は、いつもおじいちゃんの家にコーヒー飲みに行ってたからさ。でも君自身は不登校を良くないことだと思ってる。だから躊躇ってたんだろ?」

「!」


 唯は思っていることを言い当てられ、口を閉じながらも目を大きく開けている。


「そうです……梓君には分かるんですね……」

「まあな。でも不登校だからって落ち込む必要はない。学校なんか行かなくても何とかなる。現に僕だって学校を追放された身だけど、こうして何とかなってる」


 ――何だかもう1人の自分を見ているような感じがして、つい励ましの言葉をかけてしまった。


 唯は主に茶髪や人種の件でずっと差別を受けていた。小4の時にいじめがエスカレートし、遂に不登校になってしまったとのこと。経過はどうあれ、彼女もまた、あの悪魔の洗脳の被害者なのだ。


 唯は注文したエスプレッソを飲み、いつものように2時間以上も僕らと話して帰宅する。実に不思議な子だ。早い段階で不登校になれたのは幸いと言ったところか。


 小学生とは思えない落ち着きと冷静さの持ち主だった。


 もしかして、唯も()()()()()()()なのか?


 2週間の時が過ぎた――。


 店はイタリアからたくさんやってきた観光客で満員御礼となった。


 満員になったのは店が始まって以来初めてだ。僕と璃子は急に忙しくなり、外には行列ができていたため、余っていた椅子を出し、外で待ってもらっていた。サイドメニューを出す余裕がなく、コーヒーしかなかったものの、持ち前のラテアートやピアノで客を楽しませていた。


 イタリア人が多かったこともあり、この時にはイタリア語を習得していた。どうやら僕は言語を覚えるのが得意らしい。大半の人は僕のチャンネルでの優勝報告を見て来てくれたようだ。更には隣のフランスやスイスからも噂を聞きつけた人々がやって来た。


 この時の月収だけで、贅沢をしなければこの年を乗り切れるほど稼いでいた。計画としては高級コーヒー豆を売りつつ、サイドメニューも導入して客単価の高い店にすることだ。イタリア人の客からサイドメニューの導入を希望され、創業半年記念となった7月からホットサンドを始めた。


 ホットサンドは僕が最も得意な軽食であり、サイドメニューはすぐに出せて美味いものでなければならないのだ。すぐに唯がコーヒーとホットサンドのセットを注文するようになる。うちの常連なだけあって行動が早い。基本的にはパンメニューばかりだし、軽食用のパンも仕入れないといけなくなった。


 営業時間が終わると、その日の帳簿をつけなければならず、休日にも仕入れがあり、休みの日なんてあったもんじゃないが、僕は心底この仕事を愛している。学生の頃の僕は月曜日が大嫌いだった。日曜日の夜を迎えると、またあの地獄を味わうのかと思うだけで腹が痛くなってくる。


 今はどの曜日も大好きだ。何というか……起業してからは平日とか休日とか、そういうまどろっこしい概念がなくなってしまった。僕にとっては全部好きなことをする日だ。日曜日だって仕入れのために店を休むわけだし、店のことを考えない日は1日たりともなかった。僕が思うに、平日と休日に差がありすぎるからこそ、平日が来る度に疲れるんじゃないかと思ってしまう。


 WDC(ダブリューディーシー)優勝によって、比較的多くの客が来てくれるようになった。一見すると順調のように思われるが、1つだけ疑問があった。大会後に来てくれた外国人観光客は、ほとんどがイタリア人だったことだ。この人たちのラッシュが終わったら、また宣伝活動を始めないといけないことを覚悟していた。ただ、それは杞憂だったようだ。しばらくの間はそのイタリア人たちの口コミでフランス人も来てくれるようになった。一度流行れば客が客を呼んでくれることに気づいた。


 エスプレッソだけじゃなく、他のメニューもある。


 もちろん、淹れ方が変われば味も変わるし、淹れるタイミングでも味は変わる。コーヒーの味は淹れる人によって千差万別だ。誰が淹れても同じ味になるなら、バリスタの大会なんてなかったと思う。


 これがコーヒーの奥深さだ。どこのカフェに行っても、必ず違う味が楽しめる。僕も含め、カフェ巡りが趣味の人はそのことを知った上で赴いているのだ。僕はこの年からブログを始めている。暇さえあれば英語で生い立ちから今までを書いていた。読者は少ないが反響はあった。


 僕と璃子以外の人物は名前すら登場していない。プライバシーの都合上仕方がないため、何らかの代名詞で出演している。外国人たちのコメントにより、茶髪への迫害は外国では異常であることを確信した。日本の常識は世界の非常識ということだ。


 僕が今まで受けた社会的制裁は一体何だったんだろうか。ますます日本人が分からなくなった。あいつらの扱い方が分からない。異常なものを異常だと気づけない異常さ。まるで新興宗教のようだ。やはり僕は組織というものには向いていない。


 8月になると、お盆休みがやってくる。


「よっ、会いに来たぜ」

「アズサ、久しぶり。結構オシャレな店だね」

「ベルトラント、ジュリエッタ、久しぶりだねー」


 かつて頂点を競い合った戦友の2人が来てくれた。彼らはカウンター席に座り店内を見回す。飛び出す絵本のメニューにも驚いていた。これでうちの店も強く印象づけられただろう。


「エスプレッソとカプチーノを頼む」

「分かった。でもよくここが分かったね」

「アズサのチャンネルに店の住所が載ってたからさ。それで来れたんだよ」


 店の住所をマイページに乗せているのを見て来てくれたらしい。


 もちろん、外国人観光客限定と書いている。建前上は国内からも人が来たら厨房が忙しすぎて死ぬからと書いている。建前はあまり使いたくないのだが仕方がない。


 僕はグラインダーでコーヒーを粉々にする作業から2つのポルタフィルターをエスプレッソマシンに装着し、抽出ボタンを押す作業までをスムーズにこなす。先にエスプレッソを2杯分抽出してから片方を提供する。もう片方には温めた牛乳を流し込み、それぞれハートのラテアートを作る。


「へぇ~、注文を受けてから出すまでの作業に無駄がないね~。見ていて全然飽きないよ」

「ありがとう。この動きは元々別の地方に住んでる凄腕のバリスタの動きを真似たものなんだよ。何度もやっている内に慣れてきた」


 僕がここまでスムーズな動きができるのは、やはり飛騨に行った時に訪れたカフェの影響が少なからずある。またあの店に行ってみたいと思ったが、今の状態では無理だ。


 2人を盛大にもてなした。かつての戦友に飲みに来てもらえるのは嬉しいものだ。


「あー、美味しかった」

「でしょ! 次はどこへ行くの?」

「そうだなー、京都にでも行くか。今はサマータイムだし、のんびり遊んでから帰るよ」

「分かった。今度は僕の方から行くから、それまで店潰すなよ」

「分かってるって。じゃあな」

「アズサ、またどっかの大会で会ったら、次は負けないからねー」


 ヴェネツィアで出会った人2人にまた会いに行くことを約束して見送った。


 あの2人の店にも、優勝後のカフェ巡りで行ったのだが、またヴェネツィアに行きたくなった。


 以前は春休み夏休み冬休みと呼んでいたが、僕はもう学生じゃない。この年からは正式にゴールデンウィーク、お盆、年末年始の方を優先的に呼称するようになっていた。季節毎に休めるのは学生まで。でも親戚と会う時は学生のふりをしないといけない。店の話はしないように気をつけた。


「今年のあず君は一味違うね」


 ルイが隣に座って話しかけてくる。いつの間にか大きくなったな。


「えっ? そう見える?」

「うん、去年よりも生き生きしてる」


 そりゃ生き生きするよ。今の僕は好きなことに没頭しているのだから。


「そうかな?」

「きっと良い高校なんだろうね」

「お、おう……そうだな」


 いかん、ルイも長年の学校生活を過ごしている内に、学校ありきでしかものを考えられなくなってるじゃねえか。そんなことを考えていると、ルイよりも下の兄弟たちも話しかけてきた。


 その内の1人が楠木(くすのき)レオ。エドガールのおっちゃんの子供であり、4人兄弟の3番目で次男という絶妙なポジションに位置している。


 4人兄弟の1番下で次女の楠木(くすのき)エマ。レオは僕よりも3歳年下で、エマは僕よりも5歳年下だ。4人揃ってお調子者なところがある。


 みんな10代を迎えていた。価値観は全然違っていたけど、興味深い共通点があった。それは誰1人として将来の夢がないところだ。みんな進学先のことばかりを意識していた。


 リサは既に高3で、大学受験を控えていた。


「あず君は勉強しないの?」

「勉強なんてする気になれねえよ」

「あず君は高校出たらどうするの?」

「高校出たら起業しようかなー。どうせ就活しても、僕じゃどこも雇ってくれないだろうし」

「就職の方が安定するよ。それにあず君可愛いんだし、アイドル的存在になること間違いなしだよ」

「やだよ。誰かに指示されるなんて冗談じゃねえ」


 すると、話を聞いていた大輔や優太が、大学までは行った方がいいよとか、起業はリスクがありすぎるとか言ってたけど、『リスクを取らないことのリスク』は何も考えないんだな。


 会うたんびに同じことを言ってるよあの連中は。


 高卒で自営業じゃ結婚できないよとか、訳の分からないことまで言い出した。


 いつまで学歴とか家とか結婚とかに囚われてんだか。それよりも自分がどうありたいかの方が百兆倍大事だろ。学歴そのものを否定しているわけじゃない。でも学歴の価値が昔よりも落ちているのは確かである。それに大学へ行く理由が安定したいからというのは解せない。僕が大学の学長だったら、モラトリアム延長が目的の人間には絶対入学してほしくない。いざとなったら生活保護がある。でも捕捉率が低いため、ここは大きな課題だろう。例えば官僚になりたいから東大に行くとか、医者になりたいから医大に行くとか、目標達成のために行くというならまだ分からんことはない。


 安定すること自体が目的になったら終わりだ。少なくとも、僕は安定するために生まれてきたんじゃない。死ぬまでずっと暇潰しをするというのが人生の本質だと思ってるからこそ、暇潰しで生きてるってだけだ。金持ちになりたいと思ってる貧乏人に限って、金持ちになった後何がしたいのかをロクに言えないし、大した目的もないせいで、宝くじに当たっても遊びにお金を消費しまくって借金を抱える。


 貧乏人はなるべくしてなっているのだと思った。


 お金がないから貧乏になるんじゃなく、お金の使い方を知らないから貧乏になるのだ。目的を達成するためのツールに過ぎない。やりたいことをやったり、お金よりも大事なものを守るためだったりと、使い方は人によって様々だが、要は大半のことができるチケットだ。ひたすら貯金なんてしている暇があるのであれば、お金を使って自分のやりたいことをすればいいのに。


 一般のチケットと同様、お金にも有効に使えるタイミングがある。この時に使った方が長期的に得をすると分かっているなら、誰だって喜んで使うはずだ。お金は人を裕福にしてくれるが、使い方を誤るなとは言ってくれない。どう生きるかは自分次第だ。


 独自の人生哲学を持つことができれば、それだけでも人生の質は格段に良くなる。


 我が成すことは我のみぞ知る。


 他人には好きなことを言わせておけばいい。過去の人がせっかく悔いのない生き方を遺しているというのに、活かさないのは勿体ない。僕だって名前は遺しても悔いは残したくない。それが僕の人生哲学だ。僕のやることには何の迷いもない。動くのもリスクだし、動かないのもリスクだ。なら好きなことをやって死んでいく方がいいに決まっている。ここで曲げるくらいなら最初からやってない。


 大輔も優太も僕を高校に行かせる目的で親にお金を貸してくれた。もし違うことに使っていたと知れたら、多分この2人が1番怒るだろうな。それが分かってたからこそ、尚更言えなかった。これ下手したら一生言えないんじゃないか? でも墓まで秘密を持っていくのも辛い。おじいちゃんにも定期的に会いに行っていた。たまには家まで顔を出さないといけない。


 親戚の集合場所は、いつもおじいちゃんの家だ。


 2人きりでなければ話せないこともある。親戚とは切っても切れない関係だ。


 9月を迎えた頃、親父とお袋が情報を探りに来た。以前行った時に僕が不在だったことや、トロフィーのことに触れてきた。ヴェネツィアまで遠征していたこと、そこの大会で優勝したことを伝えたが、うちの親はとても驚いていた。客足は大会後の7月に比べると明らかに減っていたものの、客が客を呼ぶ構造のお陰で客足が途絶えることはなかった。だがそれでも今年食べていくので精一杯だった。


 他にも大会はないかと思って調べていたら、まだまだたくさんあった。他の大会にも挑戦していこうと思った。うちの親は経営に対しては何も言ってこなかったが、それは僕がうまくいっているように見えたからだ。多分うまくいってなかったら、バイトの紹介をしてきただろう。お袋のバッグには求人広告があった。そんなことしなくてもいいのに。


 こういう人たちって、うまくいっている時は特に何も言ってこない。ちょっと弱みを見せるだけで、それ見たことかと責めてくる。自身も弱みを見せたら責められることを知ってるため、自分から行動を起こすことはしない。僕は大人たちの性質を知っている。故に気を許せなかった。親の前ではうまくいっているように見せた。店が成功するか潰れるかをチェックされていることを忘れてはならない。一生親の言いなりなんて嫌だ。何よりこんな不自由からの脱出こそが、僕の大きな原動力であった。


 9月からはサイドメニューにトーストを追加し、手軽に作りやすいものばかりになった。外国人観光客から特にウケていたのがラテアートとピアノだ。


 やはり視覚や聴覚に訴えた方が分かりやすいようだ。


 こうして、僕は段々と忙しくなる業務に精を出すのだった。

初の遠征が終了しました。

ここで慢心しない精神力が欲しい。

楠木レオ(CV:下野紘)

楠木エマ(CV:悠木碧)

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