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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第14章 コーヒー業界転換期編
334/500

334杯目「次世代の候補生」

 3月上旬、バリスタオリンピック2023年ダブリン大会のルールが発表された。


 コーヒー業界に激震が走るほどではないが、このルール変更には驚かされた。


 バリスタオリンピックは予選通過者が明確に100人までとなった。選考会で1位通過者以外の2位と3位となったバリスタは、総合スコアで他の国の参加者たちと競うことになり、1ヵ国につき最大で上位3人までの通過が認められることになったのだ。ダブリン大会には59ヵ国が参加し、1位通過となったバリスタを除き、残り41人の枠を総合スコアで競うことになったわけだが、選考会3位のバリスタが本戦に参加する機会が設けられたのは、参加国が50ヵ国を超えて以降初めてである。


 バリスタオリンピック創成期は参加国自体が少なかったため、2位までが確定通過であり、3位以降の通過者を認めていたが、それは本戦参加者の合計を100人とするための処置であった。


 ラストチャレンジは今回から廃止となり、選考会のみで全参加者が確定することとなった。


 無論、総合スコアが低い場合、1位通過でなければ本戦に参加できない厳しいルールとなった。


 全員の総合スコアを参照にするため、1つの参加国から1人しか参加者が出てこない可能性が更に高まったあたり、それだけ洗練されてきたことが見て取れる。


 公平を期すため、ジャッジは必ず選考会を行う国から見た外国人が行うこととなった。


「要するに、最低でも3位にまで入ればいいわけだ」

「でも世界中のバリスタと総合スコアで競うとなると、通過は厳しいかもしれませんよ」

「今までは日本代表が2人通過していましたけど、今回からは1人になる可能性が高まったんですね」

「僕は選考会を優勝するつもりでいるよ。それに3人まで通過する可能性があるってことは、1位から3位まで表彰台を独占できる可能性もあるよ。前回大会までのファイナリストたちはみんな引退してるし、もしかしたら今回がラストチャンスかもしれないから、本当はもっと出たいけど、今年はWBrC(ワブルク)と選考会のみに絞ることにするよ」

「私は選考会に絞ります。選考会開始までの大会実績が30位以内という条件なら満たしてますから」


 千尋はやけに強気だが、対照的に伊織は堅実だ。


「あのぉ~、私だけ呑気にJCRC(ジェイクロック)に参加していてもいいんでしょうか?」


 どこか遠慮がちな視線を向けながら桜子が言った。


「問題ない。誰かに焙煎を頼まれたら、練習だと思って焙煎をやってくれ。それに選考会の時期は、どのバリスタ競技会も一時的にレベルが落ちる。実力のある奴はみんな選考会に出るからな」

「もしかして、レベルが落ちている内に優勝しろということですか?」

「んなわけねえだろ。選考会以外のバリスタ競技会のレベルは落ちる。でも例外的にレベルの落ちない競技会もある。その1つがJCRC(ジェイクロック)だ」

「どうしてJCRC(ジェイクロック)はレベルが落ちないんですか?」

「ロースターの大会だからだ」

「選考会に出るのは、バリスタ専業の人だけだもんね」

「そゆこと。他にもカッピングが主体のJCTC(ジェイクトック)も対象だ。選考会に出なくても他の大会で結果を残せれば報酬は出るし、次世代を担う若手のバリスタに出会えるかもしれない。ただ出るだけじゃなくて、将来的に結果を残せそうな奴を見つけることも役割の1つだ」


 もっとも、コーヒーイベントまで勝ち上がってくるのは、プロ契約を結んでいるバリスタのみ。


 プロ契約を結んでいないバリスタは予選で散っていくが、才能の片鱗を見ることはできる。


 次世代を担う逸材はどこにいるか分からない。バリスタがプロフェッショナル競技となった今、大会を見に行くことはスカウトをしに行くということでもある。葉月グループ人事部長である美羽は、大規模なコーヒーイベントには基本出席することとなっている。子育ての負担が重くなる中、僕らがスカウトとしての役割を分担する意味でも、参加者やサポーターにスカウトの役割を付与することも必要と考えた。


「ロースターって、本来であれば、葉月ローストか雑貨葉月ですよね?」

「本来はそうだけど、各店舗に1人までならロースターを置くことが認められてる。葉月グループはバリスタだけじゃない。ロースターもコーヒーファーマーも育成の対象だ。外国だとコース別の塾もあるし、品評会で結果を残している傘下のコーヒー農園もある。ただコーヒーを収穫するだけじゃなく、収穫から焙煎に提供までちゃんとできる人を育てていくのが、葉月グループの役割だ」

「世界中のコーヒー関係の仕事を育てているんですね」

「コーヒー農園を作ったり買い取ったりして、コーヒー関係の仕事にここまでフォーカスしたグループ企業って、今まで全然なかったからねー。僕がバリスタに乗り換えたのも、コーヒー業界の拡大を知ってからだし、結構面白いと思ったよ」


 千尋が先見の明をひけらかすように言った。


 葉月グループの本部、株式会社葉月ホールディングスはシンガポールにある。


 本部役員の半数をシンガポールに移住させ、様々なコーヒー事業プランを任せている。


 経済学を学んでいる内に、相川が何故シンガポールで起業したのかが分かった。こっちの方が税金が安いし、日本に税金を払うくらいなら、未来ある事業に投資した方がずっとマシである。葉月グループはいつ日本が沈んでもいいように、着々と国際化を進めているのだ。


 役員には外国人も何割かいる。才能ある元経営者たちを集めてからは事業収益が大きく伸びた。人種も国籍も関係ない。コーヒー事業に携わる資格があるかどうかが重要だ。


 どんな国でも、どんな家でも、どんな人でも、人格と才能があれば歓迎する。


 それが……葉月グループの方針である。


 優秀な人ほど日本を出ていくようになると相川は言った。


 僕にはその意味が手に取るように分かる。


 足の引っ張り合いをすることしか能がない老害が居座り続け、国を腐らせていった結果だ。僕とて心底では日本を見限ってはいるが、それでも地元だけは救いたい。故郷を日本で最後の理想郷とし、多くの才能が集まってくれれば、地元を助けることはできるかもしれない。


 現に岐阜市の縮図であった葉月商店街を救うことはできた。伊織の家に無敵の人が現れたのは、地域全体を包み込むようにセーフティネットを張り巡らせることができなかった僕の不手際でもあるのだ。


「伊織、葉月創製に行くぞ」

「えっ、どうしてですか?」

「葉月創製はシグネチャードリンクの開発に特化したメジャー店舗の1つだ。ローヤルシロップを使ったコーヒーのヒントが浮かぶかもしれないだろ」

「確か色んなシグネチャーが売られていて、お客さんもシグネチャーの開発ができるっていうカスタマイズ性のあるお店ですよね」

「しかも特に美味いシグネチャーを開発した人には賞金が出るという仕組みだ。これなら開発部を作らなくても客に作ってもらうことができる。これからの時代に必要なのは、レシピ通りに作る能力じゃなく、レシピを作る能力だ。シグネチャーの食材セットが通信販売で爆売れしてから、色んなシグネチャーが爆発的に増えた。開発部分に弱点を抱えているバリスタの多くが訪れて、スランプを克服した実績もある」

「分かりました」

「千尋、マスター代理頼むぞ」

「うん。行ってらっしゃい」


 いつものように余裕の笑みを浮かべ、千尋がモニターに表示されたメニューを作り始めた。


 みんな新人とは思えないくらいに堂々とした立ち振る舞いで、響に至っては既にうちのメニューをコンプリートしてしまった。バリスタ競技会で葉月珈琲勢のファイナリストが作ったコーヒーカクテルメニューを見事に再現している。真理愛からこの要請が来た時はどうしようかと思ったが、心配はないようだ。


 外に出てしばらく歩いた。葉月創製は葉月商店街からやや離れた場所に位置する国道沿いの店舗だ。


 何故店舗間で距離を置かないのかと言えば、距離を置く意味が薄いからだ。


 わざわざ遠い場所にオープンしたところで、客からすれば毎日行くような店ではないし、大会を通して宣伝できれば、場所なんて関係ないのだ。客の削り合いになる可能性もあるが、流行っている時は客を分散することもできるし、うちの場合はこっちのメリットの方が大きいのだ。


 店舗同士の削り合いは、あくまでも地元住民のみで勝負する場合に懸念するべき案件であって、観光客を呼ぶことを考えれば、むしろ近い方が好都合だ。どれを選んでもうちの店舗なのであれば、ルーレットで常に当たりを引くようなものだし、観光客にとってはアトラクションのように楽しめる。


 葉月創製に到着すると、伊織がその外観を惚れ込むように見上げた。


「何だかヨーロッパのカフェみたいで素敵です」

「落ち着いた感じのカフェを演出してるからな」


 ライトピンクとライトブルーで構成されたメルヘンな田舎風のカフェには人だかりができており、僕と伊織は行列を無視して中へと入った。ドアベルが鳴ると、2人のスタッフが僕らに気づいた。


 落ち着いた感じの可愛らしい女性と、目つきの悪いクールビューティーな女性だ。


 2人共ここの制服の特徴である黒いフリルのスカートを見事に着こなしている。光沢のある健康的な黒髪だが、可愛らしい女性は額を隠し、目つきの悪い女性は額を見せている。


「あれっ、あず君じゃないですか。いらっしゃいませー。お席空いてますよ」

「あず君が唯さん以外の女性を連れているなんて珍しいな。新しい愛人か?」

「忘れたの? あず君の愛弟子で、葉月珈琲所属の本巣伊織さん」

「何っ! 伊織さんっ!? 伊織さんなんですかっ!?」

「はい……本巣伊織です」

「私はここのスタッフで、本多弥生(ほんだやよい)と申しまーす。弥生でいいですよー。こっちはうちのエース、立花皐月(たちばなさつき)ちゃんでーす」

「立花です。気軽に皐月と呼んでください」


 ハイテンション気味に自己紹介する弥生に対し、皐月は淡々としていて冷静だ。


 弥生は19歳で皐月は18歳。それぞれが伊織よりも3歳と4歳年下で、弥生は皐月よりも1つ学年が上である。無論、葉月グループに年齢主義はなく、事実上の同期だ。


 性格は対照的だが、バリスタ甲子園時代から仲が良い。そして何より……でかい。


 2人共スポーツが趣味ということもあり、豊満な膨らみには張りがあり、腰回りの括れが引き締まっている。特に皐月はあらゆる才能がずば抜けていて、度々男に声をかけられるのが悩みなんだとか。


「よろしくお願いします。あず君は弥生さんと皐月さんと知り合いなんですか?」

「知り合いも何も、この2人は葉月珈琲塾を最初に卒業した次世代トップバリスタ候補生で、2人共メジャー店舗に史上最年少の16歳で昇格を果たした凄腕だ」

「もぉ~、褒めすぎですよぉ~」

「弥生も皐月も、バリスタ甲子園に3年連続で出場してる。弥生は静岡県代表で、皐月は大分県代表だ。しかも皐月に至っては、去年のバリスタ甲子園で史上初の3連覇を果たしている」

「さ、3連覇……さっき弥生さんがエースと言っていたのはそのためなんですね」

「私は静岡の生まれで、バリスタオリンピック東京大会で活躍するあず君に憧れて、中学を卒業してから葉月珈琲塾に入塾したんです」

「私は大分の生まれで、同じ理由で葉月珈琲塾にいました。こうしてメジャー店舗で働けることを誇りに思います。伊織さんの活躍も知っています。世界大会を2つも制覇しているところに感銘を受けました。私たちはバリスタオリンピック2027年大会に向けて、日々鍛錬を積んでいます」


 凛としたつり目で伊織を見つめる皐月。


 伊織はすぐ下に強豪がいることを改めて自覚する。


 彼女たちは着々と実力を身につけ、早くもメジャー競技会にも出場している。バリスタオリンピックは20歳からでなければ参加できないが、伊織と同い年だったら、間違いなく強力なライバルになっていただろう。他にもスタッフはいるが、選考会に出る者もいるようで、やはり油断はできない。


 カウンター席に腰かけると、色彩豊かなメニューに目を奪われた。


 コーヒーというよりも、パフェのメニューのようにシグネチャードリンクの見本が燦々と輝いている。フードメニューまで充実しているが、ドリンクメニューは健康面に配慮したものとなっており、ジュース類はシグネチャーを作る場合に限り、使用することが認められている。


 流石にアルコールメニューはないが、客に開発してもらったシグネチャーもレギュラー化し、新しいコーヒーを作って賞金を貰うことがビジネスになっているため、事実上の開発部となっている。ここのメニューの一部は他の店舗でも取り入れられており、投稿部の負担を減らすことに貢献している。


「じゃあ僕はケニアV2にしようかな」

「私はコスタリカV6にします」


 早速タブレットで注文する。口頭での注文も認められているが、支払いはカード決済オンリーだ。店舗のオンライン化が進んだことで、スタッフの仕事を効率化させることに成功している。


「皐月ちゃん、あず君たちの方をお願いね」

「分かった。弥生はあっちのモニターの注文に回ってくれ」

「はーい。じゃあちょっと引きこもってきまーす」


 クローズキッチンに入っていく弥生。どうやら料理も兼任しているらしい。


 皐月はケニアゲイシャのエスプレッソ2ショット分に、玉露から抽出した旨味のエキス、均等に混ぜたコーヒー牛乳のホエイを投入し、最後にシェイカーを小刻みに振って作った生クリームをドリンクの上に乗せ、アイリッシュコーヒーのように仕上げた。


 通常なら混ざらないよう、竹べらかスプーンを使うが、何も使わずに仕上げるあたり……できる。


「このケニアV2というのは?」

「ケニアゲイシャをベースにしたシグネチャードリンク2号です。このケニアゲイシャはハイローストで焙煎することで、キャラメルのようなフレーバーになるのですが、生クリームと合わせることでプリンのフレーバーに変わります。アイリッシュコーヒーを希望する子供のために、アルコール抜きのアイリッシュコーヒーを作りたいと思って開発したものです。コスタリカV6はコスタリカゲイシャをベースにしたシグネチャードリンク6号、つまり6番目の作品です。こちらはコスタリカゲイシャに、溶かしたチョコレート、ピオーネ果汁を投入して、ブレンダーで仕上げることで、レーズンのフレーバーが楽しめます」

「エスプレッソの味が支配的という条件は守ってるんですね」

「はい。ここは競技用のシグネチャーを作るのにとても適した環境です。将来的にはJBC(ジェイビーシー)で優勝したいので、とても助かってます。バリスタ競技会には去年デビューしたんです」


 思い詰めるように目線を落とす皐月。その瞳の奥には何かを秘めているようだった。


「今18歳ってことは、まだ高校生なんですよね?」

「いえ、高卒認定試験を受けたので、今の時点で高卒なんです。この方法であれば、通常の15%程度の勉強時間で高卒の資格を得ることができます。大学に行くために受けたんですけど、今は好きな仕事に就けたので、進学する理由がなくなりました。そもそも学歴に頼らなくても生きていける人間を作るのが、葉月珈琲塾の方針というのもあるので、もう一生学校には行かないと思います」

「バリスタ甲子園って、高校生じゃなくても参加できるんですね」

「一応高校生の年齢にあたる3年間であれば、学生じゃなくても参加できる。唯も3位入賞した。伊織も出れば良かったのに。勿体ないことしたな」

「あの頃はラテアート苦手だったんですけど」


 不機嫌そうに呟く伊織。皐月はそんな伊織を見てクスッと笑い立ち去った。


 僕が伊織を連れてきた理由は他でもない。ローヤルシロップを使った新しいコーヒーの開発に苦戦しているためである。ここに通えば、何かヒントが見つかるかもしれない。


 伊織には僕が教えたかったが、いかんせんシグネチャーから離れすぎた。5年も作ってないし、開発は葉月創製に任せっきりだ。より若い世代の方が発想も豊かだし、僕がやり続けるよりも、次世代を担うバリスタたちの背中を押してやる方が、ずっとコーヒー業界のためであると感じた。


 弥生も皐月も才能の塊だ。昇格するべくして昇格したと言っていい。全国から多くのバリスタが自ら葉月珈琲塾への入塾を希望し、うちに就職してから世界へと羽ばたいていく。バリスタとしての経験を活かしてバリスタトレーナーになる人もいれば、コーヒーグッズを売る商売を始めたりと、進路は人によって様々だ。成功とまでは言えなくても、それなりの生活はできている。


「私のすぐ後ろには、たくさんの才能ある人たちがいるんですね」

「そういうことだ。足踏みなんてしている暇はない。コーヒー業界の地位が低かったのは、競争が緩かったからというのもある。弥生は高校にも行けないくらい家が貧乏で、勉強も苦手だったけど、コーヒーに対する興味だけは強かった。就職レールに頼らなくても、自分のやり方で生きていけることをあいつが証明してくれると思う。僕はそういう連中の背中を押すのが仕事だ。別に成功する必要はない。飯を食える大人になれればそれでいい。でも競争自体したくない奴もいる。だから……無理に続けろとは言わない」

「……そうですか」


 伊織の心は折れかけていた。新人の時以来のスランプだ。


 シグネチャーの開発は続けていたが、それでも力及ばず準優勝で、もう2年も世界大会への切符を手にできていない。千尋はそんな伊織を尻目に、順調にトップバリスタ街道を走っている。


 このままいけば千尋は代表になれると思うが、伊織には厳しいだろうと誰もが思った時だった――。


 クローズキッチンから聞こえてくる声に伊織が耳を澄ませた。


「ねえ、伊織さんってどう思う?」

「正直、葉月珈琲所属のバリスタがあの様子なら、次のコーヒーイベントは楽勝だな」

「あれであず君の愛弟子とはねー」

「うちのバリスタからも1人選考会に出るけど、根本さんを倒したライバルがあれなら、代表には内定するだろうな。実績次第であず君と一緒に働けるかもしれん。そうなったら、今度は私たちの出番だ。あず君と一緒に働ける日も近いかもな。才能あるバリスタは、みんなあず君から直接学びたいと思っている。伊織さんには勿体ないと思うな。もっと学びたくて仕方がない人もたくさんいるのに」

「ふふっ、2人で一緒に葉月珈琲への異動、目指してみる?」

「そうだな。今度葉月珈琲に空きが出たら異動できるよう美羽さんに言ってみるか」


 弥生と皐月の2人が口々に伊織を批評するように語る。


 完全に丸聞こえだ。メジャー店舗のバリスタの地位は手にしているし、どのメジャー店舗からでも選考会に出る資格はあるが、それでもうちに来たいのは、学ぶ意欲に溢れているからだ。


 伊織もポテンシャルの塊だ。スランプさえなければ、実力を発揮できる。


 いや、スランプさえ克服できれば、更なる成長が見込める器だ。

読んでいただきありがとうございます。

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本多弥生(CV:小原莉子)

立花皐月(CV:藤田茜)

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