301杯目「奇跡の新人」
皆さんお久しぶりです。
今月から新章公開となりますのでお楽しみください。
2021年の正月を迎え、親戚一同が葉月珈琲へとやってくる。
今までで1番賑やかだ。クリスマス明けから年末までは誰にも会わず、部屋で唯と一緒に時間を過ごしながら積もる話をするのがこの時期の日課だ。
「今年からグループ誕生ですか」
唯が僕の隣に座りながら話しかけてくる。
「そうだ。でも他の企業みたいに、搾取の構造にはしない」
「それをやるくらいなら、事業規模を縮小するとか言い出しそうですね」
「全部お見通しかよ」
「何年つき合ってると思ってるんですか?」
「10年だろ」
「15年です。私はあず君に出会った時から常連という立場でつき合ってますし」
「あぁ~、なるほどねぇ~」
唯と他愛もない会話をし、初詣では伊織たちと合流した。
正月が空けると、持株会社である『株式会社葉月ホールディングス』を設立した。
国内のコーヒー事業と海外のコーヒー農園をまとめる『葉月グループ』の誕生である。
僕はこの年から葉月グループ総帥となった。今は璃子が後継者ということになっているが、あくまでも暫定であり、後継者が変わる可能性もある。業務自体は今までとほとんど変わることはない。
営業初日、僕、伊織、千尋、椿、花音が営業前の仕込みを始めた時だった。
千尋が椿と花音に基本的なマニュアルを説明する。金華珈琲にはなかった業務用タブレットの使い方を丁寧に指導していく。千尋は最年少ではあるが、僕らの中で1番落ち着きがある。椿も花音もうち何度か来ていたこともあり、店の雰囲気には慣れていた。
「まさかあず君がグループ企業の総帥とはねー」
「別に偉くなったわけじゃねえよ。責任が重くなっただけだ」
「それでも凄いですよ。でも仕事内容は変わらないんですよね?」
「うん。別に会議とかしないし、持株会社は僕がいなくても機能させるための存在だ。言ってしまえば貯金箱みたいなもんだ」
「貯金箱?」
「持株会社は傘下となる会社の株を持ってるし、黙ってても株の配当が入って利益になるし、傘下となる企業から上納金を吸い上げる機能もあるから実質貯金箱だよ」
「千尋君詳しいねー」
「まあね」
軽いノリで吐き捨てるように千尋が言った。
これで効率良く利益を稼ぐことができるし、株の配当で利益を得た方が税金が少なくて済む。
千尋も村瀬グループにいた時、当初は後継者となるべく、本社の株を何割か持っていたが、結局は僕らのために全てを手放してしまった。役員たちに後を継ぐよう説得された時、役員たちが持っている本社の株を受け取るように言われていたのはそのためだ。今は村瀬グループの幹部たちも諦めたようだ。改革の遅い村瀬グループを見限ったことを皮切りに、株がまたしても下がり、去年の12月、遂にリストラが発生した。現状に心を痛めながらも、千尋はグッとこらえているように見えた。
「見捨てちゃって大丈夫なのか?」
「問題ないよ。どうせあいつら、僕の意見なんて全然聞かないだろうし、いくら僕を社長に据えたところで衰退の流れは止まらないよ。杉山グループの邪魔が入らなかったらまだ分からなかったけど、こればかりはあいつらが選んだ道としか言いようがないよ」
「年齢が若いってだけで意見を無視するんだったら、会議なんてする意味ないもんな」
「全くだよ。まあでも、リストラで事業規模の縮小をしておけば、倒産は免れるだろうけどね」
「役員たちの家に行ったのは、単に頭を下げるだけじゃなく、これからどうするべきかを教えるためでもあったんだろ。じゃなきゃあの保守的な連中が痛みを伴うリストラなんてしない」
「見抜かれてたか。まっ、たまーに今の社長に助言するくらいなら別にいいと思ってね。保守派の人はだいぶ減ったけど、かと言って新しいことをロクに始めることさえしない連中だけが残っちゃったからさ、衰退するべくして衰退したと思ってるよ」
「無能な味方を持つと大変だな」
同情の一言を放った。千尋はそれをすぐに察したようで、思わず息を吐いた。
「それよりさー、美羽さんが言ってた新人ってまだなの?」
「確か今日来るって言ってたよ。美羽が連れてきてくれるらしい」
「もう11時回ったよ。引っ越しが忙しいとは言っても、あと1時間で研修できるのかな?」
「美羽にメールするか」
ポケットの中のスマホに手を伸ばそうとした時だった。
カランコロンとドアベルが鳴り、扉の向こう側から美羽が入ってくる。
「あずくーん、新人連れて来たよー!」
「おっ、やっと来たか――えっ?」
「……嘘……だよね?」
「本当なら……奇跡ですよ」
「「?」」
美羽の後ろからもう1人が入ってくると、僕、伊織、千尋の3人が石のように固まり、口を大きく開けたまま動けない。椿と花音はそんな僕らを見て首を傾げている。
「……あず君……どうしてあなたがここに?」
「ふふっ、こんなこともあるんだな」
入ってきたのは他の誰でもない桜子だった。
来年からコーヒー会社に引っ越すって言ってたけど、こういうことだったか。
しかも仕事を紹介してくれたのが美羽だったとはな。
「えっ、もしかして知り合いなの?」
「知り合いも何も、あず君がバリスタを目指すきっかけになったカフェを経営していた人ですよ」
「ええっ!? 朝日奈珈琲って、そんなに凄いとこだったのっ!?」
美羽が桜子の顔を見ながら腰をのけ反らせた。
今知ったのかよ。でも奇跡だな。こんなことって……。
「転職先があず君の会社と聞いた時は驚きましたけど、あず君と同じ職場と知った時は更に驚きました」
「たまたま出会った人が小細工なしでうちに転職してくる確率って、どれくらいなんだろうな」
「天文学的な確率だよ。一言で言えば、奇跡かな」
「美羽さんが奇跡を起こしてくれましたね」
今までの桜子とのやり取りを美羽に話した。桜子が転職すると聞いた時は、こんな逸材を前にして諦めなければならないのかと思ったが、美羽との関係を清算していたのがここで役に立つとは。
これは美羽のファインプレイだ。よく拾ってくれた。
「ふーん、なるほどねー。まさか3ヵ月前に知り合っていたなんて、あず君も人脈が広くなったねー」
「美羽ほどじゃねえけどな」
桜子がうちのスタッフになるなら、何も文句はない。
ただ、美羽は以前、温厚という意味では良い子ではないと言ったが、果たして本当だろうか。
「美羽さん、桜子ちゃんとはいつから知り合ってたの?」
「3年前のJBCに15歳で予選に参加した人がいるって噂になってて、バリスタ競技会史上最年少記録だからつい気になっちゃってねー。競技会が終わってから声をかけたの」
「あの穂岐山珈琲の社長令嬢と聞いて、度々お店のことで相談させてもらっていたんです」
「美羽さん、転職先をギリギリまで言わなかったのは何で?」
「あー、それねー。実は葉月珈琲以外にも、10社以上の候補があったの。今はどこのコーヒー会社も桜子ちゃんみたいに、早い内から実績のある若手が欲しいっていう要望が殺到しててね。あたしとしては、好待遇で優れたコーチがいるところを目指してたから、最終的に葉月珈琲に決めたわけ。葉月珈琲は世界レベルの実績を残した人ばかりがいるメジャー店舗だけど、桜子ちゃんは肝が据わっているところがあるから、ここでも委縮しないで済むって思ったの。それに、あたしも桜子ちゃんのこと気に入ってるし」
美羽がそれを言うと違う意味に聞こえるんだが。
桜子は絵に描いたような美人でスタイルも良い。そして何より……でかい。
制服を着てもなお自己主張の激しい綺麗なカーブを描いている半球型のダブルメロン。唯に匹敵するほどの張りと大きさだ。今までは伊織が店内ナンバーワンの人気を誇っていたが、これは彼女の若さと饒舌なまでのコミュ力も相まってピンチだぞ。
「あず君、桜子ちゃんはまだ国内予選の決勝にも出てないけど、大丈夫かな?」
「願ってもないことだ。自力で決勝までいけるような奴は育てる必要ねえからな。とりあえず桜子をユーティリティーの育成枠としてここに置くことにする」
「――ありがとうございますっ! これからよろしくお願いしますっ!」
満開の花弁のような笑顔を見せ、意気揚々と両手を握り拳にしながら桜子が言った。
桜子がバックヤードで制服に着替えると、その見慣れた姿を見せてくれた。
「うわぁ~、可愛い」
「なんか大人の女性って感じ」
「やっぱり可愛いですね」
「ありがとうございます。バリスタらしい格好であれば自由と聞いたので、朝日奈珈琲で着ていた時の制服にしました。やっぱり、これが1番落ち着きますね。先代もきっと喜んでいると思います」
「桜子は何か目標とかってあるか?」
「目標ですか? ――うーん、ないです」
「えっ、じゃあどうしてJBCに出ていたんですか?」
「自己啓発と宣伝の一環です。15歳で出場する人なんてまずいませんし、これで話題になればお店にお客さんが来てくれると思ってました。なので、今年からはお店の業務に専念しますね」
「「「「「……」」」」」
おいおい、最年少で出場するほどの実力と度胸がありながらやめちまうのかよ。このまま実績もなしにうちに居続けるとなると、マイナー店舗に降格になる。
見るからに競争とか興味なさそうだもんな。桜子からは色々と話を聞いていたが、彼女には1つ大きな難点があった。それは闘争心がないということだ。
僕とて最初は競争なんてしたくなかったが、参加するにつれてハマっていったのは事実だ。どうせやるなら勝てる分野でやりたいと思い、バリスタ競技会に出場し続けた。桜子が朝日奈珈琲を潰してしまった原因がここにある。宣伝のために大会に参加するのであれば、決勝進出程度の成績を残す必要がある。
予選を見てくれる人はほとんどいない。それが競争だ。
「桜子ちゃんは、バリスタ競技会にはもう出ないの?」
「私……競争は嫌いなので……」
不機嫌そうにいつもより低い声で言葉を返した。
今まではロクにバリスタ競技会の話をしなかったが、この手の話はタブーと目が言っている。大会はあくまでも宣伝目的で、優勝することを目的にはしていない。
「ここはトップバリスタを育てるための場所なんだけど」
両手を腰に添え、臆することなく、桜子の後ろから鋭く突き刺すように千尋が言った。
「……バリスタ競技会に出る義務はないはずですけど」
今度はあからさまに怖い顔を振り向かせ、千尋に詰め寄ってくる。
「それはそうだけど、大会で結果を残さないとマイナー店舗に降格だよ」
「でしたら降格でも結構です。それに研修もありますから」
桜子は逃げるように遠ざかっていった。
椿と花音と同様に桜子もまた、伊織から研修を受けることに。
伊織から業務用タブレットの使い方を指導してもらい、すぐに使い方を覚えたばかりか、朝日奈珈琲にはなかった最新式エスプレッソマシンの使い方もすぐに覚えたが、どうもオートタンパーにだけは納得がいかなかったようで、そばに置かれたタンパーを手動で使ってしまった。
「やれやれ、初日から前途多難だよ。あず君、ほっといてもいいわけ?」
「別に構わん。今はまだ育成枠だから特に参加義務はないけど、正社員に昇格した時点でバリスタ競技会に参加する気がない場合は、マイナー店舗に降格だ」
「はぁ~、せっかく良い同僚を見つけられると思ったのに」
「桜子が正社員に昇格するには、少なくとも1年かかる」
「じゃあ1年でお別れじゃん」
「だから、1年経つ前に時間をかけて説得すればいい。それ以外に方法はない」
「説得って言っても、彼女、凄く意志が固いみたいだよ」
「落ち着いて考えろ。何か訳があるはずだ。いいか、あいつを降格させたくないのは僕も同じだ。まだ降格が決まったわけじゃない」
「あず君もおんなじ考えか」
ニヤリと歯を見せながら千尋が言った。女子なら間違いなくチャームポイントだ。
葉月珈琲では、大会に出場せずとも、1年間問題なく業務をこなせれば正社員に昇格となり、逆に技能的な問題や怠慢などがあればメジャー店舗からマイナー店舗に降格となり、改善がなければ最終的に非正規雇用にまで降格し、解雇を告げられることになる。
うちは育成枠のスタッフを除き、スタッフが大会で結果を残さなかった場合は自動的にマイナー降格となり、入れ替わりにやる気も才能もある者がメジャー昇格となるわけだ。マイナー店舗のスタッフの中で椿と花音よりも実績で上回るバリスタはいなかった。故にこの2人が入社と共に昇格となったわけだが、外から入ってきた人に枠を取られるということは、まだまだメジャー店舗のレベルが低いということだ。
だが競争とは放っておいても加熱するもので、5年も経てばメジャー店舗には実績ある者しか残らない状態となっているだろう。既に各店舗には、今年から導入した非正規雇用の社員が入ってきている。
穂岐山珈琲は精鋭を育成部に置き、他のバリスタは店舗で働かせているが、うちは本当にやる気のある者だけで固めることや、営業成績のモチベーションになることを意識し、店舗で精鋭を分けることにしている。成績が悪ければ降格があるため、留年のある高校や大学のように実力を出さなければならない。
競争嫌いな人間はまずやってこない――ここにいる桜子を除けばだが。
「今は好きにさせておけ。僕が探りを入れる」
「分かった。じゃあ任せたよ」
「千尋が誰かをここに留めたがるなんて珍しいな」
「だって桜子ちゃん、才能あるんだよ。何度か彼女の腕前を朝日奈珈琲で見たけど、相当な腕だよ。プロになればきっと輝ける」
「千尋も気づいてたか」
「当然だよ。この頃あず君の影響で10代の時点でバリスタの仕事に興味を持つ人も増えてきたし、そんな中、15歳でJBC予選に出場するほどの行動力は才能だよ。あれは一度火がつけば、とことん熱中するタチと見た」
流石は千尋だ。人を見る目はあるようだな。だが桜子の心に闘志の炎は灯っていなかった。戦えば強いが平和主義、そんな無名の凄腕バリスタが全国に何人いるんだろうか。能ある鷹は爪を隠すとは言うが、僕らはそんな逸材を目覚めさせ、バリスタ競技会へと送り込んでいく役割も担っている。
刺激せずに参加を促す方法はないものか。
「……あず君」
伊織の弱々しい声が後ろから聞こえた。
振り向いてみると、困ったままの顔で、僕の目を真っ直ぐ眺めている乙女の姿があった。
「どうした?」
「桜子さんのことなんですけど」
「何か問題でも?」
「うちでのやり方は一通り教えましたけど、オートタンパーやオートリロードに不満があるようで」
――気持ちは分からんでもない。
オートタンパーは手動でタンピングをした時に比べ、タンピングを均一にできない場合がある。気になる時はタンパーで押し直す場合もある。オートリロードにより、コーヒーの粉が均一の量で出てくるが、コーヒーの種類によっては粉量を控えめにしたり、多めにした方が良い場合もある。
粉の大きさによって質感が異なる。バリスタ競技会が行われる際は、バリスタの技量を確かめるため、あえてオートリロードを使わない場合がある。
桜子はコーヒーの種類に応じた抽出ができないことを気にしているようだった。
「あのー、ちょっと来て欲しいんですが」
「どうかした?」
「オートタンパーとオートリロードなんですけど、私がエスプレッソやドリップコーヒーを淹れる時は手動でやりたいんです」
「うん、別にやりたければやってもいいぞ」
「どうしてフルオートで均一に抽出するようになったんですか?」
「それは正午を迎えれば分かる」
「正午?」
丁度良い。桜子にもメジャー店舗の洗礼を浴びてもらおう。
全てのテーブルの拭き掃除が終わり、正午を迎える1分前となった。
「伊織、どうだった?」
扉の窓からこっそり外を覗く伊織。
「龍です」
涼しい顔でこっちに顔を向けて答えた。
「まっ、今年度初営業だからねー」
「龍って何ですか?」
「うちでは行列の長さを動物に例える。10メートル未満なら蛇、10メートル以上50メートル未満なら鯨、50メートルを超える場合は龍と呼ぶ」
「じゃあ……さっき龍と答えたのは」
「そろそろ看板を裏返してきます」
「来るぞ」
葉月珈琲の扉が開き、表にクローズと書かれた看板が裏返され、オープンの文字へと変わった。
どちらも英語の筆記体で書かれているのが味だ。
開けた瞬間、外で待機していた客たちが雪崩のように押し寄せてくる。
「ええ~っ!?」
さっきまでは殺風景極まりなかった空席があっという間に超満員となり、辺りには客の賑やかな声が響いている。静かなカフェとしての姿はそこにはなかった。
伊織が急いで戻ってくると、すぐさまエスプレッソマシンを使い始めた。
注文用タブレットから次々と商品の情報と個数が転送されてくると、業務用タブレットやモニターを確認しながらキビキビと注文されたエスプレッソやドリップコーヒーを淹れ始めた。まるで早送りの映像を見ているかのように、桜子が呆気に取られている。
「椿は僕と一緒にドリップを淹れてくれ」
「はいっ!」
椿がいくつものドリッパーとコーヒーサーバーを持ってくる。
「花音と桜子は注文の品を客席に届けてくれ。ゆっくりでいいぞ」
「「はっ、はいっ!」」
慌ただしく動いている2人に対して椿は冷静だ。
流石は自分のカフェを経営していただけあって慣れているな。
この中で特に注意深く見守るべきは花音だ。前代未聞の客数に慌ててミスをしてしまいかねない。元を辿れば花音のドジっ子カノンのお陰で状況を打開できた。コーヒーとホエイの相性の良さに気づかせてくれたきっかけとなった女性だ。しかもコーヒーのホエイが今や世界中のバリスタ競技会で使われている。
実に感動的だ。花音がうちに来てくれたのはある意味必然かもしれない。
コーヒーは僕に花音とつき合えと言っている。まだ彼女からアイデアを絞り切れていないというのだろうか。桜子はこれだけ多くの客を捌くのは初めてなのか、いつもより精彩を欠いている様子だ。
営業はバリスタ競技会以上にイレギュラーだ。
ここをクリアできないようでは、一流のバリスタとは言えない。穂岐山珈琲はバリスタ競技会で活躍できる者とそうでないものを完全に分割しており、育成部の連中はカフェでの営業を忘れつつあった。
バリスタと競技者が完全に二分されつつあるこの状況に本能的な危機を感じている。本業が疎かになるようでは、本当の意味でバリスタと言えるのかだいぶ怪しいところだ。バリスタと競技者は相いれないものなのか、それとも表裏一体な存在か。いずれその答えが出る時が来る。桜子がうちに来てくれたことも何かの縁だ。しばらくは見守ることにしよう。今は何も考える余裕がないくらいに大忙しだ。
結局、桜子は分量を調節する余裕もないまま、ラッシュを終えるのであった。
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