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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第12章 グランドスラム編
297/500

297杯目「心の鎖に縛られて」

 11月下旬、久しぶりに投稿部へと赴いた。


 今や数ばかりが増えてきたうちの部の中で最も利益を稼いでくれている部だ。


 インターネットの影響が大きいのだ。しかも嬉しい知らせが僕らの元に舞い込んだ。リサが妊娠したのだ。しかもルイが続くように結婚した。これでリサたち4人組の内2人が結婚したことになる。レオには同級生の恋人がいるが、エマは結婚する気がないらしい。この家は本当に人によって千差万別なのが面白いところだ。かつてはみんな揃ってやりたいことがない人生を送っていたが、呪縛からは完全に解き放たれていた。価値観がばらけているのは、みんな自分の本心で生きているということだ。


 以前はこれでもかっていうくらいに共通点が多かった。


 それはまるで、均質性の高い兵士に仕上げられているかのようで違和感しかなかった。


 投稿部の部屋の中は、これだけの人数がいるにもかかわらず、床にはゴミ1つ落ちていない。いつもここで撮影するためか、生活感が完全に排除されている。テーブルの上にはパソコンやスマホやタブレットなどが置かれており、うちの利便性を物語っている。


 ゲームの実況プレイ用に大きなモニターもあり、何でもありだ。リサたちもかなり前からゲームの実況プレイをするようになった。現実離れした仮の姿で実況を行うことが最近のトレンドとなっている。流行を敏感に感じ取り、それに順応していく様は、まさしく再教育成功の証だった。


 最初こそ僕がリサたち4人が料理を得意としていることに着目し、料理動画を定期的に投稿してくれれば稼げると思い、様々なアイデアを出させるところから始まった。奇しくもこれがただ言われたことに従う兵士から卒業し、自ら考え実行に移す訓練となっていた。


「リサ、おめでとう」

「ありがとね。まさか子供を産むとは思わなかったなー」

「お姉ちゃん、仕事は休まないの?」

「うーん、今はまだ大丈夫だけど、余裕がなくなってきたら産休と育休取ろうかなって思ってる」

「うちはいつでも産休と育休が取れるから、本当にラッキーだねー」

「ふふっ、確かに。こういう時に仕事をユーティリティーに任せられるのは助かるー」


 リサが笑いながら言った。うちじゃなかったら寿退社だ。投稿部にも次世代を担うユーティリティーが順調に育っている。彼らの多くは中学や高校を卒業してからここに在籍している。


 葉月珈琲のスタッフは中卒や高卒の割合が高いのが特徴だ。


 大卒や院卒は平均で見れば能力が高く、他の企業と取り合いになるが、悪魔の洗脳によって指示待ち族になっている人間が多い。うちでは主体性が何より絶対視されるが、既に染まりきった大卒や院卒は再教育に時間がかかる。この二度手間がめんどくさすぎるのだ。


 中卒や高卒はどこにも雇ってもらえない人が多く、学校の価値観にも比較的染まっていない人が多いためブルーオーシャンなのだ。正直に言えば、そいつらの知識や技能には期待してないし、悪いことさえしなければ、ぶっちゃけ誰でもいい。雇ってもらえるだけありがたいと思える立場の連中でもある。給料も安くて済むし、相手から労働条件を突きつけられることもない。中身なんて空っぽ上等だ。何もないところに詰め込む方が、いらないものばかり詰めた連中よりも遥かに育成がしやすい。


 僕の目論見通り、みんな想定以上の活躍をしてくれている。頭が空っぽな分吸収するのも早い。1つの仕事さえ究めてくれれば、後はそれで生きていける時代だ。マルチスキルは仕事の合間に習得していけば問題ないし、レールのない世界でも生きていけることに重点を置いている。


 そして何より、正規雇用をちらつかせるだけで必死に仕事をしてくれる。結局、うちは来年から非正規雇用を復活させることになったが、正規雇用よりも仕事の負担率は軽いものとした。会社が大きくなって雇う人数も増えた以上仕方がない。他の企業と違うところは、非正規雇用で有能な人材が見つかった場合、正規雇用に昇格できるところだ。逆に仕事ができなければ非正規雇用に降格することになる。


 安心は与えても安定は与えない。働く以上は動くベルトコンベアーの上を歩かせなければならない。止まっていれば怠け癖がつく。そうなれば養っているだけの存在だ。社内ニートは作りたくない。


「お姉ちゃんが休んでる間はあたしに任せて」

「分かった。ところでさー、エマは結婚しないの?」

「しない。あたしは1人の方が気楽だし、結婚相手に迷惑かけるのが怖いの」

「それ分かる。いつでも離れられる距離にいるからこそ、お互いのことを大事にできるし、苗字を変えるのは手間も費用もかかるし、物凄い不便だから絶対しない」

「確かにうちにはあず君という前例がいるし、俺は恋人だったらいてもいいと思うけど」

「あたしはパス」

「エマは柚子と一緒に岐阜コン盛り上げてたじゃん」

「あの時はそうだよ。でもどうせならくっつくよりもくっつける方が楽しいことに気づいちゃったというか、あたしが誰かとカップリングするということは、他の人からチャンスを奪うことになっちゃうからさー、岐阜コンを主催してきた身としてはどうかと思うんだよねー」


 照れ隠しをするように、椅子に座りながらエマが言った。


 なんか柚子みたいなこと言ってる。まだ25歳だってのに、もう悟ってやがる。


 これが悟り世代なのか。いや、柚子もエマも自分が盛り上がるよりも、みんなに盛り上がってほしいと思うタイプだ。本質的な部分で言えば、恋人を持つことさえ向いていないと言える。


 カップリングしない理由にも表れている。恋活も婚活も競争だ。他の相手のことを考えていればたちまち淘汰されてしまう。優しすぎる人はどこに行っても潰される。末っ子ながら平和主義ではあるが、4人の中では最もアウトドアという末っ子らしさも持ち合わせている。


「あっ、あず君久しぶりー」

「優太も久しぶり。美月とはどう?」

「順調だよ。これ以上ないっていうくらい幸せ」

「美月は素直な子だから、優太に合ってると思うぞ」

「あず君って僕より美月に詳しいよね。つき合ってたの?」

「いやいや、ただのコーヒー仲間だ」


 慌てて釈明するように、左手をバタバタと横に振った。


 何だか浮気を疑われているかのような冷や汗が出てしまった。美月とも仲が良いのは事実だ。何なら僕とつき合いたそうにしていることを唯の口から告げられたくらいだし。


 うちの親戚の結婚相手って、みんな僕のことを好きだった人だし、何だか複雑な気分だ。


「確か美月さんはお父さんの不祥事で穂岐山珈琲を辞めて、そこをあず君が拾ったんでしょ?」

「エマ、拾ったって言い方は失礼でしょ」

「はーい。でもそれくらい信頼してたってことだよね?」

「元はと言えば僕が原因と言える部分もあったからな。せめてもの補償だ。自分と関係のない部分で才能が潰されるなんてあっちゃいけない。美月はバリスタの才能の中でもラテアートの才能に優れてる」

「あず君が美月を連れてきてくれたお陰だね」

「そういえば、優太って岐阜コンで美月さんと出会ったんだっけ?」

「そうだよ。岐阜コンが葉月商店街主催で復活するって聞いた時は、本当に嬉しかったなー」

「厳密に言うと、葉月商店街とマリッジカフェの共同主催だけどね」


 後ろから不意に柚子の声が聞こえた。


「あっ、柚子ー、久しぶりー」


 エマが子猫のように柚子に歩み寄り、甘えるように抱きついた。


「ふふっ、相変わらず甘えんぼさんだね」


 柚子がエマの可愛らしい頭をそっと優しく撫でた。


 エマの可愛らしい腰回りから一瞬だけ尻尾が生えているように見えた。猫を撫でているようだ。エマは身内に対しては物凄く懐くのに、他人に対してはこれでもかというほど壁を作る。


 昔の僕と同様、身内と外様を物凄く分ける。線が明確にあるくらいの差だ。


 まあ、気持ちは分からんでもないがな。


「柚子、実家を改装して独立するって聞いたけど、ホントなの?」

「本当だよ。でも私には経営者の才能はないから、あず君の傘下でだけど。仲人とバリスタのどっちにするかで迷ったけど、あず君が色んな夢を同時進行で叶えているのを見て私も両方やろうと思ったの」

「あたしたちも色んなことやってるよ。最近はみんな自分のチャンネルを作って、それぞれの動画でコーヒーとか料理以外の動画も出すようになったし、最近はみんなでチームを組んで、オンラインで色んな人と勝負したりするようになって凄く充実してる」

「最初は両方やるなんて無茶だと思ってたけど、今だったらできるんだよね?」

「昔でもできたと思うぞ。今は店の経営をしながら遠くの入会者と連絡を取れるようになってコストが削減されたっていうだけで、どれか一本に絞らないと駄目っていうある種の固定観念に囚われていただけだ。夢はいくつあってもいいんだ。そうすればどれかが駄目になってもまだ夢が残ってるわけだし、絶望する必要がなくなる」

「その考え方好きかも。あたし、夢をいっぱい持つことにする。叶うかどうかよりも、やりたいことを片っ端からいっぱい見つける」


 エマが張り切りながらパソコンの前に立つ。


 こっそり覗いてみると、やりたいことリストや欲しいものリストが更新されたようだった。


 やりたいことリストに結婚はなく、欲しいものリストに恋人はなかった。


 どうやらエマは生涯独身を貫く気らしい。昔なら間違いなく変人扱いを受けただろうが、今は違う。みんながみんな好き好んで結婚していたわけじゃなく、つき合わされていただけだ。それをようやく生き方という形で示せるのだ。柚子も仲人バリスタの仕事に専念するために結婚を諦めた。そんなことをしている場合ではないと、自ら言い聞かせるかのように婚活から卒業した。柚子にとっては自分が幸せになるよりも、人を幸せにする方が幸福を感じるのだ。僕としては柚子やエマにこそ幸せになってほしいのだが、柚子たちが思っているそれは僕が思っているものとは全く違う形のようだ。


「エマは結婚しないの?」

「それさっきも聞かれたけど、あたしは結婚する側じゃなくて、結婚させる側でいたいの」

「じゃあ私と一緒に仕事する? もし婚活事業に関わりたいんだったら、マリッジカフェの仕事と岐阜コンの運営が空いてるけど」

「やるやる! あっ、でもあたし、動画投稿の仕事が――」

「エマが出かけている時は他の人に仕事を任せればいい。それにうちはユーティリティーとして他の店舗での労働を認めている。本来の仕事とは別の仕事をした場合は給料も上がる。良い経験になるんじゃねえか。それに投稿部は統合で人が余ってるし、問題ないと思うぞ」

「それはそうだけど……お兄ちゃん、あたし、婚活事業やりたいんだけど、いいかな?」

「うん、いいよ。エマって岐阜コンが廃止された時、誰よりも落ち込んでたよね」

「独身主義なのに婚活事業がなくなったら落ち込むって、変わってるなぁ~」

「あず君に言われたくないんだけど」


 ジト目で僕を見つめ、ムスッとした顔のまま、エマが僕の至近距離まで詰めてくる。


 エマの両頬をガッチリと両手の手の平で挟んだ。プルプルしていてとても柔らかい。ウェーブのかかった黒いショートヘアーも可愛い。誰かとつき合わないなんて勿体ない。


「こんなに可愛いのに、人に言い寄られたことねえのか?」

「あるにはあるけど、全然人に興味が持てないの。誰を見ても全然興味が湧かないし、そもそも恋という概念自体が全然分からないというか。好きって……何なんだろうね」


 苦笑いを浮かべながら呟くエマだったが、その顔からは深刻さが窺えた。


 他人の恋を見ていれば、自分も恋というものを知ることができると思ったのだろうか。


 かなり低い確率だが、恋愛という概念自体が抜け落ちている人は一定数存在する。恋愛から最も遠い存在でありながら、婚活事業に関わろうとする姿からは健気さすら感じた。


 そんな状態で誰かに言い寄られても、本人が辛いだけだ。


 ならばいっそ、他の人に譲ってしまおうと思ったのかもしれない。両想いでなければ真剣に相手を探している相手に対して失礼だからと考えれば、エマの全ての言動に対して説明がつく。


「無理すんな。一応言っておくと、恋愛と結婚は必ずしもイコールじゃない。ほとんどの場合、男はただでメイドを雇うために、女は生活費を確保するために結婚してる」

「夢がないなー」

「結婚の意義ってほとんどこれだからな。今じゃ女も稼ぐようになって、必ずしも男を頼る必要がなくなったから、結婚に頼る必要がなくなった。今婚活してる連中の多くはみんな周りが結婚ラッシュに入ったもんだから、それで慌てて婚活してる。でもその時には30過ぎてる場合が多くて、若い頃はモテていたという感覚を引き摺ってるし、これだけ待ったんだから良い相手じゃないといけないと思って、コンコルドの誤りみたいな婚活をするから条件が高くなっちゃうんだよな」

「なんか分かる気がする。私もそれで良い相手逃しちゃったし」

「えっ、リサもなの?」

「あたしってさー、将来のために今を我慢しちゃうところがあったからさー、それをやめたら普通だなって思ってた人が凄く良い人に見えるようになって、それでつき合うようになったの。柚子が30歳を超えたら今よりも良い相手に出会えなくなるって教えてくれたからねー」


 なるほど、リサは柚子のお陰で20代の内にお手頃な相手を見つけたわけだ。


 リサの結婚相手とは一度会ったことがあるのだが、良心的な好青年だった。リサは既に楠木家から離れているが、それでも他の兄弟たちと家族の一員として過ごせているのは投稿部のお陰だ。


 エマは順調に相手を見つけている他の兄弟たちと自分を無意識の内に比較し、どこか劣等感のようなものを感じているかのように肩を落としている。多分、他人を愛せない時点で恋愛や結婚というもの自体が向いていないのだ。それがハッキリ示せるようになったのも独身が増えた理由だ。


 恋愛も結婚も義務ではない。世間に義務感を持たされているだけだ。


「あたし、学生の時はいつも男子とつき合っちゃ駄目って言われて、身内以外だと、同い年の女子としかつき合いがなかったから、男子とのつき合い方が全然分からないの」

「あー、それ分かる。僕も学生の時は女子と話すなって言われていたかと思えば、成人してからいきなり結婚はまだかって、みんなが聞いてくるようになった時は戸惑ったよ。つき合いの経験も全くないのに、急に対応しろって言われても無理だよね」


 エマに同調するように優太が言った。


「そうそう、あたしたちが受けてきた教育って、大人たちの自己満足だったんだって、この年になってやっと気づいた。全然役に立たないどころか、むしろ邪魔になってる。あず君が高学歴の人をほとんど雇わない理由がちょっと分かったかも」

「日本の大卒って大学に入ったら受験勉強とかしなくなるから、中身は高卒のままだ。学力面でも学歴は当てにならないし、参考程度に思った方がいいぞ」

「なるほどねー。あたし高卒で良かったかも」

「エマ、ここに座ってくれ」

「……う、うん」


 エマの隣に座ると、誘うように自分の両膝を両手の平で軽く叩き、エマを膝の上に座らせた。少しばかり安心の表情を浮かべるエマが恥ずかしそうに首を回し、僕の顔を見た。


 一回り年の離れた兄と妹のようだ。エマは木の枝に止まった小鳥のように落ち着いている。


 僕にはそんなエマが休息する天使のように見えた。


 小さく可愛らしいエマの体を後ろから包み込むように抱いた。


「エマは今のままでいいから。自分がどうありたいかがハッキリ分かるまでは、しばらく柚子のお手伝いをすればいい。それで何も答えが見つからなかったとしても、それはそれで恋愛や結婚が自分のするべきことではないっていうのが判明するだけだから何も恥じる必要なんてない。恋愛も結婚も縁だし、誰とも縁がなかったからと言ってその人が駄目なわけじゃない。本来誰かと出会って一緒になるって、奇跡とも言えることなんだからさ。誰も好きになれないってことは、誰かと別の誰かを結びつける役割の存在として生まれたと考えればいい」

「――慰めになってないんだけど」

「慰めじゃない。人にはそれぞれ役割ってもんがあんの。僕の役割はコーヒー業界の地位を向上させることだ。でもそれに気づいたのは18歳の時で、それまでは全然知らなかった」

「あず君は役割を見つけるのが早いと思うけど」

「やりたくないことをちゃんと決めてきたからだ。やりたくないことが分かるようになれば、自ずとやりたいことが分かるようになる。消去法くらい知ってるだろ。興味のない部分とか、相性の悪い部分を取り除いていって、最後に残ったものが自分の役割だ。夢なんてなくてもいいんだし、やりたいことがないならのんびり暮らせばいい。もっとシンプルに考えろ」

「……ふふっ」


 エマがビクッと体を震わせると同時にクスッと笑った。


「おかしなことを言ったか?」

「なんかあず君を見てると、さっきまで悩んでたのが、あほらしくなってきちゃった。もうこうなったらとことん自分勝手に生きてやる。恋愛も結婚も、正直どうでもいい」


 高らかに宣言しながら、僕の膝からエマが立ち上がった。


「でも人と人がカップリングするのを見るのは凄く嬉しいから、あたしは柚子の元で婚活事業に関わっていくことにする。あたしとカップリングを狙ってる人には申し訳ないけど、全員断って他の人とカップリングしてもらう。自分を幸せにする方法は分からないけど、人を幸せにする方法なら知ってる」

「何だ、ちゃんと分かってんじゃん」

「だって言いにくかったんだもん。好きな人ができる方が普通だと思ってたし、恋人がいる方が幸福度が高いっていうデータもあるし」

「普通とかデータというのは、あくまでも数多くあるサンプルの平均値だからな。仮にパンを食べる人は犯罪率が高いというデータがあったとしよう。でもその一方で、パンは食べるけど犯罪はしないっていう人も大勢いるわけで、パンを食べるから犯罪をするんじゃなく、犯罪者がたまたまパンを好きだっただけの可能性もあるわけで、データは嘘を吐かないけど、データ通りにならないのも人間だぞ」


 エマの中から固定観念を取り除く魔法をかけた。これは凄く効いたようで、エマの心を縛っていた鎖がバラバラに崩れ落ちる音が僕には聞こえた。人を喜ばせることが自分の喜びなのであって、自分の欲望のために何かを得ようとするような人間ではないことがハッキリと認識できたようだ。


 こういう人にこそカップリングしてほしいんだけどな。だが世の中の需要と自分の好みが一致しないということは、その道には向かないのだろう。残酷な言い方をすれば、代わりはいくらでもいる。


「あたしはあず君のどうしようもないくらい理屈っぽいところ、結構好きだよ」

「奇遇だな。僕もエマの可愛い子ぶるところ、結構気に入ってるぞ」

「「ふふっ、あはははは!」」


 もっと好きに生きていいんだ。壮大な暇潰しは、これからだ。

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読んでいただきありがとうございます。

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