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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第12章 グランドスラム編
295/500

295杯目「婚活の掟」

 11月上旬、来年度を考える時期がやってくる。


 柚子は瑞浪と共に仲人バリスタとして独立するべく、子供たちの面倒を見る一方で、独立の準備を進めていた。葉月商店街にある柚子の実家は全員が外に住んでいるため、誰もいなかった。


 この場所を結婚相談所カフェへと改装するため、既に工事が行われた後だった。


 来年までに全ての準備を終わらせてから生まれ変わった実家へと戻る予定だ。中は増築した分、更に広くなり、2階の寝床も確保したところだった。


 柚子と瑞浪と共に、楠木家の実家へと赴いた。


「凄~い。もうここまでできてるんだー!」

「一応結婚相談所がメインだけど、同時にカフェでもあるから、どっちかが不調でも、もう片方で生き残れるってわけ。マリッジカフェの看板もできたし、後は具体的な事業の方針とここのメニューと人材の確保をするだけになったの」

「人材の確保は美羽に任せてるんだよな?」

「うん。一応バリスタ経験者と料理の経験者を1人ずつってとこかな。アドバイザーは私と瑞浪さんの2人でやるけど、問題は他のアドバイザーかな。あと2人欲しいところだけど、婚活事情に詳しい人ってなかなかいないんだよねー」

「婚活事情に詳しい人ばっかりだったら、そもそも結婚相談所なんて成立しねえからな。ていうか瑞浪ってアドバイザーできたっけ?」

「私、これでも恋愛相談に乗ったことが何回もあるから」


 自慢げな顔で瑞浪が言った。初対面の時はめっちゃ高望みしてたのにな。


 婚活中の女性たちは普通の人でいいと言うが、そもそも普通の人のハードルが高すぎるのだ。身長170センチ以上、大卒の年収500万円以上、長男以外、清潔感がある人が、みんなの標準になっていると柚子から聞いた時は肝が冷えた。そこらのホラー映画より怖い。普通を掛け算すると希少価値が高くなるってことくらい、勉強ができる人なら分かるんだけどな。みんな数学の時間に何してたんだろ。


 しかもピークである20代を終え、30代を過ぎていながら相手には求めるばかりで、自分は何1つ提供しようとしない姿勢なのだから、取り残されるのは当然である。確か35歳の女が5年以内に結婚している確率は高く見積もっても5%程度と言われている。


 インターネットのお陰でこれほど情報が掴みやすくなっているにもかかわらずだ。いや、むしろこれのせいで近所の範囲が広がったことで相手を選びにくくなったと言ってもいい。


「恋愛相談に乗るのと、結婚相談に乗るのとは別だと思うけど」

「何も経験がないよりはずっとマシだよ。それに恋愛して結婚したい人も大勢いるし」

「いい歳して恋愛結婚を考えているようじゃ、結婚は厳しいだろうな」

「30過ぎたら恋愛しちゃいけないの?」

「そうじゃない。20代までと同じノリで恋愛なんてしてたら分が悪いんだよ。婚活パーティには20代の人も参加するし、結婚相談所でも条件の良い男には多くの女が殺到する。つまり参加人数が多ければ多いほど選ばれにくくなるわけだから、自分というカードの価値を理解して、自分と同じくらいの条件の人とお見合い結婚するのが妥当だ。それが無理なら諦めてもらえ。結婚向いてないから」

「あず君は現実主義だねー」

「夢見るような年じゃねえからな。結婚が減っているのは1人で生活しやすい環境が整ったこと、結婚に対する圧力が少なくなったことが原因だ。結婚に向いている人だけが結婚する時代になっただけで、結婚に向いてない人まで結婚させられていた昔より健全だと思うぞ」


 生活能力がそこまでない人でも独り暮らしができるようになったのは本当に大きい。


 料理ができなくてもコンビニやスーパーがあるし、家事代行サービスとかもあるし、みんなが一緒になって働かないと餓死の危険すらある時代でもない。結婚の価値は昔よりも明らかに落ちた。僕が結婚を選択しない理由がここにある。法的に保護されるとかされないとか、正直どうでもいい。保護されなかったところで、他の独身者と条件は一向に変わらないし、戸籍制度につき合うのもあほらしい。


 今でも結婚したがる人は、相手をATMか家事ロボットにするか、あるいは童話の見すぎで理想に恋い焦がれているかのどちらかだ。みんなが好きなのは人じゃなく、ほとんどの場合利益か理想だ。


 そんな気持ちで結婚なんかしても、うまくいくはずがない。


「あず君はどういう人が結婚に向いてると思ってるの?」

「この人と一緒なら不幸になっても大丈夫と思える人か、この人を幸せにしたいって思える人。みんなはこの人と一緒なら幸せになれるとか、自分が幸せになるための結婚を考えがちだけど、結婚して長続きしたいんだったら、一緒になった後の幸福も不幸も全部受け入れて、自分より相手のことを考えるくらいの器じゃないとな。みんな逆だよ。独り善がりな奴は文字通り独身の方が向いてる。当然結婚する資格のない奴も来るだろうから、入会お断りの基準とかもちゃんと定めとけよ。結婚の向き不向きを突きつけるのも結婚相談所の立派な仕事だ」

「確かに性格の悪い人にはカップリングしてほしくないかも」

「結婚相談所自体は全国にたくさんあるから、飲食業よりはマシだけど、基本的にはレッドオーシャンだと思っていいぞ。婚活する人自体はかなり多いからな」

「何で婚活する人が多いの?」

「生活のため。一人っ子が多い上に収入も下がってるし、老後の選択肢がないからさ、生活水準の回復手段として結婚を望む人が増えてる。一方で家のための結婚は少なくなってるし、現代における結婚の定義は変わったと言っていい。家を存続させる装置じゃなく、ATM採掘マシンだ」

「「うわ……」」


 柚子と瑞浪が2人揃って口を小さく開けながらドン引きする。


 従来のような結婚の定義はほぼ消滅したと言っていい。そんな目的で結婚するのは名家くらいのものだと知れ。幸せのためだとか、子供のためだとか、そんな理由じゃ弱すぎる。


 何なら50代以上の人同士の結婚も増えているが、これはどう説明するつもりだ?


 子供のためじゃなく、2人で生活を支え合うためと解釈しても何ら不思議じゃない。うちは遺産相続の問題は既に解決済みである。子供に財産を継がせるという発想自体が時代遅れだ。


 お金よりも生きる力を授けることが何よりの対価だ。


「あず君は遺産を全部会社に寄贈するって決めてるもんね」

「唯ちゃんにはあげないんだ」

「唯にはいくら払っても足りないくらいの恩恵を受けてる。唯にはお金とは別の形で恩返ししていくつもりだ。それに死んだ後のことなんか知ったこっちゃないし」

「唯ちゃんを選んだ理由って恩返しなの?」

「ああ。僕が人生というゲームを攻略するためのお助けキャラだ。唯は僕が思った以上の策士だ。軍師と言ってもいい。人生攻略にはパートナーが必要だ。独身の人にも仕事上のパートナーがいるから結婚せずにいられる。1人で戦っている奴なんていねえよ」


 カウンター席に腰かけた。客が気楽に座れる設計だ。


 段差を上って座るような回転椅子じゃなく、テーブル席と同様、一度引いて座る異色のカウンター席であることからも、カフェとしての性格よりも結婚相談所としての性格を優先していることが窺える。


 一度模擬的な客として、柚子のサービスを受けることに。


「初めまして。マリッジカフェのマスター、楠木柚子と申します」

「結婚相談所なのにマスターなんだな」

「カフェでもあるからいいの」

「でもちょっとややこしいから、最初はみんな戸惑うかもねー」

「結婚相談を受けている時は所長、カフェの時はマスターでいいんじゃね?」

「あー、それいいかも」


 しばらくは雑談を交え、店のおおよその流れを確認する。


 これはコーヒーを飲みに来た人と、結婚相談をしに来た人を分けた方が良さそうだ。


 入会しなかった場合でもコーヒー代を取れるのは、他の結婚相談所にはない利点だが、この経費はどうやって回収するつもりだろうか。事業をダブルで回しているせいで経費もダブルになってしまうのが欠点だ。今度はうまくやってくれよ。来年から開催される岐阜コンでは葉月商店街とマリッジカフェの共同主催で、以前行われていた岐阜コンのノウハウを引き継ぐ形で行われることが決定した。柚子は婚活イベントの運営を得意としているため、相性の良い企画だ。昨今のバリスタブームにより、以前よりも葉月商店街周辺の人口が増えていることも追い風だ。岐阜には飯を食える大人が増えているし、バリスタの需要が高まっているため、他の都道府県よりも逸早く令和恐慌から脱出することができたのだ。


「まっ、そんなわけで、また店が増えることになった」


 仕事を終え、ようやくゆっくりと過ごせる時間となった。


 この日は子供たちを先に食べさせてから、僕と唯の2人で食事を取り、柚子と瑞浪は柚子の実家に泊りがけで事業計画を練ることに。真剣な様子だった。今回の柚子は一味も二味も違う。


 寝る時と風呂の時以外で2人きりになったのは、久しぶりかもしれない。


 唯はハンバーグ定食のハンバーグを米の上に乗せ、ハンバーグ丼にして美味しそうに食べている。


「令和恐慌で消費が落ち込んでいるのにお店を展開するなんて、あず君はやることが違いますね」

「来年からは店舗拡大は控えめにする予定だ。結婚相談所を兼ねたカフェなんて今まで聞いたことがないからさ――応援したくなった。新しいことをしようとしている先駆者たちのサポートがしたい。僕が起業する時も、日本で初めてゲイシャのコーヒーを淹れるカフェになった時も、必ずと言っていいくらい反対する人がいた。普通の人なら折れていたかもしれないし、そいつが世の中を変えるはずだった存在だったかもしれない。もっとそういう人たちが表立って活躍できるように、県内だけでも変えていきたい。日本全国は無理かもしれないけど、県内なら割とどうにでもなる。外の連中が羨ましいと思うような地方都市を作っていけば、他の都道府県もそれに倣ってマネするかもしれないし、優秀な人が引っ越してくるかもしれないからな」

「何だかシリコンバレーみたいですね」

「和製シリコンバレーだ。ここは地方だから誰も注目してない。何か新しいことを始めるには最良の環境ってわけだ。僕はスポンサーになりたい」

「――楽しみですね」


 唯は心から僕を応援している――夢を語るのも久しぶりだ。


 だが一方で衰退していく地域もあった。桜子の近所からは出稼ぎで人口が減ってしまい、お陰で桜子まで引っ越す破目になった。彼女にとっては故郷を奪われるような気分だろう。


 翌日、柚子と瑞浪が戻ってくる。


 葉月珈琲の営業が始まると、客足が落ち着いたところで、柚子と瑞浪が1階へと降りてくる。


 子供たちはぐっすりと昼寝をしているようだ。


「ねえあず君、マッチングアプリってどうかな?」

「マッチングアプリをやったことがある人に聞くか、一度やってみるしか方法はないと思うけど、個人的にはお勧めはできないなー」

「どうして?」

「アプリだとまず条件が目につくから、つき合ってみたら案外相性が良かったかもしれないのに、そこに行きつく前に、条件フィルターに引っ掛かって弾かれたりするんだぞ」

「だよねぇ~」


 魂が抜けるような声で柚子が嘆き、カウンター席に突っ伏してしまった。そこは客席なんだけどな。一度やってみてもいいけど、生半可なマッチングアプリ会社と同じ末路を辿りそうなんだ。


 僕は客席を見渡した後、再び柚子と瑞浪の顔を見た。


「結婚相談所をオンラインでやるのは歓迎だ。婚活イベントもオンラインで予約できるようにする予定だけど、マッチングアプリをやるんだったら、結婚相談所と分けてやることだな。恋愛がしたいだけの人もたくさんいるし、恋愛と結婚は分けて考えた方がいい。あくまでもお見合いでやっていくなら条件よりも実際につき合ってみた時の相性を重視して、本人が自分で決めやすくした方がいいかもな。選択肢を絞られたら、決めやすくなるだろ」

「それだったら入会してきた人が自分以上の条件の人を指定できないようにする工夫も必要かな。私も以前、あず君に条件が高すぎるって言われたからねぇ~」

「昔の瑞浪は氷山の一角だ。全国には自分の条件を理解しないまま、高い理想を掲げているような身の程知らずが山のようにいる。結婚相談所を開くってことは、そういう欲望の塊のような連中を相手にするということだ。その覚悟はあるか?」

「もちろん。みんな自分のことをシンデレラだと思ってるけど、その幻想を壊してからが本番だから」

「笑顔でとんでもないことを言うようになったな」

「誰のお陰でこうなったと思ってるの?」


 警告するような目つきで柚子がその首を伸ばし、至近距離まで顔を詰めてくる。


 その顔はどこか複雑そうな笑顔だった。かつては周囲にいる人全員を助けたい一心で、本来であればまず雇われないような連中を片っ端から雇っていたほどの責任感を持っていた。


 それが柚子自身の心を蝕み、心の隙を突かれるかのように会社の金を着服された。そんな経験をしてからは性格が変わった。柚子は何故社会的弱者たちが雇われないのかを身をもって思い知った。負けるべくして負ける人間もいる。だからこそ、柚子はこの世から勝敗という忌まわしき概念をなくしてしまいたいのだ。だが人助けをしたい想いはずっと変わっていない。


 そうでなければ、ここまで真剣に人選をすることはない。会社を倒産させてしまったことで、みんなの職歴に傷をつけてしまったことへの罪悪感がある。


 僕はそんな柚子の体を正面から優しく抱いた。


「ちょっ、いきなり何?」

「柚子、あんまり自分1人でしょい込むなよ。やり方は任せる。何かあったら必ず連絡を寄こせ」

「分かってる」


 不機嫌そうな顔で柚子が言った。信用はしても、信任はできなかった。


 僕自身、身内だからというだけの理由で柚子を雇い続けることに戸惑いを覚えていた。バリスタとしては有能だが、婚活アドバイザーとして客の世話から店の経営までをこなせるかどうかが経営者として気掛かりだった。何度か葉月珈琲マスター代理を任せたことがある。その時は特に問題はなかったが、今回ばかりは事情が異なるのだ。結婚相談所も兼ねるのだから尚更だ。


 カフェと結婚相談所という全く異質な仕事を同時にこなさなければならない。だからこそ二刀流には価値があると言えるのだが、維持し続けるのは難しい。強靭な精神力とやり抜く力が必要不可欠だ。


「ねえ伊織ちゃん、結婚に興味ある?」


 魔性の女のような顔で瑞浪が伊織に尋ねた。この2人は丁度倍の年齢差である。こうしてみると悪い大人が子供を騙そうとしているようで、とても目が離せない。


 伊織はやや警戒気味の顔を震わせながら、恐る恐る瑞浪の目を見た。


「ないです……もしかして私を入会させようとしてます?」

「入会は自由だけど、伊織ちゃんって、もう結婚するにはいい歳でしょ。そろそろ彼氏の1人でも作った方がいいんじゃないかなって思ったの」

「いえ、彼氏はいらないです」

「恋人もいらないの?」

「……良い人がいれば……くらいにしか思ってません」


 一瞬、恥ずかしそうな伊織の目と視線が一致した。


 かと思えば、伊織は思わず後ろを向いてしまった。何故こっちを向いたし。伊織は恋愛には興味なさそうだ。どちらかと言えば美人だし、見た目は小学生のように童顔だが、このくりくりした大きな目がとても可愛らしい。だがみんな彼女に声をかけることはしても、デートには一向に誘わないのだ。


「じゃあ良い男紹介しよっか?」

「私のことを女性として気に入るとは思えませんよ。いつも小学生と間違われて、どこに行っても必ず年齢確認をさせられるんですよ」

「伊織ちゃんを好きになる人がいたら、多分ロリコンかもね」

「千尋君に言われたくないんですけど。はぁ~、だからお見合いなんてしたくないんですよ。有名になってからは、あんまり外に出られなくなっちゃいましたし、またバリスタ競技会が始まった時に、誰かが追っかけてこないか心配ですよ」

「あず君なんていつも追っかけがいるけど、それでも全く気にせず競技してるよー。ファンが大勢増えて動揺したのは分かるけど、肝っ玉を持たないとね。僕もWBC(ダブリュービーシー)で優勝してから大勢のファンができてさー、家にファンレターが何通も送られてきて、明日香が手紙の整理に追われてたんだよねー。人気者は辛いよ」

「まさか全部読まずに捨てようなんて思ってませんよね?」

「そ、そんなわけないじゃーん……あ、後で読んでおくよ。それと、今は身内以外からの贈り物は禁止してるよ。伊織ちゃんも声明発表くらいしたらどう?」

「……そうします」


 すっかり話をはぐらかされちまったな。


 どうやら伊織にとっては、それどころじゃないらしい。


 ここなんだよなー。日本が何故晩婚化と少子化になったのかがよく分かる。20代は忙しい時期の割にほとんどの人は給料も安い。女は高年収でなければ交際に応じない傾向が強いが、30代になって男がそこそこ稼げるようになっても、今度は女の方が年齢を理由に交際してもらえないのが現状だ。


 検索フィルターにかけられるかどうかはかなり大きい。


 男と女の需要が明らかに噛み合っていない。同い年くらいの相手を望むなら今の内だ。婚活は早ければ早いほど有利だが、そのために自分のキャリアを中断させようとは思わない。それが個人の時代だ。稼ぎ手と子育てを両立しようとしたところで、それはピッチャーとバッターを同時に行うようなもの。両方共プロのレベルでこなせる人の方がずっと少ない。だからほとんどの人はどちらかに絞る。


 子育てしながら稼ぎ手になるのはそれほど難しいことだ。


 僕も子育ては唯に任せている。共働き世帯の家庭から良質な子供が育ちにくいのは、両方共中途半端になるせいで、子育てが疎かになっているためである。両方をただやるだけならともかく、プロのレベルでこなすとなれば、もう1つ体が欲しくなる。無謀にも柚子と瑞浪は、そんな時代に婚活ビジネスを遂行しようとしているのだ。恐らくほとんどの入会者は老後の不安が理由だろう。


 伊織はまだそこまで考える時に至っていない。まだ他人事でしかないのだ。伊織は若くて可愛いし、何ならそこらのサラリーマンより稼いでるし、引く手数多なのは間違いない。千尋は既に既婚者になったことで、恋愛をする必要がないと安心しきっている。結婚理由が様々なのが人間の面白いところだ。


「でも結婚すれば、もう追っかけなんて来なくなるかもよ。みんなちょっとは期待しているだろうし」

「……言われてみればそうですね」


 伊織が瑞浪の口車に乗り、すっかり納得してしまった。


 様子を見ていた瑞浪はニヤリとほくそ笑むのだった。

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読んでいただきありがとうございます。

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