288杯目「時代の区切り」
7月がやってくると、ワールドコーヒーイベントの新たな方針が決定した。
メジャー競技会は全て統一された会場内で行われることとなり、2021年からは毎年必ず6月に同一の国と会場で行う方針で固まった。そのことがバリスタたちの間で話題になっていたのだ。
今までは開催時期がバラバラだった。統一してくれるのは本当にありがたい。バリスタオリンピックも次回以降は6月開催となる。奇しくも僕の誕生月だ。今までちゃんと開催時期のルールを明確化していなかったところにも、バリスタ競技会の歴史の浅さが窺える。これで開催時期に合わせた明確なプランを立てられるようになったわけだが、伊織たちが本当に羨ましい。
ジャパンスペシャルティコーヒー協会もメジャー競技会の国内予選の時期を9月に統一し、国内にいる全てのバリスタが救われたことになる。一部の大会はモニターで見ることになるが、同時期での開催はナイス判断だ。国内予選は全て4月から募集し、7月から8月にかけて開催され、決勝を9月のコーヒーイベントの一環で行われることに。JSCやJCCも同様、この時期の開催に統合され、両方共協会の主催で行われる。
ほとんどの参加国はメジャー競技会の国内予選を1月から3月にかけて行っている。
マイナー競技会については、毎年複数回行われる大会を除き、ほとんどは国内予選を7月から始め、本戦を12月に行うことで住み分けをすることに――。
「ただいまー。JBrC予選終わったよー」
「私もJBC予選終わりましたよ」
「おかえり。ていうか大会明けなら休んでもいいんだぞ」
「お店を休むなんてとんでもないですよ。毎日仕事してないと、リズムが狂いそうですから」
「ふふっ、すっかりあず君みたいになっちゃってるね」
「うちからメジャー競技会の国内予選に出場したのは合計45人。穂岐山珈琲からは73人が出場したけど、例年通りなら準決勝に進出するのは、どっちも3分の1くらいだ」
「あれっ、プロのバリスタって、もっと数が多かったはずですけど」
「プロとは言っても、単年契約の人もいるし、マイナー競技会に出る人もいる。必ずしも全員がメジャー競技会に出るわけじゃない。それに人数も毎年上下する。今はプロ契約制度が始まったばかりだから何とも言えないけど、あと5年も経てば、才能のある人とない人がハッキリするはずだ」
葉月珈琲でプロ契約制度がスタートしたのは2011年。
穂岐山珈琲は2016年から導入し、うちと同様の規定を導入していたため、葉月珈琲はこの過程を公式なプロ契約制度と認め、穂岐山珈琲のホームページでは、穂岐山珈琲が葉月珈琲に倣い、2016年から始めたと記載されている。実際その通りだから問題ない。
ようやく実を結んだ。プロ契約制度の恩恵を受けたバリスタたちが結果を残した影響により、来年からは葉月珈琲や穂岐山珈琲を入れて、10社以上の大手コーヒー会社がプロ契約制度を導入することになったのだ。今年の時点で既に4社がプロ契約制度を導入している。
「空白のページだね」
「うん……真っ新なページだ」
「バリスタがメジャー職業になれば、飯を食えない大人が出てきても、最悪コーヒーで生きられるね」
「だといいけどな。中にはコーヒーが嫌いなバリスタもいるし。生きていくだけならどうにでもなる社会になってほしい。コーヒー業界は競争が激しくなるだろうし、店で生きていくのも厳しいけど、最低限の生活だけは保障したい。だから柚子の気持ちも分かる」
「な……何のこと?」
「そういえば、柚子さんって経営者やってたんでしょ。ねえねえ、色々教えてよ」
「……」
柚子は渋々楠木マリッジ経営者時代のことを話した。
色々あったが、あの経験は決して無駄じゃなかった。
岐阜コンの文化を根付かせ、地元の婚姻率上昇に貢献した。楠木マリッジが倒産してからも、何度か岐阜コンと称する婚活イベントが開催され、葉月商店街が岐阜コンを商標登録した今、来年からは正式に再開されるわけだが、会社を諦めきれなかった柚子にとって、これは朗報だった。
うちにいるのはいいが、そろそろやりたいことを見つける時期だろう。
僕が背中を押してやれるのはここまでだ。この先どんな店を経営していくのかは柚子次第。本当は会社を復活させる手伝いをするはずだったが、本人が方針を変えてしまったこともあり、復活はおじゃんになった。でも岐阜コンの文化は残したい。
こんなことを僕に考えさせた時点で、大した影響力だ。
「ふーん、結構優しいじゃん」
「柚子さんって、本当に良い人なんですね」
「普通はそこまで考えられないよ。でも全員の生活を支えるのは、ちょっと無茶かな」
「だよね。まあそんなこんなで、5年で倒産したの」
「穂岐山バリスタスクールも5年目だけど、今年で畳むから一緒だね」
「でもあの経験で、私に経営者は向いていないことがよく分かった。完全に独立したら、また同じことの繰り返しになっちゃうから、葉月珈琲の傘下でお店を始めようと思ったの。一応来年からってことになるけど、できれば葉月商店街の中がいいかな」
「だったら柚子の実家を改装すればいいじゃん」
突発的に思ったことを言ってみる。これが最も手っ取り早い手段だ。かつてはうちの実家も店に改装している。そんな僕にとって、実家の改装には何の抵抗もなかったが、柚子は戸惑っている様子。
首を僕の方に向けると、手が届くくらいの距離まで柚子が詰め寄ってくる。
「それ、大丈夫かな?」
「反対されたらそれまでだけど、他の物件は葉月商店街が人気になるにつれて場所が全部埋まったし、物件が空くまでは待つしかないぞ」
「待っていたら、いつ頃になるの?」
「分からん。でも気分が変わる前に改装した方がいいと思うぞ。鉄は熱い内に打てって言うし、情熱がある時にやっちまえよ。好奇心の赴くまま説得してみろ。年を取ってからじゃ、できなくなるかもよ」
「はぁ~。そんなこと言われても、うちの親が応じてくれるかどうか」
「もし改装後の店に住む気がないにしても、親戚たちはみんなうちの系列の店に住んでるし、今柚子の実家に住んでる人は誰もいないんだ。店が潰れたとしても、実家として住み続けることはできる」
「そうそう。柚子がお店を構えるなら、あたしも喜んで賛成するよ。だから遠慮しないで。お義父さんとお義母さんには、あたしから言っておくから」
「そうだよ。お姉ちゃんもやりたいことをやっていいんだよ」
美羽と吉樹が柚子に鍵を開けるような言葉を投じた。
流石は姉弟だな。ちゃんと柚子の気持ちを分かってる。
柚子は起業する際、一度親から猛反対をされている。しかもそれで失敗した上に、多くの人々を失業させてしまったことに対する自責の念から、本当にやりたいことに蓋をしてしまっている。葉月珈琲に戻ってきてからは、まるで鬱憤晴らしをするかのようにバリスタ競技会に参加している。
何度かやめると言っていたが、やりたいことをするかどうかで迷っていたのだとしたら……。
「でも……楠木マリッジが倒産したせいで、友達はみんなバラバラになっちゃったし、クビになった人たちの内の何人かは、生きるために盗みを働いて捕まったり、何も食べられずに家で孤独死してしまったりして、本当に罪深いことをしたなって……思ってたから」
「1人の人間にできることなんてたかが知れてるって。それは本来行政の仕事で、貧困が原因で犯罪や餓死が起こるのは行政の怠慢なんだからさ、気にする必要なんてどこにもねえよ。もっとさー、自分の課題と他人の課題を分けるようにしたら?」
「千尋君もアドラー知ってるんだ」
「高等な教育を受けたからね」
「……課題を分けろって言われてもねぇ~」
「柚子はそういう人間を減らしたいんだろ。なのにどうして人口は増やそうとするのかな?」
「婚活イベントはね、本来であれば結婚に値するのに全然出会いがない人にチャンスを与える場なの。婚活イベント会社の元社長がこんなことを言ったらおしまいだけど、貧困者は婚活イベントの場には来ないし、来たとしてもモデルみたいな外見か人並外れた才能でもない限り相手にされることはないの」
「うわ……本当にそれ言ったら終わりなこと言ってる」
千尋が頭を仰け反るようにしながら、足を一歩後ろに引いた。
婚活イベント会社を経営し、参加者たちのおおよその稼ぎを網羅している柚子だからこそ言える台詞だったが、正論を言いながらも、どこか腑に落ちない様子だ。
以前の柚子なら、綺麗事でこの場を収めていた。
だがちゃんと本音が言えるようになったのは確かな成長だ。
「なるほど、だから年収200万円未満の人は参加禁止にしてたわけだ」
「今は共働きが当たり前なんだから、最低ラインを突破してない女性なんて、専業主婦になってぶら下がろうとしてるのが丸見えだし、男性の場合は女性から相手にされないんだから、来るだけ無駄なの」
「やる気がある人だったら、参加費を毟り取ればお得じゃん」
「そんなことをしていたら、あっという間に信用をなくすし、お客さんのニーズを満たせない会社なんてない方がマシ。私が会社を畳んだのもそれが理由なの」
「こんなことを言ったら怒られるけど、ほとんどの会社は客のことなんてカモとしか思っていないし、社員のことだって奴隷としか思ってないのが現実だよ。村瀬グループもそうやって失われた30年を生き延びてきた。それが営利企業ってもんだし、日本的な言い方をするなら、みんなやってることだよ。綺麗事だけで飯が食えるなら、誰も苦労しないよ」
「貧困化して会社が倒産したらどうなるか、みんな分かってんだよ。うちだって世界最高峰のコーヒー豆を宣伝するための会社だし、ニーズを満たすことなんて考えていたら、潰れてたかもな」
「ニーズを満たしてくれる会社なんて、いくらでもあるからねー。だからあず君はニーズに応える側じゃなくて、あえて自らニーズを作り出す側になったんだよ。あず君こそが今の社会が求めている創造性や主体性を持った人間だと思ったし、大卒を雇いたがらない理由がよく分かったよ」
千尋が椅子に座って背もたれをしながら両手を頭の後ろで結び、柚子の優しさとも甘さとも言える価値観をなじるように言った。千尋には経営者としての才がある。だがそれは傍から見れば参謀とも言える適性だ。経営者たるもの、生き延びるには冷酷な判断が必要な時もある。
彼はよく分かっているし、村瀬社長の働きぶりをずっと間近で見てきたことが窺える。
それならうちの傘下で独立した方がいいかもしれんな。
柚子に経営者としての才がないのは明らかだ。また立場の弱い人を雇って抱え込み、社内での不正に気づかないまま、お荷物を背負うことになるのが目に見えている。
「学歴が高い人ほど、従うことに慣れてるからな。精神的虚勢を受けた連中だ」
「でも真理愛さんは早稲田卒でしたよね?」
「真理愛が大学を卒業した頃は、まだ学歴に価値があったし、Fラン大学でもないなら、別に問題なかったけど、今あいつが高校生だったら、止めていたかもな。新しい価値を生み出すことと、学歴を重ねることはまた別の話だ。言っちゃ悪いけど、学校は取り柄のない奴が行く所だ」
「ふふっ、それ外で言ったら怒られるよ」
「千尋だって言ってたじゃん」
僕らの会話を聞いていた柚子が、オープンキッチンの椅子に座り込んだ。
しかも全身の力が抜けたように肘を立て、ため息を吐いた。
「――私は経営者よりも、雇われのマスターの方がいいかもね」
「それでいいと思うぞ。責任ある立場だと、嫌な現実をたくさん見ることになる。雇われている立場の人間はそんなものを見なくてもいいし、責任を感じる必要もない。なんかあったら雇い主のせいにすればいいし、生活するだけだったら、雇われで十分だ」
「新卒で入っとけば良かったかなー」
「柚子さんって、どこの会社に入りたかったの?」
千尋に聞かれるまま、柚子はポツリポツリと社名を挙げていった。
「……あのさ、今挙げてもらった会社……全部潰れたよ」
「えっ、それ本当なの?」
「一応僕、グループ企業の御曹司だからさー、経済とか企業の情報は嫌でも耳に入ってくるんだよね。もし柚子さんがそれらの会社のどこかに新卒で入っていたら、入社してから数年後には倒産して、どの道あず君の救済処置を受けていたことが想像できる」
「勝手に想像されても困るんだけど」
「柚子さんだったら、無事に転職できていたと思いますけど」
「身内でもなく、資格もスキルもない奴を良い条件で中途採用したいって思うか?」
「それを言われると、ちょっと不安になります」
「はぁ~、どの道かぁ~」
「そうでもないぞ。経営者としての経験をしたことで、人の痛みが分かるようになったし、自分が経営者に向いていないという発見もできた。柚子の経験は無駄じゃない。新卒でスキルも磨かれないまま失業するよりもマシだと思うぞ」
「慰めになってないんだけど」
柚子は不機嫌な顔のまま立ち上がり、その足で2階へ逃げるように上がってしまった。どうやら一休みするらしい。柚子にはバリスタの仕事よりも人の話を聞く方がずっと体力を消耗するように思える。
でもその方が柚子には合っているようだ。そのお節介さが長所とも短所とも言える。
「柚子さんって、案外傷つきやすいんだね」
「社会の問題を自分のことのように考えられるところは凄いと思うよ。お姉ちゃんは目の前で困っている人を放っておけないタチだからさ」
「でもご飯が食べられない人、段々増えてるんですよね?」
「ああ。誰かが事件を起こしたところで、事件を起こした無敵の人が責められるだけで、誰も根本的な問題を解決しようとはしない。貧しい国で強盗を責めても何も解決しないのと一緒だ」
「蜂の巣問題だね」
千尋が得意げに言ってみせた。まさに的を射た言葉だ。
蜂の巣問題とは、いくら蜂を殺したところで、蜂の巣を駆除しない限り次々と蜂が湧いてくるという問題だ。強盗を減らしたいのであれば盗まなくても済むように最低限の生活を全員に保障すればいい。何の対策もしないで強盗をするなと言うのは貧困者は黙って死んでいろと言っているのと同じ暴論だ。
僕は以前、無敵の人と化した虎沢グループの元社員に襲われた。
今この問題を解決しなければ、あんな事件が全国のあちこちで起こるだろう。それで被害者が出たとしても同情はしない。未来の僕はお前らが問題を放置した結果だと吐き捨てるだろう。
後日、葉月珈琲のバリスタたちは9月のコーヒーイベントに向け、各バリスタ競技会予選を戦った。多くのプロのバリスタが準決勝や決勝へと進出していったわけだが、ここで番狂わせが起きた。
「ねえ、確か葉月珈琲から8人がJBC予選に出てたんだよね?」
「……うん。それはそのはずだけど」
「どうかしたの?」
「JBC予選通過者のページを見てよ。ほら」
「ええっ!? 嘘でしょ!? ――ホントだ。伊織ちゃんしか通過してないなんて」
「まあそういうこともある」
「あず君はやけに冷静だね」
伊織たちにとっては青天の霹靂の如く、葉月珈琲勢のほとんどが予選で姿を消していることを受け入れられない様子だ。教え子たちが予選落ちする姿は何度も見た。伊織は危うくそれに名を連ねるところだった。今回ばかりはうちの弱点が露呈する結果になってしまったな。
エスプレッソもミルクビバレッジも、コーヒー豆が悪いわけじゃなかった。いかんせんプレゼンが単調すぎたのだ。スコアに差の出やすいシグネチャーは準決勝からだ。シンプル故にここが難しく、JBC予選ならではの難しさだ。昔は僕だけがゲイシャを使っていたが、今はゲイシャやそれを超えかねない豆が次々と開発され、質の良い豆を使うことが当たり前になっている。
しかも参加者は今までとは比べ物にならないほどの強豪ばかりである。
みんなプロ契約を継続するべく、死に物狂いで頂点を目指している。
皮肉にも僕が望んだバリスタ競技会レベルアップの洗礼を最初に受けたのはうちだった。
「伊織ちゃん、これ結構やばくね?」
「JBCが……私以外全滅するなんて」
「気にすんな。準決勝と決勝で挽回すればいいだろ」
「でも伊織ちゃんしか通過できないなんて、本当にレベル上がったんだね」
「お父さんが何年も前からプロ契約に力を入れ始めていたのは知ってたし、その成果がようやく実ったのは嬉しいけど、なんか複雑って感じ」
「美羽さんにとっては、どっちも身内だもんね」
美羽の言葉が全てを表していた。明らかに競技会のレベルが上がっている。
いや、厳密に言えば、穂岐山珈琲のレベルが上がったのだ。
最高級の豆で挑んでいればそれで良かった時代は終わった。しかも各バリスタ競技会で準決勝や決勝進出を果たしているのは、いずれもうちを含む大手コーヒー会社とプロ契約を結んだバリスタだ。これを知った僕は、夏場であるにもかかわらず、冷や汗が額を流れた。
この環境下で昔の僕が挑んだら、どうなっていたのだろうか。考えただけでも怖気が走る。だが同時にワクワク感まで湧いてきた。この環境下で優勝できるバリスタこそ、本当の意味でチャンピオンと呼べるのではなかろうか。遊びで参加するバリスタが多かった昔とは違う。今そんなバリスタがやってきたとしても、門前払いにされるくらいの勢いで予選落ちする。みんな結果を残すために練習や実験を心掛けるようになる。僕が望んでいた環境が完成しつつあった。誰が優勝するか分からないバリスタ競技会は、多くの大手コーヒー会社が本格導入したプロ契約制度により、群雄割拠の時代へと突入した。
僕の王朝が音を立てて崩れ去っていく様子が目に浮かんだ。
その火蓋が多くの葉月珈琲勢の予選落ちによって切られるとは、誰も露知らず。
「これ、他の大会に出ている場合じゃないですよね」
「どれかに集中しないと、全部落ちることになると思うよ。通過者はみんなプロだし」
「気づいてたか」
「まあね。僕らと違って生活が懸かってる。プレゼンも今までのものとは違ってた。あず君のプレゼンの手法をいくつか取り入れていたけど、全くのパクリでもなく、みんなプレゼンに個性が出ていたよ」
「僕らはいつの間にか、置いていかれていたわけだ」
これは僕も1人のバリスタトレーナーとして、本気で伊織たちを育成していかないとな。うちからは千尋がJBrC決勝に、JLAC決勝には美月が、JCIGSCには俊樹が進出していたが、通過者の多くはJCTC準決勝進出者だ。比較的生き残りやすい競技会に集中するあたり、レベルは格段に上がったようだ。
振られ組四天王は4人揃って9月のコーヒーイベント進出を決めた。
この厳しい環境をよく乗り切った。流石は美羽の教え子だ。
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