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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第11章 飛翔編
272/500

272杯目「諦めきれない気持ち」

 焙煎を終えた吉樹がコーヒー豆を回収し、柚子が歩み寄ってくる。


「ねえ吉樹、今年はJCRC(ジェイクロック)に出るの?」

「一応出るつもりだよ。まだ1回しか決勝いってないし、他のバリスタ競技会には格段に実力の違う相手がいるから、優勝できるとしたら、これくらいしかないと思うよ。お姉ちゃんは大会に出ないの?」


 吉樹が顔を後ろに向けながら尋ねると、柚子は後ろめたい顔のまま、目線を下に落とした。


「――去年でもう最後にするって決めたから」

「そう言ってる割にはさ、まだ諦めきれないって目が言ってるよ」

「でも、優子さんと一緒に卒業するって言っちゃったし……」

「優子さんは5月の世界大会に出るんでしょ。だったら一緒じゃないじゃん」

JCC(ジェイシーシー)の締め切りは明日までだぞ」

「……」


 柚子は決して乗り気ではなかった。卒業するとは言っても、史上初めてであろう仲人バリスタという位置も分からない目標を目指すためだ。仲人になるのにバリスタとしての実績は必要ない。だが誰もなったことのない仲人バリスタを目指すと言うなら、バリスタとしての実績の1つでも持っていた方が、話のネタにはなる。既に国内予選の覇者としての経験はある。問題はそれで納得しているかどうかだ。


「柚子、仲人バリスタになるんだったら、バリスタ競技者としての経験はあった方がいいと思うぞ」

「この前あず君が私たちとお店を離れた時、リサたちに任せないといけなかったでしょ。バリスタの本分はお客さんにコーヒーを提供することだと思うけど、大会がメインになってる気がしてならないの」

「柚子の言いたいことも分からんではないけど、この店だっていつ潰れるか分からないし、5年後にここが残ってる保障はない。でもバリスタ競技者としての実績は絶対に潰されないし、何かあってもその実績で飯を食っていけるようになる。そのための大会だ。客をもてなすのも大事だけどさ、体力がある若い内にできるだけ実績を積んでおけば、それで一生飯を食っていける」

「あず君がそれを証明しちゃったもんね」

「まあな。今だったら店をやらなくても、仕事の方から勝手に舞い込んでくるし、コーヒー農園に投資したお陰で、コーヒー豆を購入している世界中の輸入業者からお金も集まってきてるし、これでようやく本来の夢を叶えることができたわけだ」


 僕は今、収入源を確立したことで、こうして好きなことをしながらのんびり暮らすという昔っからの夢を叶えたばかりか、璃子たちの夢をも叶えることができたのだ。実に不思議な感覚だ。自分の夢が叶ったことも嬉しいけど、それ以上に人の夢が叶ったことの方がずっと嬉しいと思っている自分がいる。


 かつて金華珈琲のマスターに言われた台詞を思い出した。


『本当に幸せな人は、自分よりも他人を幸せにできる人だよ』


 マスターが言っていたことは真実だった――少なくとも、僕にとっては。


 璃子の夢を全力で後押ししている時は、本当に璃子が店が開けるかどうかを第一に心配していた。


「夢が叶ってからのあず君は本当に変わったね。周りを顧みる余裕ができたっていうか、人の夢を応援したり、人の背中を押したりするようになったりね」

「元からこういう性格だ。夢が叶ったから、やりやすくなっただけ。柚子には立派な仲人バリスタになってほしいな。多分、世界で最初の例になるだろうし、模範にならないとな」

「あず君がそれを言うと、なんか重いんだけど」


 不安げな顔で柚子が言った。僕は最初の例をうっかり通過しちゃった1人だ。


 生半可な道じゃなかった。アジア人初のバリスタオリンピックチャンピオンになるために、どれほどの血と肉を削ったか。苦労は僕にしか分からないが、僕にしか見えない美しい景色でもある。


「そりゃそうだ。最初の例になるってのは先駆者になるってことだ。先駆者として生きるなら、それなりの覚悟を持つことだな。社会は平等じゃない。多数派になれなかった者には相応の課題とハンデがつきまとう。マイノリティの宿命だ。その課題を払拭していくのが、先駆者と呼ばれる者たちの務めだ」

「正直に言えば……怖いよ。でも覚悟はある。私は初めての仲人バリスタになって、コーヒーを通して人と人を繋げて、願わくば結婚まで漕ぎ着けられたらって思ってる」

「そのためには、まず何が必要だと思う?」

「……やっぱり、バリスタとしての実績なのかな。バリスタ競技会で有名になったら、今まで以上に色んな人たちの仲人になれるのかな」

「試しに自分のチャンネルでも立ち上げて、仲人バリスタを名乗って、コーヒー好き同士をくっつける活動でもすればいいんじゃね」

「それいいかもね。じゃあ私もJCC(ジェイシーシー)に登録しようかな」

「分かった。登録しておく」


 柚子は引退宣言を早くも撤回した。


 やっぱそうこなくっちゃなー。柚子はもっとがっついていった方がモテる気がする。


 親から引き継いだ仲人気質なのか、気に入った人がいても、すぐ他の人に譲ってしまう悪い癖があるのだ。柚子が結婚できない理由がこれだ。こういうところを好きになってくれる人は意外にもいない。目立たないからだ。というか仲人が目立つことを良しとしていたら商売にならない。だが今はスポットライトを浴びなければ、いないのと同じと見なされる時代だ。


 仲人の定義や立ち振る舞いも、見直しの時期に来ているのかもしれん。


 2020年1月8日、次男の葉月祈(はづきいのり)が生まれた。


 起きてから生まれたという知らせを聞くと、すぐさまタクシーを呼び、唯が入院している病院まで駆けつけた。個室に足を運ぶと、ベッドには唯がぐったりとした様子で横たわっており、彼女の目線の先には生まれたばかりの祈が元気そうに暴れるように燥いでいる。


 茶髪で顔は僕によく似ている。体は他の赤ちゃんと変わらない。雅は虚弱体質で心許ないが、祈は起きている時、ずっと腕や足を振り回すくらいの元気がある。


 祈の体を優しく丁寧に持ち上げた。


「……結構重いな。うわっ! ちょっ! 暴れないでっ!」

「ふふっ、子供たちの中でもかなり元気な子かもしれませんね」

「子供は元気すぎるくらいが丁度良いと思うぞ。年を取ったら暴れたくても暴れられない。若い内は暴れさせておけばいい。どうせいい歳になったら落ち着くから」

「人に迷惑をかけなきゃいいんですけどねー」

「人にはどうしたって迷惑をかける。子供たちには、他人からの多少の迷惑は許してやれって教えてやるつもりだ。日本人が1人1人の違いに不寛容なのは教育の成果なわけだし、この茶髪も指摘されるんだろうな。こんなに可愛いのに」

「まあ、その時はその時ですよ」


 自信を持ってと言わんばかりに、唯が僕に微笑みかけてくれた。


 すると、不思議なことに、祈はすっかりと大人しくなってしまった。赤ちゃんというのは母親の言葉が1番落ち着けるんだろうか。4人の子供の内、黒髪は長男の雅だけだ。


 確率の神様は子供たちに試練を与えなければ気が済まないらしい。雅は比較的ストレスフリーに過ごすことができるだろう。問題は他の子供たちだ。学校や他の大人たちからいかに子供たちの創造性や好奇心を守りながら育てられるかが、今後の課題になりそうだ。僕らの中には、無自覚にリンチを繰り返す集団がいる。真の敵は僕らの中に存在することを決して忘れてはならない。


 そんな心配をしながら、僕は唯と祈の様子を見届けて帰宅するのだった――。


 1月中旬、どうにか新しい6人体制にも慣れてきた頃だった。


 まず最初に美羽が、次に明日香が陣痛を起こして入院した。


 美羽は次男を出産し、後に続くように、明日香も長男を出産した。今年最初の営業から美羽抜きで仕事をしなければならない状態が続いていたが、5人体制なら既に慣れている。


 僕、伊織、千尋、柚子、吉樹、美羽の内、吉樹と美羽については、穂岐山バリスタスクールの仕事を兼業しながら、うちでの仕事をこなす予定だ。兼業って楽じゃないけど、僕もバリスタと動画投稿者の仕事をこなしているわけだし、慣れてしまえば問題ないか。


 そんなことを考えていると、扉の向こう側からマイスターこと、相川が入ってきた。隣には相川にそっくりな小学生くらいの小さな子供がいる。伊織が相川たちを席へと案内し、彼の子供が周囲の客席をキョロキョロと見渡しながら、相川と共にカウンター席へと腰かけた。


「もしかして息子?」

「ああ、うちの次男。葉月珈琲に来たいって言ってたから連れてきた」

「この年でコーヒーに興味を持つとは珍しいな」

「まあな。この前より客減ったよね?」

「当然だろ。璃子の店を近くに置いたことで、長蛇の列を分散するようにした。不況で売れなくなったら客の奪い合いになるリスクもあるけど、それが気にならないくらいには売れてるから問題ない」

「相変わらず奇抜なことするよなー」

「それは君が言えたことか?」

「はははははっ! 確かに」


 相川は世界的なIT起業家となり、IT業界の第一人者であり続けている。


 研究者なども兼ねており、数多くのテレビ番組や動画で御意見番としての地位を確立している。これ以上に分かりやすい成功例もないだろう。既婚者ではあるが、人気は衰えることを知らない。4人の子供を持つ父親でもあり、子供たちの教育方針について意見を聞きに来たとのこと。


 彼の子供は4人共男子だが、当分は世継ぎに困らないだろう。


 今はシンガポールに住んでおり、最先端の教育を子供たちに施している。


「子供はホームスクーリングで育てるつもり。何だかんだ言ってもさ、結局は通学して就職していった連中と同等以上の人間にできればそれでいいわけだ。まあでも、社会科見学の一環で学校に1日だけ行かせてみるのもいいかもしれんな。こうやって社畜が作られていくんだよって説明しながら回るとか」

「工場見学かよ。あっ、そうそう、社畜養成工場読んだよ。あれ結構面白かった」

「ありがとう。みんなからは不評みたいだけど」

「でもあの本の影響でホームスクーリングを選ぶ家庭も出てきたみたいでさ。まあホームスクーリングは中流層以上の家庭じゃないと、お勧めはできないけどな」

「公立の小中学校以外はお金かかるからなー。貧困家庭で学校以外の選択肢がない子供ばかりが通う場所になっていくだろうな。所詮は保育所の延長線上の存在にすぎない。どうしても忙しい時だけ学校に預けるとかでいいんじゃないかと思ってる」


 学校に行ったところで、普通の日本人以上の存在にはなれない。今の社会で普通の人になっても淘汰されるのは必至だ。均質性の高い奴隷を量産する意味はなくなった。


 これからはそれぞれの親が自ら子供にとっての最適な教育方針を考えていくべき時代だ。全ての子供が集団生活に向いているわけじゃないという事実は、もっと知られてもいいはずだ。


「子供たちには行きたければ行けばいいし、行きたくなかったら行かなくてもいいって言ってるけど、最近うちの次男があず君の影響を受けて、バリスタを目指すって言い出しててさ、どうやってバリスタを目指せばいいのかを聞きたくてな。葉月珈琲か穂岐山珈琲のどっちに行きたいかって聞いたら、葉月珈琲であず君に教えてほしいって言ったから連れて来た」

「なるほど。でもバリスタになるだけなら動画教材で十分だし、今のバリスタ事情だったら、僕よりも伊織に聞いた方が早いと思うぞ」

「えっ、私ですか? シグネチャーだったら、あず君の方が詳しいんじゃないんですか?」

「僕が最後にシグネチャーを作ったのいつだと思ってる? もう3年前だぞ。今となっては伊織と千尋の方が、ずっと今のシグネチャー事情に詳しいんだ。それに僕の研究データは全部インターネット上に公開されてるし、その時点で知識量で言えば、みんなと互角なわけだ。だったら今研究してる奴が最も精通してるってことだからさ、伊織に聞いた方がいいかもよ」

「筋は通ってるね」


 僕らのそばで聞いていた千尋が腕を組みながら言った。


「えー、あず君がいい」


 相川の次男が相川に向かって言った。子供は本当に素直だ。


「あず君の方がいいんだってさ。教えてやってくれよ」


 同意するように相川が言った。まっ、基礎知識を教えるくらいなら別にいいか。


「しょうがねえな。じゃあよーく見とけよ」

「うんっ!」


 丁度ドリップコーヒーが注文モニターに表示されたため、普段なら客足が落ち着いてきた時には伊織に任せるところを僕が淹れることに。いつも通りの感覚を忘れず、コーヒーの基礎を説明しながらケトルを使い、透き通るくらいに洗練されたコーヒーを淹れていく。


 底が見えるくらいに澄み切った赤茶色に輝くコーヒーから、花のようなアロマが漂ってくる。


「いいか、美味いコーヒーを淹れるためには、コーヒーの声を聞いてあげないといけないんだ」

「へぇ~」


 アロマに釣られて紫と雅が2階から下りてきた。2人共コーヒーに興味津々だ。ケトルから目を離そうとしない。2人共見様見真似でコーヒーを淹れるようになっている。


「この前飲んだコーヒーと全然違う。花でも入れてるの?」

「これはフローラルアロマだ。コーヒーの風味には色んな要素がある。アロマ、フレーバー、アフターテイストがあって、それはコーヒー豆の種類とか、育った環境によって個性が異なる。ゲイシャはフローラルアロマが特に顕著だ。パナマゲイシャは柑橘系のフレーバーを感じやすくて、コロンビアゲイシャは葡萄系のフレーバーを感じやすい傾向があるってわけだ」

「今だったら、伊織お姉ちゃんが作ったシドラブレンドがお勧めだよ」


 紫と雅が口々に持っている知識を精緻に語り始めた。


 特に紫はまだ5歳になったばかりだというのに、コーヒーの基礎を一通り覚えてしまった。


 この知識量は本当に凄い。子供だから何もできないと勝手に決めつけるんじゃなく、子供が興味を持ったことに、とことん没頭させてやるのが1番の教育なのだ。


 伊織はこの光景に顔がぽかーんとなっているが、相川は快く受け入れている様子だ。


 やっぱり1番を取る人は器が違うな。


「最高の教育を受けさせたいのは俺も同じだからさ、葉月珈琲だったら、バリスタになる上で、最高峰の教育を受けられると思った。今だったら、子供が興味を持った分野の第一人者に簡単にアクセスできるからな。早い内に1番の専門家に教えてもらうのがベストだと思った」

「第一人者?」

「ああ。俺はコーヒー業界の第一人者だと思ってる」

「確かに」


 千尋が頷きながら言った。その顔には一瞬だけ悔しさが滲み出ていた。


 コーヒー業界の第一人者か――尊厳ある二つ名も悪くない。


 もはやうちのナンバーワンバリスタの称号は伊織に譲ったものとばかりだと思っていた。


「じゃあさ、もしうちの子供がITに興味を持ったら、その時は面倒を見てやってくれ」

「あー、それくらいならお安い御用だ。いつでもシンガポールで待ってる。時々はこいつをここに勉強しに来させるから、その時はここで面倒を見てやってくれ」

「分かった。バリスタを育てるくらいなら、お安い御用だ」


 相川と交換条件とも呼べる約束を交わした。インターネットに依存せざるを得ない時代だ。動画の編集やプログラミングくらいであれば、快く引き受けてくれる人がいた方が鬼に金棒だ。


 相川たちはこの日の内に、シンガポールへと帰っていった。


 SNSでも時々はメールで会話をしている仲だ。流石は昔からのゲーム仲間なだけあって、気さくに話してくれる。本当に心強い味方を持ったと気づかされた。


 夜を迎え、スマホを見てみると、璃子からメールが届いていた。


 璃子がうちを離れてもう何週間も経つが、ずっとここで働いてくれていたのが昨日のことのように思えてくる。真理愛はようやく自分の家を見つけたかのように葉月商店街に慣れ親しみ、葉月ローストと競合することなく、コーヒーカクテルをうまく売り続けている。


 このままうちから店ごと独立しちゃっても全然OKなんだが、あの性格じゃ、そんなことは言わないだろうな。何だかんだで帰属意識が強いし、バリスタ競技会から卒業した後、これからはコーヒーカクテルの講演会を開いたり、俊樹のサポートに回ったりと、やりたいことがたくさんあるようだ。


 優子は実家を愛梨に任せ、新天地でコーヒースイーツの他、今までに作ってきた懐かしのスイーツなんかも手掛けている。余った時間は全てスタッフ育成に費やし、そこにいるバリスタ担当の指導も怠っていないようだ。今後は色んな店から伊織や千尋のライバルが続々と現れるだろう。


 競争力が上がっていけばコーヒー業界の地位がメジャー業界と呼べるものとなることは間違いない。大会が毎年ニュースになるくらいにはなってほしい。


 璃子は愛梨の件で苦戦しているようだ。


『お兄ちゃん、最近ずっと愛梨に恨みを持っている人が店にやってくるの』

『そいつは何か言ってた?』

『一応蓮が対応に当たってくれたよ。でも平行線のままで、愛梨はその人が居座っているだけで集中し辛いんだって。それがチョコの味にも表れていて、このままじゃ、専属ショコラティエは厳しいかも』

『分かった。一度店に行って事情を聞いてみる』

『ごめんね。大会が近いのに』

『気にすんな』


 本来店で起こったことは店の中で決着をつけるべきだが、このままじゃ埒が明かない。


 璃子は仕事に専念するために、愛梨の面倒を見る余裕がない。


 集中が切れるということは、どこか後ろめたい気持ちがあるってことだ。


『いつも何時くらいに来るの?』

『2時から3時くらいに来るよ』

『暇人だな。この前はスーツで来てたけど、今日はどんな服だった?』

『今日もスーツだったよ。あの様子だと、多分会社の営業をするふりをして、ここに来ているパターンだと思うけど、そうじゃないなら、無職を悟られたくなくてスーツを着ているのかも。でも本当に弟想いなのはよく分かった。今でも許せないみたいだよ』

『愛梨はオープンキッチンに出ないの?』

『営業時間が終わるまで、怖がって外に出ようともしない。だから私が代わりにチョコをショーケースに並べてるんだけど、そのたんびに声をかけられるのが辛いみたい。蓮と静乃はお客さんが多いこともあって、自分たちの仕事で手一杯だし、もうどうしたらいいか』

『明日そっちに行くから、愛梨を店に留めておいてくれ』

『うん、分かった』


 愛梨が安定して良質なチョコを作ってくれないと、璃子の負担が更に重くなるし、倒れてしまったら店の営業に関わる問題にまで発展する。どうやら葉月ショコラには、大きな問題が残っているようだ。この大岩を取り除かない限り、長期的に見て悪影響を与えかねない。


 無能な働き者のせいで店が立ち行かなくなるのは不愉快だ。もう愛梨1人の問題じゃない。


 とりあえず会ってから事情を聞いて、解決策を探さないとな。

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読んでいただきありがとうございます。

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