264杯目「焙煎の神髄」
11月中旬、僕と伊織はそれぞれの大会に出場するべく、台湾へと赴いた。
WCRCとWSCの舞台が僕らを待っている。
「愛梨ちゃんのことが心配なんですか?」
僕の隣の席に座っていた伊織が心配そうな顔で僕に尋ねた。まだ研修期間中とはいえ、愛梨が僕の急所となってしまったことが気掛かりだ。今頃は璃子の家でショコラティエ修行の真っ最中だろう。愛梨の様子を定期的に報告するよう璃子に言っているが、今のところは問題なさそうだ。それもそのはず、彼女はクローズキッチンに引き籠らせ、客とは極力接しないようにしている。
葉月ショコラもまだオープンしていないし、オープニングスタッフとして雇うには店に慣れさせる必要がある。プレオープンの時期になれば、蓮や静乃も合流させる予定だ。しばらくは璃子を休ませて修業につき合ってもらうわけだが、優子には最後に孤独な仕事をさせることになっちまったな。
「そうじゃない。璃子の新店舗に実験台を押しつける形になってな」
半ば強引に彼女のお守りを璃子に任せる結果となってしまった。心配なのはむしろ璃子の方だ。相手は大人であれば刑務所レベルの前科持ち、しかも付け焼き刃の口約束をしたばかりだ。
やり返さない勇気。それを貫くのは並大抵のことじゃない。言い返しても殴り返しても、そのことだけが取り沙汰され、こっちとしても一発でクビにせざるを得なくなる。うちで発達障害者を安心して雇えるかどうかが、彼女で決まると言っても過言ではない。
これは壮大な実験だ。採用の幅を広げられるかどうかの――。
「私、愛梨ちゃんのASMR動画をよく寝る前に聞いてるんです。それで寝落ちしちゃうこともあるんですけど、最近の動画でショコラティエになるための修業を始めることになったって、凄く嬉しそうに言ってたんです。私はそれを聞いて愛梨ちゃんを応援したくなりました」
「期待するのは自由だけど、愛梨がうちの職人に値するかどうかはあいつ次第だ。1つ言っておくぞ。大会が終わるまでは愛梨のことを気にするの禁止な」
「どうしてですか?」
「もし仮に愛梨のことを気にしていたせいで、大会に集中できなかったことを彼女が知ったら、あいつは間違いなく自分を責めるぞ。ああ見えて責任感の強い奴だ。引き籠って動画投稿とか生放送とかをするようになったのは、自分の性格をよく知っているからだ。外に出て人に会いに行くような仕事をすれば間違いなく迷惑をかける。だから最初は引き籠りに徹しようとしていたわけだ」
「分かりました。大会が終わるまでは集中します」
伊織がゾッとした顔で答えた。すると、飛行機内から着陸のアナウンスが聞こえた。
もう台湾に着いたようだ。これだけ早いなら、日帰りで旅行ができるな。
ここは台北。台湾こと、中華民国の首都である。僕らがここにやって来たのは、2つの世界大会に挑むためだ。サポーターである親父と千尋は僕らの前の席にいる。
飛行機から降りると、4人で一緒に台北の町をキョロキョロと見渡した。
最初に僕に気づいた台湾人が僕に呼び掛けてくると、そこから芋蔓式に人が集まり、僕らの周りには人だかりができていた。さっきからざわざわとうるさかったのがより一層酷くなった。みんなさっきまでは普通の顔で町中を歩いていたというのに、僕に気づいた途端、スマホで一斉に写真を撮り始めた。
何人かとツーショット写真を撮ると、スマホを持っていた台湾人たちが興奮しながら喜びを露わにしていたのだ。そんなに嬉しいのか? 僕の画像なんていくらでもあるけどな。
「やっぱり人気ですね」
「今じゃどこに行ってもこれだ」
「私はむしろ羨ましいくらいですよ」
「ちやほやされるなんて、全然良いもんじゃねえぞ。時間は取られるし、もみくちゃにされるし、無駄にざわつくし、目立ってしょうがねえや」
「お前は人嫌いのくせに、よく目立つからな」
「そうそう。今からでもバリスタの才能を天に返したら?」
「結婚してから減らず口がまた増えたなぁ~。新郎君よぉ~」
半ばからかうように言い返した。
「何ですぐにバラすかなー」
照れ隠しをするような仕草で愚痴をこぼす千尋。
千尋は今月の初頭、明日香と結婚したのだ。
既に婚姻届を提出し、2人は人生の新たなスタートラインに立ったばかりである。結婚はゴールインではない。共同生活のスタートである。法的に結婚していなくても、それは同じだ。
千尋、本当におめでとう。結婚制度自体に反対している僕が言っても何の説得力もない。
――でも今だけは祝ってやりたかった。
「えっ、千尋君、結婚したの?」
「はい。美容室で知り合った子と仲良くなって」
「その年で結婚か。子育ては大変だぞ」
「覚悟はできてますよ。少なくとも、誰かさんの扱いに比べたらずっと楽ですよ」
千尋が僕の顔を見ながらクスッと笑った。あーあ、すっかり元に戻っちまったよ。
明日香と何度も引き離されそうになった時は、あんなに謙虚で辛抱強かったのに、敵がいなくなった途端にすっかり油断してやがる。こいつは何度足元をすくわれれば懲りるのだろうか。
まあでも、何度折れかけてもへこたれないところが、こいつの長所でもある。
明日香はそんな千尋の調整役として支えてくれるだろう。
最初に会った時から、とても素直で明るい。捻くれているこいつとは対照的なのも良い。
「ところで、予定はどうすんだ?」
「WCRCは3日かけて行われるのに対して、大会3日目にWSCが行われるから、伊織は僕よりも余裕を持って参加できるわけだ」
「3日目ですか。1日目が良かったです」
「早く終わりたいのか?」
「だってその方が、余裕を持ってあず君を応援できるじゃないですか」
「理由は恐らく、優勝トロフィー授賞式の日にお偉いさんが来るからだろうな」
「大人の事情ですね」
大会前だというのに、すっかりと冷めている様子の伊織だが、これにはちゃんとした訳がある。伊織がシグネチャーの開発をしている間、度々千尋が訪れては伊織のシグネチャー開発に文句を言って味の調整をやり直していたからだ。このまま大会に出場して勝てるかどうかが不安な上に、彼がお手本のように作製したシグネチャーに味で劣っていたことに、すっかりと気落ちしてしまっていた。
シグネチャーに関しては、千尋が一歩上手だった。
それもそのはず、千尋は来年に行われるWBCに出場するべく、様々なシグネチャーを開発するべく、世界中の葉月珈琲傘下のコーヒー農園を回ることになり、来年まではしばらく会えなくなる。千尋自身は自ら触れて体験するタイプだ。
僕のように頭の中で創造するタイプとは違う。
千尋は生きた経験を欲している。そっちの方が伸びるというなら、僕は投資を惜しまない。
「あず君、台湾に降り立ったのはいいですけど、これからどうするんですか?」
「近くにカフェを借りてる。焙煎機もサイフォンも用意してある。大会までみっちり練習するぞ」
「カフェを借りたんですか?」
「ああ。大会が終わるまで貸し切りだ」
「お金持ちですね」
「僕の練習に貢献できるんだったら、喜んで貸し出すって言われたからタダだ。法人化してからはお金を払って、会場近くの店を貸し切りにするプランだったけど、結局、いつも誰かに厚意で店を貸してもらってるんだよなー」
「この前も鈴鹿さんにお店を貸してもらってましたね」
「あず君だったら、お金がなくても生きていけるかもね」
千尋が意地悪そうな顔で言った。確かに飯を食っていくだけだったら、苦労する気がしない。
何も持っていなくても、ただで何でもやりますみたいな人がいたら、飯ぐらいは奢ってもいいって思う人多いだろうし、僕自身がブランド化しているせいか、行く先々で店のお勧め商品をタダで試食させてもらえたりして、ウィーンでもほとんど食費がかからなかった。
「あず君が評価したというだけで、爆売れしますからねー」
「だからカフェ巡りの時、おまけが何度も出てきたわけか」
「本当に大したもんだ」
「サラリーマンにならなくて良かっただろ」
「結果論だ。みんながみんな、あず君みたいにうまくいくわけじゃない。だから伊織ちゃんを中卒で就職させるって話を聞いた時は心配だった」
「普通科の教育ほど、役に立たないものはないからいいんだ。これからは子供の内から好きなことに没頭していた連中に価値が出てくる。何の信念もなく、惰性で進学とか就職とかしてる奴は、株価が暴落するように価値が下がってくる」
「あー言えばこーゆー」
呆れながら親父がため息を吐いた。
会場近くに借りたカフェ、『フォルモサ』を訪れると、客席の半分程度を客が埋めていた。サングラスをかけているお陰でバレることはなかったが、有名人ってこういうところが辛いな。
「なあ、今日からここに泊まるのか?」
「そうだ。マスターは長期出張でいないから、今はマスター代理以外はバイトしかいない。ここのマスターからは自由に使っていいって言われてる。その証拠に、ここの鍵の在り処も知ってる」
「よくそんな許可貰えましたね」
「元々ここのマスターがかなり自由すぎる人で、世界中のカフェとコーヒー農園を回ってる。うちの農園に来てくれたこともあって、その縁でここを貸してもらえることになった。伊織も確か、うちの店で一度話したはずだ。バリスタオリンピックの前に一度来た奴だ」
「確か台湾からいらっしゃった人がいましたね。もしかしてあの人のお店なんですか?」
「そうだ。今年のバリスタオリンピック台湾代表、リー・チェンミンだ。気さくな性格だったろ?」
「はい。あの人のことはよく覚えてます」
伊織が僕の顔を見ながら言った。覚えている理由は簡単だ。中性的な見た目でとても可愛いが、実は男性であり、ファンからは台湾のあず君と呼ばれているほどの人気ぶりだ。
――その代名詞、重くないか?
なんて思った日もあったが、実績は確かだ。
僕と同い年で、3大会連続でバリスタオリンピック台湾代表に選ばれた実績を持つ。
他にもWBCやWLACでファイナリストとなっている。
「この人、男なのにめっちゃ可愛いじゃん」
千尋がスマホでリー・チェンミンの画像を見ながら言った。
ブーメランなんだよなぁ~。千尋もめっちゃ可愛いぞ。言えないけど。
「あず君みたいですねー」
「誰にでもそっくりさんっているんだな」
「何でも、チェンは僕にそっくりだからっていう理由で僕がバリスタオリンピックで優勝してからは、滅茶苦茶人気になったらしい。まっ、そういうわけだから、大会が終わるまでここに泊まるぞ。伊織、あそこにサイフォンがあるから、今の内に練習しておけ」
「はい。分かりました」
フォルモサのマスター代理とバイトたちに挨拶をし、本人確認を済ませた。これでどうにか寝床と練習場所は確保できた。後は練習のみだが、幸いにもここにはうちと同じタイプの焙煎機がある。
僕らはこの店で、大会の日まで練習を繰り返すのであった。
――大会1日目――
台北にある広い会場でコーヒーイベントが開催された。
規模は小さめだったが、僕が参加するということもあり、大勢の観客が駆けつけた。だが競技自体は参加者が焙煎に専念するため、観客はモニターでしかこちらの様子を見ることができない。ここが他のバリスタ競技会と大きく違うところである。
僕は前日まで親父のコーチを受けていたが、特に問題視された部分はなかった。コーチというよりは見張りと言った方がいいくらいには仕上がりが好調だった。
WCRCには23ヵ国から23人のナショナルチャンピオンが参加した。
この大会はJCRCとは異なり、予選も準決勝もない。つまりWSCと同様に、最初から決勝というわけだ。やり直しは利かない。ここで負ければ全てが終わる一発勝負である以上、いつも以上に最初から全力を出す必要に迫られている。
正直に言えば、こういう大会は苦手だ。
ある程度実力を持っている前提になるが、予選や準決勝は練習みたいなもの。決勝で100%の力を引き出すためのウォーミングアップという感覚でこなしてきた。こっちは段々競技自体に慣れてくる分有利なのだ。だがこの大会はいきなりの決勝である上に3日もかかる。
今までの世界大会にはなかった競技形式なだけあって、緊張を隠せなかった。
「お前、顔色悪いけど、大丈夫か?」
「大丈夫なわけねえだろ。初めての形式だぞ。一発勝負で、しかも3日もかかるんだぞ。焙煎自体は楽しいけど、1番になれるかどうかは天に祈るしかない」
「お前らしくもないな」
「僕は自信家だけど、同時に臆病者でもある。人間なんてそんなもんだ」
「優勝できる自信はあるけど、大会中は何が起こるか分からないから怖いってことか?」
「そゆこと。アクシデントさえなければ、1番を取れる」
「まさに、最強の自信家にして、最弱の臆病者ってわけか」
親父が僕から離れていった。競技中はずっと孤独だ。
1日目は提供された生豆のサンプル焙煎、競技で使用する焙煎機のテスト焙煎、生豆の品質試験となるグリーングレーディング。生豆の状態を見極めるスキルを使い、どんな焙煎が適しているのかを判断するが、ロースターには欠かせないスキルだ。コーヒーの品質の良し悪しにも大きな影響を与える。
2日目は本釜焙煎を行い、前日の内にシングル焙煎とブレンド比率やブレンド焙煎方法を考え、コーヒーの風味特性がどのように引き出されカップへと繋がるかを詳細な焙煎レポートを記載し、提出するわけだが、焙煎レポートは1日目で完成させておかなければならない。
3日目は前日に本釜焙煎で焙煎したシングルコーヒーとブレンドコーヒーを認定審査員によるカッピング審査で評価される。この日は審査員と結果発表を見守るだけであるため、僕が競技を終えるのは実質2日目である。この日は発表だけであるため、焦る必要はない。
世界大会と同じルールでやってくれていなかったら、今頃はもっと緊張していただろう。とはいえあれから1年以上も期間が空いている。できることなら早く開催してほしかったという気持ちはある。
何故国内予選の次の年に世界大会を開催するようになったのか。答えは簡単だ。
プレゼンが必要な大会であれば英語でのプレゼンの練習をしなければならないことに加え、コーヒーイベントが毎年9月に開催されることを考えれば必然だろう。コーヒーイベントに見世物としてのバリスタ競技会を開催し、競争をしながらパフォーマンスとして披露する。
ワールドコーヒーイベントの管轄外となるバリスタ競技会は、国内予選から本戦までが全て年内に行われることが多い。空白期間が不利に働くバリスタにとっては、マイナー競技会で実績を積みながら、メジャー競技会を目指してもいいかもしれない。頑丈な体にさえ生まれていれば、1年の間にいくつもの大会で優勝をできたとよく言われるが、むしろ出場回数を制限していたからこそ、目の前の大会に専念できたと思っている。それだけの集中力と頑丈な体を持てれば、きっと子供たちや次世代のバリスタたちは、もしかしたら僕以上の存在になるかもしれない。
この日、会場内でテスト焙煎を終え、残りはフォルモサで焙煎レポートを仕上げることに。
「焙煎レポートって、そうやって作るんですね」
「今日の豆の特徴を掴んだ上で、今日と同じ焙煎を2日目にやって、これを提出すればいい。課題で使うシングル用とブレンド用はこれでいいか」
「課題となるコーヒーって当日発表なんですね」
「うん。当日発表でも以前飲んだことのあるコーヒーだったら、最適な焙煎方法が分かりやすいから、全然問題ない。如何に色んなコーヒーを飲んできたかが問われる大会でもある」
「あず君の得意分野ですね」
「僕はコーヒー全般得意だ」
「ふふっ、そうでしたね」
「伊織は練習しなくても大丈夫なのか?」
「定期的に休みながら練習します。まだ旅の疲れが癒えていないので」
伊織がとろーんとした目で僕を見ながら言った。
――これ、もしかしなくても、かなり眠かったりする?
寝かせてやった方がいいな。このままだと遅かれ早かれ、本番でも無理をしてしまいかねない。伊織は自分の限界を知らないが故にどこまでも突っ走ろうとする。それは自分の体力を把握しきれていないということでもあるが、彼女はそれに気づいていない。
「伊織、今日はもう休め。そんなんじゃまともにコーヒーを淹れられない」
「私はまだ大丈夫ですよ」
「じゃあ何で目覚まし時計を大事そうに抱えているのかな?」
「目覚まし時計? ――ハッ! どうしてこんなものを……」
「体が寝たいって言ってるぞ」
実はさっき、僕がこっそり持たせた物なんだけどな。
「分かりました。じゃあ、ちょっと寝てきます」
電池が切れたように、ベッドにバタッと倒れた。僕と伊織は同じ部屋だ。向かい側の部屋では千尋と親父が同じ部屋で寝泊まりをしているが、あまり広くないために窮屈なんだとか。どうやらチェンはそこまで裕福な暮らしはしていないようだ。チェンの妻と子供は、珍しくチェンにお供している模様。
国内だけではマーケットが小さすぎるのか、海外へ目を向けていかなければ生きていけないことを話してくれていた。台湾では羨ましいことに、コーヒー豆が採れるのだ。だが国土が狭い上に、コーヒーが収穫できるほど標高が高く、適度に雨が降る地域は更に限られているために生産量が少ない。その貴重な豆を一度輸入させてもらったことがあり、家で飲んでみたのだが、これがまた本当に美味いのだ。
海外に大量に輸出することも難しく、台湾コーヒーの多くが国内消費だ。
日本にもほとんど出回っていない希少な豆。日本も沖縄であれば亜熱帯気候であるため、一応コーヒー豆の生産はできるが、まだ本格的ではない。いや、ないなら作ればいい。沖縄にコーヒー農園を作ってコーヒーの国産化ができないかを相談してみるか。
――大会2日目――
焙煎レポートを提出し、課題となるコーヒーに寄り添った焙煎を行い、シングル用とブレンド用を完成させると、夕刻、フォルモサへと戻った。
「ふぅ、後はカッピング審査と結果発表を待つだけだ」
「お疲れ様です。結構時間かかってましたね」
「この日のためだけに、何ヵ月費やしたんだろ」
顔をぽかーんとさせながらベッドに大の字で仰向けに寝た。昨日の伊織の気持ちが痛いほど分かる。
何かを頑張った後は強烈な眠気が襲ってくるのだ。伊織のコーチをしてやりたいところだが、今回はそのために千尋を呼んでいる。やっぱ大会中は他の人の面倒を見る余裕なんてねえな。
どこまで焙煎すれば美味くなるのかは、コーヒーが香りで教えてくれる。
パチパチと音を鳴らすことでも同様に分かる。これは焙煎の交響曲なのだ。
僕はコーヒーの声に精一杯応えた――コーヒーに対する最大の敬意だ。
「明日結果発表なんですよね」
「お互い様だろ。千尋にカッピングしてもらえ」
「じゃあ、あず君も後で味わってくださいね」
「分かった。しばらく寝るから、後で起こしてくれ」
「普段はこんなに早くから寝ることないのに、結構疲れてますね」
今年は色んなバリスタ競技会を見るために、結構移動したからな。
きっと今までの疲れが、一気に押し寄せてきたんだろう。天井に目を向けたまま、段々と目を閉じようとする強い力に……抗えなくなってくる。
僕は力尽きるように昼から寝静まるのだった。
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