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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第8章 バリスタ社長編
188/500

188杯目「溢れ出る目標」

 葉月珈琲に僕がいるのは週4日程度である。


 客は僕を目当てに来ていた。僕がいない日は客足が遠のくこともある。


 だが今年に入ってからは、うちの店自体が気に入られ、コーヒーだけじゃなく、店の外観から内装にも自信はあるし、料理も美味いのだから当然だ。僕は別の仕事で、唯は産休で店を空けているが、それでもちゃんと回っているあたり、流石はうちのスタッフだ。料理を必要最低限にして全員をバリスタとしてシフトさせた甲斐があった。もちろん、だからといって手抜きはしない。璃子は世界一のショコラティエとして展示会に出場することが決定している。やりたいことも言えず、僕の後ろをついてくるだけだった璃子がここまで躍進するなんて、お兄ちゃん感激しちゃう。


「じゃあそろそろ監修をお願いするね」

「そうだな。じゃあ早速やるか」


 コーヒーの完全監修をするべく、メイドインメルヘンの料理番たちに美味いコーヒーを焙煎した豆から作る方法を教えた。生豆から作るのは流石に骨が折れるだろうし、この店のコーヒーはスペシャルティコーヒーではない。だがそれでも客が喜ぶコーヒーを淹れることはできる。僕はコーヒー業界を引っ張っていく側の人間として、できることは全部やるつもりだ。


 これはコモディティコーヒーだな。一般流通しているコーヒーのほとんどを占めている。


 かなり洗練された苦味を持つブラジル産だ。これはサイフォンで淹れるのが良いかもな。バリスタ経験のない人でも習得が容易だし、一般のコーヒーながら高品質の風味を出すことができる。


「……これ、凄く美味しいです」

「ホントだ。昨日飲んだのも全く同じコーヒーのはずなのに、味が全然違う」

「コーヒーは生き物だ。育ち方や淹れ方の違いで味も変わる。このコーヒーは最初の方で嫌な苦味が出てくるから、最初だけ容器に移さずに途中からの部分だけ淹れてる。コーヒーの美味さは、如何に美味い部分だけを抽出するかに懸かってる」

「「「「「へぇ~」」」」」


 この店のスタッフたちが感心した顔で一斉に頷いた。全く同じコーヒーであっても、コーヒーが持つ個性や風味特性を最大限引き出してやれば、コーヒーに深みが出るのだ。せっかくここまで美味くできる立場……いや、責任があるのだから、バリスタは誰でも務まる職業ではないか。


 コーヒーに辛抱強く向き合える人でなければ、彼女を手懐けることなどできないのだ。


「ところで、何で莉奈ちゃんを推薦したんですか?」

「大した理由はない。メイドに知り合いがいれば安心って思った。それにさ、莉奈には飯を食えない大人になってほしくないからな」

「飯を食えない大人?」

「特徴は真面目、優しい、大人しいの三本柱。言われたことはできるけど、やりたいことは言えない。あからさまに覇気がなくて、モテそうにない感じ。そういう連中が山のようにいてさ、あいつらはそれでいいと思ってるし、学校も客だから面倒見てくれるけど、その先飯食えないんじゃないかっていうのが切実な思いとしてある。莉奈も危うくあの連中の一員になりかけてたからさ、見てられなかった」

「要するに、お情けなんだね」


 莉奈が少しばかり落ち込み気味の顔で言った。


 実際、その通りなんだからしょうがない。飯を食えない大人たちの話をした。僕に言わせれば、彼らは迷える子羊。僕のように運良く興味を持った分野で1番になった人間がするべきこと、それは僕の活躍を通して彼らの目を覚まさせることだ。みんなやる気はあるって施設の人が擁護してたけど、やる気も気力も適性もないからあんな風になっちゃったわけで、何も理解していなかった。魂と知性が抜けきって萎んだ風船になってるのに、身近にいる人が見抜けないのが残念だ。


「あず君はどうして飯を食える大人になれたんですか?」

「小さい頃は相対的貧困で、おもちゃとかゲームとかを全く買ってもらえなかったから、毎日おじいちゃんの家にコーヒーを飲みに行ってたわけ。そこでエスプレッソマシンとか、色んな抽出器具の使い方を覚えて使い込んでいる内に夢中になった。他にも色んな選択肢があったけど、その時夢中になったのがコーヒーだけだったわけだ」

「好きなものに夢中だったんだー」

「親とか教師とかってさ、子供が夢中になってることを邪魔しようとするじゃん。だからその影響で、自分は一体何がしたいんだろうって思ってる青年とか、大学を卒業して大手に入れたはいいけど、こんなんで良かったのかなと思ってる中年とかを量産しちゃってるわけ。でも僕の場合は親とも教師とも一定の距離を保って、やりたくもないことを嫌々やっても時間の無駄だっつってやり過ごしてた」


 ここまで自分のことを話したのはいつ以来だろうか。


 ラジオとか生放送とかでちょっと話したことはあるけど、今はあの時以上に詳細に話している自分がここにいるのだ。もうあいつらに対する恐怖心はない。これほどにまで堂々としている自分を見るのは何年ぶりだろうか。自分自身におかえりと言ってやりたい。


 この店のエスプレッソマシンは旧式のものだった。


 そこまで古いものじゃないけど、予算の都合で最新式を導入する気はないらしい。


「そっかー、子供の邪魔しちゃいけないんだ」

「そゆこと。それだけでもだいぶ違う。今の親は必要以上に子供を守ろうとしすぎて温室栽培みたいな教育をしちゃってる。だからあいつら、みんな優しいんだよ。優しいんだけど、社会の荒波に耐えられるだけの逞しさとか反骨精神とか、そういうのが全然ないわけ。自己肯定感がちゃんと育っていれば、なんか嫌なことがあっても、次は負けねえって思いながらチャレンジしていくわけ。でもあいつらにはそれがないから、嫌な目に遭ったからもう駄目だとか言って、ポキッて折れちゃうわけよ」

「自己肯定感を育てるには、どうしたらいいんですか?」

「自分を認めてくれる味方を見つけること。僕にとっての味方はおじいちゃんだった。今子供がいるんだけどさ、今度は僕が子供の味方になろうと思ってる」

「味方になるって、難しいんじゃないですか?」

「簡単だ。黙って見守っていればそれでいい。大人の気持ちってのは子供にも伝わるもんだ。どっしり構えてちゃんと向き合って信じてやれば、そうそう悪いことはしないって」


 こんなことは言いたくないが、犯罪者の親は自分に自信のない人に多い。自信がないからこそ、子供を辛抱強く励ますことができない。そうなると子供は孤立していき、その鬱憤が犯罪という形で表れてしまうのだ。虎沢の親も自分に自信がないのか、子供に1番以外は認めないみたいなことを常々言っていたらしい。それが大きな重圧となり、誰かをいじめることで重圧から逃れようとしていたものと思われる。どうりで成績の良い奴や自分よりも目立っている奴を重点的にいじめていたわけだ。


 自分よりも下の人を作って安心したかった。


 1番以外は認めないというある種の呪いが虎沢の人生を歪めてしまった。やるからには1番を目指せとは言うが、できなくても認めないことはない。何かで1番を目指すのは、あくまでも自分を高めるためであって、不安から逃れるための手段にしてはいけない。


「人間って、子供を持つと変わるんだねー。あたしも子供がいるから、すっごい参考になった」

「えっ、子供いたの?」

「うん。お客さんには内緒だよ」


 20代前半くらいの後ろに髪をまとめたロングヘアーなギャル系の女性が言った。


 働いている理由は人それぞれだが、この人たちの内、学生でない人は恐らく正規の職に就けなかったのがここにいる原因なんだろう。ガチで儲けたい人は風俗とかに行くんだろうが、昼はメイドで夜は風俗みたいな人はマジでいそうだから笑えない。これ以上はツッコまない方が良さそうだ。


「さっきあず君がエスプレッソマシンを使ってるところを見てたけど、すっごく速いよねー」

「あー、あれか。昔ならともかく、今はもう自慢にならねえよ」

「どうして?」


 きょとんとしているショートヘアーの女性が聞いてくる。


 この人も20代前半くらいか。めっちゃ美人だし、アイドルとかにもなれそうだけどなー。でもこれくらいの人でもアイドルになれないあたり、厳しい業界なんだろうな。


「うちが今年から導入したコーヒーマシンが今までの僕の価値を否定したからだ。昔だったら抽出するまでに色んな工夫が必要だったけど、今のグラインダーってポルタフィルターを置いておけば設定した分量が自動で出てくるし、タンピングも昔は人がやってたけど、今はオートタンパーっていう機械にポルタフィルターをはめ込んだら自動でタンピングしてくれるし、コーヒーを淹れる作業がほとんど自動化されたお陰で、素人でも簡単に良質なエスプレッソを淹れられるようになったからな」

「それって、何が駄目なんですか?」

「駄目ってわけじゃねえけど、誰でもコーヒーを淹れられるようになったことで、バリスタの定義が変わっちまった。ただコーヒーを淹れるだけの人から新しいコーヒーのレシピを作る人に変わった。つまりコーヒーを淹れるだけが取り柄の人は、他のこともできる別の人に簡単に取って代わられてしまう。創造性がない人は、これから先バリスタとしてやっていけない可能性が高い。新しいコーヒーを創造できなかったら、淘汰されていくだろうな」


 一連の作業の自動化は、まさにコーヒー業界のIT革命と言っていい。


 お陰で僕が持っている早くコーヒーを淹れる技術は全部否定されてしまったが、仕事を奪われたとは思っていない。むしろ他の人にエスプレッソの抽出を任せられるようになったのはありがたい限りだ。ただ作るだけであれば機械の方が上手だ。新しいコーヒーのメニューを創造するという、人間にしかできない仕事をすることで、機械と差別化を図る必要が出てきたのだ。


「機械と競争させられるんだ」

「いや、むしろ人間が面倒だと思ってやってたようなことを機械がやってくれるんだ。だから僕もこうして店を空けられるようになったわけだ」

「でもそういう機械って、滅茶苦茶高いんでしょ?」

「そうだな。全部で1000万くらいかかったかな」

「「「「「1000万!」」」」」


 メイド役の女性たちが驚きつつも、目をキラキラと輝かせながら僕を見つめている。


「あず君の家って凄いんだねー。彼女さん羨ましいなー」


 僕が未だに恋人なしだったら、この中の誰かに交際を迫られていたかもしれない。こういうのが苦痛な人は早めに恋人を作っておいた方がいいのかもな。お金自体が好きなのか、それとも稼げる人に魅力を感じているのか、一体どっちなんだろうな。後で唯に聞いてみるか。


「あず君って頑固な職人ってイメージだったけど、なんかイメージ変わったよねー」

「うん。考え方とか凄く先進的だし、バリスタの未来をちゃんと見通してるって感じ」


 既に今起きてるんだけどな。エスプレッソの抽出も、今誰がやってるのか分からないし。


 料理番の監修が一通り終わると、メイドインメルヘンの店長から報酬を振り込んでもらい帰宅する。どうやらオーナー店長で創業者でもあるらしい。莉奈の就職が無事に決まったのは喜ばしいことだ。


 4月中旬、真理愛と美月がそれぞれの世界大会に出場するべく、上海へと向かった。


 璃子は美月のサポーターとして、俊樹は真理愛のサポーターとして同行した。きっと来年は向こう側にいたいと願いながら観客席で応援してるんだろうな。


 結果から言えば、真理愛は最終4位、美月は最終5位だった。


 いずれも決勝まで残ったのは喜ばしいことだ。無論、うちからは入賞ボーナスが贈られる。一応僕も彼女たちを手伝おうと何度か助言をしていたが、彼女たちは助言を真に受けるのではなく、あくまでも参考にして別のものを作っていたことには本当に感心した。


 帰国予定日の営業中、真理愛が落ち込み気味の表情で戻ってくる。


「……優勝できませんでした」

「絶対優勝しろなんて命じた覚えはないぞ」


 淡々と答えた。みんな優勝以外は無価値だと思っているようだ。


 だがそんなことない。大会の意義は競技を通して、分野の魅力を世界中に広めることにある。同時に今の自分がどれほどの実力なのかを知る手段でもある。


 負けたら悔しい。その気持ちを継続的に持ち続けることが重要なのだ。やばいのは負けても悔しさを感じなくなった時だ。その時点で情熱を失ったと言っていい。悔しさがないのは夢中になっていない証拠だ。負けた時は辛いかもしれないが、勝った時の喜びは何ものにも代えがたい。それが没頭である。


「次の大会で勝てばいい。負けた経験は無駄にならない」

「あず君がそれを言っても説得力ありませんよ」

「僕だってバリスタ競技以外はずっと負け続けてきた。特に人間関係が不得手だったせいで、仲の良かった人たちを迫害から救えなかったのはかなり応えた」

「美咲さんのことですか?」


 唯が首を傾げながら尋ねた。


「いや、美咲だけじゃねえよ。何の罪もないいじめられっ子たちが次々に不登校になっていくところを見ているしかない悔しさがどんなものか分かるか?」

「うーん、分かるようなー、分からないようなー」


 真理愛が天井を見ながら難しそうな顔をしている。


 これはいじめとか受けたことのない人の顔だな。


 真理愛はうちで唯一の高学歴だ。確か早稲田卒って言ってたな。それくらいになると、みんないじめなんて馬鹿馬鹿しいものだって分かるために、いじめが起きないんだろうか。


「頭脳戦には絶対の自信があった。やり過ごせるって思ってた。でもそんな単純なものじゃないっていうかさ、あれで理屈が通らない分野は苦手だってことがよく分かった。だから今は良い勉強になったと思ってる。何事からも学べることはあるからさ、そこを見逃さないようにな」

「学べることですか。確かにチャンピオンにはあって、私にないものがありました」

「それは何?」

「経験です」


 さっきとは対照的に即答である。圧倒的な経験の差、分かりやすい答えだ。


 真理愛が言うには、この年のチャンピオンはコーヒーカクテルに特化したバリスタ兼バーテンダーであったとのこと。そういえば、真理愛にコーヒーカクテルを淹れさせる機会が少なかった気がする。


「真理愛、今年君が優勝できなかったのは僕の責任でもある」

「いやいや、そんなことないですよ」

「あるんだよ。店でコーヒーカクテルを全然淹れてないだろ? うちは昼営業だからさ、昼間っから酒を飲む人が少ない分、コーヒーカクテルを注文する人も少ない」

「それだったら、夜営業の店を作ったらどうですか?」

「! それいいかもな。コーヒーカクテル専門店にすれば、JCIGSC(ジェイシグス)WCIGSC(ワシグス)に出場する人の練習場所にもなる。うちよりずっと効率良いかも」

「それでしたら、いっそのこと育成部のような部署を作ったらどうですか?」


 唯の口から次々とアイデアが沸いてくる。ホントこういう時の唯は頼りになる。


 全部真に受けることはないにせよ。いつも参考になっている。


「あそこと同じは嫌だな」

「どうしてですか?」

「唯は何故穂岐山珈琲からワールドチャンピオンが出てこないか分かるか?」

「うーん、さっき真理愛さんも言ってましたけど、経験ですかね?」

「あの連中は高学歴で暗記力も計算力もある。でも競技の世界で勝ち抜くには、アイデアを辛抱強く考え抜く創造力とか、どっちでもないところを突破していく解決力とか、こっちのほうがずっと大事だ。あいつらは100点満点の完璧な答案みたいな作品しか作れない。でも完璧っていうのはある種の限界でもある。僕みたいに100点よりも遥か上にある無限の領域を目指している人間にはまず勝てない。みんな100点が限界値だと思ってるから、それより上に行こうとはしないわけだ」

「ここにも教育の弊害が出てるんですね」

「そゆこと。バリスタオリンピック決勝ってのは、数字で言うなら、無限よりも果てしなく上を目指した者たちの頂上決戦だったわけだ」

「あず君は無限よりも上の単位なんですね」

「なんか想像できないです」

「だからそういうのをやるんだったら、研究所みたいな場所にして、世界中から食材を好きな時に集められる施設にするのがいいかもしれんな。うちは幸いにも世界最高峰のコーヒーがあるし、コーヒーの研究が進めば、美味く飲める健康食品とかも作れるかもしれない」


 ――なんかここにいると、発想がどんどん沸いてくるなぁ。


 自由すぎる職場だから否定してくる人もいないし、こういうところにも、うちからワールドチャンピオンが輩出される理由があるのだ。まだ僕だけだがな……。


 うちとしては、2020年までに僕以外のバリスタの中から1人はメジャー競技会ワールドチャンピオンを輩出したいと思っている。次のバリスタオリンピックは2019年だ。うちから日本代表を輩出して日本勢の連覇を目指そう。真理愛は最有力候補にして葉月珈琲のエースだ。何より多くのアジア勢が苦手としているコーヒーカクテル部門に滅法強い。この強みを活かせれば、選考会通過は堅い。


 7月にはJBC(ジェイビーシー)JCTC(ジェイクトック)が始まる。


「何だか途方もない夢ですね」


 さっきまでお勉強モードだった伊織が一気に可愛らしい笑顔に変わった。


「夢はでかくなけりゃつまらないだろ?」

「はい。あの、私もバリスタオリンピックチャンピオン、目指してもいいですか?」

「何かを目指すのに、誰かの許可を取ろうとしている内は、目指してもなれないぞ」

「分かりました。目指します。途方もない目標ですけど……やります」

「それでいい。自分の道くらい自分で決めろ。自分で自分の背中を押せる人間になれ」

「はいっ!」


 意気揚々と伊織が返事をする。何だってそうだ。


 何事もまず自分がやりたいと思わないと始まらない。


 誰かにやらされていることなんて、目標でもなければ夢でもない。そんなやらされ人間は、大人たちの都合の良い駒でしかない。伊織は育つのを見守るのが1番だ。いや、もう育っているのかも。飯を食える大人にはなれた。その次は暇潰しに何かの道でトップを目指してみるのもいいかもしれん。


 勝利が人生の旨味なら敗北は人生のスパイスだ。世界一美味いカレーのような人生を歩みたい。


「真理愛、せっかく今年からジョブ制を廃止したわけだし、次のサマーシーズンに向けたコーヒーカクテルの開発をやってくれないか?」

「……はい、分かりました。次はワールドコーヒーイングッドスピリッツチャンピオンを目指します」

「その意気だ。期待してるぞ」

「はいっ!」


 覇気のある返事が聞こえた。真理愛に任せておけば大丈夫だろう。後は信じて見守るのみ。これが意外と難しく、多くの指導者が嵌る落とし穴だ。


 誰にも期待されてないくらいが丁度良い。


 そう思っている僕が……誰かに期待するなんてな。

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読んでいただきありがとうございます。

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