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社会不適合者が凄腕のバリスタになっていた件  作者: エスティ
第8章 バリスタ社長編
187/500

187杯目「変わりゆくもの」

 バリスタの将来ばかりを考えていた。


 バリスタ競技会においては間違いなく僕が先駆者だが、予想通りの未来が来るとすれば、僕を追い抜く人が現れても不思議じゃない。むしろ追い越してほしい。僕をバリスタの限界値にはしたくない。


 翌日、桃花と陽向の履歴書が送られてくる。


 桃花は僕より4歳年下で、陽向は僕より6歳年下か。2人共高校を卒業してすぐ穂岐山珈琲に入社したアルバイトだ。この歳で高卒ということは、第2氷河期世代だ。氷河期世代に対しては、最初こそ社会の被害者だと思っていたけど、同じ条件で成功している人がいることを考えると、単に彼らが雑魚だっただけな気がしないでもない。何人かそんな風に思える輩を見たことがある。去年の楠木マリッジにもいた。仕事はできないし、平気で職務怠慢をするし、直接嫌いとは言わず、卑怯な手を使って人を貶めることでしか意思表示ができない。だから出世できなかったんだとしか言いようがない。


 あんなのが平気で職場とかにいたりするから困る。


 僕が知っている中で最も無駄なコストだ。今のあいつらの地位が全てを物語っている。正社員の枠が減ったというよりは、それまでが甘すぎたとも言える。労働者の価値が下がっていく時代に、労働者になる以外は何も考えないようになる教育を真に受けていたら、そりゃそうなるよねって話だ。


「その2人が葉月ローストの新入りですか?」

「ああ。でも美月や俊樹とは違って、特に大した実績はない」

「でもこのままだと、人数不足でみんな練習時間がなくなりますよ」

「だからとりあえずの中継ぎで採用するつもりだ」

「……そんなの……あず君らしくないですよ」


 唯が落ち込みながら力ない声で言った。


「僕らしくないって、どういうこと?」

「あず君は人の中身をちゃんと見ていたはずですよ」


 半ば呆れ顔で聞いた僕に対して唯が答えた。中継ぎって言葉を使っている時点で、人を歯車としか思っていないと見なされてもしょうがない。だがそれが社長だ。そこら中にトップバリスタとしての才能を持った人がゴロゴロいるんだったら、わざわざ本命の部品が届くまでの時間稼ぎのような使い方はしない。バリスタは今や、アスリートのような仕事だと思っている。


 競技を通して人々に夢を与え、幸せにするという意味ではアスリートと大差ない。だがアスリートとは大きく違うところがある。それは持って生まれた才能に左右されにくいという点だ。


 スポーツ界を見てみると、例えばバスケットボールの選手なんかは、ほとんどが長身で体格がゴツい超人ばかりであり、他のスポーツを見ても、長身で屈強な体であるほど有利なスポーツは少なくない。


 バリスタにも才能の差はある。嗅覚や味覚の強さだ。だがいくら感覚器官が優れていようと、どんなアロマでどんなフレーバーであるかを説明できなければ活かしていないに等しい。つまり知識、経験、感覚の全てが揃っていなければならないのだ。感覚はともかくとして、知識や経験は後天的に積み上げられる部分が大きい。それに他を磨くことで、感覚も一緒に伸びていく。


 僕とてアロマやフレーバーを理解するために世界中の花の香りや果物の味を覚えていったくらいだ。感覚を活かすには引き出しが必要だ。引き出しを作るためには詰め込むことも必要だし、受験とかも別にやっていいけど、社会に出て新しいことをする時にほぼ関係ないのが大きな欠点なんだよな。


「お義父さんが言ってましたよ。即戦力なんて存在しない。だから育てるんだって。伊織ちゃんだって最初からここまでできたわけじゃなくて、修行を積んだからできるんですよ」

「――そりゃそうだけどさ、人を育てるのって大変だぞ。思い通りにならないし、ギャンブル要素のある何かをコントロールしようとしているみたいで、しかも一定確率でなんか起きて問題になるからな」

「きっと……それを繰り返すことでしか、人は大きくならないんですよ」


 唯が窓越しに夜空を見上げながら言うと、彼女と共同注視するように夜空を見上げた。


 空にはポツポツと点のような赤い星や青い星が見えている。


 僕らはその星々に吸い込まれるように見続けながら語り合っていた。


「今私たちが考えていることや、みんなが悩んでいることなんて、この宇宙の壮大さに比べれば……全部ちっぽけなものですよ」

「……そうだな。なんか小さいことがどーでもよくなってくる。空なんて全然見上げてなかった。もっと余裕を持っていいのかもな」

「会社の将来を考える姿勢は立派ですけど、未来のことなんて誰にも分からないんですから、今は目の前の課題に集中しましょ」

「……」


 夜空を見上げたまま考えた。何だかみんなから見守られているように感じた。


 おじいちゃんが今の僕を見たらどう思うのだろうか。大体想像はつく。世界一のバリスタになったとは言っても、人間としてはまだまだと言われそうだ。倒れるまでずっとコーヒーの研究に没頭していたくらいだし、多分何歳まで生き続けたとしても、ずっと同じことを続けていたんだろう。


 自分の生き方に確固たる信念があった。だから死ぬ時にも全く悔いを残さなかった。あんまり詳しい事情は知らないけど、文字通り完全燃焼した人生だったと確信を持って言える。


 僕も死ぬ時はおじいちゃんのように、悔いを残さず死ぬと決めている。


 そのためにはまず、後悔しない生き方を貫かないとな。


 8年前のあの時期が僕の生き方に大きな影響を与えたのは間違いない。焦らなくてもいいんだ。人も会社も地道に育てていけばいい。あの2人をうちに寄こした理由を美羽に聞いた。2人共人数が多く、競争の激しい穂岐山珈琲の中で埋もれてしまったが、その中でも人一倍コーヒーへの信念や想いが強いとか。僕よりも人に対する感受性が強い美羽が言うんだから間違いない。


 大事なところを見落としていたのかもしれない。


 バリスタにとって何より大事なのは知識でも技術でも才能でもない。コーヒーに対する愛情だ。愛とか想いとか、信念がない人にカフェを経営してほしくはない。美羽は僕の気持ちを汲み取ってくれていたのだ。そういえば、伊織も単に才能があるだけじゃなかったな。伊織の母親が言うには、コーヒーカップを机の上に並べて、それをワクワクしながらジーッと眺めている子供だったという。


 彼女はコーヒー関連のもの全てが好きなのだ。だが勉強が苦手であり、同級生にコーヒー好きをからかわれたことをきっかけにコーヒーの趣味を一旦封印し、それが元で魂が抜けたかのように段々と好奇心を失っていったという。つまりは自分を見失っていったわけだ。そんな時に僕と出会い、紆余曲折を経て彼女はコーヒーが好きだとようやく言えるようになった。今はコーヒーが趣味の子供が増え、昔の僕や伊織みたいな子供がコーヒーの趣味を公にしやすくなったのは喜ばしいことだ。これからは僕がバリスタやバリスタの卵を引っ張っていくのだと改めて自覚した。頂点でない内は頂点を目指し、頂点に辿り着いたら今度は誰かが頂点に辿り着くのを手伝う。それが業界のサイクルなんだろう。


 3月下旬、莉奈がうちへとやってくる。


 少しばかり派手目のコーデに身を包み、不安を隠せない顔でカウンター席に座ってくる。


「あず君、昔あず君が私に言ったこと、覚えてる?」

「ああ、高校を出るまでにやりたいことが見つからなかったら、うちに来いって話だろ?」

「それが今なの。恥ずかしい話だけど、結局やりたいこと……見つけられなかった」


 莉奈がシュンとした顔で落ち込んでいると、1杯のドリップコーヒーが置かれた。


「莉奈、これ私からの奢り」

「伊織……ありがとう」


 莉奈が伊織を見つめると、伊織も応えるように笑顔で見つめ返した。莉奈にとっては眩しすぎる笑顔だった。笑顔って難しいんだよなー。喜ぶ時にも相手を馬鹿にする時にも使える分、どう受け取るかは相手の気持ち次第。人の表情は自分の鏡だ。もし相手の笑顔が自分を嘲笑っていると思うのであれば、きっと馬鹿にされるような、後ろめたい生き方をしている証なのだ。伊織にとっては幸せのお裾分けって感じだけど、莉奈からすればお情けをかけてもらっていると受け取っても不思議ではない。


 あれっ、何で僕、こんなにも相手の意図が分かるようになってんだろ。


 ――まあいっか。特技が1つ増えたと思えば。


「最初は誰だって夢も希望もねえよ。そういうのは自分で掴むもんだからな」

「でも……もう高校の卒業式も終わったのに……まだやりたいことが分からない」

「大学受験はしたの?」


 璃子が莉奈に進学の有無を聞いた。僕には大学受験はしていないことが目に見えていた。


「うちにそんなお金はないよ」

「親戚には頼らないのか?」

「頼ってみたけど全然駄目。うちは親戚には貸し借りはしないのがしきたりみたいだから。結局、世の中才能が全てなんだ。私は凡人らしく、細々と生きていく」

「莉奈ちゃん、もっと図太く生きてもいいと思うよ。お兄ちゃんなんて、親戚から借りた高校の授業料を全部起業に使っちゃったんだから」

「それはちょっと図太すぎる気がします」


 真理愛が呆れるような表情で言った。


 生きてさえいれば何とかなる。何でもいいから我武者羅にやってみろよ。


 成功しない人は決まって挑戦すらしないものだ。莉奈は貧困によって多くの面で挑戦の機会を奪われているが、できることもあるはずだ。だがそれさえやろうとしないから困る。自分にできることは全部やったけど、それでも無理だったという人間を僕は知らない。


 途中で諦めた人は、いずれもできることすらしなくなっていく。莉奈もまさにその状態であり、これが学習性無力感だ。相対的貧困によって他の子供よりできることが少ない状態をずっと経験し続けてきたことで、自分に自信が持てなくなっていく。僕もかつては相対的貧困だったが、コーヒーという誰にも負けない取り柄があった。当時はまだ根拠のない自信だったけど、他人に無関心な性格もあり、自信を失わずに済んだ。この差は非常に大きい。愛梨は家に引き籠って動画配信者になり、ASMRという耳を心地良くする動画を投稿するようになった。まだ始めたばかりで未知の分野ではあるけど、うまくいけば飯を食っていくこともできるはずだ。透き通るような声から響く囁きの心地良さも武器だ。


「日本にいるとさー、ホント自分を見失っちゃうこと多いよねー」

「みんな自分をなくす訓練をさせられてるからな。最初はどんな子供も自分が主語だけど、年を取るにつれて、みんなが主語になっていく。そうなったら末期の状態だ。日本の卒業式は個人からの卒業と、部品の完成を祝う行事だ。昔は部品になった連中を雇ってくれる所がいっぱいあったからまだ良かったけど、雇用が不安定な時代にも労働者になることを半ば強制されて、雇い先がなかったら知ったこっちゃないなんて……そんなの無責任すぎるよな」

「……」


 蓮が店に入ってくる。行列は多少はマシになっていた。


 日本人が解禁されたとは言っても、1杯3000円のコーヒーと宣伝しているような高級カフェに来たがる人はそうそういない。中流層未満の人は、一生に一度の贅沢のような感覚で来る場合もあるが、そんな人はコンビニとかで売っているような100円のコーヒーで事足りてしまう。


「蓮、ちょっと手伝ってくれ」

「手伝うって……何を?」

「実は莉奈ちゃんが高校を卒業したんだけど、やりたいことが見つかってないって言うから、人生の先輩としてヒントを与えてやってくれ」

「ヒントねぇ~。俺もやりたいことなんて最近見つけたばっかだし、今は遊びで稼げる時代だ。そんなに意識しなくても大丈夫だと思うぞ」

「そうなの?」

「ああ。何か趣味があるんだったら、仕事は仕事と割り切って、仕事が終わってから趣味に没頭するとかしてもいい。もし趣味で稼げるようになったら、そっちを本業にすればいいし、生きていくだけだったら、割とどうにでもなったりするぞ」


 蓮の言うことももっともだ。今だったらインターネット上の投げ銭を利用すれば、100人で1人の駄目な奴を支えたりとかできるわけだし、生きるだけだったら割と何とかなる。


 僕にできることと言えば、社会の不条理を教えて、不条理を避けてもらうことくらいだ。


「就活もしたけど、どこも大卒しか雇わないって言うから、就労支援施設に行こうかなって」

「だったらバイトでもいいんじゃねえか。サッと稼いでパッと辞めて、その金で起業すればいい。大体施設に行く時点で就職向いてないって言ってるようなもんだぞ。皮肉な話だけど、就職に向いている人ほど施設に頼らない傾向が強いからな」

「確かにな。あっ、そういえば、葉月商店街に『メイドカフェ』ができるの知ってるか?」

「知らないけど、もしかして募集中とか?」

「ああ、オープニングスタッフを募集中だってさ」


 ふーん、これは話がまとまりそうだな。


 莉奈は美人だし、顔採用なら間違いなく受かるな。


「メイドカフェって何ですか?」


 真理愛が素朴な疑問を僕にぶつける。彼女には縁のなさそうな職業だし、知らないのも無理はない。


「主に女子高生から20代後半くらいまでの人がメイドを演じる。いらっしゃいませの代わりにお帰りなさいませご主人様お嬢様とか言ったりして、オムライスに客の指名した絵を描くサービスをしたり、萌え萌えキュンとか言って呪文を唱えながら魔法をかける演出をしたりする」

「何ですかその職業……大丈夫なんですか?」


 いかにも寒気が全身を駆け巡っているかのような表情だ。


 真理愛にああいうサービスはまず無理だろうな。クールで淡々としていて、物静かなバーの雰囲気じゃないと、多分耐えられそうにないだろうし、接客よりも調理の方が向いている感はある。


「お兄ちゃん、何でそんなにメイドカフェに詳しいの?」


 璃子がジト目で僕を見つめながら聞いてくる。


 ――ううっ! 視線が冷たすぎるっ! どうやら趣味を疑われているようだ。


「真由と拓也と一緒に遊びに行った時、何回か寄ったことがある。今まで見てきた飲食店の中で最も忙しい接客業だと思った。注文を聞いて運ぶだけでも一苦労なのに言葉遣いや演出にも一手間かかるし、最初に行った時点で、うちは絶対マネできないって確信したな」

「マネはしなくてもいいと思いますけど、璃子さんだったら似合うかもしれませんね」


 真理愛が璃子の方を向くと、僕は璃子がメイド服姿で接客をしている姿を想像してしまった。


 胸を強調した服にしている分、想像がしやすいのだ。


「意外と楽しそうだねー。オープンしたら見に行こっかなー。うちの近くだし」

「優子が店に入ったら場違いになりそうだけどな」

「客層がかなり偏ってるからな」

「酷いなー、人を長老みたいに」

「そういえば、うちって結構平均年齢低いですよね」

「お兄ちゃんが若い子ばかり雇うからですよ。ハーレムでも作りたいようにしか見えないです」

「大袈裟だなー。莉奈、僕が推薦しようか?」

「いいの?」

「ああ」


 彼女を見ていて気づいたことがある。人当たりが良くて可愛げもある。接客はできるが新しいものを生み出す才能には乏しい。地元の売れっ子にでもなれば、アイドルにもなれるかもしれない。


 蓮が言っていた店は『メイドインメルヘン』という店である。


 4月からオープンするらしく、元々八百屋だった場所を改装している。


 昔の商店街って、八百屋とか、精肉店とか、魚屋とか並んでたな。今はそれらが全部スーパーだけで賄えるようになった。スーパーが普及してからは、昭和ならではの店が物凄い勢いで閉まっていった。メイドカフェが出てきたのも時代の変化かもしれない。今の世は癒しを求めているのだ。


 4月上旬、僕が推薦したこともあり、莉奈が無事に店員として採用された。


 店長以外は全員バイトだけど、まずはここで何とか耐え凌げ。僕にしてやれるのはここまでだ。周囲にとっては新年度であるため、引っ越してくる者や引っ越していく者もいた。


 そんな思いを持ちながら、久しぶりの葉月ローストに赴いた。今までとは違う光景だ。


 ――ここって……本当にあの葉月商店街なのか?


 しばらく見ない間に、実家である葉月ロースト、真向かいにある金華珈琲はもちろんのこと、周囲にはコーヒー関連の店が数多く立ち並んでいるのだ。


「あずくーん、ここだよー」


 メイド服姿の莉奈が大きく片手を振りながら僕を呼んでいる。


「1週間後にオープンだっけ?」

「うん。午前12時から午後10時までが営業時間なの。私はいつも午後6時までで、今日は他の同僚たちとビラ配りやってるの。ところで何しに来たの?」

「ここの店長からコーヒーの完全監修を申し込まれた」

「あず君の完全監修となると、すっごい宣伝になるかもねー」


 ここの店長に推薦をした際、ついでのようにコーヒーの完全監修まで頼まれた。世界一のバリスタによる完全監修はそれだけで絶大な宣伝効果がある。当然僕の名前を使ってもいいわけだから尚更だ。


「で? 何で僕までこんな格好なわけ?」


 信じられないことに、僕は今、メイド服姿だ。白と黒を基調としたスタンダードタイプだが、不思議と恥ずかしいという感じはしなかった。そればかりか周囲の店員にすっかり溶け込んでいる始末だ。


 店内には20人分くらいのメルヘン仕様の可愛い机や椅子があり、2人分のマイクがついたカラオケ用の機材、壁には横に長く四角い穴があり、クローズキッチンに通じている。恐らくそこから料理を受け取るんだろう。オープンまでの1週間、オープニングスタッフであるメイド役の女性たちはきっちりとメイドカフェ特有の接客スキルを身につける。料理番は元々シェフだった人を雇っているようだ。


 問題はバリスタだな。エスプレッソマシンはなく、コーヒーの味を主体としたシグネチャードリンクを看板メニューにするらしいが、開発を丸投げされてしまった。


 ジェズヴェの大会が迫ってはいるものの、練習にはなるだろうと思って引き受けた。


「あず君って、色んなCMに出てますよね?」


 1人のメイド役から声をかけられる。外見はリサにそっくりだ。


「まあね。色々と条件つけさせてもらったよ」


 僕はこの年から企業CMに出ることに。岐阜から離れないこと、大会期間中やその前後は撮影をしないことを条件にCM会社と契約を結ぶこととなった。無論、全部うちの会社の利益だ。


 このメイドインメルヘンを含む様々な企業のコーヒーを完全監修することとなった。


 所謂時の人となっていた。声をかけられることも珍しくない。ファンサービスはしないが、個人の自由を失わない程度には忙しくなった。いくつ体が合っても足りないが、伊織に店を任せることができるようになったのもある。客たちはいつしか葉月珈琲自体を気に入るようになっていた。


 店自体が人気になったのだ。僕はようやく解放された……。

気に入っていただければブクマや評価をお願いします。

読んでいただきありがとうございます。

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