165杯目「徐々に近づく本番」
――大会2日目――
朝食を食べるため、ホテルの1階まで下りた。
この時、まだ午前9時だった。通勤ラッシュが過ぎた頃だろうか。
ホテルにはバイキング料理が相変わらず置かれていたが、思ったよりも客が少ない状態だ。1人で食べようとしていると、伊織、優子、真理愛の3人がやってくる。
「あず君、10時から松野さんの競技が始まりますよ」
「ああ、分かってる。確か今日の第1競技者だ」
「松野さんと2人で準決勝に進出できるといいですね」
「それはそうだけど、あれが吉と出るか凶と出るかだな」
「何か心配事でもあるの?」
「どの部門のコーヒーもさ、コーヒーの味が支配的でないといけないんだけど、松野の作品はコーヒーが支配的なのかなって思ったからさ」
松野がリハーサルで使っていたのは炭酸コーヒーだ。
エスプレッソのシグネチャーとして使う予定だが、炭酸化するとコーラのようなフレーバーになり、新たな味わいを出すことができるが、炭酸を感じる分、コーヒー感が薄まってしまうと感じたのだ。
それをどうやってカバーするかがあいつの課題だが。
「確かにあれはリスキーな気がします」
「コーヒーを炭酸にするって、なんか味が想像し辛いかなー」
「それより、あず君はリハーサルしないんですか?」
「夕方からやる。内容は全部覚えてるけど、ちゃんと時間内にできるかどうかだな。それから出す順番にも気をつけないとな。間違ったら全部おじゃんだ」
バリスタオリンピックでは4人のセンサリージャッジに対し、2種類のドリンクを2杯ずつ提供するのだが、1種類目を出した相手に対して2種類目を出すことができない。
1つの部門を始めたら、全部出し終えるまで次の部門に移ることができない。
センサリージャッジの負担を減らすための仕様だとは思うが、ここを間違えると失格になってしまうため要注意だ。基本的には端っこのセンサリージャッジから順番に出していけばいい。ヘッドジャッジは提供された全てのドリンクを飲むことになるが、恐らくヘッドジャッジが1番忙しい。
「優子は璃子と一緒に予選用のケーキを準備しておいてくれ」
「うん、分かった。夕方の分と明日の分を作っておくね」
「あの、コーヒーカクテル部門ですけど、約束のものはできたんですか?」
真理愛が僕に尋ねた。ワインを使ったコーヒーカクテルを淹れて真理愛の両親が経営するレストランのメニューとして提供する予定のものである。ワインのテロワールを引き出すのが難しかった。
「一応できた。ワインを使ったコーヒーカクテルだろ」
「確か言ってたもんねー。真理愛さんのお母さんとの約束だっけ?」
「はい。それが売れるかどうかで東京支店が撤退するかどうかが決まると言っても過言じゃないので」
「心配すんな。撤退なんてさせない。真理愛が自由に生きられるかどうかがこれに懸かってる」
「明日はお母さんも来ますから、驚かせてやってください」
「ああ、任せろ」
午前10時、僕、唯、伊織、真理愛の4人で松野の競技を見に行った。
日本代表の1人が競技をすることもあり、松野がいるブースには多くの人が集まっていた。テーブルの配置は至ってスタンダードだ。予選はテクニカルジャッジがいるため、衛生面に気を使って競技を行う必要がある。準決勝以降はヘッドジャッジがテクニカルジャッジも兼ねることになるが、不衛生な行為をしなければ減点にはならないためハードルは下がる。つまり、そこまで清潔さを気にしなくてもいいことにはなるが、バリスタたるもの、それで気を抜くようでは、まだまだプロとは言えない。
松野の準備時間が終わると、司会者が英語で準備が終わったかどうかを聞き、松野がそれに頷いた。既に小型マイクが装着され、声が会場のブース内に響き渡るようになっている。何だかこっちまで緊張してきたが、1番緊張しているのは松野だ。松野が制止して目を瞑り精神統一を済ませると競技が始まった。1時間にもわたる戦いが始まるが、時間内にメニューを提供しきれるかが問題だ。ドリップコーヒーはペーパードリップから始めた。どうやら切り札を使ったようだ。松野が最も得意な抽出器具はペーパードリップだが、これを最初に使うということは、準決勝までは絶対にいきたいんだろう。
シグネチャーにはボリビアゲイシャが持つストーンフルーツのフレーバーを活かすべく、フルーツシロップを投入してブレンダーにかけた。ただ抽出するだけでなく、サーバーに入ったコーヒーをジャッジに嗅がせるといった工夫をしていた。次はラテアートを始めたが、これは選択ミスだった。日本代表らしく達磨や鏡餅を描いていたが、思った以上に時間がかかってしまっていた。ラテアートのみの競技ではないため、制限時間が長いものの、どれかの部門に時間を割きすぎると、他の部門に割く時間を圧迫するのだ。僕はそれを避けるため、共通している工程は一気に済ませるようにしているのだ。
コーヒーマリアージュの中でも上級者向けとされているビターチョコレートとカフェモカというかなりシビアな組み合わせで出した。かなり味が濃い目っぽく見えるけど、大丈夫なのか?
松野の説明によると、カフェモカ自体は甘さ控えめだが、ビターチョコレートを食べた後にカフェモカを飲むことで味に落差ができ、救い上げられたかのような甘さを感じることができるそうな。フードメニューの方はクロワッサンとブレンドコーヒーを出した。審査の基準は2つの味がマリアージュしているかどうかだ。両方美味かったとしても、組み合わせが悪ければ大幅に減点されてしまう。
「――ここまでは順調ですね」
「ああ……ラテアート部門に時間を割きすぎたところ以外はな」
「残り20分で2つの部門を全部こなせますかね」
「心配ない。エスプレッソは2種類分抽出してる。コーヒーカクテル部門は作業工程がエスプレッソとドリップコーヒーが同じだし、まとめて抽出すれば、時間を大幅に短縮できる」
「そこまで分かるんですね」
「一度選考会で競技を見たからな」
ドリップコーヒーを余分に抽出したものをドリップコーヒーベースのコーヒーカクテルに使い、そのコーヒーからアイリッシュコーヒーを作成した。更に冷やしておいたエスプレッソを使ってエスプレッソマティーニを作り、最後にオリーブをガーニッシュとして添えて完成させた。他の部門でも使えるよう余分に抽出しておいたわけか。同じ種類のコーヒー豆を使い回すことになるが、そこが心配だな。
エスプレッソを4ショット分抽出し、2ショット分を2杯分のエスプレッソとして提供し、残り2ショット分をソーダマシンを使って炭酸化した。この時使ったのがコロンビアゲイシャ、うちのとは違う種類であり、普通に飲んだ場合はキャラメルやカカオのフレーバーを楽しめるが、炭酸化することで、コーラのフレーバーに生まれ変わる。僕らが最も懸念していたコーヒーがこれだ。炭酸感が強いとコーヒーが持つフレーバーを感じにくくなり、減点される危険性があるため、他のバリスタはソーダマシンを使いたがらないが、そこにあえて挑戦する理由は何だ?
ポルタフィルターを合計3つ使っているが、この大会に限って言えば全然ありだ。これで抽出する時間を短縮することができ、十分な量を短時間で提供できる。やはりそこまでは考えていたか。
「私はコーヒーが持つ可能性をもっと引き出したいと思いました。私はこれらのコーヒーが皆様を幸せにすることを願います。ありがとうございました。タイム」
松野の競技が終わり、会場からは惜しみのない拍手喝采が起きた。
汗だくになりながらも両手を上げて歓声に応えていたが、僕は両手で両耳を塞いでいた。両側から聞こえる拍手がマジでうるさかった。今度はこれを会場の中心から聞くことになるのか。
「どうにか間に合いましたね」
「提供ラッシュで滑り込みセーフってとこか」
「あっ、松野さんがダンボール箱からボールを引いてますよ」
「あれを引いて初めて自分のチームが分かる。うまくスコアの高い人ばかりのチームに入れば、順位が悪くても、ワイルドカードで準決勝まで進むことができる」
「でもあず君はワイルドカードなんて当てにしてませんよね?」
「当たり前だろ。運も実力の内とは言うけど、やっぱ素の実力で勝ち上がりたいからな」
松野がインタビューを受けている間、サポーターである結城が片づけをしていた。
あいつも本当は出たかったんだろうな。競技者として。
穂岐山珈琲のオフィスビルへと戻り、リハーサルを始めることに。璃子と優子がケーキを作って待っていた。そうだ、参加してるのはバリスタだけじゃない。葉月珈琲の全員が国を背負うサポーターだ。
「お兄ちゃん、予選の課題のケーキができたよ」
「おっ、美味そうじゃん。やっぱ2人で一緒に作ったのが1番美味いな」
結局、マリアージュ部門のスイーツは璃子と優子の合作を用いることに。
せっかく2人いるんだし、一緒に作った方が作るスピードも速い。誰が作ったかも大事だが、誰と協力して作ったかも大事だ。いつものように2人で協力して作ったものこそ、最も葉月珈琲の味を現出していると思えた。1番美味いものを最後に残すんじゃなく、1番美味いものを3種類作る方針だ。
「少し早いけど、リハーサル始めるか」
「そうですね。あず君のコーヒーマリアージュ、楽しみです」
夕食を迎えるまでの間、ずっと明日のプレゼンに向けたリハーサルをしていた。
特に夢中になっていたのが伊織だった。ずっと笑顔を崩さないまま、提供されたコーヒーを他のセンサリージャッジ役の人たちと一緒に飲み干していった。
ここには穂岐山珈琲の面々も何人かいたため、余ったコーヒーなどは全部彼らに飲んでもらっていたのだが、終わりかけになった頃、松野が美羽たちと一緒に戻ってくる。
「ずっとリハーサルやってたのか?」
「はい。これでもう3週目ですよ」
穂岐山珈琲の社員の1人が松野の質問に答えた。
センサリージャッジ役の腹はもうタプタプになっているはずだ。
「3週目っ!? そんなにやってたのか!?」
松野が言いながらも、1つ1つのコップを飲んでいく。
「――これ全部違う味がするぞ」
「そりゃそうですよ。あず君は予選、準決勝、決勝の3パターンでリハーサルをしていたんですから」
「3パターンでプレゼンっ!」
「ふふっ、あず君らしいね」
「お前なー、まだ決勝までいけると決まったわけじゃねえんだぞ」
「何言ってんの。今の内から準備しておかないと、準決勝と決勝に進出した時に困るぞ。6日目と7日目は結果発表までずっと会場に釘づけにされるし、リハーサルの時間なんてないんだからな」
僕が油断なんて微塵もしていないことを松野は悟った。
松野だけじゃなく、他の穂岐山珈琲の面々も、このリハーサルのやり方には呆気に取られている様子だったが、みんな予選を突破してから準決勝の準備をする予定だったらしい。
そんなんだからお前らは負けてきたんだぞ。
僕は他のバリスタ競技会に出ている時も、常に決勝まで進出する前提のリハーサルや課題となるメニューの開発をしてきた。進出してから準備を進めるのでは、あまりにも遅すぎる。
「あず君がずっと勝ってこられた理由、ちょっと分かった気がする」
「大会に出ると決めた日から備えを怠らず、全ての準備を整えてきた。だからあず君は強いんです」
「才能とかそれ以前に、心構えや努力の絶対量から全然違うね」
「参ったなー」
松野は関心を通り越して呆れ返っていた。
うちの連中はもう慣れっこみたいだけど、普通はここまでやらない。予選で負ければ、今までの努力が全部無駄になるし、予選の分しか見せられないのは本当に勿体ない。
松野は最初から本気を出した。無論、それは他のバリスタも同じだろうが。
「葉月、ちょっといいか?」
「別にいいけど」
松野に呼び出され、廊下で2人きりになる。
部屋の中では葉月珈琲の面々と穂岐山珈琲の面々が交流を深めていた。僕以外はすぐみんなと仲良くできるんだな。特にみんなが驚いていたのは、伊織が15歳でデビューしたことだ。
うちだと15歳デビューは唯に次いで2人目だけどな。行く行くは当たり前にしていきたい。
みんなは何で15歳でデビューしたんだろうって顔だったけど、僕に言わせりゃ、何でモラトリアムを7年も無駄に延長していながら、やりたいことの1つもロクに見つけられないんだろうと思う。
松野は僕と2人きりになると、途端に深刻そうな顔に変わっていた。
みんなの雑談をBGMのような感覚で聞いていると、松野が重苦しそうな口を開いた。
「実はな、穂岐山がうちを辞めることになった」
「知ってるけど」
「葉月にはもう話していたか。岐阜コンでできた彼氏についていくらしい」
「あいつは行動的だからな」
「穂岐山はきっと、お前のそばにいたいんだろうな」
「そんなわけ――」
「あるんだよ」
僕が台詞を言い終わる前に、真剣な眼差しで松野が答えた。
ずっと美羽のそばで仕事をしていた松野が言うんだ。きっと間違っていないんだろう。彼に言われて初めて気づいた。良いビジネスパートナーで居続けるんじゃなかったのかよ。
「穂岐山は彼氏を通してお前を支え続けたいんだよ。俺にとっちゃ不本意だけどな。俺は今、どうしようもないくらいお前に嫉妬してる」
「美羽には気持ち伝えたか?」
「言ってねえよ! ていうかそんなこと言えるかよ!」
「松野はいっつもタイミングが悪いな」
「……うるせぇ、お前に言われたかねーよ。くやしーけど恋愛じゃお前に完敗だ。でもこの大会では負けるつもりはねぇ。俺の最後の挑戦だからな」
「最後の挑戦?」
「ああ。この大会が終わったら、俺は穂岐山珈琲を辞める。社長にも言ってるんだよ。今までの経験を活かすために、来年から独立しようと思ってる」
松野は夕日を眺めながら言った。美羽だけじゃなく、松野も穂岐山珈琲からいなくなっちまうのか。
いつもはただの腐れ縁だと思ってた連中が、いつの間にか僕の中で大きな存在になっていたことにようやく気づいた。当たり前だと思っていたものが崩れ去っていくのは……こんなにも寂しいんだ。
全く、自分の鈍感さには時々呆れるものがある。
「何で辞めるわけ?」
「これだけやって無理だったら、もう才能がなかったって思うしかねえだろ」
「才能ないって言えるほど没頭したんだ」
「なんかまるで没頭しきれてないみたいな言い方だな」
「そうでもねえよ。燃焼したって思えるなら、それでいいんじゃねえの。まあそうなったら、当分は穂岐山珈琲から国内予選チャンピオンが出なくなると思うけど」
夕日を眺めていた松野に向かって言った。松野はあの夕日を自分に見立てているように見えた。下手をすれば自分もあの夕日のように沈んでいくのではないかと。
「その減らず口は何とかならねえのか?」
「見たまんましか言わないからさ、もし僕の言い分に疑問を感じるなら、それは言われた側が問題を抱えてるってことじゃねえかな」
「穂岐山を困らせるようなことはするなよ」
「それは彼女の課題であって、君の課題じゃない」
「とにかくだ、俺はこのバリスタオリンピックでお前に勝つ」
「僕も手加減はしない」
「望むところだ」
松野が部屋へと戻っていく。本気で僕に勝つことを目標としているようだが、僕が勝つべき相手は過去の自分だ。それができれば優勝することも夢ではない。参加者全員に勝つのは当たり前、そのために出ているわけだし、自分がどこまで登れるのかが知りたい。
この日の夜、夕食中に明日のスケジュールを立てた。
手前の席の左から唯、僕、伊織、奥の席の左から優子、璃子、真理愛の順番で座っている。
スイーツは出来立てが1番美味い。料理だったらその場で調理できるけど、スイーツだとなかなかそうはいかない。璃子と優子にも早く起きてスイーツを作ってもらうことに。
大会3日目に競技を行うバリスタ20人の内、僕は第12競技者であり、午後3時から競技を行うことになっている。夜行性の僕に優しい競技時間だった。
「いよいよ明日ですね」
「私、今から緊張してきちゃった」
「大袈裟なー。スイーツ作って会場に運ぶだけなんだからー」
「お兄ちゃんのコーヒーと相性の良いスイーツになるか心配で」
「今のあたしたちなら、最高のスイーツを作れると思うよ。こーゆー時のためにずっと修行してきたんでしょー。何ならあず君とあたしがついてるじゃん」
璃子は緊張感を隠せないほどの冷や汗を流していた。
そんな璃子を優子が子供を宥めるように横から抱きしめている。
参加者ではないが、こんな大舞台で自分のスイーツを出すなんて初めてだ。だが僕と息を合わせられるのは、葉月珈琲の人間しかいないと言えるだけの確信がある。
3人で考えた最高のレシピだ。きっとうまくいく。
「じゃあ明日の朝8時に、穂岐山珈琲のキッチンに集合ね」
「はい。お兄ちゃんを手ぶらで返すわけにはいきませんから」
「璃子ぉ~」
璃子の目を可愛く見つめながら抱きついた。
「お兄ちゃん、キモいからやめてくれない?」
「酷っ! 璃子の意地悪ぅ~」
「ふふっ、あず君って時々女の子に見えますね」
「時々どころか、しょっちゅう女子と間違われてるぞ。今でも僕を女と思ってる人とか普通にいるし、ここの温泉にも入れそうにないな」
「「「「「……」」」」」
天井のシャンデリアを見ながら嘆いた。璃子たちは明かりが消えたかのようにすっかりと沈黙してしまった。でもだからと言って、璃子たちにまで温泉に入らないことを催促したわけでもない。それは璃子たちもよく分かっている。分かるからこそ辛いのだ。僕は同調圧力が嫌いなのだから。
夕食が終わると、僕以外の全員が温泉に入るかと思いきや、僕が部屋のバスルームに入っていたところに唯が入ってきた。璃子たち4人は普通に温泉に行ったらしい。
僕の前には唯の後姿がある。本物の美人は背中も綺麗なんだな。
「唯も温泉に行けば、こんな狭苦しい思いをすることなかったのに」
「私はこうやってあず君と一緒に居られるだけで幸せです」
唯が顔を近づけてくる。僕らは愛を確認し合うようにキスを交わした。僕には唯からの応援のように思えた。明日に向けて頑張れとエールを送られていることが手に取るように分かる。
「あず君にはいつだって私たちがついてます。ですから……1人だと思わないでください」
「――最近やっと気づいた。友達はいないけど、仲間はたくさんいるって」
唯は安心したまま先に上がっていった。パジャマに着替えると、璃子も温泉から戻っていた。どうやら他の女たちから胸をジロジロと見られていたのが余程恥ずかしかったらしい。璃子のスレンダー巨乳は男を興奮させ、女を嫉妬させる作用がある。美人の宿命だ。諦めろ。
着替え終わった璃子が、電池が切れたかのように眠りに就く。
僕も電気を消すと、唯と同じベッドに入った。今日もよく働いた。段々と意識が遠のいていく――。
こうして、僕の戦前は終わりを告げたのだった。
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