131杯目「味と香りの融合」
決勝進出が決まり、唯とホテルへと戻る。だが真理愛が戻る様子はなかった。
出国ギリギリまで日本でのリハーサルの内容を思い出しながらプレゼンの練習をする。明日の競技で最後だし、常に本番だと思ってやらなければならない。
のんびりとホテルの料理を食べている暇はなかった。
「時間は?」
「8分4秒です」
「アウトか。ちょっと長いな」
「いえ、これは台詞の問題じゃありません」
「じゃあ何?」
「一瞬だけでしたけど、所々ボーッとしてる時がありました。いつものあず君らしさがなかったです。もっと集中すれば8分を切れるはずですけど」
一瞬ボーッとしていたのかと疑い、エラーを確かめるべく、一度記憶を辿る。真っ先に真理愛の悩ましそうな顔が浮かんできた。さっきまでそばにいたのに、いなくなって時間が経ったような感覚だ。
「何か考え事をしていたんじゃないですか?」
「――さっきから真理愛のことが頭から離れない」
「事情を聞かせてもらっていいですか?」
「……真理愛には内緒だぞ」
真理愛が抱えている事情を話す。口止めをされていたわけではないが、本来であれば、こんなプライベートなことは話すべきではないのだろう。だが話さずにはいられなかった。今話しておかなければ、このモヤモヤが取れない気がする。実に身勝手だが、悩むのは好きじゃない。
「そんなことがあったんですね」
「このままじゃオーガストがなくなるばかりか真理愛がソムリエになっちまう。でもあいつのことだ、きっと納得しないだろうな」
「お父さんがそんな偉大な人だと、プレッシャーですよね。でもそれは真理愛さんの課題です。あず君はあず君の課題に集中するべきです。あず君には真理愛さんと一緒に考えたアイリッシュコーヒーがあるじゃないですか。優勝さえできれば、ジャコブさんも考え直してくれるんじゃないですか?」
確かにそうだ。何も言い返せねえ。これは僕の課題だ。白い霧を切り抜けたかの如く、さっきまでの目の曇りが完全に消えた。運命がなんだ。そんなもん自分でどうにかできるだろう。
「唯、もう1回やるぞ」
「はいっ!」
しばらくリハーサルをしてから僕らは床に就いた。
真理愛は無事に帰ってきたようだった。明日の決勝では今まで以上に力を発揮しないと……。
――大会2日目――
WCIGSC決勝を前に緊張が走る。大会もいよいよ大詰めだ。
決勝進出できなかったために、決勝用の食材が無駄になった人も多いだろう。
決勝にはフランス、イギリス、ドイツ、ベルギー、スロバキアの代表がいた。僕以外は全員ヨーロッパ勢であり、どこもコーヒーカクテルの強豪国だ。準備期間がやってくると、真理愛に話しかけた。
「真理愛、ちょっといいか?」
「は、はい……」
「このアイリッシュコーヒーは真理愛のアイデアも入ってるだろ」
「それはそうですけど」
「僕が優勝したら、自分の意志を貫くって約束してくれ」
「ええっ!?」
真理愛はその場に立ち尽くし、焦りの顔を一切隠さない。
左手で右腕の肘を掴み、少しばかり右横に顔を向けた。
「真理愛がバリスタになりたいって気持ちが本当なら、約束に応じてくれ」
「もし優勝できなかったらどうします?」
「その時は……もう真理愛に口出しするのはやめる。真理愛はこう思ってるんじゃねえか? 約束を反故にするのは自分勝手が過ぎるって」
「そりゃそうですよ。絶対に怒られます」
「なら自分のためじゃなくてさ、僕のために約束してくれないか? 君のバリスタとしての腕が確かなら自信だって持っていいはずだし、流石に君の親父でも、実力を示した人には文句を言えないはずだ」
「……」
真理愛が沈黙する。だが嫌とは言わなかった。
唯と一緒に競技の準備作業に取り掛かる。リハーサルはバッチリだった。競技を賭けに使うのはどうかと思うが、彼女を放っておけば、またボーッとしてしまうかもしれない。
準備時間が終わり、司会者が僕の名を呼ぶ。
「それでは次の競技者です。日本代表、アズサーハーヅーキー!」
会場の声援が鳴り止むと、深呼吸を済ませた。
自分のためだけじゃなく、誰かのために競技を行うのは初めてだった――。
「タイム。僕はこの日が来ることをずっと楽しみにしていた。僕が最も得意とするこのアイリッシュコーヒーは、コーヒーカクテル専門店を営む人と一緒に考えたものであり、もう1つのシグネチャーコーヒーカクテルでは、革命的な味を届けていこうと思う。まずペーパードリップでコロンビアゲイシャ、ナチュラルプロセスのコーヒーを抽出する。次にエスプレッソマシンで抽出したエスプレッソを容器ごと氷水で冷やしておく。これはパナマゲイシャ、ナチュラルプロセスのコーヒーだ。ブリランテ・フトゥロ農園は従来のプロセスの他、今までしなかったプロセスにも挑戦した結果、同じ農園のコーヒーでもプロセスが異なれば全く違う風味になることが分かった」
ナチュラルプロセスによって精製されたこのパナマゲイシャは、レモンのようなアロマ、ライムのフレーバー、アフターにはマイヤーレモンを感じる。やはり柑橘系だが酸味が強くなっている。
皮肉にもハニープロセスに拘っていたあの親子が退場したことで生まれたコーヒーであった。変化を受け入れなければ進歩はない。だが伝統の味も残すべきだと思っている。
「まずはアイリッシュコーヒーだ。さっき説明した通り、今回は2種類のゲイシャを使っている。ペーパードリップで抽出したこのコロンビアゲイシャのホットコーヒーとは別に、シングルモルトのアイリッシュウイスキー、グレープブランデー、この日のために作った自家製のシュガーシロップを少しずつ投入して混ぜる。このコーヒーのメインフレーバーは葡萄であるため、葡萄から作ったグレープブランデーがとても相性が良いと感じた。アイリッシュコーヒーの混ぜる前提でシュガーシロップに葡萄を何日も漬け、アルコール発酵しないよう10度以下の温度で作った。素直で透明感のある味になるため、ウイスキーが持つフレーバーを阻害せずに甘味を持たせることができる」
これらの食材をメジャーカップで計量しながら投入していく。
熱湯を入れて投入した食材のフレーバーを開かせた後、ホットコーヒーを流し込んだものを2人分のアイリッシュコーヒーグラスに移し、日本産の濃厚な牛乳をコブラーシェイカーを使って小刻みにシェイクして生クリームを作り、竹べらを使ってフロートさせたら完成だ。
生クリームとコーヒーとの間には見事な境界線ができている。
横から見ればコップと外の境界線ギリギリにまで、生クリームによる雪化粧が施されている。
本来のアイリッシュコーヒーとは違うが、伝統的な味を崩さずに新たな要素を盛り込んでいくことに特化しているため、格段に美味しくなっている。
「この生クリームは牛の餌に拘っているため、脂肪分が30%を超えていて、アイリッシュコーヒーに相応しいと思った。このアイリッシュコーヒーのフレーバーは、グルナッシュ、カフェモカ、アフターにはマスカットレーズン、カカオを感じる。プリーズエンジョイ」
今までのアイリッシュコーヒーにはいまいち決定打がなかった。そこでシュガーシロップをアイリッシュコーヒー向けに改造してみた。自家製のシロップを使う人は僕以外にはいなかった。梓流アイリッシュコーヒーの完成である。今回勝負を決めようと思って考えた工夫を披露する時が来た。まずはミキシンググラスに氷を入れてバースプーンでクルクルと回し、水を捨てた後でラム、ミード、マンダリンオレンジの果汁から作ったオレンジシロップ、冷やしておいたエスプレッソを投入して混ぜた後、底に丸みを帯びた2人分のスニフターグラスに移した。グラスの半分が鮮やかな茶色の液体で満たされる。
オレンジシロップはかつてWBCで使ったオレンジシロップと同じものだ。
「予めベルガモットの茶葉を水に浸け、水自体にベルガモットの香りを移したベルガモットウォーターを作っておいた。ドライアイスを投入し、フレーバーに影響を与えるベルガモットスモークを作る」
ベルガモットウォーターが入った容器に粉々になったドライアイスを投入する。
すると、容器の中からベルガモットの香りを含んだ煙がモクモクと出てくる。
ドライアイスを利用した煙こそが秘策である。煙をコーヒーカクテルの入った容器に入れて蓋をするのだが、丸い容器にしたのは煙を閉じ込めやすいためである。
煙を浴びると、ドリンクにベルガモットの香りが追加される。
「決定打にかけていたコーヒーカクテルに施すべき工夫を考えていた時、紅茶専門店で飲んだ紅茶に注目した。足りないのはアロマだと感じた。更に柑橘系の強いアロマとフレーバーに変わり、紅茶の香りをヒントに考えた新たなコーヒーカクテル、その名もベルガスピリッツコーヒーだ」
JCIGSCの時に比べると格段に進化したと思う。このベルガモットスモークの工夫がウケたのか、会場からは歓声が沸いていた。ベルガモットスモークを既にコーヒーカクテルの入ったスニフターグラスに投入し、グラスの中が煙で充満したところで蓋をする。
「まずはこのグラスを回して、ベルガモットスモークがなくなったらそのまま飲んでほしい。ベルガモットのアロマを感じさせてから飲んでもらうことで、パナマゲイシャが持つフレーバーをより強く感じることができる。このベルガスピリッツコーヒーのフレーバーは、ベルガモット、アフターにはシトロンを感じることができる。プリーズエンジョイ。タイム」
2種類のコーヒーカクテルを出して競技を終えた。時間は7分58秒。8分を迎える直前だ。時計はほとんど見なかったが、時間感覚は完璧だ。プレゼンのスコアが重視される大会でもある。細かい説明を徹底するようにしていたが、本当に危ないところだった。
僕、唯、真理愛、伊織のアイデアを最大限に活かすことができた。
プレゼンが終わると、惜しみない拍手が僕の耳に届いていた。
ふと、昔を思い出す――。
コーヒーカクテルを始めたきっかけは、WBCで優勝を争ったファイナリストたちだ。僕はWBCの後で行ったカフェ巡りの時に偶然再会し、近くのカフェに誘われ、コーヒーカクテルを勧められた。僕はまだ18歳だったが、ヨーロッパでは18歳から飲めると言われて飲んでみると、これがもう癖になる味だった。
味の研究も兼ねてヨーロッパに行く度、ほどほどに酒を飲むようになった。バリスタオリンピック選考会の開催前にはコーヒーカクテル部門でスコアを稼ぐべく、ダブリンまでアイリッシュコーヒーを習いに行っていた。彼らはうちの店にも何度か来たことがある。思い出すだけで懐かしい気持ちになる。
片づけの時間がやってくる。できることは全てやった。
唯、真理愛、ジャコブの3人がステージの近くまでやってくると、早速唯が片づけをし始める。
「良い競技だった。君がコーヒーカクテルにただならぬ愛情を注いでいることは伝わってきた」
「ありがとう。あのアイリッシュコーヒーは真理愛のアイデアだ」
「――本当に?」
「私のアイデアとは言っても、大部分はあず君のアイデアだよ。私はあず君のアイリッシュコーヒーに欠けていたものを足しただけだから」
「欠けていたもの?」
「アイリッシュウイスキーだけだと味が単調になる。だからコーヒーのメインフレーバーである葡萄と相性の良いグレープブランデーを使うことを勧めてくれた」
「ほう、真理愛がそこまで貢献するとはね」
ジャコブは真理愛を褒めるが、顔色は一向に変わらない。
このままじゃ未来は変わらない。この人を説得するなら、もっと確かなものが必要だ。真理愛の真価が問われるだろうと思っていた時、ついに真理愛が動いた。
「お父さん」
「……何だ?」
「オーガストの件だけど――」
「何度も言ってるだろう。オーガストの経営は3年だ。それを超えたらお前は私の下でソムリエになると約束した。だからオーガストの開店を認めたんだぞ」
「もし彼が優勝したら、私を自由にしてほしいの」
真理愛は恐れながらもハキハキと話しながらジャコブを交渉に持ち込む。
自分が不自由だという自覚はあったんだな。
「――自由? お前は元から自由だろう」
「彼が優勝できなかったら、予定通り3年バリスタの仕事をした後、一生お父さんとお母さんの言いなりになるから。これ以上要求はしない。だからお願い。約束してほしいの」
「そんなにソムリエが嫌なのか?」
「ソムリエが嫌なんじゃなくて、お父さんとお母さんの言いなりになるのが嫌なの。私……今年でもう26歳だよ。日本だったら自立して働いている歳だよ」
真理愛が珍しく強い気迫でジャコブに詰め寄る。ジャコブは真理愛の反抗的な姿勢にタジタジとしている様子だ。子供って……やっぱ思い通りにならないもんだな。
「……」
「どうなの?」
「分かった。じゃあ彼が優勝できなかったら、これ以上文句は言うなよ」
「うん、分かってる。私のアイデアが採用されたコーヒーカクテルが世界に通用するかどうか、その目で見届けてほしいの」
「やれやれ、困った娘だ」
ジャコブが逃げるように去っていく。親にとって反抗的な子供ほど疲れるものはない。子供の頃の僕に対して、親父もお袋もタジタジだったのは間違いない。
もっとも、僕は社会に対して『常時反抗期』だけどな。
夕方を迎え、全員の競技が終了すると結果発表が行われた。
いつもの如く、順位の低い順に名前が読み上げられていく。バリスタの名前と国名が発表される度に会場からは惜しみない歓声と拍手が届くが、どのバリスタも嫌な顔1つせずトロフィーを受け取った。
優勝候補は地元フランス代表だった。気づいてみれば、僕とフランス代表の2人だけだ。この時は無宗教の僕でも祈りを捧げる。祈る相手は神でも仏でもない。僕自身の運命に対してだ。
「第2位は……フランス代表――」
フランス代表の国名と名前が読み上げられた。
「よっしゃあああああっ!」
控えめな声で叫びながら両腕でガッツポーズをする。
フランス代表は僕にハグをしてから、他の代表ともハグをする。
「既に分かりきってはいますが、今年のワールドコーヒーイングッドスピリッツチャンピオンシップの栄えある優勝は……日本代表、アズサーハーヅーキー!」
最後に僕の国名と名前が読み上げられ、優勝が確定した。
晴れてワールドコーヒーイングッドスピリッツチャンピオンになった。
こうして、ニースにも葉月梓の名前が刻まれた。
優勝トロフィーは階段状になった土台の上に黄金に輝くカクテルグラスがあった。僕がトロフィーを天に掲げると、更に歓声が強くなる。コーヒーカクテルを究めたことで、更に自信がついた。
この日以降、うちの店ではコーヒーカクテルが格段に売り上げを伸ばすこととなる。
――当分はアルコール自体、ほどほどにしたいけど。
インタビューを受けた後、記念撮影を行い、この大会はお開きとなった。泊まっているホテルの支配人が僕のファンだった。それもあって彼らが祝勝会を開いてくれることになったわけだが、祝勝会には多くのニース市民が参加した。僕が唯と一緒にいると、遠くから応援に来た人たちが話しかけてくる。
「彼女とつき合ってるの?」
「同僚だよ。大会でもサポーターやってる」
嘘は吐いてないはずなのに、どこかもやもやしていた。
こんなどっちつかずな関係でいいのだろうか。恋人ではあるが、なかなか言えなかった。
「ねえ、私とつき合わない?」
「普段は日本で仕事だからなー。悪いけど諦めてくれ」
外国人ファンから交際を申し込まれるが、もっともらしい理由で断った。理由は何でもいい。告白を受ける回数が以前よりも増えた気がする。唯は複雑そうな顔で見ていた。大会で使ったアイリッシュコーヒーを振る舞っていたが、設備は全部ホテルが用意してくれた。
僕、唯、真理愛、伊織の4人で勝ち取った優勝だった。
誰かと手を組んでみて初めて分かった。自分1人にできることなんて本当にちっぽけだ。この中の誰かが欠けても優勝には届かなかっただろう。しばらくは真理愛もアイリッシュコーヒーを淹れる作業を手伝ってくれた。ホテルには僕らのアイリッシュコーヒーを飲もうと、多くの観光客が行列を作った。
「私にも淹れてもらえるか?」
しばらくすると、順番を待っていたジャコブが真理愛に声をかける。
「お父さん……うん、待ってて」
真理愛がすぐにジャコブに気づき、優勝を決めたアイリッシュコーヒーを淹れ始める。この時の真理愛は輝くような笑顔を放っていた。それはジャコブですら見たことがないものだった。
「ジャコブ、あんたは真理愛がコーヒーカクテルを淹れている時、あの笑顔を見たことはあるか?」
「……いや、今までなかった。真理愛は妻に似たのか、幼少期から夢というものがなかった。それなら私たちが与えてやろうと思った。子供は親に導かれるべきなんだと、良かれと思って、将来ソムリエになれるよう英才教育を施したんだが、無駄に終わったようだ」
ジャコブは残念そうに言いながら僕を見つめる。
真理愛に自分の意志を持つよう催促したわけじゃない。
意志は既にあったが、える相手がいなかった。親がいなくても子は育つという言葉にもあるように、育てるスタンスじゃなく、育つ光景を見守るのが最適じゃないかと考えた。大体親の教えなんてどれも前時代的だし、僕だって親の教育を真に受けていたら、今頃は誰かの下で貧乏生活をしていただろう。
「無駄じゃねえよ。あんたが早い内から英才教育をしていたから、彼女は逸早くコーヒーカクテルの良さに気づいたんだと思う。あんたの言いたいことは分からなくもないけどさ、だからって夢を押しつけるのは違うと思うぞ。そんなんだから、夢を語れない性格になってたんじゃねえの?」
「……そうかもしれないな」
「真理愛はあんたが思ってる以上に成長してるよ」
心も体もな……かつての自分を見ているみたいで放っておけなかった。変わりたがっていた彼女を。
「はい。できたよ」
真理愛から手渡されたアイリッシュコーヒーをジャコブが少し口に含む。ずっとコーヒーカクテルを淹れ続けていただけあって飲み方が手慣れている。
「……ふっ、腕を上げたな」
満足そうな顔でアイリッシュコーヒーの残りを置いてその場から立ち去ろうとする。
「待って!」
真理愛がジャコブを呼び彼が後ろを振り返る。
「私、いつか必ずお父さんの会社を継ぐ! ……だからっ! それまではっ! 自分の納得がいくまで、バリスタを続けたいの! じゃないと私、死ぬ時絶対後悔すると思うからっ!」
「――勝手にしろ」
ジャコブが言葉を残して去っていく。
言えたじゃねえか。真理愛は僕との約束も守ってくれた。
問題は開店から3年後だが、これで父親の拘束から自由の身となった。彼女は満面の笑みを浮かべ、自らの人生を変えたアイリッシュコーヒーを淹れ続けるのだった。
翌日――。
ニースで唯と真理愛とカフェ巡りをした。どこのカフェに行っても、僕の話題で持ちきりだ。やっぱどこであろうと、この趣味だけはやめられないなぁ~。
どのコーヒーもそれなりに美味いし地域性もある。まるで生きているようだ。
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