100杯目「法人成り」
11月下旬、月末が近づいた頃、僕らは店の営業に追われていた。
雪こそ降らなかったものの、段々と寒くなるこの季節に、僕の引き籠りっぷりにも大きな拍車がかかっている。こんな活動しにくい時期は引きこもるに限る。
ようやく営業時間が終わると、久しぶりに空を見上げた。岐阜の空は相変わらず青かった。今にして思えば、僕は空を見上げる余裕さえ失っていたのかもしれない。
「じゃああず君は来年から別の場所で営業するってことやな?」
「うん。まあこの国の連中には関係ないことだけど」
「あず君も遂に法人化ってことは社長か。偉くなったもんやなー」
「別に偉くねえよ。責任が重いってだけだ」
「店には何人くらい入れるん?」
「50人くらいかな。今まで以上に忙しくなると思う。そこで決済をすぐに済ませるために、自動券売機を使うことにした。後はグランドピアノも置く」
「本格的やな~」
「他にも色んなスイーツを作れるように大きなオーブンとかも買うし、メニューの幅が更に広まる」
この年最後のラジオを収録をしていた。ただ不平不満をぶっ放してストレス解消するだけじゃなく、全国に最新情報を日本語で伝えられる場でもあった。拓也がまとめた視聴者からの質問にも答えた。
「えっと次は、一流になるのに必要なのは何ですかっていう質問」
「あー、一流ねー。一流になるのに必要なのは好きなことに没頭すること。後は才能と努力だな。才能がないと努力すべき方向が分からないし、努力しないと才能が開花できない。好き好んで没頭できるところが世の中で需要がある仕事の交点に天職がある。僕の場合はそれがバリスタだった」
努力だけでは一流になれない。何かでトップに立つには才能と努力が必要だ。後はどこに需要があるかにかかっていると言えるが、いくら出来が良くても、機会に恵まれなければ意味がない。
オープニングスタッフ以降の採用を実技試験にする理由がここにある。
僕は小さい頃からコーヒーに夢中になっていたこと、生まれつき嗅覚や味覚が鋭かったこと、調理や芸術のスキルを持っていたことも重なり、トップバリスタになることができた。
才能を見つけてからの努力じゃないと意味がない。こんなことを学校で言ったら間違いなく怒られるだろう。あいつらは努力すれば何でもできるって教わってるけど、どの世界でも努力が報われるのはほんの一握りだ。こんなことくらい、ある程度の社会経験があれば簡単に分かることなんだけど。
これをラジオで言ってみると、案の定炎上してしまった。社会不適合者2人が社会に対する不平不満を言うはずが、いつも本当のことを言って炎上するラジオになっていたが、これによって多くのニートや引き籠りからはダントツの支持を得ることとなった。
「んで次は、紫綬褒章を拒否した理由は何ですかっていう質問」
「あー、それかー。下手に肩書きとか持っちゃうと、拝金主義のハイエナみてえな連中が近寄ってくるからな。それに『似非ファン』ともつき合うことになるだろうし」
「似非ファン?」
「少なくとも僕のファンを名乗ってる人のほとんどは本当のファンじゃない。あいつらが好きなのは、1位を取った人、もしくは表彰されるような人であって、僕個人じゃない。バリスタ競技会がなかったら間違いなく興味すら示さなかった」
「ほんまもんのファンってどんな人なん?」
「そうだな。僕が『結果』を残すようになる前から僕が好きだった人とか、あるいは僕の情報を全く知らない状態でも、僕が好きって言える人かな」
実のところ、ファンのほとんどは似非ファンである。あいつらが僕を好きなのは僕が結果を残したからであって、結果を残したかどうかに関係なく好きだと言える人は少ないのだ。
順位もスコアも、それ自体には何の価値もない。ただの数字だ。それが僕を好きな理由である時点で僕のファンではなく、『1位』という数字、もしくは『チャンピオン』という肩書きのファンなのだ。
結果を残せる人であれば何でもいいんだろとしか思えない。結果にしか興味がない奴は嫌いだ。結果を残した人でなければ好きになれない奴も嫌いだ。僕としては結果に関係なく、ありのままの僕を好きでいてくれる人とつき合いたい。そうでなければ、結果を残した人以外は努力をしてこなかった人であると認めたことになるような気がした。制服のデザインが決まった後、璃子と一緒に色んな種類の制服を作ったが、性別で分けることはせず、可愛い制服を仕上げていく。今で言うところの童貞を殺す服をベースとした制服だ。調理をするための設備も今まで以上に改革した。
より本格的なメニューを作れるようにすることで、新メニューの開発難度を下げた。
時は流れ、12月を迎える――。
もう1人パティシエを雇うべく、最終確認のため、優子がいるヤナセスイーツへと赴いた。
「あっ、あず君久しぶり」
「来年の3月で店閉めるんだっけ?」
「うん、お母さんが丁度来年で定年なの。それにずっと赤字続きだからね。だから切りの良いところで閉店するって以前から決めていたんだけど、お父さんが死んで、それが決定的になったの。だから璃子ちゃんの修行は今年までにしたわけ。ごめんね」
「気にするな。来年からはうちの店で璃子の修行につき合ってもらう」
優子の親父が病気で倒れてからは、優子の母親が後を継いだ。そんな事情もあり、優子は高校を卒業すると大学への進学を諦め、すぐにヤナセスイーツで働き始めた。
――あれからもう数年が経つのか。
「あのさ、そのことなんだけど……ちょっと考えさせてくれないかな?」
えっ、嘘だろ!? 今更やめるとかないよな!?
何故だ? 僕、何かまずいことでもしたか?
「あたし、あず君に誘ってもらう前に、葉月商店街にある別の洋菓子店から誘いを受けてたの。あず君が葉月商店街を出て行ってからずっとうちのお得意様でね、何度かお世話になっていたの。新メニューを売り出す時も、うちと競合することなく生き延びてきた良心的な洋菓子店なんだけど、そこの人があたしを雇いたいって言ってきたの。今は保留ってことにしてるんだけどね」
「そんな……こっちはずっと優子を受け入れるつもりで準備してたんだぞ! 何でそんな肝心なことを僕にも璃子にも黙ってたんだよっ!?」
「……」
咄嗟に強い言葉で優子を責めてしまった。彼女はどう返していいのかが分からないのか、困った顔をしながら黙ってしまい、キッチンの近くで立ち尽くしている。
優子は悩んでいる。僕は何を悩む必要があったのかが全く分からなかった。
僕が雇えば事実上の引き抜きになる。店が閉まって人が外に流出すれば、葉月商店街の過疎化が更に加速する。優子はそれが引っ掛かっていたらしい。しかし、彼女にとっては出世のチャンスでもある。
今まで以上に幅広いメニューを作れるようになるし、世界を相手にできるようになる。
意欲がなければそれまでだが、優子としてはお袋に楽をさせたいと思うのも事実だ。僕としても璃子に修行の場を提供してくれた分のお礼がしたかった。
「お兄ちゃん、優子さんはずっと葉月商店街の一員として生きてきたんだよ。離れたくない気持ちだってあるし、少しは優子さんのことも考えてよ」
「……」
璃子は優子を擁護するように僕の体を押さえた。
ずっと一緒につき合ってきた2人だ。きっとこの2人にしか分からないこともあるんだろう。人生は予定通りになることの方が少ない。分かってはいたが、いざ予定通りにいかなくなるとやきもきする。
「何の騒ぎ?」
僕のただならぬ声を聞きつけたのか、優子の母親がやってくる。優子と同じ髪型に眼鏡をかけている良心的なおばちゃんだ。サバサバした性格や肝が据わっているところは優子にそっくりだ。
優子は今まで隠していた事情を全て打ち明けるが……。
「一度決めたことを覆すなんて優子らしくないねぇ。あず君がここまで譲歩してくれてるんだからビシッと決めなさい。そりゃあず君も困るよ」
「お母さん、私がここを離れても寂しくないの?」
「別に寂しくなんかないよ。子供じゃあるまいし。そうやって私やお父さんに依存し続けるから、いつまで経っても結婚できないんだよ」
「結婚は良い相手がいたらするって言ってるじゃん」
「はぁ~、この前もお見合いを断ったばかりだってのに、この子ったら。あず君、もうこの際だから、うちの娘を貰ってやってくれない?」
「「!」」
僕も優子も顔を真っ赤にしながら驚いた。
ええっ!? いきなり何言ってんのっ!? 貰うって、つまり結婚しろってことか? 結婚不要論を掲げる僕としては、結婚なんて死んでもしたくないんだけどなー。
「おばちゃん、お兄ちゃんはそもそも結婚には向いてないですよ。もし結婚したら、間違いなく優子さんが滅茶苦茶苦労すると思います」
「そうそう。僕は世界一結婚に向いてないぞ」
「お兄ちゃん、そこ自慢するところじゃないからね」
「ふふっ、知ってる」
「そうかなぁ~。あず君は身内には凄く優しいから、むしろ結婚に向いてると思うけどねぇ。じゃあ優子と結婚する気になったら教えてね」
娘を叩き売りする親は初めて見た。優子の母親はしょんぼりとしながらも、いつでも待ってることを静かに示すように予防線を張ってくる。優子といい、この母親といい、隅には置けない連中だ。
つまりいざとなったら、いつでも優子との結婚に逃げられるわけだ。いや、結婚を逃げるために用いている時点で、やはり結婚には向いていないのだ。
「優子自身はどう思ってるわけ?」
「私は……あず君だったら別にいいよ。だからずっと待ってる」
「期待なんてしない方がいいぞ。それとこれだけ言わせてくれ」
「……なあに?」
僕は優子の迷いを断ち切るべく、ある決断を迫らせることに――。
「優子、自分の道は自分で決めろ。どっちを選んでも文句は言わない。でもこっちにだって都合があるからさ、うちで一緒にやっていきたいなら、今年中に連絡を寄こしてくれ。期限を過ぎたら、その時点で断ったものと見なす。僕が決断の遅い奴が嫌いなことくらい知ってるよな?」
「相変わらずせっかちだなぁ~。分かった。少し考えさせてもらうね」
ロクに返事もせず、ヤナセスイーツを後にする。
優子から連絡が来るまでの間、断られた時のパターンを考えなければいけないわけだ……ったく勘弁してくれよ。店を大きくしたのは優子のためでもあるというのに。
この日の夜、璃子と共に床に就いている時だった。
みんなパジャマ姿で布団に入っていた。来年からは全員別室のベッドで寝ることになる。同じ部屋で一緒に布団で寝るのも見納めと言える時期だ。唯は僕らのそばでスヤスヤと眠っている。
唯はこの時期だけで嫌というほどコーヒーを試飲してきた。
カフェインを摂取していたにもかかわらず、この頃は夜になると真っ先に寝ることが多かった。引っ越してきたばかりで、不慣れな生活に疲れが溜まっていたことが見て取れる。だが唯が文句を言ったことは一度もなかったことからも、彼女がずっとここに居たがっていることが窺える。
天井を眺めながら優子のことを話した。
「何で迷うかなー」
「お兄ちゃんには分からないよ。優子さんにとって商店街の外で働くっていうのは、商店街に対する裏切りだから。本当は優子さんも、ヤナセスイーツを潰したくないのかも」
「そればかりはどうしようもねえよ。そういえば、ヤナセスイーツが潰れたら、璃子も商店街を離れることになるんだよな?」
「うん、でも、いつでも行けるから寂しくはないよ」
「引っ越し先のカフェは見たか?」
「見たよ。結構広かったけど、もしあそこにお客さんが殺到したら厨房がパニックになりそうで怖い。優子さんみたいに、経験豊富な人がいれば、どうにかなるかもしれないけど……」
「繁盛していた頃のヤナセスイーツで店の手伝いをしていた優子なら、きっと客でいっぱいになったところで、冷静に対処できるはずだ」
一刻一刻と年末が近づいてくる。
クリスマスがやってくると、いとこたちや仲の良い元同級生たちが葉月珈琲へとやってくる。ここまでで優子からの連絡はなし。だが不思議と別のパティシエを探すことはしなかった。
僕は彼女を信じていたのかもしれない。裏切られるのが怖いから……誰も信じたくはない。昔の僕であれば、さっさと次のパティシエを探していただろう。唯とロンドンで一緒に過ごしてからというもの、僕はかつて失った……人を信じる気持ちを無意識のうちに取り戻そうとしていた。
何を今更……何故僕は信じる気持ちを取り戻したいんだ?
どうすればいいのか、答えが全く分からない。
ただひたすらに頭の中で自問自答を繰り返す――。
「あず君がバリスタオリンピックに出るところ、見たかったなー」
「香織、それは言わない約束でしょ。1番悔しいのはあず君なんだから」
「あれは僕が原因でもあるし、しょうがねえよ。バリスタオリンピックは4年に1回あるんだ。次の選考会までに腕を磨いておく。今年は別の大会もあったから、あんまり準備ができてなかったし」
やっぱり気にしてる人多いんだな。ニュースでも僕が選考会に出られないことを残念そうにコメントする人がいた他、入店禁止にするからこんなことになると吐き捨てる者もいた。
そもそもの原因を作ったのはあいつらだ。僕は何も悪くない。
「来年には引っ越しちゃうんだよね?」
「ああ。ここも気に入ってはいたけど、いかんせんカウンター席が10席しかないと、どうしても行列が長くなっちゃうからさ」
「あず君って意外と気配りできるんだ」
「気配りとかじゃねえよ。ここにいる時だけは、現実も時間も忘れて、のんびりと過ごしてほしいってだけだ。誰だってさ、ストレスから解放されたい時ってあるじゃん」
他愛もない世間話をしている時だった。
店の外から見覚えのある顔が段々と近づいてくる。
「あず君、久しぶり」
「――ここに来たってことは、うちに来るんだな?」
「うん……さっき私を雇うって言ってくれた洋菓子店の人に謝ってきたとこ。そしたらさ、どこに行ってもヤナセスイーツを思い出させてくれる味のスイーツを作ってくれって言われたの」
「優子のスイーツは神戸の味だもんな」
「優子さんって神戸の人だっけ?」
「いやいや、そうじゃなくて、あたしのお父さんが神戸でスイーツの修業をしていて、神戸のホテルで売られているケーキと味が似ているから、神戸の味って言われてるの」
優子が作るスイーツの特徴である神戸の味。
素直でシンプルだが、素材の良さが極限まで引き出されているのだ。それはまるで、毎日食べても飽きることのない常食の味であり、日本の米、欧州のパン、優子のケーキと言っていいほどだ。
「あたし、優子さんのお店に行ったことあるけど、すっごく美味しかったよ。もうあそこの味を楽しめなくなるなんて……なんか残念だなー」
紗綾が少しばかり沈んだ顔でヤナセスイーツの終焉を惜しんだ。
「そんなに落ち込まなくても、来年からはあず君の店でスイーツを作るから安心して」
「お店はいつまでやってるんですか?」
「来年の3月までかな。お父さんが死んで、お母さんも定年を迎えてるから、そろそろ潮時って思ったんだけど、いざお店を畳むとなると、何だか名残惜しくてねー」
ずっと辛抱強く生き延びてきた僕としては、まだまだ優子の気持ちは理解できないだろう。これも時代の変化なんだろうか。うちの店は年を追う毎に栄えていく。
しかし、周囲の店は段々と潰れていく。まるで僕が周囲から生気を吸い取っているかのように見えてしまうのが実に滑稽であった。ただ店を構えていれば、それだけで売れる時代は終わったのだ。
「ルイ君はいつからここで働かせる予定なの?」
「ルイは来年の1月から働いてもらう予定だ。柚子と入れ替わりでな。あっ、そうだ。せっかくうちに来るんだからさ、このライトグリーンの制服着てみろよ」
「えっ、いいの?」
「うん。柚子は昨日で辞めたし、昨日がうちの最後の営業日だったし」
「そういうこと。ルイ、この制服には今までの思い出がこもってるから大事にしてね」
「分かってるよ。全部パステルカラーなんだね」
ルイは早速柚子から受け継いだライトグリーンの制服を着てみせた。なんか可愛いな。僕やルイのような中性的な男がうちの制服を着ると、どっちの性別なのかが分からなくなっちまう。
「優子にもこれ、作ったから」
「えっ、もしかして、あたしがリクエストした薄紫?」
「厳密に言うとラベンダーだ。優子が希望してた紫系のパステルカラーを考えてたら、唯の実家にラベンダーが咲いてたのを思い出してさ、それで作ってみたけど、どうかな?」
「……嬉しい。あず君がここまで考えて作ってくれたんだ……それなのにあたし、危うくあず君の気持ちを無下にするところだった」
優子が感謝しながらも涙声で話した。すぐ異変に気づくと、咄嗟にハンカチで涙を拭いた。
「別に泣かなくてもいいじゃん」
「あず君ってズルいよね。乙女心に鈍感なくせに、乙女心を掴むのはうまいんだから」
「言ってる意味が分からないんだけど」
美咲たちが少しばかりムスッとした顔だ。
「私もあず君からのプレゼントほしいなー」
彼女たちの心情を代表するかのように、美咲が僕に愚痴を言った。
「いやいや、これプレゼントじゃなくて制服だから。それにうちは調理に適した服であればそれでいいからさ、絶対に着ないといけないものでもないからな」
「ふふっ、これ気に入った。試着してもいいかな?」
「うん、いいぞ」
優子は2階まで上がって着替え始めた。
しばらくすると、ラベンダーの色が際立つ制服を着た優子が降りてくる。
その姿は降誕と呼べるほど煌びやかな印象だった。
「どう?」
「――凄く似合ってる。それに……綺麗だ」
優子が恥ずかしそうにしながら後ろを向いた。
そんな彼女を唯が意地悪そうにニヤニヤした表情で覗き込んだ。
「優子さん、顔赤くなってますよー」
「きっ、気のせいだからっ!」
「優子、来年からよろしくな」
「う……うん」
こうして、ようやく優子の迷いは断ち切られた。来年の4月からフリーになる。唯も4月を迎えるまで雇えないため、この2人は後から合流する。優子にとっては来年がヤナセスイーツ最後の営業だが、ヤナセスイーツで培った技術をうちでも存分に使ってもらいたい。人員の心配はなくなった。後は引っ越し先の様子を確認するだけだ。1階がカフェで2階が家。ここを来年の1月から拠点にし、その日に会社名義で借りることになっている。年末が近づくと、店の引っ越し準備が始まった。
年末よりも少し前に今年分の営業を切り上げる。僕も璃子も引越しの準備に追われていた――。
2011年を迎えた。僕にとっても、日本にとっても、ターニングポイントとなる運命の年だ。
僕はこの年から完全に親からの『独立』を果たした。やっと手にした『自由』である。
もうこれで何も言われない。正月に親戚の集会に参加すると、リサたちと法人化の話をした。
店がオープンするまではずっと休みだ。リサたちは国内旅行を計画しており、1月の中旬までは休みにした。その間に店を引っ越ししないといけない。
年が明けた法務局初営業の日、僕は必要な手続きを全て済ませた。
屋号葉月珈琲は『株式会社葉月珈琲』へと法人成りした。
この時、起業してから既に5年の月日が経ち、僕の『自営業時代』は幕を閉じた。この時期を境に人生が大きく変わった。まるでコーヒーのように濃密な日々だった。
長いようで短い時間だったが、僕の挑戦はこれからだ。
これにて第4章終了です。
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第5章を書く上でのモチベーションになりますのでどうぞよしなに。




