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地図を作る簡単じゃないお仕事 -2-

アイはグレイの待合の場所に・・・ そこでひとときの仲間と遭遇する。

 空は晴天。すがすがしい天気だ。

 アイは大きく息を吸い込むと深呼吸をした。

 「んー 今日も天気いいなぁ! 絶好のお仕事日よりだよね!」

 場所は見晴らしが丘という森に囲まれた原っぱ。 グレイと約束をし、ギルドを出ようとした直前、はっとしたグレイは急に落ち合い場所変更の提案をしたのだった。

 (・・けど、なんで町中でなく人気のない場所えらんだんだろ・・)

 まぁその理由もグレイの家族と同伴することによって明らかになったわけだが・・

 「おはようーーー!!」

 森の方から呼ぶ声がした。

 はっとしてアイは声の方向をみると、手をふりながらグレイが一人でやってきた。

 「おはようございます!」

 「ごめんねー。急に場所変更しちゃって。変なモンスターに襲われなかった?」

 「いえ。大丈夫でした」

 「この辺もちょっと強めのもでるからね。一人でここに呼んじゃったから心配したわ」

 「ちゃんと、装備もととのえてきましたので!」

 そういえば、グレイのことよくみてなかった。と思ったアイはグレイをまじまじとみる。

 ちょっとやせ形ですこしたよりないかなと思ったが、防具越しにほどよく筋肉つつけているようだ。

軽装ではあるが剣は長剣を腰につけている。ほかに冒険具を多数いれているかのようなポシェット・・・

 「ん?なんかついているかしら?」

 「あ!いえ!なんでもないです」

 アイは赤面して俯いてしまった。

 「そうそう、家族を紹介しないとね」

 「え?・・あ・・はい!」

 「みんなー でておいでー」

 家族・・しかし、なんで一緒にこない?なぜ隠れているんだろう・・と思うアイ。

 (なんか、不思議な感じがするなー)

 すると茂みのなかから女の子が二人ひょこっと顔をだし、笑顔で駆け寄ってきた。そのあとからパステルと同じ歳ぐらいと思われる女性が二人歩いてくる。

 (え、女の子?・・てか、みんな女性だ・・)

 女の子たちはグレイにかけより元気にハイタッチ。つづいてきた女性二人もグレイの横にならんだ。

 「改めて自己紹介するわね。私の家族達!アイさんといっしょに同行してくれる『仲間達』よ」

 「はじめまして!ママからお名前うかがってます。アイさん・・ですね。宜しくお願いします!」

 「こんにちは!」

 「ちぃ──!!っス!」

 「お初にお目に掛かります、私、シィタともうします。短い間ですがよろしくおねがいいたします・・」

 次々と挨拶され、どぎまぎするアイ。

 「わわ・・・ はじめまして!アイです。よろしくおねがいします」

 「肩苦しいこといいことなしよ。えっと、家族の名前紹介するわね、この子が妹のシィタとアクア、

・・で、このチビたちは私の娘の、セタとナナシーっていうわ」

 「え!?お子さんがいるんですか!こんな若いのに!!!」

 「・・・ んー 説明するとながいけど、みんな血はつながってないわ」

 「え!」

 「私が核になってつくったファミリーなの。いろんな・・わけありで・・」

 「・・そうなんですね・・ どうりで似てない・・・ あ! すみません!」

 「クス。よく言われます」

 草原に笑い声が響き渡る。とにもかくにもアイはうれしかった。自分のパーティをたすけるための探索・・一人でできずに悩んでいたときの神からの祝福かもしれないグレイとの出会い。

 そして、仲間ができ一緒に探索をやってくれる。一瞬女性だけのメンバーで戦力になるのかなとおもった自分を咎めたい気分になった。

 「アイさん、一瞬女性だけで大丈夫かと不安に思ったんじゃないかしら?」

 と、心を見透かされたかのようなグレイの質問にパステルは動揺した。

 「あ!え!そんなことぜーーんぜん思ってないです!」

 「フフ! まぁ、 みんなの職業を紹介しとくわね」

 「私は魔法剣士。魔法と剣術の複合戦術が得意なの。で、シィタは精霊魔術師。精霊の力をかりて自然魔法を使うわ。で、アクアはトレジャーハンター兼マッパー。パステルさんと同じ職業に近いわね。」

 アクアがにんまりし親指をアイに向ける。 急なアクションにびっくりしたアイだが笑顔でおかえし。

 「セタは剣士。小柄な体のわりに大きな剣を使うけど技は私の折り紙付きよ。で、ナナシーは魔術師。全属性の魔法を得意とするわ」

 「・・で、アイさん、不安かしら」

 「いえ!全然! これなら余裕ですよね!」

 「安心してくれてうれしいわ」

 グレイの紹介でみんな冒険者としての肩書きを持っていることがわかりとりあえず安心するアイ。さらなるグレイの説明でみんなで数々の探索をおこなっており、ギルドでも有名な女性パーティーだったことがわかった。

 しかし、受注はグレイがすべてひとりでおこなっていたため、ほかの家族がいることはしられていないらしい。

 「で、もう一つのお願いなんだけど、私に家族がいるってことは他の人には内緒でお願いね?」

 「え・・あ、はい・・わかりました・・」

 「宜しくね!」

 家族の事は内緒。それが妙にひっかるが、アイは後から知ることになる。

 グレイはぐーっと伸びをすると、早速行動予定を提案した。

 「探索先の洞窟までは一日かかるから、途中の宿町で一泊、そこで装備を調えて向かうことにします。それでいいかしら?」

 「はい、お願いします。宿代は報酬の中から・・」

 「大丈夫よ!あそこの宿町温泉があるっていうじゃない。そこにみんなで入りたかったのよ」

 「そうなんですね! 温泉かぁ・・ あたしも久々です!」

 「よかったらゆっくり休むといいわ。美肌の湯とも聞きますから」

 グレイはにっこりアイに微笑みかける。アイはとにかくかしこまるしかなかった。

 「さ、急がないと宿町につくまえに日がくれちゃう。いきましょ?」

 グレイの家族のみんなが、おー! っとかけ声をあげると、グレイを囲むように草原から移動をはじめた。

 アイも少し間をあけてついていく。

 (いいなぁ・・家族・・ あたしには仲間がいるけど、あんな深いつながりじゃないし・・ うらやましいかも・・・・)

 家族という言葉にあこがれを持ったアイ。 自分も家族がもてたらなぁ・・っと思いながら中継地点まで足をすすめる。

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