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オストの風 ー乙女たちに幸せの風あれー  作者: 笹原 篝火


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エンカウント

なんとかミリエッタの冒険者登録をしたその帰り道・・・

 殺人犯を捕獲するという仕事をいらだつ冒険者らの前で受注することによりその場をしのいだグレイ。

 本人も十分承知の上だが今仲間のヨルに向けられている疑いの目を一時的に凌ぐことができるただ一つの手だった。

 もちろん、その殺人犯がどのような相手なのか知るよしもなかった。


 「・・・いいんすか・・・グレイねぇ・・」

 事の場を荒立ててしまったアクアが申し訳なさそうでいる。

 「いいのよ。どちらにせよ、ヨルに疑いがかけられている以上こうするしかなかった」

 「でも、相手の素性もしらないで仕事を受けるのは・・」

 「そうなんだど・・他の人の話を聞いているかぎりでは今のところ犯人の動きはないわ。調べるのには時間はあるとは思う」

 「・・・すね・・・ 取りあえず・・帰る前に聞き込みっすね・・・」

 「あのー」

 「ん?」

 「わたし・・・の冒険者登録は・・・?」


 ギルドにいってすぐに冒険者に絡まれ、すっかりミリエッタの事を忘れていた。

 グレイはいそいそと書類をまとめあげると受付に提出し、ミリエッタを冒険者登録する。

 そしてミリエッタにはぴかぴかの冒険者証が手渡されるのだ。

 「・・すごい・・ 金属で出来ているんですね」

 「うん、そう。戦闘とか荒地を動くことになるからそう簡単に破損しないようにね」

 目をきらきらさせながら初めてもつ冒険者証にミリエッタは目を輝かせていた。

 「魔法金属で出来ているから相当な高温でも溶けたり、ものすごい力でも壊すことはできないのよ?」

 「へぇ・・なんでです?」

 「そりゃ・・・ドラゴンとかに灰にされても、個人が特定できるように・・っす」

 横やりをいれてアクアが答える。

 それを聞いて軽く引くミリエッタ。

 「・・へ・・へぇ・・ まぁ・・死ぬのも覚悟の内・・・ってことですね」

 「ま・・まぁ・・そうなんだけど・・わたしのもみる?何年も使っているんだけど・・」

 「え!?いいんですか?」

 グレイはいそいそとポシェットをあさる。中を見てはっとするグレイ。

 「あ、急いできたもってきてない・・・」

 「あたしもっす」

 どうやらグレイとアクアは持って来てなかったみたいだ。今日の目的は仕事や依頼ではかくミリエッタを冒険者に登録する予定だけだったからである。

 「えー・・みたかったのにぃ!」

 「ごめんね?ホームに帰った見せて上げるから」

 「そうっす。取りあえずあえって作戦会議っす・・ね・・ グレイ・・」

 「そ・・そうね」

 「わかりました!でも・・・やった・・」

 ミリエッタは冒険者証を首にかけるとひらひらとくるくる回ってる。

 「よっぽどうれしかったみたいっすね」

 「うん・・そうね・・ 彼女にもがんばってもらわないと」


 そして、日が暮れる前にホームへの帰路につくグレイ達。

 ホームへ続く森の中を進む。

 「ほんとしかし、ヨルのそっくりさんっているんすかね」

 「そうね・・彼女がいってたけどわたしたちが数えられないぐらい生きているって聞いたけど」

 「聞いたっす。彼女の生まれたという国・・ってか遺跡までいってきたっすが・・・ほんと荒廃した場所だったっすよ・・・人が住んでいた痕跡もなにもないところっす」

 「でもヨルみたいに人形だったら状態がよければヨルの同族が存在する可能性はゼロではないか・・・」

 「そうっす・・それよりも、グレイねぇ。マジでヨルと同類だったらどう立ち回ったらいいかわかるっすか?」

 「どうって・・」

 「グレイねぇをあの糞錬金術師から取り戻すときにヨルの本気をみたんすが、あれは絶対私らには勝てないっすよ?ましてやグレイねぇを複製したやつらを瞬殺だったすからね」

 「・・・らしいわね・・ とするとわたしよりも強いのはたしか・・・ まぁ手合わせしたこともないし魔法剣が通用するかためしたことないけど・・・」

 二人が頭を悩ませながら歩いているところに割って、入ってくるミリエッタ。

 「ヨル・・ってだれです?」

 「そうね・・紹介してかったわ。わたしにはあと二人家族がいて、今諸事情で長旅に出ているんだけど・・」

 「一人はヨル・・・・いつも裸でいて目のやりどころにこまるんだけど、綺麗長い髪の毛をしてて赤い瞳の子なの・・・。オートマタ?って種族らしいわ。もう一人はデュナメス。褐色の肌をした小人族の男の子・・・。あと、二人の子供が一人・・・ミワって女の子だけど、この子の事で色々あって・・」

 「へぇ・・・綺麗な黒い髪で・・赤い瞳・・・ とても特徴的で神秘的・・・まさにあそこに立っている人みたいな感じですね」

 「へ?」

 「!?」

 とっさに、グレイはミリエッタの指をさした方向を目視する。

 ・・・長い髪・・光輝く赤い瞳・・・

 「アクア!!短剣をぬいて!!」

 「え・・・グレイねぇ・・何・・って・・ え!!! あ!!!」


 実に最低最悪・・悪い日だ・・・

 依頼を受けたその日・・そして何も策も立ててないうちに相手に遭遇してしまう。

 (・・グレイねぇ・・ ど・・どうするっすか・・・)

 (どうするもなにも・・・)

 「みんな逃げて!!!」

 グレイの大声とともにグレイはミリエッタの手をつかんで走り出す。

 とっさにはしりだしたグレイをみてアクアはびっくり、後をおっかけて走る。

 「・・・対象・・認識・・・ 排除・・ 開始・・・」

 人形はぶつぶつと物事をいうと、ものすごい勢いでグレイの追跡を開始した。

 

 「ちょ!!! めっちゃ足早いっすよ!!グレイねぇ!!!」

 「いいからはしって!!! ってなんで追いかけてくるの!!?」

 「はぁ・・ はぁ・・ グレイさん・・ わたし・・ 走るの苦手なんですぅ!!」

 ものすごい勢いで間合いを詰めてくる人形、もはや逃げ切れないと思ったグレイは人形の足止めを走りながら模索する。

 (・・・はぁ・・ 凍結魔法・・・ 時間湾曲魔法・・ 重力魔法・・・ いずれかで・・ 足止めが・・できるかなぁ・・・)

 グレイはざっと、足で踏ん張り、方向転換する。

 「グレイねぇ!?」

 「いいからあなた達ははしって逃げて!!!」

 グレイはとっさに剣に魔法を詠唱始める。

 「氷結剣・・これで・・!」

 グレイは足下に剣を突き刺す、前方方向に氷の膜がいきよいよく広がり出す。

 人形は氷に足をついた瞬間、足が膝元まで凍りつき動きが止まる。

 (・・・やった・・)

 しかし、グレイは人形の能力を甘く見過ぎていた。

 体から湯気を発したと同時に凍りをやぶり、ものすごい跳躍でグレイを飛び越す。

 「え!!そんな・・」

 そして人形は先に逃げていたアクアとミリエッタの前に着地した。

 「・・目標・・補則・・ ・・停止させます・・」

 人形はミリエッタを凝視していた。いや・・ミリエッタの首にかけていた冒険者証だ。

 まるで心臓をえぐりとろうかのごとく目にも止まらない程の速さで手刀がミリエッタを貫こうとする。

 「あぶないっす!!」

 アクアが思いっきりミリエッタを突き飛ばし、短剣をを構え手刀を止めようとする。

 

 金属の破断音・・・


 そして肉を裂く鈍い音・・・


 「が・・・あ・・・」

 「こぷ!!」

 短剣は受け止められず破断され、そのままアクアの腹を貫いてた。

 内藏に激しい損傷を受け、血が沸き上がり、吐血するアクア。

 「きゃぁああああああ!!」

 「アクア!!!」


 グレイは一気に人形に間合いを詰める。

 「グラビディフィールド!!」

 瞬時に人形の周りに陣を貼る。そしてものすごい重力が発生し人形の動きを止めた。

 「よし・・この魔法は効く!!」

 グレイはおびただしい血で汚れたアクアを抱きかかえる。

 「魔法は一刻は効果がでているわ!!今のうちに・・早く!!」

 「あ・・ あ・・・」

 ミリエッタは大量のアクアの血を浴び、腰をぬかしてぺたんと座っている。

 「早く!!」

 グレイのミリエッタの腕を強引に掴み起き上がられると一気にホームへ向けて駆けていった。

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