出会いは偶然かもしれないけど、それは腐れ縁なのかも
アクアがヨルを初めて出会う話しです。
ヨルに関しては短編のこんぺいとうを参照
出会いは偶然かもしれないけど、それは腐れ縁なのかもしれない
深い闇へ続く広い洞窟の中、たくさんの冒険者達が唾を飲みつつ進む・・・
今日公開の新しい洞窟の製図の依頼が出たためだ。
国で出した報酬は高く、かつまだ誰も踏み入れてない遺跡だったため未知のお宝もみつかるかもしれない。
向上心ある冒険者は進んで依頼を受けるわだが、未開ということは新種の魔物や想定外の罠もありうるからだ。
すでに冒険者達がお通夜状態になっているのはみんなで同時にはいってすぐ先人をきった若き少年・少女たちのパーティがお亡くなりになったからだ。
意気揚々を武器をかまえ、扉を開けて入った瞬間、新種の魔物・デモンズウォールの攻撃に遭い、ぺしゃんこになってパーティ全員が即死したのだ。
いきなりの急展開に、ほとんどの冒険者があっけにとられ殆どのパーティが意欲を落としていた。
しかし、参加したからにはみんなで協力して地図を作らなければならない。
命の危険に怯えながらすすむわけだ・・
「ちょっと難易度高すぎたんじゃなかったのか・・?」
「罠回避の技術を習得するべきだった・・」
と、後悔の念をつぶやきながら進む冒険者達・・・
その中を至近距離で冒険者達の血をあびたグレイパーティの妹、アクアがタオルで返り血を拭きなながらぶつぶつとつぶやきながらメモをとりながら進んでいた。
「はぁ、いきなりグロい展開っす・・・・ ・・ って、これ腸っすか!? えっぐ!」
装備についた肉片を振り払っていたら回りから他のパーティがいなくなっていた。
「え? いきなりおいてけぼりっすか?!」
道は多数にわかれてる。マッパーとしての基本は他の人が進んだ道には進まないこと。また情報をあつめたら同じ場所におちあい、地図の照合をすることだった。
分かれ道の場所にはすでに今回の遺跡開拓のリーダーチームがのこした集合地点の目印がおかれていた。
そして各道にはそれぞれのパーティが調査しにいく通路への旗を置いていくのだった。
見渡すと大体の通路には多数の旗がたっている。
しかし一本だけ旗が置かれていない通路があった。結構狭い道だ。
「・・・ マッパーとしてはやはりだれもいってないところを探索しないと駄目っすよね・・・」
「あぁぁ!!一人は心細いっす!! いつのまにかみんないっちゃったし!」
出だしで悲惨な状況を見てしまっただけにみな警戒し団体行動となってしまったようだ。よそ見をしていたアクアはそれで置いてけぼりをくらってしまった。
「んー しかたがない・・ この道を調査するか・・」
薄暗い細い道だった。
あかりとしてライトオーブのはいったランタンを腰に吊るし、蓋をあける。青白いひかりが暗い通路を照らした。
「さて、なにがでてくるっすかね・・・ シィタ姉ぇについてきてもらえばよかった・・ まぁ・・遅いけどね」
右手にナイフを構え、メモを胸元に挟み遺跡探索を開始した。
***
通路は一本道だった。
いくらか進むと開けた場所にでる。上をみると上のほうにも交差するように橋みたいなのが幾多にも交差するようにあり、そこの通路を他の冒険者が移動しているようだった。
「・・! ああ!! ぎゃあああ!! 」
「・・助け・・」
上からは悲鳴やらなにやらが聞こえる。炎やら煙が目についた。ドラゴンがいるのか・・それとも魔道師が炎系魔術をつかったのか・・とにかく以外につよい魔物がうろうろしているらしい。
(・・んー、こっちの道は正解だったっすね・・)
メモを取り出しこっちは最下層・・比較的安全・・っとメモを書くと広い吹き抜けを進む。
やはり一本道だ。
吹き抜けを抜けるとまた細い通路、下へ続いているらしい・・やたら寒さが肌につく。
(さっむ・・ なんすか・・この寒さは・・)
っとおもった瞬間、床が凍っていたらしく、ズドンっと床に尻餅をついた。
「いったーーー!! って・・・わわわ」
傾斜した通路だったためそのまま滑り台のように奥へといっきに滑りおちる。
そして光が見え、また広い部屋へでたかとおもった瞬間・・目の前に見えたのは・・・
「・・はは・・ 氷龍・・・ 」
目の前に入ったのは水晶のような鱗をもつ巨大なドラゴン氷龍だった。
とっさにナイフを床につきたて、滑りを止めると、くるっと姿勢をなそして起き上がった。
「い、一番の当たりだとおもったら大外れだったっすね ・・っと、最下層は行き止まり・・ドラゴン・・やばい・・っと・・・メモメモ」
メモを書いているうちに、龍は白い息を吐きながら近づいてくる。
「!! って、メモってる場合じゃないっす!この情報上にあげないと報酬にならない!」
「・・でも、一人じゃ勝てる相手じゃないっすね・・」
ナイフを構えけん制するがそれに臆する相手ではない。凄い勢いで迫ってきた。
「あ・・・死んだ・・みんな・・ ごめ・・」
っと、死を覚悟した瞬間。ひゅんっと黒い人影ま前を通り過ぎるやいなや、龍の右足に切り込みがはいった。
「ギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
っと、絶叫をあげ倒れる龍。
何事とおもって、影の先を追うと黒い影が立っていた。
影・・?影ではない。黒いローブを纏っ人。フリスビーのような細い戦輪を纏っていた。長い黒い髪・・・ 死人のような白い肌をしているそして特徴てきなのが、赤の文様・・入れ墨がはいっているかのように体に線を刻んでいる。
「・・大丈夫ですか?」
黒い髪の女性がアクアに声を掛ける。
「あ、ありがとうございます!一人では絶対勝てな・・・」
「きます!」
っと、アクアの声を遮り、前に立った。
起き上がった氷龍がブレスを吹いてきた。
(やばい・・ 凍り付く・・・)
っとおもうやいなや、黒い髪の者がローブを魔法のように展開すると光の球を展開する。
その球をさけるかのようにブレスはそれる。ローブを脱ぎ去った姿は体も手足もボロボロ・・
(・・ってか・・胸・・ 女性・・?)
「・・戦況・戦力差は不利・・沈黙は不可能・・ ・・ 撤退・・」
「え?」
黒い髪の女性は、アクアを軽々とひょいっと、手で抱え込むと、いっきに凍結した坂の通路を走り上った。
「えぇーーー!!!?」
***
広場の通路についたやいなや、黒い髪の女は手を離す。
「ふぎゃ!」
どすんと、床に落とされ顔面を強打するアクア。
「あ・・ すみません・・ 加減をしらなくて・・」
脱力したアクアはぺたんと女の子すわりをして起き上がる。
「・・いえいえ・・ 本当に助かったっす!! 命の恩人です!!」
アクアは助けてくれた女性を改めて確認した。
ローブはぼろぼろ、傷だらけ・・ 傷・・といっても、血は一滴もでてない。
「大分やられているみたいっすが、大丈夫すか?」
「・・これくらい、へいき・・壊れない・・・」
「え?壊れない?」
「はい、オートマタといわれてた存在だから・・」
「オートマタ・・」
そういえば、過去に聞いたことがある。かの大国であった不死の軍隊があると、魔族として恐れられていた。それの生き残り・・なのかも・・。
「・・って!そんなの関係ないかー!!」
「え?」
「助けてくれて改めてありがとうございます!あたし、アクアっていうしがないマッパー兼トレジャーハンターっす!」
「あ・・こんにちは、わたしはヨルといいます・・」
「あなたも冒険者ですか?」
「・・いえ、わたしは当てもなく放浪の旅をしてます。実はここも私の死地を・」
「その傷は?」
「はい・・長い年月でついたものです・・直らないものですから・・」
しかし、あまりに酷そうだし、恩返しもしたかった。ちょっとお馬鹿なアクアだったが、ひょんなことを思いつく。
「シィタ姉ぇなら精霊術なんでなんでもなおせるかも・・・!」
「?」
「ヨルさんは一人で旅をしているんすか?」
「・・はい、私と交わったものはみな不幸になりましたので・・・」
「うちの姉とあっていただけませんか?あなたの傷も・・ 心の傷も治せるかもしれないっす!」
「え・・でも・・」
「でもも、糞もないっす! あたしは命を助けていただいた恩返しがしたいんです!」
手をとると氷のように冷たかった。しかし心のなかは多分とても暖かく優しいのだろうとアクアはおもった。
「自分の仕事はおわりました。この地図を提出して賞金ゲットです!そのあとうちにこないっすか?絶対ヨルさんを幸せにして上げられると思います!これも縁ですよ!」
「縁・・しばらく聞いてない言葉ですね・・」
ヨルは何か思いふけっているようだがアクアは強引に手を引く。
「絶対、お姉ぇならなおしてくれるっす!家族にもなってくれると力強いです!」
アクアは思った。自分よりずっとつよいヨルに力で恩返しはできない。しかし、家族になってもらえば楽しいことがいっぱい見つけられるはず。
恩返しは力でかえすのがすべてではないのだ。縁を構築するのも恩返しなのだ。