オストの風
─── 本当に 東風が気持ちいい・・・
明日もいい風が吹くといいな・・・・ ───
オストの風 ─ー乙女たちに幸せの風あれー
──最高の天気!──
私は一通りの泊まり込みでの公務を終え一睡もせずにファミリーと計画と立てていた探索の準備
をしていた。
治療薬、魔法薬はあるか・・・装備品に不備はないか・・・食事は十分にあるか・・・
・・・そして探索の計画は十分か・・・
「・・ふふ・・」
楽しい♪
楽しい冒険だ♪
最高に気分が高揚する中、東風が・・・春風が吹き抜ける。かすかな草木や花の匂いをただよわせて。
──最高の気分だ───
私は青空の中、眩い太陽の下で伸びをする。
***
「点呼いくわよー」
「えー、点呼意味ないじゃないっすかーグレイねぇ!」
「ふふふ、そうよ。ねぇ様」
「お母さんはやくいこ!準備ばっちりだよ!」
「楽しみだねママ」
「・・・・」
家族みんな息が合わない。出発の出だしだというのにと、がっくりと肩を降ろすグレイ。
ハウスの戸締まりを終え、先日冒険者ギルドで受注したクエスト『竜玉探し』へ意気揚々と行こうとおもったのだが・・・
まぁ、これもいつものことだった。
家族みんなけっこう気ままで下の妹は言うことを聞かないはしばしば。
上の妹、娘たちは素直だが。
「ま・・・ とにかく、今日は久々の冒険だよ!最近なかなかハウスにもどれないし、スケジュールもなかなか合わなかったからね。 それと、みんなの力量もいない間にどうかわったかも知りたいし。力試しということで!」
「トレジャーハンターの腕がなるっす!」
「そんなこといってアクアったら村にお小遣い稼ぎで働いて剣術のほう全然やってなかったじゃない。」
「う・・・・ それチクるかよ・・シィタねぇ・・・」
「さぼってたよねー」
「あたしたちはしっかり勉強してたよ?」
「うぅ・・おまえら・・・」
家族同士で内輪もめが始まり、さっぱり進まない。
しかし、このやりとりが見ていて楽しい。なぜなら、ひさびさの家族団らんのクエストだから!
「と、とにかく、しゅっぱーつ!」
「はーい」
みなみな一斉に挨拶したあとようやく冒険に出発。東方にある、竜の洞窟に出立した。
本当に春風が気持ちいい。冒険の出立には本当にいい天気だ。
いざ迎え冒険の旅に。
***
家族の母親としているグレイは銀髪の女性。年齢は20代ぐらい、自国の公務の仕事をしている。
所属は一個中隊のは隊長クラスにある。剣技は一流、かつ、魔術もたしなめており、
職業としては魔法剣士に値する。
国からも信頼されての公務であるため、城に泊まり込みで隊の統率やら訓練に打ち込んでおりなかなか休みが取れないのが現状ではるが、 優秀な副隊長がいるため、たまに休みがとれ、村離れの一軒屋である自分のハウスに帰り、ファミリーとゆったり食事やだんらんを楽しんだり、一緒に剣技やら魔術を高めあったり、こうゆうふうにたまに冒険者ギルドへ訪れ、クエストを受注して家族みんなで冒険にいったりしているのだ。
家族は5人家族でみな女性である。
なぜならグレイ本人が様々な事情があって招き入れた姉妹や、娘たちだからだ。
なので、みな血が繋がってない。かつ、種族も違ってたりなど変わった家族だ。
しかし、お互いを親愛しあい、完全な家族となっている。
姉妹として妹が二人、歳が離れた娘が二人いる。
上の妹としているのがおっとりで家族の面倒見がいいシィタ。
いまでは絶滅したと言われている有翼人の種族らしい。その種族の特徴である翼はないが、
綺麗ですらっとながい金髪と、深い緑の瞳をしている。
職業としては精霊魔術師。自然と対話した術や回復や治癒魔法を得意とする。
そして、下の妹としているのが、ちょっと乱暴っけがあるがやはり家族面倒見がいいアクア。
これまた珍しいハーフマーメイドである。
職業はトレジャーハンター。短剣を使った剣技が主で、土地勘がすぐれ、マッピングが得意である。
普段は人間そのものであるが、水につかると人魚化し呼吸せずに水に潜れる特殊能力がある。
クエストではかなり重宝する能力だ。
次に二人の娘たち。
長女にセタ。普通の人間であるが血は繋がってない。綺麗な黒髪短毛でグレイ元母譲りの技と、グレイに鍛えられた剣技をつかう、短剣使いの剣士である。
身体能力はすぐれそこら辺の魔物はぱっぱとかたづけられるほどの強さだ。
次に次女のナナシー。彼女も普通の人間ではあるが、いわくつきの子である。
グレイと同じ銀髪をしているが、首には封魔の首輪。全身には風呪の印がほりこんであり、一見見ると異様さが見られる。 強力な魔術が使える魔術師であるが、その封印で弱い程度の魔術しか使えない。
こんな、一風かわった家族であるがそれぞれの長所や弱点を埋めあい楽しく暮らしているのである。
知り合った経緯は後ほど語るとしよう。
***
「ねぇ、お母さん、次の冒険強い相手いるかなー」
「んー どうだろうねぇ。この難易度程度だったから肩慣らし程度かなぁ」
「まーじっすかー いいレアアイテムがドロップできるといいんっすけどねー」
「まぁ、みんなが怪我しないことが一番いいわよ」
「ママと一緒だから、楽しみ♪うふふ!」
と、団らんの会話を会話をしながら、いざクエストの目的地へ向かう家族である。
─── 本当に 東風が気持ちいい・・・
明日もいい風が吹くといいな・・・・ ───
と、グレイは思いつつみなでハウスのある丘を下るのであった。