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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
96/325

*** 96 『収容所』と『大農場』の建設 ***

 


 俺は6時街予定地の南方2000キロほどのところに、捕虜収容所を作り始めた。

 ちょうど砂漠地帯が終わって草原が広がり始める辺りになる。


 まずは1キロ四方ほどの囲いを100ヶ所作る。

 壁の高さは50メートルにして、地面もマナ建材で覆った。

 これでそう簡単には逃亡出来ないだろう。

 水場と簡単な小屋とトイレとクリーンの魔道具を設置するだけだからすぐに出来る。

 まあ、ひとつ作れば後はコピペするだけだから簡単だ。

 竈や薪や調理道具も置いといてやるか。


 ここは、まず捕獲したヒト族を一旦収容して仕分けする場所にする。

 それから500メートル四方の25人用収容所を2万カ所、200メートル四方の4人用収容所を5万ヶ所、100メートル四方の1人用収容所を10万ヶ所作った。

 やはり高さ50メートルの壁で囲まれていて、地面もマナ建材で覆われている。

 もちろん人数が少ない程重罪犯用だ。

 まあ1人用に入れるのは、正当防衛以外の罪業カルマポイントが10ポイント以上の終身刑確定のやつになるな。

 全部作るのに1週間近くもかかったが、これでしばらくは間に合うだろう。



 それから俺は、『9時街』の南側に畑を作ることにしたんだ。

 まずは10キロ四方ほどの土地をなだらかにする。

 その周囲には深さ1メートル程の排水溝も作った。

 そうしてそこに、深さ10メートル、幅100メートル、長さ10キロの巨大なプランターを作ってみたんだよ。

 底の部分には5センチほどの穴をたくさん空けて。

 うん、なかなかいい感じじゃないか。


「どうだアダム、プランターはこんなもんでいいかな」


「サトルさま、プランターの内側に隣のプランターに農業機械を移動させるための傾斜路を作られたらいかがでしょうか。

 それから水撒きの為の水槽や水路も」


「おお、そうだな。それ無いと不便だよな」



 俺はプランター内に傾斜路と転移魔方陣付きの水槽も作った。

 幅2メートルほどのプランターのフチに溝を掘って、水も流れるようにする。

 次に中に直径10センチほどに砕いた石を厚さ50センチほどに敷いた。

 その上には5センチほどの石と、3センチほどの石をやはり50センチほどに敷く。

 そうしてその上に、森から集めた腐葉土に肥料を混ぜたものを入れたんだ。

 まあこんなもんでいいか。


 そうして俺は同じようなプランターをもうひとつ作りながら、その工程を魔法マクロ化したんだ。

 次いでアダムにそれを順番に並べるマクロも作ってもらって、魔法マクロ【プランター敷設100】の魔法マクロが完成した。


 俺がそのマクロを実行すると、目の前の10キロ四方の土地にみるみるプランターが並んで行く。

 はは、あっという間に1万ヘクタールの畑の完成だぜ。


「サトルさま、これでちょうど大森林から採取した腐葉土がほぼ無くなりました」


「そうか、それじゃあオーク族に土の採取を頑張ってもらわんとな。

 あとは1キロおきに転移の魔道具を設置して、畑の外周にも傾斜路を作って終了だ。

 魔道具設置は悪魔っ子たちにやって貰うとして、俺は傾斜路を作るか」



 あ、なんか南門から大勢出て来てる……

 そうか、展望台から畑が見えたんで出て来たんだな。

 みんなが恐る恐る近寄って来ると、俺はプランターに昇る傾斜路を作ってやったんだ。


「さあみんな、畑が出来たから昇って見てみろよ」


「うおおおおおおおお……」

「す、すげえ。こ、こんなに広い畑が出来てる……」

「ついさっきまで何も無かったのに……」


「これで作物もたくさん出来るだろう」


 はは、みんなこくこく頷いてるよ。

 そうだ、この畑の10分の1ぐらいは果樹園にするか……

 最近植物の精霊たちがだいぶたくさんの果樹を集めてくれてたから、そのうちこの辺りの気候に合いそうなものを植えてみよう。


 街の西側にはガラスを使った温室型プランターも作るか。

 そこには熱帯性果樹でも植えてみるかな。

 そんなものみんな食べたこと無いだろうし。


 東側の温室にはジャガイモっぽい芋があったから植えてみよう。

 そうすれば冬でも収穫出来るし、みんなフライドポテトは大好きみたいだし。

 うーん。食糧自給もそう遠い話じゃないかもだな……



 翌日からは、今ある100台の大型掃除機を使っての土採取、砂採取の講習会も始まった。

 みんな実に熱心に練習してたわ。

 追加の掃除機が届き次第、本格的な土と砂の採取を始めてもらおう。


 畑の西側では植物の精霊たちによる果樹の植樹も始まっている。

 どうやらここにはミカンっぽい木と梨っぽい木とリンゴっぽい木を植えるらしい。

 多少気候の合わない木もあると思うんだが、まあ精霊たちに任せておくか。

 あ、また例の『植物が元気になる水』を撒いてるな。

 あれをかければ大抵の植物は元気になるから大丈夫か……



 翌日は、巨獣・巨人街のある『2時街』予定地の東方50キロほどのところに、『洞窟ドワーフ旧支配層』のために収容所を作ってやった。

 まずは例の『恐怖症』持ちのための収容所だ。

 これは100メートル四方の1人用のものを50カ所、内部には、低いドーム型の住居を建ててやっている。

 住居内には調理場だのトイレだのも作り、また各種魔道具も設置して快適に過ごせるようにはしてやった。ベッドもマットレスも置いてある。


 そうして壁の内側には、土が集まり次第、50メートル四方のプランターを2個ほど置いてやるつもりだ。徐々に恐怖症を克服しながら農作業もしてもらおう。

 それから恐怖症持ちではない旧支配層向けには、1人用を500カ所と4人用を500カ所、それから100人用を10ヶ所作った。

 一応囲いには順位付けをして、洞窟や砦での態度やE階梯の順にここに入ってもらう予定でいる。

 もう2度と生まれによる支配階級という幻想を持たないようにしてもらうためにな。

 まあ、真面目に生きるようだったら街に移してやってもいいだろう。




 その日の夕食時。


「エルダさま、早速地球から屋台を輸入して頂いて本当にありがとうございました」


「うむ、わたしも屋台街を見てみたのだが、あれほどまでに皆が喜ぶとは思ってもいなかったわ」


「あの光景は素晴らしいです。

 なんというかこの、働いている者も食べている者も、みんなの幸せが立ち昇ってくるようで……」


「だがあまりにも混雑しておったの。もっと屋台の数を増やすか?」


「是非お願い致します。ああ、おカネは俺の口座から引き落としてください」


「はは、それなら店も試しに少し作ってみるか。

 パン屋とか喫茶店とかラーメン屋とか……

 わたしが勝手に用意してもいいかの」


「是非。お任せしてもよろしいですか?」


「うむ、まさかここでも商売を始められるとは思わなんだわ。

 もっとも儲けはゼロだがの、はは」


「なんでしたら儲けの分だけ俺がお支払いしますけど……」


「気にするな。

 お前のおかげで【株式会社エルダーシスター】の純資産が5000億円を越えたわ。

 それで充分だ」


「そ、そんなに……」


「おかげでわたしの使い魔たちの給料を10倍にしてやることが出来た。

 もともとはやつらに小遣いをやるために作った会社だったからの。

 おかげでお前は今や奴らの英雄でもあるぞ」


「そうだったんですか…… それはよかった……」


「そうそう、それで相談なのだがの。

 お前とシスティのフィギュアを神界で売り出してもいいかの?

 システィの了解はもう貰っておるが」


「え、ええ、もちろん構いませんが……」


「そうか! 爆売れ間違いなしじゃの♪」


(エルダさま…… やっぱり商売そのものも好きなんだな……)




 こうして俺は、畑を作り、収容所を作り、移住者を受け入れていったんだ。

 果樹園も出来上がって、秋には果物もたくさん収穫出来そうだ。

 さあ、後は『対ヒト族戦争』だな……





 数日後の戦略会議の場。


「サトルさま、ビクトワール大王国が洞窟ドワーフ領侵攻の指令を発する場を確認いたしました」


「そうか! アダム、よくやった!」


「ありがとうございます。

 まず概略をお伝えさせていただきますと、やはり属国のギャランザ王国に命じてグレゴール王国を侵略するよう命じたのはビクトワール大王国の王でございました。

 そうして旧グレゴール王国の残党を一掃した現在、隣接する洞窟ドワーフ族の本拠地に対し、侵攻するようギャランザ王国に命令を出しております。

 その模様をご覧になられますか?」


「是非見せてくれ」



 コントロールルームの大画面に、どうやら城の中らしい大広間の様子が映し出された。

 ほう、この中央のデカい椅子にふんぞり返っているのがビクトワール王か。

 見るからに酷薄そうな顔つきだわ。

 左右に将軍らしきやつやら文官らしきやつやらを大勢侍らしちゃってまあ。



「陛下、グレゴール王国派遣軍の将軍よりご報告があるそうでございます」


 王が傍らの文官らしきヤツに何事か囁いた。


「よい、御前での発言を許すと仰せだ」


「ははっ! ありがたき幸せ!

 それではセグワイル・ビクトワール・サイ13世陛下にご報告申し上げます!」

 グレゴール王国内の残党征伐は終了いたしました!

 グレゴール王は王城にて誅殺致しましたが、王族の一部は北方に逃してしまいました。

 誠に申し訳ございません!」


 王が笑みを浮かべた。

 あー、気色悪ぃ顔だぜ。完璧な悪党ヅラだな。


「ふはははは。

 グレゴール王も莫迦な男よの。余の命に従わぬとは。

 故にこうして滅びることとなる。

 まあ、他の属国にも良い見せしめになったことであろう」


「「「「「御意!」」」」」


「それではギャランザ王に洞窟ドワーフ族討伐を命じよ!

 最低3万の軍を派遣してドワーフどもの支配階級をすべて殺させろ!

 後詰として我が第3王子の指揮するビクトワール大王国軍5万を派遣する。

 10日後にはここ王都を発て!

 以下仔細は軍務大臣より指示せよ!」


「「「「「御意!」」」」」







「のうサトルや。

 お前は確かに『不殺の誓い』を立てておるが、このような下衆は撲滅してやった方がいいのではないかの?」


「エルダさま、来年の今頃までにはこの国を完全に解体して、この王も収容所で終身刑にしてやりますよ」


「はは、楽しみにしておるぞ」



「現在ビクトワール王国の使者がギャランザ王国に向け出発したようです。

 到着の予定は30日ほど後になりますが、使者がギャランザ王宮に到着次第、またご報告させて頂きたいと思います」


「頼む」


(無線も電話も交通手段も無い世界での戦争って時間がかかるなあ……

 まあその分準備の時間があって楽でいいけど。

 そうだ、その間にアレ作っておくか……)




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