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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
95/325

*** 95 オーク・キングからの提案 ***

 


 俺はオーク・キングに向き直った。


「そうだオーキー、その通りだ。

 加えて俺がヒト族の暴虐を止めさせる。

 その際にもヒト族は殺したくないんだ。

 そんなことをしたら、罪業カルマポイントが増えてしまうし、ある意味では奴らも神の怠慢の犠牲者だからな」


「それではヒト族は『サトルさん』にお任せするとして、われわれはさらに幸せに暮らすための方法を考えましょう。

 それで2つほどご提案があるのですが……」


「大歓迎だ」


「まず我々が最も幸福を感じるのは子供たちの笑顔を見たときです。

 子供たちがお腹いっぱい食べて、元気に走り回っている姿を見たときこそ最大の幸せを感じます。

 そうして、それでこそもうひとり子供を作ろうと考えるでしょう。

 そうすれば、『試練達成』の条件の一つである、人口5億以上に近づけることと思います。

 ですが、これは既に進みつつあります。

 あの北の大通りの光景を見れば一目瞭然ですな。

 最近では若いオークたちが、カップルを作って独身者用の部屋から2人部屋に移るケースが増えて来ておりますよ」


「うむ、オーガ族もそうなっておるの」

「ゴブリン族もだの」


「それで『サトルさん』、『感謝の場』を造られたらいかがでしょうか?」


「感謝の場?」


「具体的にはシスティフィーナさまの神殿です。

 この街に住む皆に、『幸せを感じたときには神殿に出向いてシスティフィーナさまへ感謝の祈りを捧げなさい』と伝えましょう。

 そうすれば幸福ハピネスポイントが飛躍的に上がって行くことになるでしょうな」


「それは実にいいアイデアだな。

 そうだ、システィに頼んでその神殿に1日1度は降臨してもらうか……」


「そ、それは素晴らしい…… 

 きっと皆、大喜びしてたくさん感謝の祈りを捧げることでしょうな」


「それじゃあ早速『中央街』に神殿を作るか。

 『9時街』やこれから作る街からは『転移の魔道具』で誰でもすぐに神殿に行けるようにしよう……」


「ありがとうございます。

 それからもうひとつ、我々が幸せを感じるのは『収穫のとき』なのです。

 作物が大量に実った畑を見て、そこから多くの作物を収穫出来たとき、我々は本能的に幸福を感じるのでしょう。

 ですからお忙しいところたいへん恐縮なのですが、『サトルさん』にはこの街の周りに畑をご用意願えないものかと……」


「それじゃあさ、オーク族には大森林の中で畑の土にする『腐葉土』を集めてもらおうかな。

 『掃除機』っていうものがあって、森の土を吸いこむと自動的にアダムの倉庫に送られるようになってるんだ。

 以前は悪魔族の子たちがやっていた仕事だったんだけど、最近街の仕事が忙しくって集められなくなってたんだよ」


「是非お任せくださいませ。みんな仕事が出来て大喜びでしょう」


「それじゃあベギラルム、悪魔っ子たちを何人かつけてオークのみなさんに土採取のやり方を教えてあげてやってくれ」


「御意」


「のう使徒殿、オーガ族にもなにか仕事を下さらんかの……」


「はは、みんな働き者だなあ」


「労働の喜びもまた幸福のひとつですぞ」


「それじゃあオーガ族にはより過酷な砂漠の砂集めをしてもらおうか。

 実はあの砂漠の砂って、資源の宝庫なんだよ。

 その資源をエルダさまの管理する地球に売って、そのカネでみんなの食べ物や日用品を地球から輸入してるんだ。

 この街を造ったマナ建材も、その砂から出来てるんだぜ」


「おおおおお、なんというやり甲斐のある仕事を……」


「はは、たまにはオーク族とも交代しながら仕事をしてくれ。

 そうだな、その仕事をするときには、2時間ごとに必ず休息を挟むこと、それから1日の実労働時間は6時間以内にすること。さらに5日ごとに2日の休日も取ってくれ。

 仕事ばっかりじゃあ生活を楽しむ時間が無くなるからな。

 それから各人に『転移の魔道具』を渡して、休息時間には屋根のある場所で休んだり食事をしてもらうことにもしよう」


「それはまた…… 随分と条件のいい仕事ですなあ」



「それからベギラルム」


「ははっ!」


「大型掃除機を1万台購入してくれ。

 あと発電機も30台ほど注文しておいてもらえるか。

 必要だったら水力発電用のダムもいくつか増やそう」


「心得ました」


「それじゃあみんな、既に移住して来た種族やこれから移住して来た種族のために、その族長たちにも今日の話を伝えておいてくれるかな」


「はい、お任せくださいませ」


「それからアダム、今の話を大勢に説明するためのビデオを作っておいてくれるか。

 俺やシスティの姿を使っていいから」


(畏まりました)



「なあ兄弟たちよ。

 我らドワーフがこの街に移住するのは、我らの安全と幸せのためだけではなかったのだのう」


「そうだな兄貴、500年後の我らの子孫の為でもあったのだな……」


「これは移住せんといかんな……

 使徒殿、我らドワスター・ドワーフ全員の移住をお願い出来ようか」


「もちろんだ」


「ありがとう。心より礼を言わせてもらう。

 それでわれらはどのような仕事をすればよいのだろうか」


「アダム、確かドワーフには土魔法の素養があったんだよな」


(はい、長年岩塩の採掘をし、土の精霊さまたちと親しんで来たせいか、みなさん多少なりとも土魔法の素養をお持ちです)


「それじゃあドワーフたちに魔法の使用権限も与えるから、土の精霊たちに土魔法を教えてもらってくれるか。

 これを覚えると、鉄鉱石から鉄だけを抜き取ったり出来るようになるんだ」


「おおおお、それは素晴らしい……」



「な、なあ、使徒殿、い、いやお師匠様よ。

 わしは何をすればよろしいかの……」


「大族長、あんたとベギラルムには重要な仕事があるんだ。

 アダム、ここに電気式の耕運機を出してくれ」


「はい」


 すぐに出て来た耕運機を前にして、みんなが集まって来たよ。


「これは畑を耕す機械なんだ。今実演してみよう」


 耕運機のスイッチを入れると、その刃が回り始める。


「畑の仕事の中で最も重労働なのは耕すことだろう。

 収穫を終えて固くなった畑の土をかき混ぜて空気を入れてやらないと、次の作物が育ちにくいからな。

 だが、この機械があれば、子供でも畑を耕せるんだ。

 予め畑に肥料を播いておけば土に肥料を混ぜることも出来るし」


「おおおおおお…… な、なんという素晴らしい『技術』だ!」


「だが、残念ながらこれは地球からの輸入品で、俺にもまだ作れないものなんだ。

 この部分はモーターと言って回転する機械なんだが、この機械をこの世界でも作れるようにしたいんだよ。

 だから大族長、あんたとベギラルムに北門近くの建物をひとつ使ってもらいたい。

 そこを研究所として、この機械をこの世界で自作出来るようにして欲しいんだ。

 必要なら何人助手を使ってくれてもかまわない。

 なんだったら建物の上の階に住んでもらっても構わんぞ。


 だがまずはPCというものを渡すから、それで地球の技術を勉強して欲しいんだ。

 わからないことがあったらベギラルムに聞いてくれ。

 こいつは長年地球に住んでいたから、かなり技術に詳しいんだ」


「ベギラルム殿…… よろしくお願い申す……」


「こちらこそよろしくお願い致し申す」


「それからさ、このモーターっていう物を使うともっと面白いものも作れるんだぜ。

 それじゃあ実演するからみんなで北門の外に転移しようか」



 そうして俺は北門前に電気自動車を出現させたんだ。

 はは、みんな目がまん丸になってるよ……


「こ、これは…… う、美しい機械だ……」


 はは、大族長さん涙流しながら自動車を撫でてるわ。


「それじゃあちょっと運転してみようか」


 俺は電気自動車に乗り込むと、ゆっくりと走らせ始めた。

 もちろん俺も自動車を運転するのは初めてだが、まあゆっくりだったらなんとかなるだろう。

 ここはこんなに広い場所だし。

 あー、やっぱり運転って面白いわ。

 これ、いつかサーキットでも作ってスポーツカーでも買うか。

 バスでも買って遠足にでも連れて行ってやったら子供たちも喜ぶだろうなあ。


 俺はガソリン式の軽自動車や大型コンバインも用意した。


「これはさっきの耕運機や電気自動車の『モーター』の代わりに、ガソリンを燃やして動かす『エンジン』というものが乗っているんだ。

 だがガソリンが燃えると臭いガスが出るんだよ。

 だからこのガソリンの代わりにマナを燃やして走る自動車を作りたいんだ。

 そうすれば、こっちのコンバインもマナで動かせるようになるからな。

 このコンバインは、穀物の収穫が出来るし、同時に脱穀もしてくれる便利な機械なんだぜ」


 あー、みんな目が点になってるよ。


「それじゃあ大族長、この機械は全部あんたにあげるから、ベギラルムと一緒に自作できるように頑張ってくれ。

 まあ俺やアダムも手伝うからさ」


「こ、この機械をわしに下さると仰るのか……」


 あ、大族長、また泣いちゃったよ……


「そうそうベギラルム。

 この電気式耕運機とコンバイン、1000台ずつ買っておいて欲しいんだけど、地球の悪魔さんたちに言って、使い方の講習を受けて来てもらいたいんだ。

 それで、ゴブリン族とオーガ族とオーク族たちに使い方を教えてあげて欲しいんだよ。

 族長たち、これ50台ずつ差し上げるから、使用方法を教えてもらって畑での仕事で使ってくれないか? けっこう便利だぞ」


「わ、我らにも下さると仰るのか……」


「もちろん。でも安全には気をつけてくれな」


「あ、ありがとう、使徒殿よ……」



「さて、それじゃあ『幸福ハピネス』を増やす方はみんなに任せるとして、俺は『罪業カルマ』を増やさないためにヒト族を懲らしめる方に専念させてもらおうかな。

 みんな頼んだぞ」


「「「「「「 おう! 」」」」」」



「ノーム!」


「はいだす!」


「あのさ、中央街にシスティフィーナ神殿を作って欲しいんだ。

 それでまず設計をお願い出来るかな。

 設計が出来たら見せてくれ。」


「うほおおおおお! 感謝感激だす!

 必ずや素晴らしい神殿をお作りさせて頂くだ!」


 はは、張り切ってるなあ……




 3日後から『ドワスター街』のドワーフたちの移住が始まった。

 それほど急ぐ必要も無いので、日に1000人ほどずつ移住して来ている。

 まあ彼らの街と『9時街』は転移の魔道具で繋がっているからな。

 衣類や家財道具も何回かに分けて運べるんでそれほど大変じゃあないみたいだ。





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