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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
90/325

*** 90 『ドワスター・ドワーフ族』との出会い ***

 


「なあアダム。ちょっとベギラルムを呼んでくれるか?」


「なにかご用でございますかな、サトル殿」


「おう、ベギラルム。

 お前最近趣味で剣を作ってたろ。それ、何本か俺にくれないかな。

 明日ドワーフ最大の街に行って、そこの族長に会うんだけど、そいつが『技術大好き♪』らしいんだ。

 だからお前の剣を見せてやろうと思ってな」


「それはそれは…… 光栄でございますな。

 最近、鋼鉄に純粋マナを10%ほど混ぜてみたところ、折れも欠けもしない剣が出来ましたのですよ。

 しかも『練成』を使って刃先を極限まで尖らせたところ、太さ10センチほどの木ぐらいなら簡単に切れるものが出来ましたので、それを差し上げます」


「そんないい剣もらっていいのか?」


「はは、それがしは、さらに上の剣を目指しておりますので。

 今作っている剣は習作ですから構いません。今持って参ります」


(なあアダム、『振動の魔道具』って作れるかな。

 それ剣の柄に仕込んで刃を振動させたらさらに剣の切れ味が増すと思うんだ)


(それでは『超高速振動』の魔道具の魔法式を用意いたします)



「サトルさま。3本でよろしいですか?」


「おお、ベギラルム、サンキュ。

 なあ、今1本ちょっと改造していいか。

 アダムが設計してくれてる『振動の魔道具』を、この柄の中に仕込んでみたいんだ。

 そうして、剣の刃をこの薄さのままノコギリみたいに変形させれば、もっとよく切れる剣が出来ると思うんだよ」


「おおおお、それは素晴らしい!

 よく戦闘系アニメに出て来る『振動剣』ですな!」


(そうか、こいつ地球のアニメにけっこう詳しかったっけ……)


「それじゃあさ、今日はもう他の仕事はしなくていいから、アダムと一緒にその振動剣を作っておいてくれよ。

 あ、あと2メートルぐらいのレーザーライフルも。

 もちろん先端に『レーザー起動の魔道具』を埋め込むだけで、実際のレーザー光はその場で俺が作るから、まあモデルガンみたいなもんだけどさ。

 その代わりカッチョイイのを頼んだぞ」


「おおおお! モノ作り好きの血が騒ぎますな!」


「だったら、お前も明日一緒にドワーフの街に行くか?

 なんでもその族長は、技術談義をするのが大好きなそうなんだが……」


「ぜ、是非ご一緒させてくださいませ! むふぅー!」


「た、楽しそうだな……」


「ええ、実に楽しみです!

 それではさっそく『振動剣』と『レーザーライフル』を作らねば!」






「なあ、ノーム。ちょっと来てくれないか?」


「お呼びですかサトルさま」


「明日別のドワーフの街に行くんだが、そのときまた呼び出すから俺の近くに転移して来てくれないか?」


「はいだす。だども……」


「どうしたんだ?」


「最近サトルさまがおらたち土の精霊ばかりお呼び下さるんで、他の精霊たつがちょっと寂しそうにしてるだ……」


「ははは、そうか、それなら半分は街に残って働いてもらうとして、残り半分は来てもらえるように言っておいてくれるか?」


「みんな喜ぶだよ♪」


(そうか…… 精霊たちは俺が仕事をお願いすると喜んでくれるのか……)




 それから俺はいくつかの魔道具を用意して、翌朝技術好きのハイ・ドワーフが族長を務めている『ドワスター街』の城門の前に転移したんだ。


 おお、もう出迎えが来てるのか。

 さすがはドワールスだな。


「システィフィーナさまの使徒サトルさま、ようこそ我らが街においでくださいました。

 わたくしは族長補佐のドワリングと申します。

 これから我らの族長のところにご案内させて頂きたいと思います」


「どうもありがとう。よろしく頼む」


(こいつ…… 俺が突然現れてもちょっと眉を動かしただけだったか……

 なかなかの男のようだ……)




 その城門の周りでは、大勢のドワーフ達が働いていた。

 どうやら城壁をもっと大きくしたり、矢狭間を作ったり石を積み上げてたりしているようだ。


「散らかっていて申し訳もございません」


「いや、こちらが勝手にお邪魔したんだから、構わないぞ。

 おお! 城門を抜けても道がこんなに狭く作ってあるのか!」


「はい。わざと狭い曲がりくねった道にして、たとえヒト族に最初の城壁を抜かれても、次の内部城壁にたどりつく前に攻撃出来るようにしてあります」


「うーん、素晴らしい城郭だな…… 城壁の造りも実に見事だし」


「お褒めに与り恐縮でございます……」



 それから俺たちは4つほどの城門を抜け、本丸のような場所に案内された。

 それにしても、ドワーフ達の住居が見当たらないな……


 俺たちが岩山の中の階段を上がって行くと、岩を削って作った広いテラスのような場所に出た。

 左右は遥か下まで続く断崖絶壁になっている。

 正面には砦のように見える建物があった。


(そうか、村はこの砦の背後にあるのか。

 それにどうやらこの砦は族長や幹部たちの住居も兼ねているらしい。

 ということは、この砦が最後の防衛線ということか……

 最後まで族長が一族を守るということなんだろう……)



 俺たちの正面には、中央に黒い大男が座り、その左右やや後ろにはこれも黒い大男が2人、そうしてさらにその左右には20人ほどの男たちが、薄い座布団のようなものの上に座っていた。

 どうやら幹部を全員集めていてくれたようだ。


 その中央の大男の前には、10メートルほど離れたところに高さ20センチほどの台が置いてあり、その上には分厚い座布団が3つ置いてあったんだ。

 ああなるほど、ドワールスから俺の体格を聞いたのか。

 だから座ったときに俺の目線と族長の目線が同じ高さになるようにしてくれたんだ……


「どうぞこちらにお座りくださいませ、使徒殿」


「ありがとう」


 俺は中央の座布団に座った。

 だが、ベギラルムとドワールスは、台の下の岩床に座ったんだ。


「お連れさまもどうぞ台の上に」


「いやわしらはここでけっこう。みなさまより高いところに座るわけにはいくまいて」


 族長が横を見た。

 すぐに数人のドワーフがやってきて台の上の座布団をベギラルムとドワールスの前に置いている。

 はは、こいつら礼儀正しいやつらだなあ。



「お初にお目にかかる。システィフィーナ天使の使徒をしているサトルという者だ。

 今日はわざわざ時間を取ってくれてありがとう」


「使徒殿。この『ドワスター街』で族長をしておるドワタルニクスじゃ。

 本日は遠路はるばるご足労頂いてかたじけない」


 おおー、こいつも礼儀正しいじゃん。

 俺みたいな見た目ヒト族の若造を相手にしてるのに、全く侮った気配も無いな。

 よほどドワールスが大げさに話をしたのかな?


「使徒殿よ。こちらのドワールス殿より話は伺った。

 あの岩窟にシスティフィーナさまをお呼びして族長を解任し、また一族全員の移住先をご用意なされたとか。

 そのような偉大なお方様にご来訪頂いて感謝の念に堪えませぬわい」


「ドワタルニクス族長殿。

 こちらこそ急な来訪にご丁寧に対応頂き感謝している。

 ところで最初にお詫びしておきたいのだが、実は今俺は『隠蔽』というものを纏っていてな。

 そのせいで実力を隠すことになってしまっているのだが、これを外すといろいろと問題があるので、このままでお許し願えまいか」


 族長が笑顔になった。


「はは、それもドワールス殿より伺った。

 わしらも鍛えてはおるが、到底フェンリルさまに及ぶところではない。

 それにまた大地を揺らしとうも無いので、どうかそのままでいてくださらんか」


「ありがとう。

 それにしても、いくらドワールスの言があったとしても、俺のような外見の者をよくシスティフィーナさまの使徒だと信じてくださったな」


「ふはは。先ほどこちらにお見えになった際に、案内役のドワリングが片目を瞑って見せたのですわ。

 これは確かに使徒殿がその場に突然現れたとの確認の合図でしての。

 それで信じさせて頂いたわけですわ」


 そのドワリングは族長から数えて3人目ぐらいの位置に座っていた。

 はは、やっぱり相当な高官だったか。


「それではもうひとつ、俺が名乗る通りの者である証をお見せさせて頂いてもよろしいか?」


「ほうほう。それは是非見せて頂きたいものじゃ」


 はは、族長が身を乗り出して来たよ。

 好奇心旺盛なんだな。

 あ、両脇の部下からちょっとジト目で見られてる……


「それじゃあノーム、みんなを連れて来てくれるか?」


(はいだす!)


 途端にその場に600人の精霊たちが現れた。

 はは、一気にカラフルに賑やかになったな。


「「「「「「 わぁ~い! サトルさま、呼んでくれてありがとうっ♪ 」」」」」」

「「「「「「「 あー、ドワーフさんたちがたくさんいるーっ♪ 」」」」」」」

「「「「「「「「 わー、ここ景色がいいわねー♪ 」」」」」」」」



「せ、精霊さまだ……」

「そ、それもこんなに大勢……」

「お、おい、あそこにいらっしゃるのは土の大精霊さまだぞ!」

「い、いや、土の大精霊さまだけじゃあない…… 水と風と火と光の大精霊さまもいらっしゃる……」

「植物の精霊さまもだ……」


「おーい、みんなあ。

 こちらはこの『ドワスター』の街の族長のドワタルニクスさんだ。

 ご挨拶しなさい」


「「「「「「「「 はぁ~い! 」」」」」」」」

「「「「「「「「 うわぁ~! 大きい人だね♪ 」」」」」」」」

「「「「「「「「 はじめましてー♪ 」」」」」」」」

「「「「「「「「 よろしくねー♪ 」」」」」」」」


 はは、ドワタルニクス族長、精霊たちにたかられて、もみくちゃにされてるわ。



「それでは族長殿。

 よろしければ治療院や畑に精霊たちを案内してやってくれるかな。

 怪我人や病人がいたら彼らが治してくれるし、畑の世話もさせよう。

 また水場も綺麗にしてくれると思う」


「う、うむ。最近水場の出が悪くなって来ておっての。

 下の水場から水を汲み上げて来る作業がたいへんになっておったのじゃ」


「それじゃあ水の精霊たち、水脈を調べて、土の精霊たちと協力して水の出を良くしてあげてくれるかな。

 他のみんなも病人や怪我人や畑の世話を頼んだぞ」


「「「「「「「「 はぁ~い♪ 」」」」」」」」

「「「「「「「「 おっ仕事♪ おっ仕事♪ 」」」」」」」」


「特に光の大精霊ルクサーテム、重病人の治療を頼む」


「ふ、ふん! わたしがいればどんな病人だって治っちゃうんだから!」


「うん。頼りにしてるぞ」


「――――――っ!」


 はは、みんな張り切って飛んでったわ。

 まあ火や風の仕事はないだろうけど、火の精霊も風の精霊も最近は治癒魔法や土魔法を使えるようになって来てるからな。

 これだけの数がいたら相当に役に立ってくれるだろう。

 土の大精霊ノームくんだけは残って俺の肩の上に乗っててくれてるわ。




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