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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
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*** 9 大精霊たちとの出会い ***


 


 風呂から上がると、脱衣所の隣にいつの間にかエステルームが出来ていた。

 超美形の女性エステティシャンが4人もいて、2つのエステベッドが用意されている。

 はは、薄ピンクの白衣のおしりのところから細いしっぽが出ていて、ぴこぴこ動いてるよ。

 あ、女性悪魔のしっぽの先ってハート形なんだ。

 地球ではしっぽは隠しているらしいけど……


 すぐにお姉さまは、ガウンも着ないでベッドに仰向けになった。

 まあ、はっきりいって丸見えである。

 やっぱり天使って、裸を見られることとかに羞恥心無いのかな?


 それでも俺は慌てて風呂場を出たよ。

 小一時間も待っていると、ようやく2人がエステルームから出て来た。


「どうだシスティ。エステは素晴らしいだろう」


「はいお姉さま。身も心もすっきりいたしました♪」


「エステ業界に進出した甲斐があったというものだな。

 あのエステルームはそのままにしておくから、いつでもエステティシャンを呼んでいいぞ」


「ありがとうございますお姉さま♪

 ところであのエステティシャンの方たちって、お姉さまの使い魔の方ですよね?

 エステの途中で何度か『治癒キュア』って呟いていらっしゃったから」


「ふふん、気がついたか。

 私が仕込んで初歩の回復天使力なら使えるようにさせたのだ。

 おかげで『エステサロン・エルダーシスター』は連日予約で一杯よ。

 お肌は完全につるつるになるし、肩こり程度だったら一発で治るからの。

 さらに評判が評判を呼んでな、近頃ではいいトシしたおっさん連中まで来るようになりおったわ。

 もっともエステティシャンが超絶美人揃いなこともあるが。

 人前ではしっぽは隠させて姿形も変化へんげさせているが、おっさんども、彼女たちの正体を知ったら…… 

 ぷくくくく……」


(お姉さま…… 天使の力をナニに使ってるんだ?)




 フレンチのフルコースディナーは素晴らしかった。

 っていうかあんなもの喰ったのは生まれて初めてなんでよくわからん。

 しかも俺たち3人にはそれぞれウエイターがマンツーマンでついて、面倒を見てくれたんだものな。

 話に聞く3星レストランってああいうものなんだろう。



 食後の素晴らしいコーヒーを楽しんでいると、お姉さまに聞かれた。


「ときにサトルよ。

 お前はこちらの世界で天使力や神力などにも詳しくなったろう。

 それを踏まえて、私の世界でのいいビジネスアイデアは無いかの」


(…… お姉さまナニ考えてんだ? ……)


「あ、あの……

 さっき伺った『治癒キュア』っていう回復魔法なんですけど……

 あれって体を健康な状態に戻すものなんですよね」


「その通りだが……

 まあ、彼女たちの能力は初歩のものなので、それほどまでの効果は無いぞ?

 それに深刻な病気を大々的に直したりするのは、過剰関与になるので行うことは出来ん」


「それって、衰えた毛根を復活させる効果はありますか?」


「ふむ……」


 お姉さまが考え込んでるよ。


「多少の指導と訓練が必要だが…… 可能だの…… 過剰関与でも無し……

 くっくっくっく…… 『毛髪再生ヘッドスパ』か…… それも効果100%の。

 初回はエステ付きで1万円にして…… 

 2回目以降は1回5万円、いや10万円にするか……

 そうして10回のスパで毛髪全再生か…… くくくくくっ……」


 お、お姉さまが黒くなってるよ。


「ところでお前はなぜそんなことを思いついたのだ?」


「あの…… 

 わたしが入院してたときに、大変に親切にしてくれた若い男性看護師さんがいたんです。ときどき内緒で私にピザやハンバーガーを少しご馳走してくれたり……

 そのひとって私から見ても凛々しい顔立ちをしててイケメンなんですけど、若ハゲだったんです。

 何度かトイレで鏡を見ながら頭を触って、ため息をついているのを見ちゃったもんですから……

 それで、あのひとの髪の毛が元通りになったらモテモテになって、喜ぶだろうなって思ったんです……」


「ふむ。よかろう。

 そやつには、お前の名前で『エステサロン・エルダーシスター』のヘッドスパコース10回分無料券を送っておこう」


「えっ…… いいんですか?」


「お前はわたしの大切な妹分システィの『使徒』だ。

 重大な任務も帯びておる。

 その『使徒』の前世の恩人だからの」


「あ、ありがとうございます……」


 …… お姉さまもいいとこあるな ……



「それに将来は、可愛いシスティの子の父親になるかもしれんやつだからのう」


 システィの顔が赤く炸裂した。

 もちろん俺も真っ赤に炸裂している。


 …… お姉さま、システィいじるの好きだな ……





 翌日、俺はシスティから大精霊たちを紹介してもらった。


「精霊さんって、わたしの世界を管理するために、最初にわたしが創った存在なの。

 水や火や風や土や光を動かすのに特化した存在で、みんな可愛いのよ。

 その5種類の精霊さんたちのリーダーが大精霊さんたちなんだけど、いまから紹介するわね」


 途端にその場に30センチほどの精霊が5体現れた。

 みんな可愛らしい姿をしている。

 お、俺ガン見されてるな……

 システィの隣に座ってたりするからかな……


「サトル。まずはこの子が水の大精霊ウンディーネさんよ。

 主に世界の水や水脈の管理をしてもらってるの。

 泉の水や川の水とかが綺麗なのは、この子とその部下たちのおかげなの」


 半透明でちゃぷちゃぷした水みたいな体をしている少女が、ペコリと頭を下げた。

 なんだか大人しくて優しそうな子だな。

 この子は服を着てないからついよく見ちゃったんだけどさ。

 ちっちゃな胸の先がちょこんと出ているのが可愛いよな。水だけど。

 あ、恥ずかしそうにうつむいちゃったよ。ごめんごめん。


「それからこの子が火の大精霊サラマンダーくんよ。

 私の世界に火をもたらすために働いてくれているの」


「よろしくお願いしますです、ちと(使徒)しゃま」

 ちょっと太めのトカゲの姿をした精霊が頭を下げた。

 口からチロチロと火を吐いていて可愛い。

 しっぽが嬉しげにふりふり動いていた。


「それからこの子は風の大精霊シルフィーちゃん、主に風を吹かせてマナを世界中に拡散させる仕事をしてくれているの」


「おお、アンタがシスティフィーナさまの新しい使徒か!

 アタシはシルフィー! よろしくな!」


 はは、風の大精霊は元気いっぱいだな。

 でも体の周りに常に風が吹いていて、スカートがまくれそうだぞ。

 気をつけろよな。


「それからこの子が土の大精霊ノームくんよ」


「使徒さま。よろしくお願い致しますだす」


 土色の朴訥そうな少年がペコリと頭を下げた。


「ノームくんの配下には、土の精霊だけじゃあなくって、植物の精霊もいるの。

 みんな大地の恵みの為に頑張って働いてくれているのよ」


「えへへへ。創造天使システィフィーナさまのためなら……」


「それから最後は、光の大精霊ルクサーテムちゃんよ。

 大地に太陽の恵みを与えたり、時には光の力で大地に住む子たちを癒してくれたりするの」


「ふん! いくらシスティフィーナさまの使徒だからって、あんまりデカいツラするなよな!

 この世界ではアタシたちの方が先輩なんだからな!」


 すげえなこの光の大精霊ルクサーテム……

 金髪縦ロールで、お姫さまが着るようなドレス着てるよ……

 ピカピカ光りながら空中で足を組んでエラそーに座ってるし。

 でも…… 

 無造作に組んだ足のせいで、カボチャパンツが丸見えになってて台無しだな……



「ふふ、みんないい子たちでしょ♪」


(システィさん…… 約1名反抗的なのがいますけど……)



「それでね。

 マナを使って現象を起こしたり、物を作ったりするのはこの子たちが得意なの。

 だから、サトルはこの子たちに希望する魔法を言って、教えてもらってね」


「どう教えてもらえばいいんだ?」


「あら、言って無かったわね。

 最初に、この子たちにサトルが起こして欲しい魔法現象を説明して、実際に行使してもらうの。

 それがサトルのイメージ通りだったら、今度はサトルがその魔法現象に名前をつけた後に、その魔法現象をもう一回やってもらうのよ。

 そうすれば、その後はサトルが現象名を唱えるだけでその現象が再現されるわよ」


「この子たちはマナに命令出来るっていうことか。

 そうしてその命令方法を登録して覚えれば、それを模倣出来るっていうことなんだな」


「この子たちには、少しこの世界の『マナ使用権限(超初級)』を分けてあげていて、簡単なマナへの命令式も教えてあげているの。

 それぞれの専門分野についてだけだけど。

 だからこの子たちの実行するマナへの命令に名前をつければ、サトルも同じようにマナを動かすことが出来るのよ」


「なるほど。この子たちが音声や思考で指示した命令に、タイトルをつけることで俺も使えるようになるのか」


「そういうことね。

 それにいったん魔法に名前をつけたら、その魔法を組み合わせられるからとっても便利よ♪

 例えば、『水』っていう魔法で水を出して、『火』っていう魔法でその水を温めたとするでしょ。

 その作業を統一して、『お湯』っていう魔法を作ることも出来るの」


「な、なあ…… っていうことは、魔法には水魔法だの風魔法だのの区別があるんじゃあなくって……」


「そうよ。全てはサトルの想像力次第なの。

 その想像した魔法のイメージを精霊さんたちに上手く伝えられれば、いろいろな魔法が作れるかもしれないわ。

 わたしもそうやってマナを動かしているのよ」


「なるほど……

 それじゃあシスティ自身が魔法を使うときも、自分でマナに命令しているのか」


「ええ、簡単なものならね。

 でも複雑だったり大がかりなものは、アダムさんに希望を伝えると代わりにマナへの命令式を作ってマナを動かしてくれるわ」


「なるほど」


「でもまだサトルは、『マナ保有力』が小さいから気をつけてね」


「どういうことだ?」


「サトルは体内にマナを溜められる量がまだ小さいっていうこと。

 練習すれば大きくなるけど。

 でも頑張り過ぎて体内のマナが枯渇すると気絶しちゃうわよ」


「それって…… 気絶すると体に害はあるのか?」


「ううん、無いわ。単に苦しくて不快なだけ」


「ならいいさ。

 それって、筋トレの後の筋肉痛みたいなもんだろうから。

 それに枯渇して気絶すると、その分マナ保有力は強くなるんだろ?」


「そうみたい。でも普通は誰もそんなことしないみたいだけど……」


「なんでしないんだ?」


「あ、あの、普通の使徒は『世界管理用』ポイントを150ポイント払って、十分な天使力行使の力を得られるから……

 わ、わたしが貧乏な天使でごめんなさい……」


「そんなこと気にするなよ。

 システィがいろいろと努力していたからなんだから。

 なら何回でも気絶して、自分の努力で天使力を上げればいいだけの話だ」


「で、でも、その気絶ってけっこう辛いらしいわよ。

『マナ保有力』が枯渇すると8時間ぐらい寝ないと回復出来ないんですって」


「気絶は日に3回までか……

 でもそれだと体力系を鍛える時間が無くなるから、実質2回か。

 それって強制的に回復させる手段って無いのかな?」


「『マナ保有力』は他のひとからマナを譲ってもらえばいいみたい」


「システィは天使力の使い過ぎで気絶したことあるのか?」


「一度も無いわね。今までにそんなに天使力を使う必要は無かったんですもの」


(ということは、力が枯渇したときの回復方法には研究の余地があるっていうことか……)



「ところでさ。あの『ステータス画面』には、『マナ保有力』の他にも『マナ操作力』とか『マナ放出力』とかの表示もあったんだ。

 これって具体的にどんな力なんだ?」


「ごめんなさい…… よくは知らないの」


「システィでも知らないのか……」


「うん、滅多に減らないし意識したことも無いの」


「ふーん……」





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