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【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
88/325

*** 88 システィ登場と洞窟ドワーフ族支配者層解体 ***

 


 俺はエラそーにふんぞりかえるジジイに近づいた。

 はは、怯んでる怯んでる……


「それじゃあなんでお前なんかが族長をしてるんだ?」


「…………」


「サトルさまにご返答をするだ!」


「そ、それはもちろん、我ら族長一族が、ドワーリンさまの高貴な血を引く一族だからだ!」


「ほほう。それじゃあ、その高貴な血を引く長老さまとやらのステータスでも見せて頂くとしようか。ステータスオープン」



 名前:ドワルギニー・フォン・ドワーリン

 種族:ドワーフ

 階級:族長

 性別:男

 年齢:55

 総合レベル:4

 幸福ハピネスポイント: ▲5832

 罪業カルマポイント:53(内正当防衛0)

 E階梯:0.2


 称号:無能族長

 スキル:『威張り散らしLv18』 『尊大Lv30』 『虚言Lv45』



「かーっ! ひでぇなおい!

 総合レベルが4しか無ぇわ。

 幸福ハピネスポイントに至ってはマイナス5832もありやんの。

 お前たち不幸になるためにこいつを族長にしてるんか?

 しかも罪業カルマポイントを見てみろよ。こいつ同族を53人も殺してるわ。

 しかもE階梯は0.2かよ! ミミズ以下だなおい!

 尊大で威張り散らすしか能の無い無能族長だったか……」


「み、皆の者、こ、これはまやかしだ!

 このような下賤の者の言うことを真に受けるでない!」


「あのな。この虚言Lv45って言うのはな。

 こいつのウソツキ度を示しているんだよ。

 コイツのウソツキレベルは、今まで俺が見た中で断トツ最大値だわ。

 お前はな。嘘をついて威張るしか能の無い最低のクズ野郎だったんだよ。

 それも皆が自分に従うことだけが生き甲斐のな。


 だから自分さえエラそーに出来るんだったら、ドワーフが奴隷にされようが滅びようがどうでもよかったんだ。

 まあ、典型的な破滅型独裁者だな。

 支配することは得意でも、支配下の者を幸福にする能力は全く無いどころかマイナスという、最低の族長だ」


「ええい! 黙れ黙れ!

 システィフィーナさまに祝福された我が長老一族に、罵詈雑言の数々、もう許せんっ! 

 皆の者、全員で飛びかかってこの者を捕えよっ!」


 はは。誰も動かないでやんの。



「それじゃあみんなに証拠を見せてやろう」


 俺はその場に巨大な3Dスクリーンを出現させた。

 そこには2000年前、システィが初めてドワーフ族を創り、その最初の8人に語りかけたシーンの録画だった。

 お、システィがほんのちょっとだけ今より若く見えるな……

 あ、おっぱいが今より小さいからか…… こ、これはこれで……



「わたくしがそななたちドワーフを創造した天使システィフィーナです」


 画面の中の8人のドワーフが地面に這いつくばった。

 そのうちのひとりが、地面に頭をつけたまま言う。


「我らが創造天使システィフィーナさま。

 どうか我々に生きる指針をお与えくださいませ……」


「ドワーリンよ。

 わたくしはこれからドワーフ族を8000人ほど創造します。

 あなたたち8人は、それぞれ1000人を率いて村を造りなさい。

 そうして、この地・・・で、幸せに豊かに暮らすのです」


「ははぁっ!」


「8人は皆村長になったからと言って奢り高ぶってはいけません。

 長とはあくまで全体の奉仕者なのです。

 いくらそなたたちの子孫だと言っても、奉仕の心の無いものを次の村長に指名してはなりませんよ。

 子孫に限らず村長を選びなさい。

 次代のリーダーを見出して育てるのもそなたたちの大事な役割なのですからね」


「うはははぁっ!」




「どうだ、これが真実だ。

 お前が如何に皆に嘘を吹聴していたのかバレバレだろう」


「ぎぃぃぃぃぃぃーっ!だっ、黙れ黙れ黙れっ! 

 こ、これはまやかしなのだっ!

 み、皆、こ、こんな怪しげな絵に騙されるでないっ!」


 あー、こいつヒステリー起し始めとるわ。

 いままで逆らわれたり反論されたりした経験が無いんだろうなあ。


(それじゃあシスティ、俺が合図したら、ここに出てきてこいつに止めをさしてやってくれるかな)


(任せてっ!)


「ははは、それじゃあ直接システィフィーナさまからお話を聞いてみようか」


「なっ、ななな、なんだと……」


(システィよろしく)



 その途端に洞窟内が強烈な白い光に包まれた。

 辺りは盛大などよめきに包まれている。

 そうして、その光がやや収まって来ると、その中心には巨大な天使の姿が現れたんだ。


(システィ、大きさまで変えとる…

 だんだん登場エフェクトがハデになって来とるわ……)


「うわぁぁぁぁっ! ほ、本当にシスティフィーナさまが顕現されたっ!」

「おおおおお…… 我らが創生主、システィフィーナさま……」

「ありがたやありがたや……」



「ドワーフの族長ドワルギニーよ」


「うははぁっ! し、システィフィーナさまっ!」


(おお、システィ、声にエコーまでかけとる! さらに凝って来とるわ……)


「あなたは偽りの言葉を述べることによって、わたくしを貶めました。

 わたくしは、族長の世襲を戒めたはずです。

 それにわたくしが言った言葉は、『この地の中で暮らし』ではありません。

『この地で暮らし』、すなわちこのガイア全体の地で暮らすように言ったのです。

 わたくしの言葉を故意に捻じ曲げて伝えたその罪は重いですよ」


「うぐぐぐぐぐぐ……」


「そなたを族長から解任します。

 これからは己の来し方を反省しながら生きなさい」


「み、皆の者っ! こ、こ奴はニセモノだっ!

 本物のシスティフィーナさまがこのようなことを仰るはずが無いっ!」


 ははは、この莫迦長老、みんなに睨まれてやんの。

 さて、そろそろクライマックスと行くか。



「お前は一線を越えた。

 もはや許される途は無い。

 自分の嘘が通用しくなったからといって、こともあろうにシスティフィーナさまをニセモノ呼ばわりするとはな。

 素直に過ちを認めて悔い改めれば許されたものを……


 それでは皆の者。

 これからこの長老を名乗る莫迦の正体を見せてやるからよく見極めろ!

 よし、全員一斉にこの岩山の山頂に転移だっ!」



 その瞬間、その場にいた全員が一斉に転移した。

 皆、座っていた姿勢のまま、予め俺が作っておいた山頂付近の平らな部分に出現している。

 実に開放的で見晴らしのいい場所だ。


「お、おい、どうしたんだこれ?」

「な、なんで俺たち外にいるんだ?」

「あ、ここ、洞窟のある岩山の山頂だ……」

「おお、本当だ。なんだか平らになってるけど、俺たちの岩山だ……」



「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ~っ!」


 はは、やっぱりそうか……


「広い高い怖い、広くて高くて怖いよう!

 だ、誰か早くわしを狭くて低いところに連れていけっ!」


 あー、この莫迦族長、顔を地面につけて涙とハナミズ撒き散らしながら泣き喚いてるわ……

 あ、失禁までしやがった……


「うひーっ! うひーっ! だ、誰か助けろっ!」


 よく見れば他にもひーひー言いながら蹲っている奴が大勢いる。

 みんなエラそーな服着てるわ。族長一族かな……

 ドワーフたちはそんな莫迦族長と支配階級を茫然と見つめていたんだ。



「みんな…… もうわかったろ。

 こいつらは高いところが怖いんだ。それから広いところもな。

 それぞれ、『高所恐怖症』と『広場恐怖症』って言うんだが……

 本当はさっきのステータス画面を詳細に見ると書いてあったんだがな。

 反省して謝罪したら黙っていてやろうと思ってたんだが……」


「うひーっ! うひーっ! 高いよう広いよう怖いよう!」


「この恐怖症のせいで、こいつらはお前たちがこの岩山を降りて平原に避難するのを邪魔したんだ。

 つまり、自分が山道を降りるのも、そのあと平原で暮らすのも怖かったんだよ。

 だから洞窟の中でもいつもあんなに天井の低い狭いところにいたんだ」


「そっ、それで族長は生まれてから一度も外に出たことが無かったのか……」


「その通りだな。

 だからシスティフィーナさまのお言葉を勝手に捻じ曲げてお前たちに伝えていたんだ。

 本当は自分が怖いからイヤだっただけのことなんだ」


「そうだったのか……」


「そうしてこいつはな。

 こうやってみんなの前で恥をかくぐらいなら、ドワーフがヒト族に滅ぼされてもいいと考えていたわけだ。

 それぐらい自分の族長としての権威が大事だったんだ」


「酷い話だ……」


「うひーっ! うひーっ! うひーっ! うひーっ!

 わ、わしは族長だ! だから高貴で偉いんだ!

 だ、だから早く助けろっ!」



「さて、戦士頭ドワールスよ。

 お前はどうする? 俺たちの街に来るか」


「家族ともどもお世話になりたい。

 また、友人たちも部下たちも大勢行きたがることだろう。

 サトル殿よ。頼めるか?」


「もちろん歓迎するよ。なあシスティ、大歓迎だよな」


「うふふ、もちろんよ♪」



「ま、待ってくれ! 戦士頭ドワールスよ!

 お、俺たちも連れて行ってくれ!」


「そうだ! ドワールスさんに族長になってもらおう!」


「そうだそうだ! 俺たちを救ってくれた恩人なんだから族長にふさわしい!」


「そうしてまた俺たちを幸せな暮らしに導いてくれっ!」


「ドワールス万歳っ! 新族長万歳っ!」


「「「「「「「「「「 万歳! 万歳! 万歳! 」」」」」」」」」」



「いやみんな。悪いが断る」


「えっ!」

「ぞ、族長になれるのに断るって……」


「なあサトルさま。それでいいんだろ」


「はは、さすがは戦士頭だな。そうだ、それでいいんだよ。


 おい! ドワーフども!

 お前らは自分たちがどれだけ間違っていたのかわかってるのか!

 なんでこんな莫迦族長をのさばらせていたんだ?

 なんでその莫迦息子を族長の息子だというだけで次期族長にしようとしてたんだ?

 お前たちが滅びようとしてたのは、お前たち自身のせいだということがまだわからんのか!」


「「「「「「「「…………」」」」」」」」


「お前らはな。自分では何も考えて来なかったんだよ。

 族長に命令されて、命令通りに動くのが大好きだったんだ。

 だがいいか! これからはお前たちの生き方はお前たち自身で決めろ!

 族長のいいなりになるな!

 俺の街に来たかったら、来たい奴だけ来い!

 誰かに言われたから来るような奴はいらん!

 おまえらいいかげん自分で考えろっ!


 なあシスティ、それでいいよな……」


「うふふ、さすがはサトルね♪ もちろんそれでいいわよ♡」




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