表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【爆撒英雄サトルのガイア建国記】  作者: 池上雅
第1章 ガイア建国篇
85/325

*** 85 東の種族たちとの宴会 ***

 


 いやキングたちは楽しそうに呑んでるよ。

 フェンリー以外はさすがにみんな酒にはある程度強いみたいだ。


「うむ、旨いっ! 

 サトル殿、このウィスキーというものは実に旨いですぞ!」


「確かに美味しゅうございますな。

 先代の族長から一度だけヒト族の酒をもらったことがありましたが、あれとは比べ物にならない旨さです」


「おおおお、一族の者にも呑ませてやりたいもんだのう……」


「フェンリーたちのところには月に1回持っていってるんだけどさ。

 あんまり毎日酒呑んでるとみんなおかしくなっちゃうから。

 でもこれからはみんなのところにも届けるようにしようか」


「それはありがたい。だがわしらは数が多いからの。

 春と秋の祭りのときだけでいいからお願い出来るかのう」


「ああいいぞ。オークもオーガもそれでいいかい?」


「本当になにからなにまですみませぬ」


「心より礼を言う。

 じゃがサトル殿。酒というものは子供も呑めるものなのか?」


「酒じゃあ無いけど、女性や子供に大人気の飲みものもあるぞ。

 ほら、これがジュースだ。

 もしあまり酒に強く無い種族がいたら、こっちを飲んでくれないか?」


「あっ、こ、これ果物を絞ったものだ!」


「こんなごちそうを…… 

 年に1度の祭りのときだけ、器に半分しか飲めない果実の絞り汁がこんなにたくさん……」


「皆の衆、サトル殿が作ってくださったれすとらんには、このじゅーすがいくらでも置いてあって好きなだけ飲めるぞ」


「ゴブリン・キングさま、そんな素晴らしいところで食事をするのに、いったい何をお支払いすればいいんでしょうか……」


「はっはっは……

 全てはこちらにおわすシスティフィーナさまの思し召しよ。なにも要らんそうだ」


「そ、そんな…… 働きもしないでこんなに旨いものばかり食べていたら、みんなダメになってしまうんじゃ……」


「うむ。もっともな考えよ。

 それゆえわしらは、今でも西の大森林で塩の交易を続けておるのだ。

 まだ移住していない種族に移住を勧めながらの」


「でも、もしみんな移住してしまったら、塩の行商の仕事も……」


「そのときはまた別の仕事をしようかの。

 わしの妻は今、れすとらんで料理を作る仕事をしておる。

 それ以外にも子供たちの服を作る仕事をしている女衆も大勢おるの。

 わしらは畑で作物でも作るとするか。

 そうそう、子供たちは毎日『学校』に行って、字や計算を教えてもらっておるわ」


「そ、その街には『教場』まであるのか……」

「それに畑で作物を作るんだったら俺たちにも出来そうだな……」

「そうだ。それなら出来るぞ」


「はは、教場だけではなくなんでもあるのう。

 まったく移住してからも毎日驚かされてばかりだ。

 そうそう、わしはあの風呂と言うものが気に行ったわ」


「ふろ?」


「水浴びではなく、湯を張った場所に体を沈めるのだ。

 こう、体の芯から温まって最高に気持ちいいの……」


「そ、そんな……

 そんなことしたら薪がたくさん必要でたいへんでしょうに」


「それが、このサトル殿が『魔道具』というものを使って簡単に湯を沸かしてくれるのだ。

 街にはこの小屋よりも広い風呂が4つもあるぞ」


「す、すごい……」



 俺は小屋をそっと抜け出して、外に風呂を作った。

 排水場所にクリーンの魔道具を設置すると、後は湯船を作って『お湯の魔道具』をセットするだけだから簡単だ。

 そうそう、洗い場の代わりにクリーンの魔道具で体を綺麗にするスペースも作ろうか。


 小屋に戻ると、東の種族たちが西のキングたちを取り囲んでいろいろと話を聞いているようだった。


「オーガ・キングさま。

 オーガさんたちはヒト族よりも遥かに強いでしょうに、どうして移住をお決めになられたのですかの」


「ヒト族は数が多いからの。

 いくらわしらでも、ひとりで1000人を相手に1日中戦っておることは出来ん。

 それに女子供を危険に晒したくなかったからだ」


「なるほど……」


「それにの、いくらオーガに戦闘能力があると言っても上には上がおるのだぞ。

 あそこにいるサトル殿は、わしとの1対1の立ち合いで、素手の一撃でわしを即死させおったのだ。

 もっともシスティフィーナさまのご加護のおかげですぐに生き返ったが」


「お、オーガ・キングさまを拳の一撃で……」


 リザードマンの副村長が頷いている。


「とてもじゃないが、俺がどうこう出来る相手じゃあなかったということか……」



「そうそう皆の衆、ひと月ほど前に、平原の西の方から凄まじく恐ろしい気配がやって来たことはなかったかの」


「ああ、あれは恐ろしかったですわ。

 一族全員が気絶した上に地面まで揺れてましたし」


「あれはの、サトル殿がフェンリル族に頼まれて、『耐威圧訓練』してやったからだそうなのだ。

 その際には、サトル殿が今まとっている『隠蔽』を解いただけで、あの強者フェンリル族のみならず、ドラゴンもベヒーモスもミノタウロスもトロールも半数が気絶して、『威圧』を全開にしたら全員が気絶したそうだ」


「フ、フェンリルさまが気絶……」

「ドラゴンもベヒーモスもミノタウロスもトロールも……」


「はは、サトル殿はもう2度としないと言っておられたが、ヒト族が何10万人やって来ようと、あの威圧だけで全員倒せるだろうのう。

 だからわしらも安心して、こうして昼間から酒を呑んでいられるわけよ、わはははは」


「わたしたちは、そうしたすべてのことへの御礼を込めて、こうして移住を検討なされている種族の方々への説明を買って出ているのですよ。

 そうしてみなさんが移住されるとシスティフィーナさまがお喜びくださるのです。

 ですからもっともっと頑張らねば」


「あ、そ、そういえばさ、オーク・キング……」


「もしよろしければ、わたくしのことはオーキーとお呼びいただけませんでしょうか、使徒さま」


「あ、ああ、それじゃあオーキー、俺はサトルって呼んでくれ」


「それではサトルさま」


「『さま』も要らないから」


「それは畏れ多いですね。それでは『サトルさん』でよろしいですか?」


「もちろん」


「ふふ、光栄です。オーク族もオーガ族ほどではないにせよ、強さを尊びますから。

 あの強者からさん付け呼びを許されるとは、最高の名誉ですな。

 それで『サトルさん』、わたくしになにかご用ですか?」


「なあオーキー、実は俺の前世の世界には『豚』っていう生き物がいてな。

 俺たちはそれを飼育して食べてたんだよ。

 それでその…… その豚が、あんたたちオーク族にちょっと似てるんだ。

 や、やっぱり俺たちが豚を食べたりしたら、オーキーたちは気を悪くするよな……」


「はて…… その豚という生物は、イノシシに似た生き物でしょうか?」


「あ、ああ、イノシシを品種改良した生き物だな」


「それでしたら私どももイノシシは飼っておりますよ」


「えっ……」


「もっともそれほどの数は飼っておりませんが。

 彼らはわたくしたちより鼻がいいので、地中にある美味しいキノコを探させるために飼っているのです。

 それで高齢になって死んだものや怪我で死んだものは、丁重に弔った後に皆で食しておりますが……」


(土の中のキノコってまさか……)


「そ、そうか、オーク族もイノシシを食べるのか……」


「ええ、滅多に食べられないご馳走ではありますけど。

 それに、牛人族ワーキャトルの方もバッファローを飼っていらっしゃいましたな」


「んだ。おらたちもバッファローを飼ってるだ。

 オスには荷運びや畑を耕す仕事をさせて、メスにはミルクを出してもらってるだ。

 そうしてやっぱり高齢で死んだり怪我で死んだりすると、弔った後に食べてるだよ。

 数が少ないだで、やっぱり滅多に口に出来ないご馳走だがの」


「そうそうサトルさん、この世界のヒト族はサルを飼育して食用にしているそうですよ。

 ですから似ているからといって食べないわけではないのでは?」


(ヒト族の街に行っても食事はしないようにしよう……)



「そ、それじゃあさ、今ここで、牛肉や豚肉の料理を出してもかまわないかな?」


「もちろんかまいませんとも」


「アダム、ソーセージを焼いたものと、ハンバーガーを頼む」


(かしこまりました)



「おおおおお、こ、これはこれは…… イノシシ肉を何かに詰めて棒状にしたものですな…… 

 ふむ、それを煙で炙って燻製にしたものでしょうか。

 それにしても良い匂いだ……」


「さあみんな喰ってくれ」



「ふおおおおおおおおーっ!」

「う、旨い、旨いよサトルさま!」

「お、俺、こ、こんな旨い肉初めて喰ったよ…… ま、まだ肉なんか2回しか食べたこと無いけど……」

「食べ物で泣くなって……」

「そういうお前だって涙ボロボロじゃないか……」

「こ、これは、俺の心がびっくりして汗をかいてるんだ!」


「いつもながら、サトル殿の街の食べ物は、量もさることながらその味も素晴らしいものばかりだのう。

 これはサトル殿の前世の世界の料理なのかの……」


「ほとんどがそうだな。

 だけどさ、みんなの一族の女性たちにも、是非街のレストランで働いてもらえるように言ってくれないかな。

 たまにはみんな自分たちの料理も食べたくなるだろうから。

 例えば兎人族ワーラビットが見学に来た時に、兎人料理が出てきたらみんな安心すると思うんだ」


「わしらゴブリンの女衆たちも、大勢レストランで働き始めておるよ。

 だが、サトル殿よ。あのベルミアという総料理長はただものではないとわしの妻が言っておったのだが……」


「ベルミアは神さまたちの世界でも有名な料理長なんだぜ。

 なにしろ彼女のスープを飲むために、神さまたちが行列を作っているぐらいだからな」


「な、なんと、我々は神と同じものを食べさせて頂いているというのか……」


「そうだ、だから総料理長はあくまでベルミナだ。

 みんなは彼女の下で修行して、一族の料理をさらに美味しいものにしてレストランで提供して欲しいんだ」


「それは楽しみだのう……」



 それからは、あまり酔ってない連中と風呂に入った。

 みんなここでも大騒ぎだったけど。

 えへへ、俺、洗熊人族ワーラクーンに背中洗ってもらっちゃったぜ!


 それから小屋の中にマットレスを敷いて、食べ物もたくさん置いて俺たちはシスティの天使域に帰ったんだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ